お姉ちゃんのお姉ちゃんによるお姉ちゃんの為だけのヒーローになる、です 作:珱瑠 耀
Rな方のドッペルプレイは書けるまでお待ちください
「雄英体育祭が迫っている!!」
「「「クソ学校っぽいの来たぁぁぁ!!!」」」
雄英体育祭、それはヒーローの卵として在籍する学生の一つの壁。
互いの能力で相手を打倒し、優勝をもぎ取って、自分の存在を知らしめる場である。
話を聞いて燃え上がる同級生達を、個性の入った眼光で鎮める相澤先生。
それに合わせていくつかの連絡事項を話してそのまま教室を後にし、教室に騒がしさが溢れかえる。
「優勝、目指そうね」
「麗日さん!?全然うららかじゃないよ!?」
「皆!私、頑張る!!」
すぐそこにはうららかじゃなくなってしまったお茶子ちゃんと緑谷君、飯田君。
その近くで燃えるー!と闘志を漲らせる瀬呂君、上鳴君。
他のクラスメイトもワクワクが抑えきれない様子だ。
対して私は「お姉ちゃんに『取って欲しい』って言われたら獲りに行くですかねー」と落ち着き払った脳で考えて、食堂へと向かう。
「あちゃー、だいぶ埋まっちゃってるね」
「仕方ありません、今日は別々で食べましょう」
だが、百ちゃんや響香ちゃんと連れ添って食堂に到着したはいいものの、まとまった空席が見当たらなかった為に私達はバラけて食べる事になった。
どこが空いている所が無いかなー、と辺りを見回して、食堂の端の方に座る男子生徒に視線が向く。
「あの人は……」
肩部分にある真ん中を開けられたボタンは普通科生徒の証。
寝不足そうな目の隈を持った、心操人使だ。
「……ふむ」
一直線に彼の席ヘと歩きながら、原作の彼を思い出す。
『洗脳』という個性を持っていた影響で、幼少期に
試験の方式もあって普通科に落ちてしまった彼は、その後来年度か三学期かでヒーロー科に編入される予定だったはずだ。
相澤先生の捕縛布を継承して敵を錯乱する姿は前世の漫画でよく見た。
今の彼はヒーロー科への羨望でちょっと捻くれてる所があるが、根は良い人だから。
「隣良いですか〜?」
「ん、どぞ……———ん?」
携帯で何かを見ながら天丼を食べる彼の横に、他人の個性の影響を受けないように反転してから腰掛ける。
ちらりと見えたその中身は、先日のUSJ襲撃に関する記事だった。
「……ヒーロー科?」
「ん、そうですね。私はヒーロー科です」
肩のボタンを見たであろう心操君の短い問いに答えると、そうかと小さく零して再び食事に移る。
しかし、彼は私にバレないように(バレているが)スマホと私を交互にちらちらと見ている。
記事の中身は雄英のセキュリティ等重箱の隅をつつくような事が多く書かれており、否定的な言葉が目立つ。
「もうネットニュースになってるんですねぇ……」
「っ、悪い」
さも偶然目に入ったかのように言うと、心操君は携帯をさっと仕舞ってしまった。
「いえいえ、大丈夫ですよー。とはいえ、この書き方はちょっとだけ癪ですけども」
その言葉に、心操君の食事の手が一瞬だけ止まる。
「……それって、どういう?」
「ん…そうですね、
「!?」
バッと此方を見つめる心操君を横目に、タコさんウインナーをぱくり。
「授業開始直後にワープで侵入、手駒であろう敵と生徒を分散させて殺す予定だったらしいです。何も出来ない人がヒーロー科に居る訳が無いのに、何処まで私達を下に見ているんですかねー」
「……もう敵に遭遇したから、そこまで余裕そうなのか?」
「いいえ、で
皮肉そうに心操君が言うが、生憎とそういう事ではない。
ご飯を水で流し込んで、口を開く。
「下手したら出会って一週間もないクラスメイトが死ぬかもしれなかった、というのはとても怖いのです。先んじて敵に突っ込んでいった相澤先生も、死んでいたかもしれないです。全員が無事なのは、ただの奇跡でしかないですよ」
