VTuberになるために   作:Cucu

28 / 43
#28夏休み地獄

ついに夏休みだ〜!!

 

私はクーラーの効いた部屋でベッドの上でダラダラとしながらスマホでレン先輩の配信を見ている。あ〜、なんて幸せな空間なんだろうか。まじさいこ〜。

 

.....あれさえ無ければね。

 

横を見れば、机の上に2つの山がある。

 

 

1つの山は、そう。学校の課題だよ。

 

私は夏休み前の数日間を休んだ。

足を骨折して、学校に行くとまた『お前蒼井美海じゃないの?』と疑惑の目で見られるから。

 

それで、夏休みの課題の範囲とかプリントとかまだ貰ってなかったからワンチャン課題無しになるかも!?と思っていたのだが、そんなことが起きるはずもなく、昨日、委員長の間宮さんが家まで手渡しに来た。

 

 

ワンチャンもツーチャンもなかったわ...

 

 

間宮さんは私の絶望した顔を見ながら、

「配信や練習も良いけど勉強も、ね?」

と笑顔で言い残していった。

 

 

実はもう1つの山の方が問題だったりする。見た目はそこまで高い山では無いんだけど、内容がえぐい。1番上の紙には『蒼井美海さん7・8月』と書かれている。これが家に送られてきた時は何かと思ったが、開いてみれば、私とまだコラボしたことのない先輩方の配信日程が全員分。つまりは、イベントだから、ソラカラのみんなで盛り上げて楽しさを共有しよう!!ということ。

 

 

阿部ちゃんに『これマジですか?いじめでは?』と聞いてみたら、『これはだいぶ前から決まっていたことなので。先輩方はノリノリでしたよ?』と言われてしまった。

 

そんな言い方されたら無理無理言えないじゃんか!

 

 

そんなこんなで私の夏休みは、課題、配信、練習、イベント、コラボ←new

で終わってしまいそうだ。

 

普通にやばい。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

「あ〜!終わんないっ〜!」

 

 

夏休み5日目。学校の課題が終わらない。

 

私は夏休みを少しでも楽にすべく、先に学校の課題を終わらせようとしたのだが......

 

勉強をサボっていたせいで全くわかんない。

なんでだろーねー?どうしてここがこうなってこうなるんだろー?

 

 

ピーンポーン

 

 

私が頭を抱えているところで玄関のチャイムがなった。

誰だろう。お母さんは仕事で家にいないし、何か宅配頼んだっけ?

そう思いながら、暑いのを我慢しながら廊下に出て座りながら階段をおりていく。

 

 

玄関のドアを開けると、

 

 

「やっほー!みうちゃん!」

 

「来てやったぞ!」

 

「あぅ?」

 

 

なでちゃんと光くんだった。なんでこの2人が家に?と私はキョトンと首を傾げる。

 

 

「あれ?まさか忘れちゃってる?今日はコラボの日でしょ!」

 

「あ〜!忘れてた〜!」

 

最近いろいろありすぎてかんっぜんに頭から抜けてました!

 

「こんな大事なこと忘れるかよ....なぁ、奏?みうちゃんっていつもこんなんなのか?」

 

光くんがなでちゃんに「こいつマジ?」みたいな顔で聞いている。

 

「...うん。」

 

「私そんなんじゃないからねっ!?頭はいいんだから!」

 

「「え〜?ほんと〜?」」

 

 

2人の声が揃う。私ってそんなにバカっぽい様に見られてるの?

