迫真AI部   作:缶化ん

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どうすれば免許証を返してもらえるかAIに教えてもらいました。


極道脅迫!AIの逆襲

バァン!

試合を終えたサッカー部員たちを乗せたボンゴバンが鈍い音を立てて止まった。

先輩である三浦は運転していた中田と顔を見合わせる。

後部座席の中村も先ほどまでの笑顔は消えて真っ青な顔をしていた。

黒塗りのセンチュリーの運転席で谷岡は舌打ちし、車を降りる。

真っすぐにボンゴバンに近づいてくる谷岡の風貌は明らかに堅気ではない。

「おい、やべぇよ……やべぇよ……」

「どうすんだよ……」

「どうすんだよ……」

「おい財布しまっとけ……」

サッカー部の3人は震えた声で言葉を交わす。

谷岡はすぐに助手席に近づき、勢い良く車のドアを開けた。

そして大声で一喝する。

「おいゴルァ!降りろ!免許持ってんのかコラ」

「はい」

「おいゴルァ免許見せろ」

「早くしろよ、お前」

「はい」

三浦が渡した免許証を確かめると、谷岡はそれを取り上げてポケットに突っ込んだ。

「よしお前ら車についてこい」

「はい……」

そして三浦たちが連れて来られたのは事務所らしき場所だった。

谷岡が椅子に腰かけ、その前に立たされる。

沈黙に耐えられず、三浦が口を開く。

「免許証返してください」

「やだよ。オイ!」

「オナシャス!」

 

~~~~~ここからAI~~~~~

 

「何だテメェ!?」

谷岡は声を荒げて立ち上がり、三浦の胸倉を掴んだ。

「すみませんっしたー!!」

「すみませんでしたー!!!」

3人はほぼ同時に土下座をした。

その様子を見て、谷岡はニヤリと笑う。

「まぁいいだろう、免許返してやるよ」

そう言って谷岡は三浦たちに免許証を投げ返した。

「ありがとうございます!」

「ただし、このこと誰にも言うんじゃねぇぞ?」

「もちろんです!」

「絶対言いません!」

「はい、わかりました!」

谷岡は満足気に笑いながら席に着いた。

そして携帯電話を取り出し、どこかへ電話をする。

「あ、もしもし?俺だけどさ……」

谷岡はしばらく会話を続け、「おう、じゃあそっち行くわ」と言って通話を終える。

そして再び立ち上がった。

 

「お前らは今日からうちで働いてもらう」

「え?」

「マジすか!?」

「やったぜ!!」

三浦たちは歓喜の声を上げた。

谷岡は再び笑みを浮かべる。

「あともう1つ、条件がある」

「なんですか!?なんでもやります!」

「金か!?いくら欲しいんだ!?」

「100万くらいあれば足りるか!?」

谷岡は呆れたように首を横に振った。

「ちげぇよバカ野郎!!お前らがこれから一生働くって約束するなら免許返してやってもいい」

「それはもちろんです!お願いします!」

「一生働きます!お願いしゃす!」

「おねがいしゃす!!」

谷岡はもう一度満足気に笑い、こう言った。

「よし、じゃあ決まりだな。今からお前らは俺たちの仲間だ。よろしく頼むぜ」

「ういっす!!」

「はい!!」

「了解しました!!」

こうして、3人の高校生の人生は大きく狂っていくことになった……。

 

------

 

数日後。

黒塗りのセンチュリーの前に立っていたのは極道風の男だった。

男は携帯を耳に当てている。

「はい、谷岡です……あぁどうもどうも……いえいえとんでもないですよぉ~」

男の名は谷岡信二。

県内有数の暴力団組織の組長である。

「いやほんとご迷惑をおかけしまして申し訳ないっす!はい!また連絡させていただきますんで!はい!失礼いたします!」

ピッという音と共に電話を切る。

そして今度は別の人物に電話をかけた。

「もしもし、俺だけどさ。ちょっと頼みたいことがあるんだけどよ……」

谷岡の電話が終わると同時に、後部座席のドアが開いた。

そこから現れたのはスーツ姿の男。

「お待たせいたしました」

「おう」

谷岡が車に乗り込むと同時に、ドアが閉まった。

