お姉ちゃんのお姉ちゃんによるお姉ちゃんの為だけのヒーローになる、です 作:珱瑠 耀
今回はUSJ襲撃の後始末
———あの後のことを話そう。
死柄木の命令の下突貫してきた脳無はオールマイト先生の登場と共に再びその巨躯を沈め、起き上がった所を100%のSMASHで軽々場外。
その後飯田君と雄英教師陣が到着し、原作通りにスナイプ先生が死柄木の手足を撃ち抜く。
こうなった事でもう無理だと悟ったのだろうか、死柄木は「次は殺すぞ」という台詞を残して黒霧のワープホールへと消えていった。
その後は皆が無事である事に安堵し、先生が付き添って帰宅する事になったのだが……
「まぁ、私が1番の証人ですよね」
「そうなんだよね……あの…脳無だったか。アレとまともにやりあえていたのが君だけだったから……」
「しょうがないです。とはいえ私がやりあえてたのも奇跡と言うですか……」
一人一人送られていく中、私はその流れに紛れて根津校長先生や相澤先生、塚内刑事と一緒に会議室に居た。
さて、ショック吸収のことをどう言おうか……
「相対しかけた俺もそうだが……敵の手先と言えどあの脳無は異質だった。速度も膂力も、とんでもないものと見ていいだろう」
隣に座る相澤先生がこちらを見、意見を待っている。
「うーん……私の所感ですけど、アレはまず機械や人形の類ではなさそうですね。命令で動く辺り操り人形ではありそうですが」
「操り人形だったとしても、あの破壊力は相当のものだな……転移させた偶然とはいえ、複数の敵を中央の噴水から災難エリア近くまで吹き飛ばしたんだろう?」
「実際どのくらいのパワーかは分からなかったですけどね……動体視力を良くしても見切れてしまう程だったので、方針を変えて遠くへ吹き飛ばす事にしたです」
「スピードとパワーがある敵をまず遠ざけるという判断は良いと思うのさ!」
向かいで根津校長先生がぴょこっと手を挙げる。
やったね、褒められちゃった。
「当たった感触は変だったですけどね。まぁでも驚いたのは……吹き飛ばしたことで壁と胴体に挟まれてひしゃけだ片腕が、
「自己回復待ちか……厄介だが、今の時点ではそんなに脅威じゃ———」
「それと、隠密中に手の敵がぶつぶつ言っていたです。『
右から感じる相澤先生の圧が強まった。
「……渡我」
「ごめんなさいです、相澤先生。『誰かに気付かれる』ことを反転して隠れて、少しでも情報を抜き取っておきたかったんです」
……しかしこの死柄木の発言は嘘だ、私がショック吸収の事を伝えたかったが為に『死柄木が言っている事にした』だけ。
「ふむ、ショック吸収……言わば、オールマイトのパンチへの対抗策だろうね。敵は相当に周到な作戦を練っていたみたいだ」
「恐らく私の
根津校長先生とそこまで話して、相澤先生がようやく口を開く。
「……はぁ……———渡我。助けられた俺が言うことではないが、それは充分に危険な事だった事を理解しろ」
「そうだね…先程敵の親玉が『死柄木弔』だと特定された。彼の個性は五指で触れる事が恐らくトリガー……触れられたら即死となるかもしれないという極めて危険度が高いであろうものだったんだ」
「出てくるまでどこに居たかは知らんが……今回は死柄木が冷静さを失っていたが故のこの被害の少なさとも言える。しかし、これが次回もあるとは思えない。無理をするのと無茶をするのは全くの別物だという事を理解しておけ」
「ゔ……はい、です」
縮こまって絞り出された言葉に、相澤先生がまた溜息を吐く。
私はそれに、変な鳴き声を上げることしか出来なかった。
その後二言三言話して、この日は解散となった。
「家の前まで乗せる」
「ありがとうです、先生」
空色の可愛いミニバンに少し意外だなと思いながら乗る。
「……GANRIKI NEKO、いっぱいですね」
「お前も知ってるのか」