 

「ほ、ほんとだよっ!?学校のテストは毎回学年1桁まで入るんだから(嘘)!」

 

「な〜んか嘘っぽいなぁ」

 

「だよな。言い方が怪しい。」

 

「え〜、あー、そっ、そうだ!他の2人は?まだ来ない?」

 

「あの2人はね〜、なんかみうちゃ「その2人はあとから来るぞー。」

 

2人は後ろを向く。

 

「ダメだろ!みうちゃんに教えちゃ!」

 

「あっそうだった!」

 

2人がなんだか小さい声で話している。よく聞こえなかった。

 

「何話してるの?」

 

「い、いやぁ!なんでもないよ?2人は遅れてくるって!」

 

「さっき言った。」

 

「そうなんだ。まあ、いいや。上がってよ。」

 

私たちは私を先頭にリビングに移動した。が、リビングのドアを開けた途端に中からやばいぐらいの熱気が襲ってきた。

 

「あっつ〜!?」

 

「何だこの空間!なんで窓締切ってるんだよ!」

 

え、戸締りって大事じゃん?私は普段あまり部屋から出ないし、移動は自分の部屋から配信部屋かトイレに行くくらい。リビングはあまり行かないのでお母さんが戸締りして、出て行ったきり触ってない。

 

「クーラーつけよーぜ。」

 

「ここの部屋クーラー故障中だよ。」

 

「うげぇ、マジィ?」

 

「私の部屋...来る?クーラー効いてるよ。」

 

「え、いいの?」

 

「いいよ、こっちだよ。」

 

「おっとと。」

 

片足で動き回るのはやっぱり難しいな。いつも家に誰もいない時は時間がかかるけど片足より安全なハイハイで移動している。

 

「大丈夫?支えてあげるよ。」

 

「ありがとう。」

 

 

私はなでちゃんに支えられながら、自室に向かう。

 

 

「なでちゃんありがとうね。」

 

「いいよいいよ。気にしないで〜。」

 

 

そう言って私の部屋の扉を開けると、なでちゃん達は私の部屋に入っていく。

 

 

「わ〜、ここがみうちゃんの部屋か〜。」

 

「なんかこう、もっと女子高生というか、女の子らしい部屋を想像していたんだが...」

 

そう、私の部屋は今Theオタク部屋+男子っぽく(?)かなり散らばっている。服とか色々。要するに汚いって感じ。

 

 

「あ〜、まず先にお片付けしようか?このままじゃ、ねぇ?」

 

「うぅ、わかったよぅ。」

 

なでちゃんに言われてしまった。やるしかないじゃん。

 

 

「じゃあ、僕は外に出といた方がいいかな。」

 

 

光くんは出ていこうとする。

 

 

「なんで?一緒に片付け手伝ってよ。お願いします。」

 

 

私は引き留めようとして声をかけると、光くんが顔を部屋の壁に視線を向けながら服が散らばっている床を指差す。その先を辿っていくと、私の下着が....

 

 

「光く〜ん?見たのかな〜?」

 

 

私ではなく、なでちゃんが怖い声を出す。

 

 

「し、視界に入っちまったんだからしょうがないだろ!」

 

 

その言葉を最後に光くんは暑い廊下に締め出された。なんか可哀想なことをしたな。私はドアの外に向かって手を合わせる。

 

 

「よしっ!2人が来る前に片付けよ!」

 

「そ、そうだね!(今後犠牲が出ないためにも)」

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

なでちゃんの服を畳むが早すぎた。私が1枚畳み終わる時には既に3枚は畳んでいた。

 

 

「これどこにしまう?」

 

「ん、そこのクローゼットにあるタンスで。場所は適当でいいよー」

 

「わかった。」

 

 

なでちゃんがクローゼットの扉を開ける。そこには普段私が来ている服がある。

 

「わ〜、セーラー服だ!懐かし〜。」

 

「え、なでちゃんもセーラー服だった?」

 

「うん!あ、ねぇねぇ、着てみても良いかな?」

 

「なぜそうなる!?」

 

「いいじゃん」

 

と言って服を脱ぎ始める。私は顔を横に逸らす。さすがに私が女の子になっても、女性の肌を堂々と見るのは少々問題がある気がする。だから、学校の体育の時は何とかじっくり見ないようにしている。

 

 

