お姉ちゃんのお姉ちゃんによるお姉ちゃんの為だけのヒーローになる、です 作:珱瑠 耀
はてさてハルちゃんの記録や如何に。
私が運動場に来た時、男性陣は漏れなく驚きを
言われずとも解る、この腕やら肩に付いた絆創膏の事だろう。
そのうちの誰かからすっごく悲しそうな視線を感じたけど、残念ながら今回もスルーさせて頂いた。
―――で。
「「「個性把握テストォ!?」」」
まぁ私としてもここの学校の校長の話が長いというのは知ってたし、相澤先生が半端ない程の合理主義なのも解っていたので軽くほほーと呟くだけだったが。
「渡我」
「はい?」
「ソフトボール投げの記録っていくつだったか覚えてるか」
ソフトボール投げ……中三の時は確か、
「6mです」
刹那、背中に感じる女性陣の視線が微笑ましいものになった事に、私は気付かなかった。
「じゃあコレ持って投げろ。個性を使ってもいい。円から出なければ何してもいい」
そう言って投げ渡されたボール(金属製だが割と軽い)を投げようとして、はたと動きを止める。
私が投げたら漏れなくそうなってしまうのだが、念には念を入れて、だ。
「これって地面に落ちる見込みが無かったらどうなるんです?」
「ある程度の所で指示する」
「わかりました〜」
短く返答した相澤先生に返事をし、私はメーターとは逆―――つまり皆の方を向く。
そして、何をしているのかと困惑する皆の前で個性を発動。
ボールに向けて、『ボールが重力の影響を受ける』と『投げるボールの速度が遅い』、そして『投げたボールのベクトル』の全て反転させ、優しく、皆の居る方向の地面へ
「えいっ♪」
刹那、キュンッという短い音と同時にボールがメーターの方向へ消える。
クラスメイトの皆は何が起こったのか理解できてないようだ。
「渡我、そろそろ止めとけ」
―――と、ここで相澤先生がストップを掛けた。
「はい〜」
そうしてボールに掛かった個性を解除し、先生の提示する記録を見れば。
『∞』
「「「うぇぇぇぇぇやばぁぁぁぁぁぁ!!!!」」」「∞とか見た事ねぇよ!?」「個性思いっきり使えるとか面白そう!」
それまで静かにしていた皆がどっと湧く。
だが。
「面白そう、か……ヒーローになるための三年間をそんな腹づもりで過ごす気でいるのか?」
瞬間、相澤先生の目が威圧感を持ち、クラス一同を黙らせた。
「……よし、トータル成績最下位のものは見込みなしと判断し、
髪を搔き上げたその顔は笑みを浮かべているが、纏う雰囲気からは除籍は絶対だという意思も見える。
……まぁ、原作を知っている私はこの後の展開も大体解るのだが。
だが、それを知らないクラスメイト達は騒然となる。
流石相澤先生、生徒の焚付が上手いと素直に感心した。
そしてここから除籍(笑)を掛けた個性把握テストが行われる訳だが、ここは短く見所に絞ってご覧頂こう。
――50m走――
「番号順ですから……常闇さんですね」
「あぁ、宜しく頼む」
ちらちらと私……の腕に視線を向ける常闇さんと並ぶ。
後で男性陣の皆さんの誤解も解いたほうが良いですねぇ、と呑気に考えながら、合図を待つ。
「用意、スタート」
「えいっ」
そして一歩。
飯田さんが最速なのは最初の方に走ってくれた事で解っていたので、『私の足は飯田さんよりも遅い』を反転。
先程の3つ重ねがけよりも多めに精神力を消費したが、10年近く精神力の増加を続けてきた私には造作もない。
記録、2秒52。
勢い余ってスピードを下げる時に常闇さんの周囲をぐるぐると走ってしまったのは不可抗力だ。
だからそんな怖い目を常闇さんに向けないで峰田さん。
――握力――
割と純粋な力を試されるこの種目だが、ここでも私は個性が活きる。
だが、ここで『私は握力が弱い』を反転してしまうと、この時点でかなりの精神力を消費してしまうことになる。
この後の種目の為に精神力は温存しておきたい所だが、ならばどうするか。
答えは簡単。
『私が手を握る時の圧力が弱い』を反転すればいいのだ。
何故、と思う方に説明しよう。
この2つの事象については決定的に違う点があり、それは『対象が
私の個性は対象が自分に近ければ近い程に消費する精神力が増える。
自分自身と自分が作る圧力では、この場合後者の方がローリスクになるという事。
屁理屈になりそうだが、これで個性がちゃんと発動出来てるので良しとしよう。
記録、左672kg/右684kg/平均673kg。
八百万さんに次ぐ2位だった、やはり万力には勝てない。
――立ち幅跳び――
ここは少々代償が張るが『私のジャンプによる距離が短い』を反転させて飛ぶ。
記録、20m43cm。
八百万さんの揺れるお胸を見て、あれ位あったらお姉ちゃんも悦ぶかなぁと思っていたら後ろから耳郎さんが、
「大丈夫だよ……渡我さんもまだ成長期が始まったばかりなだけだから……きっと……」
と遠い目をして話しかけてきた。
私が数日寝込むというデメリットを介するならば理論上は可能だ、という言葉をぐっと飲み込んで、耳郎さんの背中を擦っておいた。
なお身長的な問題で耳郎さんには屈んでもらった。
(周囲からの生暖かい視線が)解せぬ。
――前屈――
ほぼ梅雨ちゃんと八百万さん、轟さんの戦いだった。
梅雨ちゃんは舌を伸ばし、八百万さんは鉄の棒を手から出し、轟さんは手から氷を出しと。
私?平均ですがなにか?
記録、15cm。
これでテストの半分が終わり、あと残っている種目は……反復横跳びに上体起こし、ボール投げ(私は除く)と持久走。
多分大丈夫だけど、不安なのは持久走かなぁ……
順位を保つ為に個性の使用はほぼ必須だし、それに持久走はラストだ。
これは使い方を考えなければいけなさそうだ。
……所で、上体起こしのペアって誰だろう?
よろこぶ、の漢字が違う?いいえ、間違っていません(鋼の意思)
やはりこう見るとかなり万能ですよね、反転。
しかし握力で説明したように、(例として挙げますが)『自分のパンチ力を反転する』と『自分のパンチで起こる圧力の弱さを反転する』では後者の方が圧倒的にコスパが良いんです。
同じパンチでも後者の方が楽に扱えるし、遠距離攻撃としても使えるという点もありますがね。
そして豊胸ですが、これは事実。
現在の精神力を数値化したときに18000だとするならば、豊胸は大体25000必要になります。
前に感想であった様に性転換も出来るには出来ますけど50000は軽く超えます。
はい、確実にぶっ倒れコースですね。
毎日ぶっ倒れて精神力を増やしているにも関わらずそれでも足りないとなると『胸の大きさ』や『性別』といった概念に関わる反転はかなりのハイリスクであることが解るかと。