風呂場のドアが音を立てて開かれ、空手部の3名が浴室から出て来る。
「ふぉ~~あっつー」
そう言って真っ先に出てきたのは一番年上である三浦だ。
「ビール!ビール!あっつー!」
それに追随するのは田所、お調子者らしく大げさに騒ぎ立てる。
「あ~はやくビール飲もうぜ~。おい、冷えてるか~?」
「んぁ、大丈夫っすよ、バッチェ冷えてますよ」
二人は風呂上がりのビールについて賑やかに話している。
二人から少し遅れて出てきたのは木村、話には混ざらず静かに二人について行った。
風呂上がりにしばらく和室でくつろぐ3人。
木村は雑誌『Weeklyぴあ』を読書中だ。
田所が思い出したように言う。
「三浦さん、夜中腹減んないすか?」
「腹減ったなぁ」
「ですよねぇ」
「うーん」
三浦の同意に、鈴木福のような表情で田所が続ける。
「この辺にぃ、美味いラーメン屋の屋台、来てるらしいっすよ」
「あっ…そっかぁ…」
「行きませんか?」
「あっ、行きてぇなぁ」
「行きましょうよ。じゃけん夜行きましょうね~」
「おっ、そうだな。」
その会話が終わるか終わらないかというところで、三浦が急に木村の方を向いた。
「あっ、そうだ。おい木村ァ!」
「あっ、はい」
「お前さっき俺ら着替えてる時チラチラ見てただろ」
「いや、僕見てないですよ」
「嘘つけ絶対見てたゾ」
「何で見る必要なんかあるんですか」
木村の反論を意に介さず、田所が口を開いた。
「あっお前さ木村さ、さっき脱ぎ終わった時にさ、なかなか出てこなかったよな?」
「そうだよ」
三浦もそれに便乗する。
「い、いやそんなこと…」
「見たけりゃ見せてやるよ」
~~~~~~~ ここからAI ~~~~~~~~~
三浦はそう言いながら浴衣を脱いで全裸になった。
「ほれ」
「えぇ……」
田所の視線も感じる。
木村は何とも言えない居心地の悪さを感じている。
三浦はそのまま浴衣を畳み始めた。
「これ明日持って帰ろうと思って」
「いいですけど……」
木村は困惑しながらも答えた。
三浦は再び木村の方を見る。
「どうだ?見たいか?」
「えぇ……まぁ」
「本当に?本当に良いのか?」
「えっ、本当ってどういう事ですか?」
「いいぞ、もっとよく見て。ほら、ほらほら」
そう言いながら三浦は一歩ずつ木村に近づいていく。
「ちょ、ちょっと待ってください、近いですよ、近い」
「遠慮するなって」
「し、してないですよ!なんでこんなに近付いてくるんですか!?︎」
三浦は更に距離を詰めていく。木村は思わず後ずさった。
その時、背後にあった襖に背中をぶつけてしまう。
「わっ!」
勢い良くぶつかった為、大きな音を立てて襖が開いた。
「あっ、ごめんなさい」
襖の向こうにいたのは、寝巻き姿の女子部員だった。
彼女は一瞬驚いたような表情を浮かべたが、すぐに申し訳なさそうな顔になり言った。
「すみません。お取り込み中でしたか?」
「いえ全然大丈夫です。」
木村が慌てて答える。すると、後ろから声がかかった。
「あっ君たち誰?」
「あー、うちの部の子達だね」
三浦と田所が部屋に入って来た。そしてそのまま襖を閉じる。
「俺たち今忙しいんだけど?」
三浦の言葉に、木村は心の中で(俺の方が)と思った。
「あの、何かあったんですか?」
木村と三浦達のやり取りを聞いて心配になったらしく、入ってきた女子部員が聞いてきた。
「あっ、いや、何でもないよ」
木村が必死に取り繕う。
「本当ですか?」
「うん、気にしないで」
「でも……」
「ほんとになんでもないんだ、ありがとう」
「そうですか……それなら良かったです」
なんとか納得してくれたようだ。
しかし、今度は三浦が食い下がる。
「いやいやいや、何にも良くないよ。だって俺ら今裸じゃん?」
「そうですね」
「女の子に見られるの恥ずかしいんだよ。だから出て行って欲しいなぁ~」
「いや、そういう事でしたら、私たちこそ気を使わせてしまってすみません」
女子部員は頭を下げて謝ってくれる。
しかし、三浦はそれでは不満らしい。
「いやいやいや、別に謝る必要はないけどさぁ~、とにかく出て行ってほしいナぁ~」
「分かりました、すぐ失礼しますね」
そう言って女子部員は立ち去ろうとしたが、木村が呼び止めた。
「ちょっと待って!」
「はい?」
「折角だからみんなで花火しようよ」
「えっ?」
木村の提案に、皆キョトンとした顔をしている。
木村は続けて言う。
「いや、僕たちだけでやっててもしょうがないじゃない?せっかくだし一緒にどうかな?」
「私は構いませんけど……」
女子部員はチラッと三浦を見た。
三浦は渋々といった様子で口を開く。
「まぁいいよ……」
「やったー!じゃあ早くやろうよ」
木村が笑顔で言う。三浦は溜息をついた。
「仕方ねぇな……」
「そうこなくっちゃ」
それから、5人は縁側に出て、手持ち花火を始めた。
「なんか合宿っぽいね」
木村は楽しそうに笑っている。
「楽しいな」
三浦も、どこか満足げだ。
「お前は楽しんでばっかだろ」
田所が呆れたように言った。
「ところで、なんでこの子は浴衣着てるの?」
田所に言われて、木村は女子部員の方を見る。
彼女は白い浴衣を着ていた。
「それは私も聞きたいですね」
女子部員が不思議そうな顔をしながら答えた。
「いや、私が寝ようとしてたら部長達が騒いでたので……。それで様子を見に来たんですけど……」
「そしたら僕らがイチャイチャしてたから邪魔したくなったってこと?」
「ち、違いますよ!」
女子部員が慌てて否定する。
「えっ、違うの?」
「はい!そんなんじゃありません!誤解です!」
「えぇー、残念だなぁー」
木村は全く残念そうでない声で言った。
「あっ、そうだ、名前なんていうの?」
木村が聞くと、女子部員はハッとした表情になって言った。
「すみません自己紹介がまだでしたね。1年4組の山根由香里といいます」
「へー、僕は2組の木……」
「木暮さんだよ」
木村が名乗ろうとすると、三浦が遮った。
「あっ、ごめん、そうだったよね」
「いえいえ、全然大丈夫ですよ」
「ところでさ、何で由香里ちゃんだけ浴衣なんだ?」
田所が聞いた。
「ああ、これですか?」
由香里は自分の浴衣を見ながら言う。
「これは実家にあったものです」
「え?なんであるの?」
「わかりません。昔からあるんですよ」
「へー、すごいね」
木村は感心しながら、花火の火を見つめている。
その横顔を眺めながら、三浦は思った。
(俺の彼女が可愛すぎる件)
平和すぎる
AIくんがMURのうっとおしさを理解ってくれてて嬉しかったです