ゆっくりと車が動き出す。

「それで、どんな用件でしょうか」

「ああ、実は最近うちのシマにガキが2匹入り込んでるらしくてよ」

「ほう、それは大変ですね」

「あぁ、だから始末してほしいんだよ」

「かしこまりました。すぐに手配致します」

「頼んだぜ」

車はスピードを上げ、夜の街へと消えていった。

 

------

 

その頃、三浦たちは谷岡の組の下部組織であくせくと働いていた。

いわゆるブラックバイトだ。

早朝から深夜まで働かされ、休みはほとんどない。

だが、給料はかなり良かった。

三浦たちは生活費にこれを全て注ぎ込み、遊ぶ金や服を買う金などは全て借金をして工面していた。

しかし、生活は苦しかった。

毎日のようにカツアゲをされたり、殴られたり、時には強姦されたこともあった。

そんな日々の中で、三浦はふと考えることがあった。

(もし、あの時谷岡さんに出会わなかったら)

 

自分は今頃どうなっていただろうか。

きっと、ただ無為に生きていただろう。

学校にも行かず、親を心配させ、友達とも遊ばず、ずっと家に引き籠っていたに違いない。

そう考えると、谷岡との出会いには感謝しなければならないと思った。

そして同時に、谷岡への忠誠心のようなものが生まれていた。

谷岡のために頑張ろう。谷岡のためなら何でもしよう。

そう思っていた矢先のことだった。

 

突然、谷岡が三浦たちの元を訪れた。

「よう、元気にしてたか?」

その言葉を聞いた瞬間、三浦は胸騒ぎを覚えた。

何か良くないことが起こっている気がした。

「おい、なんで黙ってるんだ?」

谷岡が一歩近づくたびに、三浦の鼓動が激しくなる。

「まさか、もうクビになったのか?」

谷岡がさらに歩みを進める。

その時、三浦の体が反射的に動いた。

谷岡の横腹に向かって蹴りを入れる。

だが、次の瞬間、三浦は自分の足を抱えながら床に転がった。

合気道。谷岡が三浦の蹴りを絡め取り投げ飛ばしのだった。

「てめぇ!」

中田が鉄パイプを構え谷岡の背に振り下ろす。

谷岡はそれを難なく避け、後ろ回し蹴りを放つ。

中田はその一撃を受け、吹き飛んだ。

「この野郎!」

「よくも!」

3人は立ち上がり、谷岡に飛びかかる。

谷岡は飛びかかってくる彼らを見据え、静かに口を開いた。

「いい加減にしやがれクソ野郎ども」

谷岡の拳が、3人の顔に炸裂する。

一発で3人とも意識を朦朧とさせられ、その場に崩れ落ちる。

谷岡はため息を吐き、倒れている3人に告げた。

「お前らはクビだ」

「えっ……」

三浦は呆然と呟いた。

「聞こえなかったか?お前らはクビだ」

「ど、どうしてですか!?俺たち一生懸命働いてきたじゃないすか!お願いします!もう少しだけ働かせて下さい!!」

「ダメだ。お前らは俺の部下でもなんでもない。俺にとって価値のない人間だ」

「そ、そんな……」

「それにな、俺は普段こんなに優しくねぇぞ」

谷岡はそう言うと、ポケットから拳銃を取り出した。

「俺の元から離れていく奴は殺す。それがヤクザってもんだろ?」

「ひっ……」

「わかったら失せろ」

「はいぃ!すみませんでしたぁぁぁ!!!」

三浦たちは必死に走り出した。

そしてそのまま、どこかへ消えていった。

「ふん」

谷岡は再び歩き出す。

彼の目に映るのは、これから訪れる狂騒への怒りであった。

 

------

 

翌日、ニュースが流れた。

『昨日未明、東京都○○区にて暴力団組員と思しき男の死体が発見されました。男は銃を所持しており、何者かと争った形跡がありました』

また別の日、新聞の一面を飾った記事があった。

『暴力団組長殺害事件 犯人は未成年の可能性あり』

警察は全力で捜査中とのことだが、その手がかりは全く掴めないらしい。

 

---

 

それから数日後、三浦はいつものようにコンビニでアルバイトをしていた。

そこへ1人の少年が訪れる。

「いらっしゃいま……せ……?」

そこに現れたのは、見たこともない少年だった。年齢は自分と同じくらいだろうか。

髪は金髪に染まっており、ピアスをしている。

