モンスターハンター ロストワールド   作:Haonawo

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怖がりなアイルー、シュカ(2)

「あ、ありがとうございましたミャ!」

 白いアイルーは、私たちに向かって何度も繰り返しお辞儀をしてみせた。

「いやいや、あのままだと僕達も襲われてたしね」

 そうなふうに手をヒラヒラさせながら軽く返すフユ。実際、私たちも巻き込まれずに済んだわけだし、この白いアイルーを純粋に助けたと言うと少し違うものがある。この反応が当然である。

「そうね、大丈夫だよ」

 私もそういう風に返しておいた。

 

「いやいや、本当に助かりましたミャ!」

 そう私たちが返してもなおペコペコと頭を下げているアイルー。

 見たところ毛並みは真っ白、耳が長くピンと立っている。背中にはアイルーサイズにしては少し大きめの緑のリュックサックを背負っていて、中はたくさんものが入っているようだ。目が黒く、クリクリとしていて可愛らしい。

 

 

「と、ところで、2人はハンターなんですかミャ?」

 お辞儀を止めた白いアイルーは、私たち2人を見て首を傾げる。おそらく、私たちが背中に背負っている大剣や狩猟笛を見てのことだろう。

「うん、僕たちはハンターをしながら旅をしているんだ」

 フユはそういう風に答える。出会ったばかりのアイルーに対して少し重い内容の旅の目的までは言うことはないものの、フユはハンターだとしっかり教えてあげる。

 

「ミャミャ!本当かミャ!」

 それを聞いた白いアイルーは、ひどくびっくりしている。驚き、というより興奮を隠せていないようだ。手を口元に抑えて、大きな目をより大きく見開いて、少し体の縦の揺れが大きくなっている。

「え?うん…」

 フユの方もそのアイルーの反応に少しびっくりしている。

「そうだけど…」

 私の方も少し…というかだいぶ驚きながらそう返した。ハンターだというだけでこんな反応をされることはもちろんない。このアイルーには珍しいものだったのだろうか。

 

 しかし、こんな驚きの反応に対して、その白いアイルーはさらなる大波を寄越してきた。

 

 

「私はシュカって言いますミャ!シュカをオトモにしてくださいミャ!!」

 

 

 そう言って深々とお辞儀するアイルー…シュカの姿に、私たちは口をぽかんと開けて閉められないのだった。

 

 

 

 

 

 と、そんなこんなで、

「お二人は、どこに向かっているんですかミャ?」

 と私たちに質問する白いアイルーのシュカは、テクテクと歩くシュントの上に座っている。

 

 結局、シュカのあの一所懸命なお辞儀を見たところで、これはテコでも動かないと判断した私たちは、一先ず私たちが降りたシュントに乗ってもらい、私たちは横を歩くことにした。目的地も近いし、このスタンスだと周りの景色もじっくり見れると言うものだ。

 とはいえ、なぜこうなったのだろうか…と未だに私は腑に落ちていない。助けたアイルーがこうも容易くついてくるということがあることに、正直驚きを隠せていない。

 

「この周辺で嵐があったらしくて、その場所に調査をしに行くところ」

 フユは横のシュカに答える。それに対して、ミャミャ!と驚くシュカ。

「そ、そこはおそらくシュカのいた村ミャ!」

 と、びっくりした口調のまま喋るシュカ。表情は少し強張っている。なんだかおどおどとした調子が抜けない様子である。

 

 とはいえ、現地の人がいたと言うのであれば話は早い。シュカには少し申し訳ないものの…、

「ねぇ、そこに案内ってできる?」

 私はシュカに頼ることにした。

「お、お任せくださいミャ!」

 その私の発言に対して敬礼までして、命令を受ける兵隊のような反応をして見せるシュカ。

「こ、この道をまっすぐ行ったら、その村に繋がる道があるミャ!」

 その調子のまま、シュカは前方を指差して道を示してくれる。シュカの方も、初めてのオトモの仕事のつもりで真剣に頑張ろうとしているのだろうか。まぁどんな心持ちであれ、今はこの厚意に預かるとしよう。

「わかった、その方向に向かおうか」

 私はそれに答えた。

 そして、シュントとそれに乗るシュカ、そしてフユと私は、そこに向かって行くのだった。

 

 

 

 崖下の方を流れる泥色の濁流、それが少しずつ細々としたものになってきている。あまり勾配を感じないものの、少しずつ上流の方、標高の高い方に向かっているようだ。

 周りは少しずつ木々の密度が増していき、黄土色の崖肌や地面がだんだんと緑の苔や植物に覆われてきている。少しずつ辺りの日光も遮られてきて、先日の密林地帯のように暗くなってきている。

 

 そんな中でも、私たち…というよりフユは周りの植生の調査を怠らない。

「これは数日前にいた場所の植物?にしては少し……」

 とまぁこんな感じで、ブツブツ独り言を唱えつつ植物を撫でて、記録をして、と繰り返している。

「か、彼は何をしてるんですかミャ?」

 シュントの足が止まり、フユが近場に座り込んでいるその様に、案内役を買って出ているシュカは少し不思議がる様子である。

「フユは学者のごとく調べ物をしているところ」

 私はそのフユの真剣さに少し呆れつつ憧れつつそういう風に返しておく。

 

「あ、そ、そういえば、お名前聞いてなかったミャ」

 シュカは私がフユという名を出したことで、思い立ったようにそう呟く。

「あぁ、私がハル、その学者ハンターさんが私の弟のフユ、君が乗ってるガルクがシュントだよ」

 私はそれに対して「あぁ確かに」と思い出した感覚を覚えつつ手短に紹介する。シュントの名前を呼んだ時に、それに合わせてシュントがワン!と鳴いた。

「ハル様、フユ様、シュント様ですかミャ?よ、よろしくお願いしますミャ!」

 と、それに応えるように再度しっかりとお辞儀をするシュカ。ちなみに、

「様呼ばわりじゃなくてもいいんだよ?」

 と私が少し気恥ずかしく思いつつシュカに伝えたところ、

「いえ、シュカの命の恩人ですし、これから仕える主人様ミャ!失礼なことはできないですミャ!」

 と、頭をぶんぶん振りながら答え、その後頑なにその呼び方を変えることはなかった。

 

 

 なんだか1人会話の相手が加わるだけで賑やかになった気分である。

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