お姉ちゃんのお姉ちゃんによるお姉ちゃんの為だけのヒーローになる、です 作:珱瑠 耀
→良いタイミングと言うべきか母がヒロアカコミックを28巻まで買ってくる
→コミックを読みながら不意に私の作品を見る
→体育祭はおろかUSJ襲撃すら終わってない事に気付く
という事で頑張って更新しました
ハルちゃんがんばれ いっぱいあばれまわれ
今日の授業は救助訓練。
1年A組20人と相澤先生は揃ってバスに乗り、訓練場への道のりを行っていた。
その中で話題になるのは、それぞれの個性について。
「緑谷ちゃん、貴方の個性…オールマイトに似てるわ」
「うぇ!?そそそそんなことないよ!?」
「そうか?でもオールマイトは自分の腕ぶっ壊したりしねぇし」
「それと比べたら硬くなるだけのオレって地味だなー!」
「そんな事ないよ!プロでも充分通用する個性だし……」
「爆豪ちゃんはキレてばっかだから人気出なさそうだわ」
「ンだとコラ出すわ!!」
「ホラ」
「この付き合いの浅さで既にクソを下水で煮込んだような性格と認識されるってすげぇよ」
「てめぇのボキャブラリーは何だコラ殺すぞ!!」
「(何この信じられない光景……!かっちゃんがイジられてる……!!)」
わいわいがやがや、と話が広がる中、私は口を開いた。
「……あの、なんで私は膝に乗せられてるです?」
そう、今の私はお茶子ちゃんの膝の上に居た。
こう、乗る時に流れるような動作で私を抱き上げてたんですけど。
「あ、ほんとだ気付かなかった」
「三奈ちゃん?」
「なんか収まりがよくって……てへへ」
「お茶子ちゃん?」
「それコンパクトでいーじゃん!」
「上鳴くん!?それもう
ムキャー!!と手をぶん回して怒り……バスが段差で少し揺れ、全員が反応した。
「そろそろ着くぞ」
その後に放たれた相澤先生の言葉に全員が返事をして、キレそうだった私の頭がシナシナと勢いを失ってゆく。
「……どうせ私はチビです」
「ご、ごめんてハルちゃん……」
「ふーん」
ぶっすぅぅぅぅ、と拗ねた私に謝ってくれたのはお茶子ちゃんだけだ。
ムカムカするから目的地までお茶子ちゃんに抱えて行ってもらうことにした。
皆が私のことをチビ扱いするのが悪いんです。 むすー
「すっげー!!USJかよ!!!!」
「(USJに行ったことがない……とか言ったら面倒な事になりそうです)かーなり、広いです」
前世からずっとテーマパークに行く当日になって風邪を引くという謎体質を持っている私にとってここはそんなに気分が上がるところではないものの、周囲に見えるものはどれも壮観の一言。
お茶子ちゃんから下ろして貰い到着すれば、相澤先生とその三分の二くらいの身長のヒーロー。
ちょっと後ろの方にきてしまってちらちらとしか見えないが、それはしょうがないものとしよう。
「今日は少し変更がありオールマイト含め三人体制で進行することになった」
そうして相澤先生がチラリと隣を見た。
「水難事故、土砂災害、火事、
私たちの前に出たその先生が、バッと両手を広げる。
「その名も、
((((USJだった!!))))
