セカイの魔導書と旅をする   作:おにちく

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 もしも旅の仲間の吸血鬼がマネジメントに手を出したら

 なぜか文字数が多くなった……




第04話『商業―Management―』

 

 山賊を襲撃してから一夜が明けた。薄暗かった空は光を取戻しクランは目を覚ましベッドから体を起こした。宿を取り眠りについてからまだ三時間も経っていないようだ。

 

 山賊の拠点が崩壊した崖崩れはあまりにも不自然な為、魔法使いに勘付かれるかもしれないと三人は生存者の少年一名を連れて転移を繰り返し最終的に遠く離れた大きな町へ来た。

 

 そこでいつものように宿を借り(今回の狩りで金を入手したためクランが払うことにした)ようとしたのだが夜中に気絶した子供を担ぐ青年が宿を借りに来るという構図は世間的に見てどうだろうか? 非常によろしくないとクランは判断。

 

 結果、家族で旅していますアピールをする為フォーゼとクラン、そしてクランの背中で気絶している子供の三人で家族を装い(大人モードのエヴァンジェリンはフォーゼと交代を進言したがフォーゼに一蹴され影の中で落ち込んでいた)そこそこいい宿を借りた。メンバーに女性がいるというだけで警戒が薄くなるのは世の常だろう。

 

 安いボロ宿でもよかったのだが大きな町というのは大抵貧富の格差が大きくなり貧民街が出来上がる。そこは治安が悪い。一般人を連れてることもあり安全を優先したのだった。

 

 そしてすぐ結界を宿にのみ張り部屋を書き換えてそれぞれ就寝の準備をして寝た。ベッドは二つなの一つに子供を寝かせ使いもう一つをクランとフォーゼが、エヴァンジェリンはソファーで横になっている。

 

 いつも使っているベッドが使えない為クランが三人で寝るか? という提案に対して顔を真っ赤にするエヴァンジェリンが居たとか居ないとか。

 

「おはようございます、マスター」

 

 となりで寝ていたフォーゼが目を覚まし起き上がる。どうやらクランが起きたことに気が付き彼女も起きたようだ。

 

「おはようフォーゼ、悪いな起こしたか?」

 

「問題ありません。マスターの起床時間が私の起床時間です」

 

 魔導書の管制人格である彼女は本来睡眠を必要としない。それでも寝るのはクランの傍に少しでも居たいという感情からだった。

 

「では食事の準備をしてきます」

 

「わかった、手伝うか?」

 

「いいえ、大丈夫です。マスターはまだお休みになられてください」

 

 そうか、とクランは答えフォーゼの後姿を見送り隣のベッドを見る。掛けられた布団を崩すことなく少年は眠りについていた。

 

「この少年、どうしたものか……」

 

 はっきり言って邪魔だ、とクランは思っていた。酷いかもしれないが一緒に旅する理由がないのでどこかに置いていこうかと考えている。

 

 しかしエヴァンジェリンのことを思う。彼女は否定するだろうが子供に優しいところがあるのだ。無論、牙を剥いてくるならば容赦しないだろうがただの一般人である少年をそんな邪険に扱えないだろう。

 

 一番は元居た村に返す事だろうがエヴァンジェリンからの話では少年の家族は赤フードの女によって殺されたらしい。もしかしたら別な家族がいるかもしれないがそのあたりは聞いてみないとわからない。

 

「とりあえず起きて話を聞いてからか」

 

 そう結論付け視線を外しフォーゼの元へと移動する。この一室は本来ホテルの仕様であり寝泊まりするためだけの部屋だったのだが回を重ねる家の様に使っていた為かキッチン(換気扇完備)やワインセラー(エヴァンジェリンの趣味)などが外付けされ今では一軒家並の設備になっている。

 

「今日の飯はなんだ」

 

「サンドイッチです。山賊から奪った大量のパンと卵があったのでそれを使おうかと」

 

 ああ、わざわざ食料も手に入れてくれたのか、とフォーゼの手際の良さに感謝を述べるクラン。フォーゼはいつも通り問題ないと答える。

 

「さて、俺も準備しますか」

 

「何をなさるのですか? 私が変わりますが」

 