服装もかなり派手だ。

三浦は一瞬、強盗かなにかかと思い身構えたが、すぐに思い直す。

なぜなら、その少年はとても穏やかな表情を浮かべていたからだ。

そして、彼はゆっくりと口を開く。

「あの、店長さんいます?」

「あ、はい、ちょっと待ってくださいね」

三浦はレジの奥にいる店長に声をかける。

「店長、お客様です」

「ん?誰だい?」

「いえ、わかりませんけど……」

三浦の言葉を聞き、店長が奥から出て来る。

「はいはーい、お待たせしました」

その声に反応し、少年が振り返る。

「ああ、どうも初めまして。谷岡と言います。一応ここの組の新しい責任者みたいな者なんでよろしく」

その瞬間、三浦は全てを悟ったのだった。

谷岡と名乗った少年はその後いくつかの店を回りながら同様のことをして回っていたようだ。

「谷岡一家若頭、谷岡直哉」と書かれた名刺を見せながら説明された。

 

2日足らずの間に、30近くの店を傘下に入れてしまったらしい。

ただ単に暴力で支配しているわけではない。

店員たちに対する態度、経営状態の確認等々をしっかりやって、よりよい方向に改善させているというのだ。

三浦は驚いた。

ヤクザとはそういうものではないと思っていたから。だが、それと同時に感動した。この人について行きたいと。

しかし、そこでふと思う。

(俺は本当にこの人のことが好きなのか?)

(確かに谷岡さんのことは尊敬できるし、この人と働けて誇らしくもある。でも、俺の人生にはこんなに輝いている人がずっと隣にいたことがあるような気がする)

(谷岡組にいればもっと給料も良くなって、きっと楽に暮らせるようになるはずだよな?それなのに俺はまだ悩んでいる。何か引っかかることがあるんだ)

谷岡が三浦の前にやってくる。

「お前、今何を考えている?」

三浦の心を見透かすように、真っ直ぐに見つめて聞いてくる。

その言葉に、三浦は自分の想いを口に出した。

「まだ迷っているんです。俺にとって、谷岡さんと働くのは楽しいことです。でも、それだけじゃ嫌だって思う自分がいる」

「続けろ」

「谷岡さんがどれだけいい人で凄くても信頼できない。ヤクザなんて所詮金が全てだろ!そう考える自分もいるんですよ!」

そこまで言ってから三浦は大きく深呼吸をする。

言い切った後、心臓が激しく鼓動していた。

そんな三浦に対し、谷岡は微笑みながら告げた。

「そう、それがお前の本心なんだな。まぁ、別に最初から全部信じてくれとか思ってねぇさ。ただな、これだけは言えるぜ。お前に必要なものってのは金じゃないんだよ」

「えっ……」

「それはな……勇気だよ。どんな時も自分に自信を持って前に進み続けられる力のことさ。俺は、そんな力が欲しくてヤクザになった。まぁ、結果的にこうなっちまった訳だがな。そして、それがないと今の社会ではまともに生きていくことすら難しいだろう」

谷岡の言葉を聞いて三浦は何も言えなかった。

だが、不思議と心のどこかで安心している自分もいた。

(そうだ。これが自分の本当の気持ちなんだ。何が正しいとかではなく、やりたいかどうかだ)

(だから、もう迷いはない。俺はやっぱり谷岡さんの手伝いをしていきたい)

「おいおい、泣くんじゃない。ほら」

そう言うと、懐からタバコを取り出し火をつけてやる。

「うぅ……ありがとうございます。あの……谷岡さん……」

三浦は覚悟を決めた目で口を開く。

「なんだ」

「これからよろしくお願いします!!」

「ああ、よろしく」

そして2人は握手を交わす。そこには確かな友情があった。

「さあ、仕事の話だ。まずは、お前にこれを渡しておく」

「これは?」

谷岡から受け取った物を見ると、それは一枚の名刺だった。

裏返すと見覚えのある住所が書かれている。

「そこにお前の部屋を用意している。好きに使ってくれ」

「はい!」

こうして、新たな仲間と共に谷岡は歩み始めるのであった……。




なんか歩み始めましたが、(続か)ないです

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