次の次の回を予定してますので、何卒お待ちを……
この身は紛い物。
かつてこの
そこに疑問や悲観等といった、感情や思考が浮かぶ事はない。
それも全て、承知の上だ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
澄み切った青空。
バサバサ、という羽音と共にまるで歌のように聞こえる鳥達の鳴き声。
そして、人の足音や馬車の進む音が奏でる生活という音色。
そんな街の真っ只中で、制服を着た1人の青年がゆっくりと歩く。
髪は金髪で短髪──間に飾りのように緑の髪も入っている──、容姿は一般的に見ればそれなりに美男子といった様が見て取れる。
そして制服は、アルザーノ帝国魔術学院のである青を基調とした赤のネクタイなどがあるものだ。
つまり、この青年はアルザーノ帝国魔術学院の生徒であることがわかる。
そんな生徒の前で、荷物の重さ故か足元が覚束ない状態の老婆が歩いている。
その重さに耐え切れず躓き転んでしまう直前、後方にいた青年が荷物ごと老婆を丁寧に受け止める。
「お婆さん、大丈夫ですか?」
「ごめんなさいねぇ…迷惑をかけてしまって。ありがとう坊や」
「いえいえ、このくらいお安い御用ですよ。宜しければ途中まで荷物お持ちしましょうか?」
「あらまあ、いいの?学校は大丈夫なのかい?」
「…なんとかなります」
「本当にありがとうね…そうだ、貴方の名前は?」
荷物を持ち老婆の歩みに合わせて歩こうとする直前、老婆からそう問いかけられて青年は足を止める。
「ユウト、ユウト=サクライです。よろしくお願いします」
老婆のもとに振り返り、青年ことユウトは爽やかな表情と共にそう告げて、荷物を持って老婆の付き添いを開始する。
「あ、それはそれとしてキャンディいりますか?」
「まあ、いいの?ありがとうねぇ」
そう言って、ユウトはどこから取り出したのか緑色の丸型キャンディを老婆に渡す。
その際に老婆の荷物を持っていた腕とは反対の、学院の鞄を持っていた腕が荷物を持っている腕を抓っていたが、ユウトは表情を崩さずにいた。
しかし、同時に彼は大きな失態を犯していた。
ユウトはアルザーノ帝国魔術学院に今日から転入する生徒なのだが、その初日からこの慈善活動によって間に合うはずだった登校時間に遅刻しているのだった…。
「(飴渡す必要ないだろこれ!)」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「どういうことなの…、もう授業時間半分も過ぎてるじゃない…!」
「何かあったのかな…」
所変わって、ここはアルザーノ帝国魔術学院。その内の1つ、二年次生二組のクラス教室にて。
この名門である学院にて前代未聞の出来事が起きていた。
その事に対して焦りの混じった疑問を抱く銀髪の少女システィーナ=フィーベルと、それに同調する金髪の少女ルミア=ティンジェルがいる。
彼女らのクラスでは、去年まで担任を勤めていた講師のヒューイ先生が一身上の都合で退職してしまい、二学年という中途半端な時期での授業進行の停滞による空白ができてしまっていたのだ。
そういったことがあり、二組では今日から非常勤講師が入るという連絡が事前に入っていた。
のだが、肝心のその講師は授業時間全体の半分を過ぎても姿すら見せないという、異例の状態が続いていた。
「それに、今日から入ると伝えられていた編入生の方の姿も見えませんわ…如何なさったのでしょうか?」
「編入生まで大遅刻だなんて冗談じゃないわよ本当に…」
「あはは…」
そんな少女二人のすぐ後ろの席に座っている、ツインテールの少女ことウェンディ=ナーブレスが不安げな表情と共にそう言う。
その言葉にシスティーナとルミアが便乗して愚痴をこぼしていると、教室の扉が開く音が響く。
それを聞いたシスティーナは、例の非常勤講師と編入生がやっと来たのだと思い「やっと来た!今いったい何時だと思って…」と説教するが如く捲し立てようとするが、その講師と思われる者の顔を見た瞬間、システィーナは絶句した。
「あ、貴方は……」
「違います、人違いです」
「……」
何か物申したそうに講師を見ながら言葉を続けようとするシスティーナと、それを意味ありげに目を逸らしながらもどこか焦りつつ否定する講師、そしてそれを無表情で二人の反応を見続けるユウトの図が出来上がっていた。
その際に生徒達から「あの方が編入生?かっこいいですわ…」や、「なんかギイブルっぽい雰囲気するな」「…ほう、それは聞き捨てならないな。どういう意味か聞かせてもらおうか?」等といった小声での会話が聞こえてくるが、ユウトはそれを全て無視していた。
「ん゛ん゛っ!さて、非常にめんどいが俺の前に編入生を紹介するぞ。」
編入生と講師の登場によって少しずつ話し声が聞こえてくるようになったのを咳払いで静止しつつ、小声で本音を漏らしながらもそう言って編入生を自身の前に来るように手で促す。
その意図を汲み取ったユウトは、小さく頷いてから前に出て口を開く。
「ユウト=サクライだ。短い間になると思うが、よろしく」
ぶっきらぼうにそう言い放ったユウトに、システィーナやルミアを始めとした生徒一同は目を見開いて驚愕の色を示し、グレンは肩を竦めていた。
何かこうした方がいいのでは?とか感想などがありましたら是非よろしくお願いします_|\○_
励みになります。