「お姉ちゃんが好きなんです」
「……フ、そうか」
相澤先生が私に付き添って車を走らせ、暫く無言の時間が過ぎる。
「……教師としては、そのまま隠密を崩さずにしていて欲しかったが」
エンジンの音が静かに鳴る車内で、信号を待つ相澤先生がふと呟く。
「あの時点で、大なり小なり疲労があった俺
「先生……」
「誇れ、渡我。お前はあの時、ちゃんとヒーローしてたぞ」
「……はい」
その時の相澤先生の顔が、とても優しかったのを感じて。
膝の上の鞄をぎゅっと抱え直し、車の揺れに静かに身を委ねた。
「くそ……話が違うぞ、『先生』!!」
『違わないよ……でも、見通しが甘かったね』
ゴロン、とワープから吐き出されてそのまま転がる死柄木の愚痴に、テレビから落ち着いた声が返される。
『うむ、敵連合とかいうチープな名前で良かったわい……それで、脳無……ワシと先生の共作は?回収は……』
「オールマイトが吹き飛ばしました。回収は試みましたが、流石にあの場で探せる程の余裕はありませんでした」
『そうか……折角オールマイト並みのスペックにしたんじゃが……まぁ、しょうがない。残念だな』
黒霧と老人の会話の中で、ふと死柄木は呟く。
「……そういえば、あの脳無に真っ向から迎え撃った女子が居た」
『……へぇ?』
短い返答、先程の老人の声は既に無くなっている。
「脳無を瞬間移動させたかと思えば、突っ込んでくる脳無を正面から吹き飛ばしてた……個性が効かない、意味の分からない落とし穴にも落ちたし……アレが無ければイレイザーヘッドも、生徒のガキ共も殺せたのに……クソ、クソクソクソが!!」
ズキズキと痛む手足を気にもせず、歯軋りと共に怨嗟の声を出す死柄木。
モニターの主はそれを見て、先程とは打って変わって元気な声へと変わる。
『悔やんでも仕方ないさ。今回だって決して無駄ではなかったはず……ならば次は精鋭を集めよう!じっくりと、時間をかけて!』
『我々は自由に動けない!だから
「じゃあ、明日はゆっくり休め。登校日は明後日、そこで今後の予定も話す」
「はいです。お疲れ様です、相澤先生」
ぺこりと会釈をした私に片手を上げて応えた相澤先生が車を走らせる。
それを見届けてから振り返って玄関のドアを開いて———
「ハルちゃーーーん!!!!」
「ぐぇー」
1日ぶりのお姉ちゃんの臭いと柔らかさに包まれた。
「さっき雄英から電話があって、ハルちゃんのクラスが敵の襲撃に巻き込まれたって……!無事だって言われても、1人で待つのは…不安で……」
「お姉ちゃん……」
きゅ、と背中で手が握られる。
デコルテに顔を埋めるお姉ちゃんは、肩がかすかに震えていた。
「……心配かけて、ごめんなさいです」
「う、ぅん……でも、ハルちゃんが元気そうだったので一安心ですよ」
精一杯手を伸ばして、それでも脇腹までしか届かなかった手で優しくお姉ちゃんを撫でる。
「今日はご飯を食べたらすぐに寝たいです」
「トガもです」
……正直、今日は疲れていて早くぐっすり寝たい。
それはお姉ちゃんも同じそうだ。
正面から互いに顔を見つめ合って、そのまま優しくキスを二回。
そうしてどちらともなく、私達はリビングへと向かった。
「おはようございます!!ハルちゃんハルちゃん!!」
「なんです?」
「
「するするぅーー!!!!」
休日起床後6:30の会話ではない。
……相澤先生の胃が痛むまであと1日。
相澤「はっくしょん」
山田「オイオイイレイザー!どーしたんだよ風邪かー?」
相澤「なんか渡我がまたアホなことやってる予感がする」
山田「渡我ってあのミニガールか?そういやあのデカブツとやりあってたんだっけな!」
相澤「五月蝿いぞ山田」
山田「コイツはシヴィー!!」
休日の朝6:30からこんな会話してる姉妹ってなんなん(←筆者)
本日のバタフライエフェクト
・先生達が襲撃後に送迎することになった