モンスターハンター ロストワールド   作:Haonawo

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怖がりなアイルー、シュカ(3)

 そんな少しばかり賑やかになった私たち一行は、フユの周りの環境の調査による鈍足に合わせてゆっくり進んでいった。

 

 そんな最中、

「ミャミャ!!」

 シュカは、急に大声を上げた。

「うわぁ、どうしたの?」

 私もその声に驚きつつシュカの方を見る。

 するとシュカの方は、シュントの上でうつ伏せにうずくまり、頭を手で守りつつブルブル震えている。

「……シュカ?」

 質問に返答する様子のないシュカに不思議に思いながら、私はシュカを覗き込みながら再度聞いてみる。

 

 するとシュカは、その震えを口調に乗せながら、

「も、モンスターが近づいてきてるミャ…」

 と答えた。少し想定外の回答に、「え?」と聞き返す。私の声色が少し緊張感のあるものに変わるのを自覚する。

「フユ、いそう?」

 私は近くの植物を見ているフユに声をかける。

「うーん、ここはさっきのクルペッコ亜種とも違う方面だし…、今のところ他の大型モンスターの痕跡は見当たらないけど…」

 私とシュカのやりとりを一応聞いていたらしいフユが、こちらに歩いてきながら、首を傾げつつそう返した。

「シュントは?」

 私はシュントにも聞いてみる。前も何度か、いざという時のガルクの耳や鼻に頼ったことがある、安心と信頼の情報源だ。

 シュントは周りの匂いを嗅ぐ。すると、シュントはとある方向に鼻先を向け唸る。となると…

「モンスターはいるけど、大型ではないみたいだね」

 フユがそれを見て答える。確かにシュントは大型モンスターと対峙する時、それこそ先日の密林地帯での出来事のような時なんかは、唸るだけでなく瞬時に動けるように体全体で警戒を行う。見た感じそれほどでもないようだ。

 

 と、その時。

 ガサガサッとシュントの警戒していた方向の草むらが揺れると、そこから数匹のシュントと同じくらいの小型モンスターが出てきた。のっぺりのしたオレンジの皮にところどころ斑点が見られて、喉元に大きな膨らんだ袋を持つ鳥竜種モンスター、フロギィである。

 

「フロギィか…」

 と、一先ず大型モンスターでないことに少し安堵する私だったが、フロギィの方はこちらをみるや否やギャアギャアと鳴いて威嚇してきた。

「とはいえ襲ってくるモンスターには変わりないからね…、気をつけて追い払おうか」

 と、手で自らが扱う狩猟笛の位置を確認しつつ声をかけてくるフユ。

 

 そんなフユの声に従って、さぁ狩りをしようと気合を入れた私だったが、

「……あれ?」

 ここでふと疑問を持った。

 私は、パッと後ろを向く。そこには先程と同様にフロギィに警戒をするシュントと……

「ミャア……」

 相変わらず頭を抱えてうつ伏せでプルプル震えているシュカがいる。

「……シュカ…?」

 私はその謎の光景にキョトンとしつつ質問する。ちゃんとした質問ではないといえシュカの回答はというと、

「…モンスターが怖いミャ……」

 という、なんだか声量的にも内容的にも独り言に聞こえるものだった。

 

 このオトモ…モンスターが怖くて狩りに参加できないのか……。

 そんなちょっとしたショックを覚えたのは、私だけなのだろうか…。

 

 

 

「……ふぅ」

 一通りの戦闘が終わり、その場に尻餅をつく。

「お疲れ様、お姉ちゃん」

 追い払うことができず結果狩ることになったフロギィたちの剥ぎ取りをしているフユの気遣った一言が私にかかる。ありがたい限りである。

 

 何度も言うが無益な殺生も無駄な浪費もしたくなかった私たちだが、相手はフロギィ。毒も使ってくるし襲ってくるのだから、追い払うのも難しいし、少なからず狩りを行う必要があった。

 

 加えて……、とここで一旦思考を止めてとある方向を見やる。

「怖かったですミャ…」

 そこには、シュントの上でひどく安堵した表情を見せるシュカがいる。

 

 このアイルー、自らオトモを志願したのだから狩りの手伝いができるのかと思いきや、狩りどころかモンスターに対する恐怖でまるで体が言うことを聞かない様子だった。私たちが戦っている最中も、シュントの上でプルプルと震えながら丸くなっていた。

 その結果、通常戦闘の最中は安全な場所に避難しているシュントが避難できず、シュントには荷が重いシュカの安全を私たちが守ることになった。端的に言うと、シュカを乗せたシュントを背に戦うことになり、これが盛大な足枷になったのである。勿論のこと、私もフユも何かを背に守りながら戦うことは全くと言っていいほど経験しておらず、かなり厳しいものだった。

 

 

「…とりあえず、今日は近くに野宿かな」

 剥ぎ取りを終えたフユが、私の方に話しかけてきた。

「周辺の環境の調査の時に食べれる野草は採取しておいたし、フロギィの生肉もありがたく頂戴したから、今日はこの自然の恵みを分けてもらうことにしようか」

 フユはフロギィから剥ぎ取ったものを見せながらそう言った。

「そうだね、フロギィもなぜか多かったし、疲れた…」

 と、フユの逞しい発言に対して少し気だるげな返しをする私。

 実のところ、フロギィも最初に出てきた3匹くらいで終わるものかと思っていたが、次から次に追加のフロギィたちが戦闘に乱入してきて、前回のランポスやジャギィたちのような狂気的な数ではなかったものの、中々の数の相手をすることになってしまった。まぁ自然の恵みを多くいただけた、と言うことにしておこうか。

 

 

「は、ハル様、フユ様、そろそろ日が暮れるから移動した方がいいミャ」

 と、シュカが声をかけてくる。続けて、

「と、とりあえず、近くにあるハンター用のキャンプ地点を知ってるから、そこに案内するミャ」

 とシュカが言う。流石にこの辺の案内を任せているアイルーなだけあって、その辺の臨機応変の対応をしてくれるからありがたい。

「ありがと、シュカ。そこに向かおうか」

 と、私は立ち上がり土汚れを払って、武器や手持ちのアイテムの確認を済ませる。フユの方も、剥ぎ取った物を手持ちに収めて、移動できるように準備する。

 

 私たちはとりあえず、この怖がりなアイルー、シュカの案内に従ってそのキャンプ地点を目指した。

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