「いや、大丈夫だ。それに使うのは俺の血だしな」

 

「ああ、そうですか。吸血鬼用の……」

 

 納得がいったのかそれ以上何も言わないフォーゼ。クランはワイングラスを取り出すと魔導書から取り出した幾重もの模様が入った刃物を指先に軽く押し当て血を数滴垂らし刃物を避ける、すると血は止まり傷も残っていなかった。

 

 ワインセラーから一本の赤ワインを取り出すとコップの三割程度まで分までゆっくり注ぎ血を薄める。これでエヴァンジェリン用の飲み物は完成だった。

 

 以前クランはエヴァンジェリンに対し敵対していない者への吸血行動を取ることを禁止した。これは旅の道中で余計な被害を出さないことと魔法使いにバレないための処置であった。無論エヴァンジェリンは反対した、殺す気かと。実際に死ぬことはないだろうが血を飲まないという事がどれほどつらいかはクランにもある程度は理解できた。

 

 だから代わりにクラン自身がエヴァンジェリンに対して血を提供する事を申し出たのだ。彼女もクランの血に興味があったのだろう、すぐに了承した。それから直接吸血をしようものなら殺す、とフォーゼに圧を掛けられ流した血を飲むということになった。そして事件は起きた。

 

 エヴァンジェリンが今まで飲んでいたのは〝人間の血〟。この世界で人間以外の上位種族と会うことは難しいだろうから当然と言える。だからクランという〝特殊な血〟に()てられたのだ。早い話が酔っぱらった、それもデロンデロンに。血を取り込んだことにより魔力がバカみたいに上がり気分が最高にハイになってしまったのだ。

 

 その後具体的に何が起きたかは語らないが一つの山が平地になったとだけ言っておこう。同じ過ちを犯さない為、以降クランは血を飲ます時は飲み物で薄めて出しているのである。

 

「完成しました」

 

「こっちも出来上がった。薄いかもしれないけど、まあちょうどいいだろ」

 

「……マスター、お手を失礼します」

 

 フォーゼは急にクランの手を取り血を流した指を舐なめた。どうやらまだ血が付いていたようだ。しかしフォーゼにはそのような機能は無かったはずだが、エヴァンジェリン( 吸 血 鬼 )と旅しているから伝染したのだろうか? などとクランが考えていたらフォーゼは布で指を丁寧に拭いた。

 

「……失礼しました」

 

「ああ、ありがとう」

 

 クランはそれに礼をいいワインをテーブルへと運び続いてフォーゼも朝食を運ぶ。さて、と一言置いてからクランはまだベッドで寝ている少年の元へと向う。少し揺さぶってみても規則正しい寝息を崩すことなく起きる気配がなかったのでそのままにすることに決めた。

 

「まあ殺されかければそうなるか……」

 

 そこからソファーで眠るエヴァンジェリンへと向かった。

 

「朝飯だぞ、食うか?」

 

「……まだ眠い」

 

 気怠そうに応えるエヴァンジェリン。無理もない、そもそも吸血鬼は夜行性なのだから朝はゆっくり寝ていたいはず。それに昨晩は頑張ってくれていたし。

 

「わかった、ならお休み。せっかく血を薄めたワインを準備したけど無駄だったな」

 

「それを早く言わんか!」

 

 ガバッとタオルケットを吹き飛ばし起きる。見事な掌返しだ。

 

「飯と一緒にテーブルの上にある、顔を洗ったら食べに来い」

 

「わかった」

 

 駆け足で顔を洗いに行くエヴァンジェリンを見送り先に椅子に腰かけ待っていたフォーゼと共にクランは朝食を食べ始めた。

 

 

 ××××××

 

 

 朝食を食べ終わり比較的ゆったりとした時間を過ごしていた。外は徐々に活気づき始め住民たちが動き始める。

 

「さて、そろそろ行くか」

 

 フォーゼが入れてくれたお茶を飲み干し立ち上がるとその言葉を聞いたエヴァンジェリンは首を傾げた。

 

「どこか行くのか?」

 

「ああ、換金しに行こうかとな」

 