スペースヒーロー『13号』、本日の先生だ。
「……———えー、皆さんご存知だとは思いますが……僕の個性は【ブラックホー……」
「その個性———な災害———」
13号先生のスピーチを流し気味に聞きながら、私はこの後に起こるであろう襲撃に密かに備えていた。
右手首には新しくパワーローダー先生が付けてくれた『砂』の射出機とワイヤーフックがあり、左手首には収納コンバットナイフと伸縮性スタンロッドを追加。
全て揃ってる事を確認してから、顎に手を当てて先生の話を聞くフリをして生徒の喝采に紛れるくらいの小声で呟く。
「ブラボー!!!!」
「『悪意』、ですね」
同時に『自分は他人に見つけられる』という事項に対して個性を使うことで、周囲のクラスメイトも、先生からも視線を欺く。
そのまま低姿勢を維持して正面……先生の立っているところの奥を睨むと同時に、中央の噴水辺りに黒いモヤが現れた。
その奥から覗く、ぎょろりと蠢く瞳。
「全員一塊になって動くな!!13号は生徒を守れ!!」
それらが『異常事態』であると1番最初に気付いた相澤先生が叫び、次いで出た言葉で13号も臨戦体勢に入る。
突然のことに私以外の生徒はまだざわめきを隠せない。
「なんだありゃ!?また入試ん時みたいなもう始まってるパターン?」
「動くな!!アレは———
ゲートから大量に現れる敵の群れを見据えて、相澤先生はゴーグルを装着し飛び込んだ。
「取り敢えず……相澤先生の目は守るとするですね」
「初めまして……我々は
ぽてぽてと走って黒霧の包囲をぬるりと突破して邪魔になりにくいところへ退避。
クラスメイト達はきっと上手くいくから、私は私で原作改変を頑張ろうと思う。
「さて……ここなら見やすいですね」
敵の首領、死柄木弔は依然として中央を陣取っており、その後ろでしゃがみ込むように脳無が待機している。
動く様子の無い二人を見て、私の頭の中にある考えが浮かんだ。
———そうだ、落とし穴作ろう。
思い立ったが吉日と隠密のまま走り出した私の顔は、きっと敵顔負けの悪い顔をしていただろう。
しかし、それを知る人は残念ながらこの場には誰一人として居なかった。
「普通に喋っても気付かれないとか
死柄木にチートだの言われそうだな、とコンバットナイフで地面に傷をつけながらそう呟く。
見かけはただの幼女のお絵描きなのだが、如何せん周囲の事態と場所と近くにいる敵が物騒すぎて絵面がカオスである。
そして1番近くに居る敵は自分を認識しておらず、脳無にすら気付かれないという何処ぞのアヒル帽子を被ったメタル◯アみたいな状態だ。
「丸く囲んだら……反転事象は、そうですね…『個性『崩壊』の影響を受ける』ですかね?USJが沈んだらよくないですし」
囲んだ輪に触れて個性を発動すれば、この落とし穴(暫定)はもう死柄木の個性でどうこうする事が出来なくなる。
そして囲んだ所の地面に右手首から砂を少量落とし、相澤先生から離れた適当な所に交換地点として砂を落とす。
これで私が
……いやかんたんじゃないな、私にしか作動できないし全くそんなこと無かったわ。
噴水の後ろから顔だけ出して死柄木と脳無を観察し、最高のタイミングを待つ。
死柄木は呑気に高みの見物を決め、脳無は未だ動かずという隙だらけな状態だ。
「っ……くひ、くふふ…ぅは、っ……落ち着くです私……まだ笑っちゃ駄目です、これからこれか……ぁひひっ、くはっ」
どんな反応するのかが楽しみ過ぎて顔のニヤケが止まらないし、変な笑いも出てしまうけど…もう少し、もう少しで……
「……分かった。動いてるから分かりづらいけど……」
———!ここ!
「二名様御案内———
「髪が
下
が
る
瞬
間
が
あぎゃぶ!?」
「wwwwwwwwwwwwwwwぁはーーーっwwwwwwwwwwwwwうひはははははwwwwwwwww」
耐えられなかった。
覚悟はしていたが、やはり喋りながら落ちていくのは面白すぎた。
「すみません、死柄……死柄木弔!?何故落とし穴に!?」
「ぶっは!?」
私の笑いはまたもや爆発した。
まさかモヤが「!?」の形になるなんて思わないじゃないかちくしょう。
「知らねぇよそんなの……!!急に地面が無くなったんだ!個性も効かない、意味が分かんねぇよクソが……!!」
「wwwwww驚き方のクセがwwwwwwお腹痛wwwwww」
ふっと戻ってきて死柄木が居ない事に驚いた黒霧が死柄木と脳無をワープゲートに入れて助けてから、さも何もなかったかのように言った。
「……すみません、死柄木弔。生徒を
「あ"ぁ"??黒霧、お前……チッ、あ"ーーーー……」
落とされた事にイラついていた死柄木がそれを聞いて、首元をがりがりと掻き毟って呟く。
「お前、ワープゲートじゃなきゃ殺してるよ」
「げほっ、ごほっ……ふぅ、はぁーー……やっと落ち着いたですよほんと……(生徒一人……私の隠蔽が間違ってなければ、飯田くんの筈です)」
現れる前に隠れた私は恐らく欠席だと思われたのだろうか?
