神喰いは狩人たり得るか   作:E.star

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モンハン世界にオリGEがやってきてわちゃわちゃする話
まだモンハン世界には突入しません、足の爪先が触れたくらい


プロローグ

───アラガミ、それは突如地球上に現れた人類の天敵。

オラクル細胞で構築された身体は単細胞でありながら驚異的な学習能力を備え、有機物無機物問わず喰らい、果ては兵器すらも取り込み吸収する常識はずれな神の紛い物。

もっとも、それらが現れる兆候自体はあったが、大多数の人間からしてみれば預かり知らぬ範疇でしかなかった。

 

捲れ上がった舗装路、放棄された建築群、散見する崩れた人工物。ここはかつて栄えていた都市の一つだったが、彼らに蹂躙された今では過去の栄光でしかない。

 

廃都を覆う淀んだ灰色の空に、絶え間ない金属音と微かなノイズが響き渡る。

 

『……さん、バイタル低下……! このまま戦闘を続けるのは危険です、どうか撤退を……!』

 

 

 

 

───時は数刻前

その日は、新人男女の初陣を兼ねて外部居住区付近に出現したオウガテイルを数匹討伐するだけの、簡単な任務になるはずだった。

任務中はこれといった支障も無く、順調に進んだ。

新人の初陣に多いとされるKIA(戦死)の心配も、いざ彼らの活躍を目の当たりにすればただの杞憂に過ぎなかった。

初めは不安げな表情を見せていた新人達だったが、初任務を遂行できて少し自信がついたらしく、晴々とした様子だった。

 

『お疲れ様でした、周囲にアラガミの反応はありません。帰投してください』

 

長身痩躯な少女のアームベルトに装着されたトランシーバーから、オペレーターの通信が流れる。

 

『それにしても新人の子二人、動きバッチリね……ふふ、もしかしたら、彼ら二人が貴女を追い越す日もそう遠くないのかもしれないわよ?』

 

軽いノイズ越しでも伝わってくる温かみのある女性オペレーターの声が、トランシーバーから発せられる。

 

「いやぁー、あの子達には早く強くなってもらって、私に楽させて欲しいもんだ」

 

腰まで届きそうな細長いポニーテールと赤いエクステが特徴的な髪型の少女はボーイッシュな声でそうぼやいた。

 

『もう!』

「あっはは! 冗談、冗談」

 

オペレーターとそんなやり取りを交わしながら、齢18と若くして隊の長を務めるベテランのGE(ゴッドイーター)であるメグミは、後方で談笑しながら帰投の準備を行う期待の新人達に、帰ったらジュースの一本でも奢ってあげようかと考えていた。

 

 

 

───油断していた

 

 

 

───その時、それは現れた

 

 

 

「ぐああッ!」

「きゃああッ!」

 

突如鈍い音が聞こえたかと思うと、メグミの後方で談笑していた他愛のない声が悲鳴に変わった。

 

『えっ───』

 

無線トランシーバーからは息が止まったような声。

双方の声色から只事ではない雰囲気にメグミが何事かと振り返る。

すると、今まで新人達がいた場所には彼らと入れ替わったかのように、蒼く、まるでファンタジー世界の竜を思わせるしなやかな巨体が佇んでいた。

 

───まずい

 

メグミの視線の先にいる存在に彼女の本能が警鐘を鳴らす。

 

新人達はといえば、少し離れた廃墟の壁に叩きつけられていた。

廃墟に加わった亀裂と瓦礫が散らばった様を見れば、その威力が分かる。

彼らの手には神器を持っておらず、おそらく不意の出来事で構えるヒマもなく攻撃を食らったのだろう。

 

「オペレーターッ‼︎ 新人達の状況は⁉︎」

 

メグミは焦りを孕みつつも気の張った声でオペレーターを正気に戻す。

 

『は、はい! 今確認しますッ……よ、よかった、新人達の生命反応は消失していません。ですがッ───』

「見なくても分かる。帰投班と救護班に迅速に駆け付けるよう要請して」

 

