お姉ちゃんのお姉ちゃんによるお姉ちゃんの為だけのヒーローになる、です 作:珱瑠 耀
作者はドルフロを始めたらしい(他人事)
翌日の、静かとはまた程遠い朝。
ガコンガガガガ、という大きな音で雄英高校の正門が閉じられる。
地面から反り立った障壁が踏み入ろうとしたマスコミを止め、校内と校外を隔てた。
「あ、危なかったですぅ……ありがとうです、相澤先生」
「気をつけろ……と言いたい所だが、今のは
マスコミの波に揉まれ、(身長的な問題があり)雄英バリアーに弾かれそうになった私の身体を引き寄せた相澤先生は、ゆったりとした動作で捕縛布を解く。
インタビューとかいう面倒極まりないものを避けるために個性を使って隠れていたのが悪かったかもしれない。*1
その間に、私は原作のこの後について考えを巡らせていた。
確かこの後は学級委員長を決め、昼時に死柄木さんによってセキュリティが突破される事態が起こる。
そしてUSJで襲われる……といった流れだった。
恐らくセキュリティが突破されたのは、私達がオールマイトと共に授業をする日程を把握するためだろう。
ワープゲートを持つ黒霧さんならそれは容易い筈だ。
ここで私が原作改変をしたとしても、恐らく―――
「……マスコミに話しかけられないようにと、個性を使ったのが仇になったです」
「良い使い方だが、デメリットもよく把握しておけ」
その後に続くであろう本音を押し留め、はぁいと相澤先生の言葉に了承した。
さくさくとした衣がくっついた鯖を、小さな口を開けて頬張り咀嚼。
時間が経ってもサクサク感の残る竜田揚げをご飯と一緒に飲み込み、もう一口。
「あむ」
「……ほんと、美味しそうに食べるよね」
「うん、やっぱり……愛情、なのかなー?」
野菜炒め定食を食べて一息ついた耳郎さんが誰となく呟き、その言葉に隣でサンドイッチを飲み込んだ葉隠さんが反応する。
水で喉を潤した私は、ですねぇと首肯。
「平日は毎日作ってもらってるですから、お姉ちゃんには感謝してもしきれないですねぇ……チウチウしてるので毎夜遅くなってしまうんですけど、溌溂と言いますかエネルギッシュと言いますか」
「ぶっ、げほっごほっ!?」
そうして続けた言葉に、耳郎さんが口に含んだ水を吹いた。
「あはは……反榴ちゃん、後半の言葉はあまり人がいる空間で言わないようにね?」
「?はい、です?」
……なんだかよく分からなかったけど、控えて欲しいならばそうしよう。
そんな私達のテーブルの隣では、丁度飯田さんが家族について話しているところだった。
そしてこの後、セキュリティが突破されて食堂は混雑するのだが。
「んー(どうやって回避したら良いですかね……)」
ざわざわと一斉に食堂から移動すれば、野菜炒めやサンドイッチは例に漏れず悲惨なことになるだろう。
私の弁当?ちょっとでも触れたら反転で吹き飛ばしますがなにか?
―――はい、
未来予知じみたものなんてやっても変に疑われるだけですしねぇ、と思ったが、ここでぽろっと一つだけ思い浮かんだ案が。
半分位無理矢理感あるけど、今更だしいっか。
「お二人共お二人共、なんだか嫌な予感がするのですよ」
「どうしたの?突然そんなこと言って」
「嫌な予感?ウチは何も感じないけど……」
「オトナの女の、
そんな風にめかして良い、とある事象を反転。
すぐさまがくっと精神力が削られるが、回復速度を底上げして意識を保ちながら続ける。
「―――今私とお話なさったお二人に、人が寄り付きにくくなるように個性を使いました。なので、このまま
「「??」」
突然の個性使用に二人が完全に固まるが、その理由はすぐにわかるだろう。
「ほら―――来ましたよ」
私がそう呟く直前に、セキュリティ3の突破を知らせるアナウンスが私達の耳を刺す。
そうして我先にと外へ出ようとする生徒達が
この空間を作った私は、二人へ小さく笑って人差し指を口に当てるのだった。
―――そうして原作通りにセキュリティが崩壊によって突破され、その後のHRで飯田さんが学級委員長になった後。
放課後を告げるチャイムが鳴る中、私の脚はとある場所へと向いていた。
「パワーローダーせんせー、いらっしゃるですかー?」
「勝手に入っとけよォー」
扉の向こうから聞こえる声にはいー、と返事を返して中へ。
校舎の一階にある工房、そこは掘削ヒーローのパワーローダーが管轄をしている。
その中にはあのアイテムベイビーガールな発目さんも入り浸っているのだが、今日は居ないようだ。
しかし……中々に厨二心擽られる秘密基地。
これは緑谷さんが感心するのも否定できない。
「さて……イレイザーから軽く話は聞いてっから、詳しく教えなさいな」
近くにあった椅子に座り、コスチュームについての資料を渡しながら口を開く。
「えっと……左手首にある猫の爪以外で攻撃に使えそうなものを一つ、右手首に潜ませたいのです」
戦闘訓練でも喋っていた、遠距離攻撃の不足。
それもあるが、接近されたときの対処とかも含めてそこは必要になってくる。
「遠距離かァ……射出型で良いのか?」
「出来れば、射出と装備両方あると嬉しいです」
ナイフを手首から出して遠距離からぶつけるもよし、手に持って近接戦闘するもよし。
普段は零れたり誤射しないようにロックを掛け、使用時にワンタッチで解除できるように出来ればそこらへんもどうにかなるだろう。
それになにより―――
「―――ゴスロリとナイフってギャップ、良くないですか」
「―――よォく……分かってんじゃねぇか……」
―――私達は、ガッチリと握手を交わす。
春原さんを引こうと建造を回したのに何故か★5をすり抜けするという謎の運
多人数の同時反転はちょっとだけ精神力の消費が多いです。
そんながっつりという訳では無いが、「あぁ、今精神力の削れ方ちょっと大きかったな」程度。
でも塵も積もればエンヤコラ的なものがあるので、ハルちゃん本人はあまり積極的には使いません。