しかし好都合、この後は確か脳無が動き出す筈……なんとしても相澤先生の腕と目を守らなければ行けない。
だから———
「まぁいいや……ところでイレイザーヘッド、本命は俺じゃない」
ワープゲートが開き、そこから黒色の身体が出てくる。
未知の敵、相澤先生はその個性『抹消』で消そうとするが相手のスピードは落ちない。
一瞬の驚愕、長期戦闘の疲労も重なったそれは致命的な隙となり———
「
瞬間、半分ほど見えていた脳無は大きな岩にすり替わった。
ボゴォン!!
そして少し離れた所で轟音が響き、巻き込まれた敵が吹っ飛ぶ。
「相澤先生、加勢するです」
「……渡我、どうして来た」
「この状況で
「今までどこに居た」
「個性で隠れてたです」
背中合わせで言葉を交わしていると、不意に相澤先生の溜息が聞こえる。
「…………すまない、頼む」
「お任せあれ、です」
その言葉を最後に、相澤先生は飛び出した。
私は今のうちに『動体視力が発達していない』を反転し、恐らく来るであろう脳無への対抗策をとる。
周囲の敵は死柄木と脳無、黒霧を除いて10もない。
1番の脅威である脳無が私でどうにか出来るのであれば先生にとっても好都合だろう。
「なんだお前……どっから出てきた?」
「どこでも良いですよ?と、いうより……うむむ」
「?なんだよ、ジロジロと」
喋り掛けてきた死柄木と黒霧を見て、顎に手を当てる。
「いやぁ……私も何かが一つズレていたら、きっと
「どういう意味だよ……クソガキが、脳無!あのクソガキを殺れ!」
グリン、とこちらを向いて桁外れのスピードで向かってくる脳無。
その目の前に掌を向けて、出来るだけ小さい運動エネルギーを発生させる。
もう既に互いの距離はほぼ無くなり、あと1秒もしない内に私は殴られて死ぬだろう。
しかし、私の方が早かった。
「ほい」
『発生する運動エネルギーが途轍もなく小さい』を反転させる事で小さな動きから膨大なエネルギーが発生し、それらは指向性を持って脳無を吹き飛ばす。
「……———はぁ!?」
「上手く行ったですね……危ない危ない」
反転事象に『途轍もなく』だとか『かなり』だとかを付随させると消費する精神力が増えてしまうのだ。
咄嗟に精神力の回復速度を反転させて早め、死柄木の方を見る。
「なんだよそれ……ただのチートじゃねぇか、クソ……生徒も逃したし脳無も吹き飛ばされる…ゲームオーバーだ、こんなん……」
ガリガリガリガリ、と首を掻き毟って項垂れる死柄木を横目に相澤先生の方をちらりと見てみる。
「———フッ!!」
と、丁度最後の敵を倒したみたいだ。
「お疲れ様です、相澤先生」
「お前もな……脳無、と言ったか。アレは?」
ふぅーと溜息をついてクールダウンをする先生の横に、しかし脳無から直線上になるように立つ。
「多分あっちの方です」
「そうか。敵、残るはお前らだけだが?」
「……なんだよ……イレイザーヘッド、お前は良い……そのガキはなんなんだ……脳無は素でオールマイトと同等のスペックを持ってんだぞ?それがあんな簡単に吹き飛ぶとか意味分かんねぇよ……」
ジリジリと近付く相澤先生に、遂に頭まで掻きむしった死柄木が叫んだ。
「くそ、クソクソクソクソクソ……あ"ぁ"クソがっ、もういい!!脳無ゥ!!コイツらを殺せ!!」
自棄とも言えるその命令に、私達二人は咄嗟に構えを取り———
「———もう大丈夫」
「私がッ、来た!!」
襲い掛かる黒を叩き落としながら、空から『象徴』が降り立った。
お茶子ちゃんの膝に乗ってほっぺを膨らませてつーんするハルちゃん
気持ち悪い笑顔(渡我遺伝子)を浮かべて落とし穴に嵌めるハルちゃん
相澤先生の負傷フラグをへし折るハルちゃん
この3本でお送りしました
本日のバタフライエフェクト
・死柄木が相澤先生と戦闘しないままオールマイト合流(落とし穴に落とされて冷静さを失ったから)
・相澤先生の怪我が眼窩陥没等大怪我
・黒霧の感情表現がちょっとギャグ調っぽくなる