メグミはそう言って神器を銃形態に切り替え、気を失った新人に狙いを定める蒼い竜の背にバレットを撃ち込む。

背を撃たれた蒼い竜は横槍に苛ついたのか、ゆらりと首を捻ると、血のように真っ赤な瞳でメグミの姿を捉えた。

 

「カリギュラ……接触禁忌種の実物とか初めて見た。ほんっと、今日の運勢サイコー……」

『なんで……さっきまでレーダーに反応なんて何もなかったのに……』

「ああいうのはそういう事が多いって話はよく聞いてた。オペレーター、連れて帰るのは新人達だけで良いって、迎えの班に伝えといて。それまでコイツの気は私が引いとく」

『な、何言ってるんですか! 貴女一人じゃ……』

「増援でも送るって? ウチの支部にコイツとマトモに戦える奴いる? ダメダメ、死人が増えるだけよ」

 

カリギュラの重い足音がメグミに迫ってくる。

本来は常人どころか、偏食因子という(毒を持って毒を制す)細胞を埋め込まれたGEの身体能力を持ってしても追いつけないほどの足の速さを持つカリギュラだが、この瞬間は、まるで獲物を品定めするかのようにゆったりとその歩みを進めていた。

 

『でも……!』

「とにかく‼︎ サポートよろしく……」

『……わかりました』

 

今、メグミの眼前には未曾有の脅威が立ちはだかっている。

 

神機(バスターブレード)を持つ手が、鉄球を何個も括り付けられたかのように重い───

ただ目の前に立って居るだけなのに、奴に見下ろされているだけなのに───

 

メグミは氷漬けにされたかと思う程の凄まじい威圧感(プレッシャー)を全身で感じ取り、額から頬に一筋の汗を流す。

だがしかし、彼女も負けじとカリギュラに向かって鋭い眼光で睨み返し、犬歯を剥き出しにして好戦的な笑みを浮かべ、神機の切先を蒼い竜に向けた。

 

「来なよ……ぶった斬ってやる……ッ!」

 

「ガギャアアァァァ───」

 

───生意気な、とでも言いたそうに、カリギュラはそれを挑発と捉えたのか、咆哮を上げながら炎のように燃え上がる冷気を掌に纏った。

 

その後、数刻に及ぶ激闘は筆舌に尽くし難いものだった。

 

 

 

 

幾度も刃を振り下ろし、何度も装甲(タワーシールド)を展開した。

半ばヤケクソ気味な攻撃でも上手くいくことがあるのは分かった。

新人達に狙いが行かないように、少しづつ場所を移動しながら戦ったのが功を奏したのか、彼らの保護は安全に完了した。

 

受けた傷は回復錠で補う。しかし、体力や気力はそうもいかない。メグミは徐々に自身の身体に疲労が溜まっていく感覚を覚えた。

いくら偏食因子に適合して常人から逸脱した身体能力を得たといえど、無尽蔵ではない。長時間に渡って続く攻防は次第にメグミの集中力を奪っていった。

 

「ぐッ⁉︎」

 

遂にはカリギュラの攻撃に反応が遅れ、長く強靭な尻尾に横凪に払われ建物の壁に激突してしまう。

その際にメグミは脇腹辺りから響いた嫌な音に、肋骨がやられたと理解する。

次の瞬間、彼女の喉から熱いものが噴き出した。

 

廃墟の壁がけたたましい音を出して崩壊する。

 

「ごふッ……っば効くわ」

 

メグミの衣服を、噴き出した鮮血が染める。

 

『メグミさん、バイタル低下……! このまま戦闘を続けるのは危険です、どうか撤退を……!』

「それは……無理」

『どうしてですか‼︎ もう新人の子達の保護は済んでるんですよ!』

 

「ここで逃げたら……多分、いや、確実に、コイツは追ってくる……。こんなのが……居住区に侵入でもしたら……全部終わる……から」

 

