熾烈を極めし親玉合戦(1)
桜色の大剣を担いだ私は姉のハル。
白色の狩猟笛を担いだこの子は弟のフユ。
2人はガルクのシュントに乗って、ハンター稼業をしながら、とあるモンスターについて調べるために旅をしている。
「なんだか活気のない感じがするね…」
「何かあったのかな…」
私たちはとある村を訪れた。
この辺りは大きな樹海が広がり、大小様々なモンスターに対して住みやすい気候となっている。木が鬱蒼と茂るこの環境は草食モンスターの絶好の棲家であり、それに釣られる肉食モンスターの棲家である。実際にこの樹海地帯に生息しているモンスターは多岐に渡るようだ。
そのため、そんな樹海地帯の近くに位置するこの村は、長い間モンスターによる被害に悩まされつつ生活してきているようだ。もちろんモンスターの種類や出どころによっては狩猟の必要も出てくるし、そのため狩猟に赴くハンターも頻繁にこの村を訪れる。よって、この村はハンターの界隈では割と有名なところらしい。
そんな村に訪れたわけだが、今回は一層活気を感じない。いくらモンスターによる問題に何度も対応させられているとはいえ、最初からこんな雰囲気であるはずがないと一眼見て分かるほどにはおかしな雰囲気であった。
というわけで滞在の願い出も兼ねて、早速村長に話を聞くわけなのだが、
「どうか、ドスランポスとドスジャギィの縄張り争いをどうにかしてくだされ…」
と、泣きつく始末であった。
「ドスランポスと…」
「ドスジャギィ…?」
私たちはそろって首を傾げる。
「そうなんじゃ…」
村長さんが続けると、話はこうだ。
「最近、と言っても長い間、この樹海においてドスランポス一族とドスジャギィ一族が縄張り争いをしておっての、それが長い間止まないんじゃ…。お陰で草食モンスターはめっきりだし、交易もまともに出来やしない…。加えて、これまで何度かハンターを派遣したのじゃが、全部が返り討ちにあっておる…もう八方塞がりなんじゃ…」
村長もかなり疲弊している様子である。
「とりあえずわかりました」
「僕たちで何とかしましょう」
自分でいうのも何だが私たちは10歳だ。そんな子供に泣き崩れるのだから相当なのだろう。そんな状況を見て無視できるほど、私たちは薄情ではなかった。
そんな依頼を受けて私たちは、その村の雑貨屋で、この旅路で消費した携帯食料とこれからの狩猟に備えての回復薬等の補充を行う。そんな最中での会話。
「…やっぱり気になってる?」
私はフユに話しかける。というのも、フユはその依頼の内容を聞いてから終始黙って考え事をしているようだ。
「…うん……」
生返事を返すフユは続ける。
「まず、本来ドスランポスとドスジャギィのテリトリーは重ならない、他のドスバギィやドスゲネポスなどにも言えること。そもそもそんな縄張り争いは聞いたことがない…」
確かに、と私は納得する。私も父からそのような話を聞いたことがなかった。むしろ、そういうのは重ならないのが普通であると教えられている気がする。
「それに、これにハンターたちが苦戦しているのもおかしい。本来ならハンター初心者にも任せられるモンスターなんだ。それなのに、沢山のハンターが失敗しているだなんて…」
それも納得である。本来のドスランポスやドスジャギィは動きが単調だったり、他の強豪モンスターに群れという形で対抗している部分だったり、あまり強いというイメージがない。
「……お姉ちゃん、」
フユは少し真剣な顔つきで私に語りかける。
「…今回は二頭同時狩猟になると思う。他のハンターが狩猟できていないのも気になる…。気をつけた方がいいかもしれない…、僕も気をつけないと……」
そう言って、フユはやはりブツブツと呟きながら考え事をするのだった。
とりあえず私たちは、この村に夕方に着いたこともあり、宿を借りて一泊してから狩猟に向かうことにした。しっかり夕食もとり、お腹いっぱいの状態で就寝する。
ちなみにフユはというと、まとめ終わっていないからと、いつもの本にモンスターのことを書き記す作業を少ししていた。先日の銀嶺ガムートに関しては、やはり驚くことも多かったらしい。勤勉だな…と思いながら私は眠りについた。
そして翌日、朝食をしっかり摂って狩猟に向かう。私たちはシュントに乗ってその狩猟地に赴くことにした。
とても現地の惨状を知らぬまま。