 魔導書に仕舞った昨晩の戦利品をリストアップする。空中に描かれた薄く青い板の中には色とりどりの宝石や装飾された武器、黄金が映し出された。

 

 色々とイレギュラーな事態があったが本来の目的、金品の入手が無事達成できた。

 

「この町に来たのはこれが目的でもあるから。一気に持ってったら怪しまれるし少しずつ換金する」

 

「ふむ……私も行こうか」

 

「別にかまわん。何か買いたい物でもあるのか?」

 

「まあ少し見て回るくらいだ。構わんだろ?」

 

「わかった。フォーゼ、すまないがお前は子供を見ていてくれ。何かあったら連絡をくれ」

 

「了解しました、マスター。お気をつけていってらっしゃいませ」

 

 行って来る、と言い残してクランとエヴァンジェリンは部屋から出てた。

 

 宿から出ると外では所々人々の集まりができていた。露店、先触れ、大道芸、井戸端会議など各所で賑わいを見せていた。時折通る馬車は後ろに大きな荷物を載せ運んでいる。

 

「いらっしゃーい。新鮮な野菜はいかがですかー?」

 

「教皇パウルス二世は遂に教皇庁の職員のリストラに踏み切った。神に仕えるからと言って職を失わない時代ではない!」

 

「最近いい生地が流れてこなくてなあ」

 

 様々な言葉が飛び交う。こういう喧騒は嫌いじゃないな、とクランは思いつつ目的地へ向けて歩き出した。

 

 数歩進んだ辺りでふとクランは振り返る。エヴァンジェリンがついて来ていなかったのだ。はて、と彼女の方を見るとどうやら何かを見ているようだ。気になり彼女の視線の先を見てみるとどうやら商人と先程の馬車の主が二人で取引をしていた。

 

「エヴァ?」

 

「ん? ああ、すまない」

 

「どうかしたのか?」

 

 エヴァンジェリンはなんでもない、と短く言うとすぐクランの隣を歩く。

 

「そういえば換金所の場所はわかるのか?」

 

 初めて訪れた町だというのに迷わず進むクランに対し疑問に思ったのかエヴァンジェリンが聞いた。

 

「ああ大丈夫だ。使い魔での情報収集済んでいる」

 

「便利なものだな……」

 

「ある程度店の位置は把握している。どこか行きたいところがあったら換金した後でよければ連れて行くぞ」

 

「じゃ、じゃあ!」

 

 年相応(実年齢ではなく見た目的な意味で)に目を輝かせるエヴァンジェリンは目的の店を告げた。

 

 

 ××××××

 

 

 換金所での一悶着を終え満足のいく結果を得たクランたちはエヴァンジェリンの目的の店へと着ていた。それは服屋だった。それも庶民が着るような安上がりな物ではなくのではなくドレスなど貴族が着る物を扱う店。さらにこの町でそこそこ大きい部類の店になるだろう。

 

 あとで聞いた話だとエヴァンジェリンはこの手の服が大好きだそうだ。女性として身嗜(みだしな)みは大事なのだろう、わりと真剣に語っていた。

 

「いらっしゃい」

 

 どうやら客はクランたち以外に居なかったようだ。来店に気が付いた店主らしき人物が奥から出てくる。その声は明るいく愛想の良い笑顔を見せた。しかしその顔は怪訝なものとなった。

 

 問題は二人の姿にある。非常に簡素で質のいいとは言えないローブ。とてもお金を持っていそうに見えなかったからだ。

 

 しかし逸早(いちはや)くそのことに気が付いたクランは相手に何か言われる前に先手を打った。

 

「すまない店主、うちのお嬢様が洋服を拝見したいと仰っているのだが見ていいだろうか?」

 

「え、ええ構いませんよ」

 

「ありがとう、これはほんのお礼だ」

 

 クランはそう言うと店主へと近付き小さな宝石を手へと渡した。

 

「これは……! ありがとうございます! もし何かお探しでしたら私もお手伝いいたします」

 

「いや、大丈夫だ。お嬢様は自分の目で見て気に入ったものを選ぶのでね。何かあったら呼ぶので気にしないでくれ」

 

「かしこまりました。何かございましたらお声かけ下さいませ」

 

