思いつきで書き始めたけど気にしてはいけない
第01話『見知らぬ世界―The Unknown World―』
セカイは一つではない。あらゆる次元にセカイが存在し、そしてそこに数多の人種、生物が生活している。
文化、風習、技術、全てがバラバラなセカイがあり、しかし限りなく近いがまったく別なセカイがある。
次元航行の力を手に入れた人々は各セカイでそれぞれ交流を持ち、そして争いを始めていた。
そんな中、次元宇宙に浮かぶその内の一つのセカイが終わりを迎えようとしていた。
それはセカイが壊れる間際だったのだろう。周りの建物は瓦解し、空間の至る所には黒い亀裂が入っていた。
このセカイにあった力、知、財の全ては一冊の本の中に納められた。その本はセカイそのものとなった。
そして絞りかすとなったセカイに残ったものは初老の男と若い青年の二人だけ。
「これを、このセカイをお前に託す。私はお前に多くを望まない、望むのはたった一つだ」
初老の男が青年へ一冊の本を渡す。少し戸惑りつつも青年はその本を受け取ると大事に胸へと抱え初老の男を見つめていた。
「生きてくれ、我が最愛の孫よ。願わくば、誰かを傷つけることなく安息に満ちた日々を……」
「…………!」
初老の男は慈愛に満ちた表情で青年の頭を撫でる。青年が何かを言ったように見えたがそれは建物が崩れた轟音に掻き消されてしまった。
青年の足元には魔法陣が現れた、先ほど初老の男が頭を撫でたときに作動させたのだろう。それが完全に起動し青年の身体が光に包まれこのセカイから姿を消した。
初老の男が空を見上げる。其処にはいつも見上げていた美しく澄んだ青空は無く赤黒く染まり歪な亀裂が至る所に入ったつぎはぎな空があった。
「お前の旅に良き出会いがあらんことを……」
独りきりになった初老の男がぽつりと呟いた言葉を最後に、そのセカイは消滅した。
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技術というものは使う側にしてみれば便利で当たり前なものだ
しかしそれを知らない側にしてみれば理解不能で恐ろしいものだ
未知に恐怖するのが生物の本質ならばこの開戦も必然なものだったのだろう
アルハザード国王 リチャード・ヴァン・リーゼリッヒ・アルハザードの日記より
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木々が生い茂る深い森の中。人が通れる整備された道などなく、獣が行き交う
崖に開いた穴、
このセカイに来てどれくらい経っただろうか?と黒髪を伸ばしたローブの青年――クランは一人自問する。
「7日と13時間31分です、マスター」
声を出したわけでもないのにクランの隣に立つ女性〝アルハザードの書〟の管制人格であるフォーゼが応える。
銀色の絹のように細かく美しい長い髪。所々汚れているローブで身体を隠しているも所々露出した部分から白い肌が光を反射する。凛とした紅い瞳は真っ直ぐとクランを見ている。
「ああ、ありがとうフォーゼ。でも頭の中を勝手に読まないでくれ。話したいことがあれば言葉に出するか念話するから」
了解しました、マスターと言ってフォーゼは一礼し傍に控える。
このセカイにきて一週間が経った。今まで情報収集に
次元間でのセカイ交流が無く、交流がないということは各セカイ間での争いも無い、至って平和なセカイだった。尤もこの惑星内での独立した国々での戦争はあるようだが。
さらに〝魔法〟は存在しないことになっているようだ。
また文化レベルも低い。クランは使い魔の集めたデータを元に〝アルハザードの書〟より適応するセカイを検索した結果、ここは地球と呼ばれたセカイの中世と呼ばれる時代と同じものだった。似て非なる地球、故に歴史がわかっていても若干異なるだろうとクランは思っている。
だがそれも些細なことでしかない。とりあえず自分の身の安全は保障されたようなものなのでいつまでも
「情報も多く集まったしそろそろ外に出るか、いい加減暇だし」
「了解しました、マスター」
「とりあえず近くの村に行こう。まともな料理が食べたい」
「最も近い村はここから南南東28.6kmの場所にあります」
「ありがとうフォーゼ。じゃあ行こうか」
はい、とフォーゼが応えたのを機にクランは立ち上がり焚火を消し外へ向かって歩き出す。クランの後ろをフォーゼが一歩間を開けてついてくる。出口は外からの明るい日差しによって白く光って見えた。
そんなこんなで始めました