あれ?でも、私のセーラー服ってSサイズで胸の部分だけ大きめにしてもらわなかったっけ?確か買う時に、身長は低めで小柄なのに胸がそこそこあるから、普通のSサイズだとキツめだったから胸のところだけを大きめにしてもらった記憶がある。そう思ってなでちゃんのほうを見ると、

 

私より胸の小さいはずのなでちゃんが下を見て絶望(?)していた。

 

胸の部分はちょっと浮いているのに、丈が短いからおへそがチラッと見えている。スカートは私が着ると膝上くらいの丈なのに、なでちゃんが着るとかなり短く見える。

 

「なでちゃん...」

 

なでちゃんが私が見ているのに気づくと、顔を赤らめた。セーラー服姿のなでちゃん可愛すぎだろ。

 

 

「これ、なんか小さくない?」

 

「私身長低いから...」

 

 

私だって本当はもうちょっと身長欲しいよ!男の時は170cmだったからな!今よりも23cm高かったんだぞ!

 

 

「おーい!遅くないかー?そろそろ暑くて死にそうなんだがー。」

 

 

外から声が聞こえる。そして、ガチャっとドアが開くような音が...

 

バンッ

 

ドンッ

 

「痛っ!?」

 

 

なでちゃんが開きかけたドアを思いっきり押し返した。音が2度聞こえたから、ドアを閉めた時の音と、多分ドアに頭をぶつけた音だろう。これはタイミングが悪かったな。光くんドンマイ!もう一度ドアの外に向かって手を合わせておく。

 

 

なでちゃんを見ると顔が真っ赤だ。これは怒りなのか恥ずかしいのかどっちなのかわからないな。どっちにしてもなんか恐ろしいので着替えることをお勧めする。

 

 

「き、着替えたら?」

 

「うん、そうする///」

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

「ねぇ、疑問に思ったんだけどさ?」

 

 

なでちゃんが着替えて、衣服をクローゼットに閉まっている時、質問が飛んできた。

 

 

「ん?何?」

 

「このお洋服って、レディースじゃないよね?男物だよね?」

 

 

なでちゃんの手元にあるのは私が男だった頃の服。いつ男に戻るか分からないので、ずっととっておいたもの。と言っても、1着しかない。いっぱいあっても邪魔なだけだし、他の服はもっと違うところの奥深くに眠っている。

 

これなんて言い訳すればいいんだ?元男だってバレたらさっきの出来事含めてボコボコにされそうで怖い。

 

「お兄ちゃん...はいないか。前に一人っ子って言ってたもんね。ねぇ、この服誰の?」

 

「ええっと、その服は....」

 

な、なにか言い訳を!怪しまれないやつない?ん〜...

そ、そうだ!これでどうだ!

 

「...か、彼氏のだよ!」

 

「か、か、彼氏!?彼氏いたの!?」

 

「あ、いや、えっと...」

 

驚かないで!これしか言い訳が思いつかないんだよ!

 

「で、でもなんで彼氏の服がここに?」

 

「あ、ま、前にうちに泊まりに来た時に忘れていったというかなんというか....?」

 

「お泊まり!?ええぇぇ!?」

 

え、あ?ちょっと待て?冷静になれ私。私相当やばいこと言ってないか?おい!彼氏なんていねーよ!

 

「そ、そっかぁ、みうちゃん、もう大人だったんだぁ。」

 

「そんなこと言ってないが!?」

 

「ふ、ふーん?」

 

なでちゃんはお泊まりという単語で言ってないところまで想像してしまったらしい。ああ、もう終わりだよ。

 

 

なでちゃんは何かを想像して顔を赤らめている。マジでやめてくれ。そんな事してないから!

 

 

こんな嘘をついてしまった私を自分で殴りたい。これからなでちゃんには誤解を受けたまま過ごすことになりそうだ。

 

 

 

 

 

 

 




CucuのTwitter

⬆よろしく

一応TSなんで、女の子になったすぐの頃のあれこれいろいろの番外編みたいなのいると思います?

  • いる
  • いらない

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。