……そしてその奇跡は、二度も起こりはしない。
次にこういう事があった時のために、私達はヒーローを目指す学生として早急に力を磨かなければならないのだ。
「余裕ではないです。むしろ、ここで怠けていたら追い越されて終わりですよ。例えば……
「……分かってたんだ」
「いえ、半分くらいは勘でしたが*1……ただの高卒認定が欲しい為に雄英に来て、そこでヒーロー科の出来事に興味津々な人を見たら……ね?ですよ」
そりゃそうか、と肩を竦める心操君が水を飲む。
「……実技試験で落ちたんだ。個性が戦闘向きじゃないから」
「ちなみに個性はなんです?」
「"洗脳"。自分の声に反応すると動けなくなって言いなりになる」
「あぁ……ロボットには効かないからですかね……」
それはもう試験との相性が悪すぎたとしか言えないのがなんとも。
「
「うーん……むしろ私の方がエグい事を出来てしまうので、それと比べるとって感じです」
「えっ」
いやまぁ、言ってしまうとアレだが私の個性ってエグい事に特化させれば即敵認定されそうなくらいのポテンシャルが存在してしまっているのだ。
例えば身体の内側と外側の位置関係を反転して即死させたり、身体の一部だけに
食事中なのでそういう事は言えないが、慣れてしまえば私も大量殺人犯ですねと言えば心操君も何も言えないようだ。
「えぇ……」
「それでも私はヒーローを目指してるです。一瞬で敵になれそうな個性でも、使いようによって変わるものですよ?それに……人の所見なんて不要です。必要なのは、自分の個性で何が出来るかだと思うです」
それを正しく発信するのもそうだと思うが、それは割愛しておこう。
ちょっと話を端折ってしまったかもしれないが、どう解釈するかは心操君次第だ。
「心操君は、どうしてヒーロー科に?」
「……憧れたんだ。なりたいと思ってしまったんなら、しょうがないだろ?」
「ふふ、それこそ真理ですね」
私の「お姉ちゃんの為のヒーロー」もそうだし、心操君の「憧れたから」もそう。
私のはちょっと私欲満載な所が否めないが、それでもヒーローになるには十分過ぎるだろう。
「ご馳走様です……体育祭、心操君はどうするのです?」
「……最初は、A組足元掬われるよって宣戦布告しようと思った。けど、やめた」
「その心は?」
「宣戦布告なんてしなくても、結果で示せば良い」
ギラリと燃える瞳にもう迷いは無く、あるのは向上心のみ。
そうしてご飯をかっ込んで早速と席を立とうとする心操君を引き留める。
「よし、それじゃ———」
「それ、私も便乗して良いです?」
「……良いのかよ、敵に塩送って」
見当違いな事を言う心操君に、弁当の包みを元に戻して言う。
「
「……———っ、はは……お前、かなりイカれてんな」
「なは、それ程でもです」
「褒めてねぇぞ?……まぁ、ヒーロー科にぎゃふんと言わせられれば良いんだけどさ」
食器を返却する道すがら、並んで話し合う。
側から見たら異様な光景だろうが、周囲の喧騒のせいで誰も気に留めない。
「いえいえ、目標はもっとおっきく行きましょうよ。
「ははっ、面白いなそれ!……いいじゃん、とことんやってやるよ」
「なら、契約成立ですね」
食堂から離れた所で、向かい合って笑い合う。
「1-C、心操人使」
「1-A、渡我反瑠です」
その笑顔は次第に悪く歪み、どこからともなく握手を交わす。
今、この場に奇妙な協力関係が築かれた。
「所で、さっきからずっと洗脳が効いてないんだけど」
「あー、私の個性ってかくかくしかじかで」
「……チートじゃね?それ」
「いやぁ、12年も使い続けてたらそりゃこうなるですよ」
「12年!?……いや、そりゃ勝てねぇ訳だわ……」
またの名を、「心操人使:リ・オリジン」。
心操君強化フラグ立ちました。
ついでに心操君との連絡先も交換しました。
また次のお話をお待ちください。