このエリアと居住区は目と鼻の先、仮に上手く巻けたとしてカリギュラがその存在に気が付きでもしようものなら、直ちに壁を破って中にいる無抵抗な人達を襲うであろうことは想像に易い。そして、その被害は絶対に民間人達の犠牲だけでは済まない。

オペレーターは言葉に詰まる。

 

「死んでも止めなきゃ、ここで……ごめん、一旦切るね……」

『ッ⁉︎ だめ! 待ッ───』

 

メグミは瓦礫の山から立ち上がると、声が聞こえなくなったトランシーバーを放り捨てる。

そして、トドメの一撃をくらわさんと空中からジェット機の如く迫ってくるカリギュラを霞んだ視界で捉えると、その体を屈めた。

 

回避(かわ)して、次の一撃で終わらせる。

ここで奴の息の根を止める。たとえ刺し違えてでも。

そうしなければ───

 

 

みんな殺される

 

 

メグミは天高く跳躍、それとほぼ同時にブースター器官で加速したカリギュラが、腕部のブレードを展開し、勢いのままにメグミのいた場所に向かって斬りつける。

その差はコンマ数秒。

 

衝撃波と共に舞い上がった埃が晴れた時、カリギュラの視界にメグミの姿はなく、あるのは荒々しい残痕が残った廃墟だけだった。

 

カリギュラが辺りを見回しても、メグミは見当たらない。

 

───消えた?

 

 

「でりゃああああッ‼︎」

 

 

突如、頭上から叫び声が聞こえたかと思えば、カリギュラは背に雷にでも打たれたかのような激痛を覚えた。

 

 

「ガアァァァァァァッ───」

 

 

カリギュラの背から翼のように発達したブースター器官の間には、満身創痍になりながらも神機を突き立てるメグミがいた。

想像を絶する痛みにカリギュラは悲鳴を上げ、メグミを振り払おうと暴れ狂う。

 

 

「───くぅッ!」

 

 

メグミは振り払われまいと一心不乱に神器の柄を握りしめ、刀身がカリギュラの(コア)を穿つ事を祈りつつ、握りしめた神機をカリギュラの身体に沈めていく。

 

激痛に耐えかねたカリギュラは何としてでもメグミを振り落とそうと、身体を何度も何度も別々の廃墟へ叩きつける。

 

縦横無尽に暴れるカリギュラは、やがてエリアの外れにある廃墟の前に辿り着く。

カリギュラは脇目も降らずに廃墟に向かって猛進し、速度を落とす事なく激突した。

しかし、その廃墟は酷く劣化が進んでいたせいか、カリギュラの突進の勢いを殺しきれずに脆くも崩れ去ってしまった。

その勢いでメグミも神機から手を離してしまい、カリギュラの背から投げ出される形で共に空中へと放り出されてしまった。

 

そして、その眼下にあったのは───

 

 

「───あぁぁぁッ⁉︎」

 

「ガギャアアァァッ───⁉︎」

 

 

底の見えない、深い、深い奈落。

気が付いた時にはもう手遅れだった、真っ暗闇の深淵にメグミとカリギュラは飲み込まれていった。

 

 

 

 

「金色に輝く流れ星?」

「そうだよ! 昨日の夜寝ようとした時にね、なんか明るいなーって思って窓から空を見上げてみたら、こーんなに大っきな流れ星があったんだよ」

「嘘だぁ、だって昨日の夜は星っこ一つも見えない曇りだったぜ?」

「きっと変な夢でも見てたのよ」

「ホントに見たんだって、信じてよぉ〜」




Q.主人公の強さのボーダー
A.ヴァジュラとかカムランとかガルムくらいまでなら一人でいける

Q.GEの経験は?
A.初代と2、2RB、3、外伝は無し

Q.モンハンの経験は?
A.3riと3rd、あとはRise、外伝はストーリーズ初代と2、ポカポカアイルー村(うろ覚え)

A.そんなんじゃ甘いよ
A.うるせぇ、読もう!(ドン)

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