 深々と頭を下げる店主にわかりました、と言い残しクランは感心した様子で此方を見ているエヴァンジェリンの元へと戻る。

 

「ほう、手慣れたものだな」

 

「この程度誰でもできるだろ。相手が断定して何か言う前にもしかして、と疑念を抱かせ黙らせる。そしてそれが事実であるような証拠を見せてやればいい。尤も宝石をやる必要はなかったかもしれないな、お前は見た目が可愛いから貴族の令嬢と誰も疑わないだろうし」

 

「フ、フン。当たり前だ」

 

 そっぽを向くエヴァンジェリン。実際エヴァンジェリンは元貴族だ、何一つ嘘は言っていない。

 

「ところで服を見ないのか、お嬢様?」

 

「なに、優秀な執事がエスコートしてくれるのを待っていたんじゃないか」

 

「これは失礼、ではお手を」

 

 クランはわざとらしく一礼するとエヴァンジェリンへ向けて掌を差し出した。彼女はその上に手を重ねる。自分でやっておきながら可笑しくなったクランたちは小さく笑い合う。

 

 そのあとはエヴァンジェリンがあれを取れ、これを取れと気に入った衣装を次々と見て最終的には自分用に五着とフォーゼように三着ほど購入することとなった。そして会計の際先の店主が使用人用の質の良さげな服を進めてきたがクランはやんわりと断ろうとした。しかしエヴァンジェリンがのりのりで買うことを承諾(勿論支払いは全てクラン)。

 

 しかも店主は無駄に気を利かせて奥の空き部屋を使わせクランをすぐ着替えさせられた、エヴァンジェリンも便乗して着替える。

 

 クランはなんだか吟遊詩人が着ていそうな(尤も帽子は被っていないが)黒い服。エヴァンジェリンはロングスカートのスカートや首、袖にフリフリのたくさんついた白いドレス(胸元がとても寂しい)を着てご満悦の様子。

 

「ありがとうございました、またのお越しをお待ちしております」

 

「ええ、よいお店でした。また次の買い物の時もよろしくお願いしますわ」

 

 わざわざ出入口まで見送りし店主が頭を垂れる。服を着替えたエヴァンジェリンはご機嫌だったのだろう、正直話し方が気持ち悪いとクランは思った。

 

「それではお世話になりました。またいずれ」

 

 クランは店主へそう言い残し二人は店を出た。なんだか非常に疲れた気がする、と彼は一人愚痴った。時刻はそろそろ昼頃だろうか、日が高くなっていた。

 

 

 ××××××

 

 

 買い物を終えた二人は寄り道することなく宿へと戻ってきた。出迎えたフォーゼはクランに無駄な買い物をさせたエヴァンジェリンへ対して何か言いたそうな顔をしていたが彼女用に買ってきた服によりすぐ上機嫌になり事なきを得た。

 

 紅茶を入れてもらい一息つきソファーでのんびりとしているクラン。そして部屋を見渡し口を開く。

 

「少年はまだ目覚めないか」

 

 このままどこかに捨て置くか、などとクランが物騒なことを考えていると隣にエヴァンジェリンが腰掛け話しかけてきた。

 

「なあクラン、いくつか質問があるがいいか?」

 

「どうした、改まって。答えられる範囲で答えていい内容は答えるが」

 

 なんだそれは、とエヴァンジェリンは少々苦い顔を続けた。

 

「お前の使い魔に関してだ。町のあちらこちらへ放っているみたいだがそれは広範囲に展開できるのか?」

 

 ああ、そういえば全く話していなかったな、とクランは思い出す。エヴァンジェリンと旅をし始めてから戦い方や魔法に関して議論することは多少あれど放った使い魔に関して触れていなかった。

 

「一つ誤解をしているようだから訂正する。放っているのは町だけではなく全世界、この惑星内のあらゆる箇所に展開している」

 

「……もう驚かないぞ」

 

 本当はこのセカイ全てに放ちたかったのだがな、とクランは心の中で付け足す。それを聞いたエヴァンジェリンはクランの非常識っぷりにもう慣れたのか呆れていた。

 

「話は終わりか?」

 

「いやまだだ。その使い魔での情報収集はどこまで可能なんだ?」

 

「ふむ……完全隔離された部屋などの会談は頑張れば聴けるが基本的には小動物や一般人が入れる場所での情報収集が可能だ」

 

「なるほど……つまり一通りオープンな情報は入手可能、と言うことか」

 

「一体どうした、珍しいじゃないか。何かやらかす気か」

 

 何かを考え始めるエヴァンジェリンにクランは興味をそそられ詳しく聞きたくなった。

 

「……なあクラン。ここら辺で一つ拠点を設けてはどうだ?」

 

「拠点? どうした急に」

 

「いや何、大金も入ったことだし一つやってみたいことがあってな」

 

「また無駄な出費ですか、吸血鬼」

 

 フォーゼも紅茶のお代わりをティーポットに入れクランの隣、エヴァンジェリンの反対側に座み睨みを利かせる。睨みつつもエヴァンジェリンに紅茶を出す辺り何とも憎めない。

 

「ち、違う! そういうんじゃなくてだな」

 

 慌てて訂正し説明を始めるエヴァンジェリン。その内容は早い話が起業だった。

 

 情報とは金になる。どの町で何が安く手に入り、また何が高く売られているか、何が需要があるのかという単純な内容のもの。それを踏まえた上で安く仕入て高く売る、商売の基本中の基本。

 

「つまり、クランの情報網を使いそれで金を稼ぐ。その為の拠点だ」

 

 エヴァンジェリンの話を聞いてクランは感心した。感心したのは彼女の考えた内容に対してではなくお金を稼ぐ手段をきちんと考えたことに対してだ。

 

 クランは金銭に対して無頓着なところがある。無いより有った方がいいとは思っているがそこまでこだわりはない、最低限必要な分だけあればいいと。そういう考え方だった為、エヴァンジェリンがわざわざその事を考えているのに驚きつつも感心した。

 

「しかし、そうなれば人を雇わねばならないのでは? それだけの人脈が吸血鬼にあるとは思いませんが」

 

「うっ……それは」

 

 フォーゼに痛いところを突かれたのかエヴァンジェリンが押し黙る。確かにそこは大きな問題だ。いくら上手く行くからと言って他人がそれを易々と信じると思えないし、更に裏切る可能性もある。しかしここまで考えてくれたんだから手伝ってやるか、とクランは妙なやる気を見せる。

 

「それなら人型の使い魔を応用すればいい。彼らは情報を並列化できるから打って付けだ、人数も用意できるしな。俺はお前の案に賛成だエヴァ、よく考えてくれた」

 

 感謝を述べクランはエヴァンジェリンの頭を撫でる。エヴァンジェリンは恥ずかしそうに視線を逸らしながらも嫌がる素振りは見せない。

 

「ふ、フン! 当然だ、また山賊狩りばかりしているわけにもいくまい。効率よく安全に稼げるならそれに越したことはないからな」

 

 と若干震えながら手元の紅茶へと手を伸ば一口飲む。フォーゼも何か物欲しそうな目で見ていた為同じように撫でたら嬉しそうクランへに引っ付いた。

 

 それからの行動は早かった。資金を元に少し大きめの屋敷(何でも前の持ち主が不正で処断されたらしい)を手に入れすぐに起業し〝カンパニー〟を設立。使い魔たちを駆使し交易を始める。彼らは人と変わらぬ見た目をしており更に簡易な隠匿魔法を使用している為魔法使いに発見されることもなかった。情報も常に最新のものを共有している為、利益は必ず出る。

 

 尤もそれをよく思わない連中の襲撃を何度か受ける事もあったが組織的に動いていたところの情報はすぐ入る為壊滅することとなった。

 

 それ以降交易で生じた利益により宿、娼婦館の運営、農業、武器製造と徐々に幅を利かせ始める。僅か数年でヨーロッパ各所に拠点を設け、やがては世界有数の大企業へと発展する事へなるがそれはまだ先の話。

 

 




 実際商売ってそんな単純じゃないよな。まあ安く買って高く売るという基本が実行できればいいだろうけどそこはご都合主義のなせる業

 次回はようやく少年が目覚めます。怪我したわけでもないのに眠りすぎだろ
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