「メイド喫茶の時間からバンドまでの時間が短いから急がなくちゃいけないのか...よくよく考えてみると忙しいぞこれ。」
さっき、時間で誰がいつどの仕事をするというのを決めた。クラスメイトたちは仲のいい人達と一緒の時間にしたりしている。私はバンドをやるので、いつもの3人と一緒の時間にシフトを入れてもらった。だけど、他のクラスメイトも色々と予定が詰まっている人が多く、シフトの時間がステージ直前に終わるところにしか入れれなかった。ギリギリだぁ...間に合うかなぁ...?
でも、もちろんメイド喫茶を4人で回すことは出来ないので、同じ時間に他のクラスメイトも何人かいたりする...誰とも話した記憶はない。女子はやるからにはちゃんとしたいという人達がどんなものを出すとかメイド服はどんなのがあるかとか話している。なんだよ、最初はあんなに嫌がってたのにノリノリじゃん!!って言いたい...
クラスの男子たちはお前メイドやれよ〜とか、ふざけあっていた。その為に少し進行が遅れている。これがちょっと男子ぃ〜ってやつかな?
...どうやら噂によると、3年生には女装してステージで出ようという人達がいるらしい...その人たち正気か??女装して人前に出るとか私だったら無理。死ぬ気がする...
いや、私も似たようなことしてるか。うん。え?私死ぬの?
「...」(ツッコミ不在)
ななちゃんが時間が同じ人達と話して役割を決めている。ちなみに役割は、料理などを作る、メイド、教室の前や学校中で宣伝して回るの3つ。やっぱり、メイド以外の仕事もあるようで私はホッとする。
ななちゃんやあの二人には悪いけどメイドは嫌だ。宣伝して回るのは....コミュ障の私には向いていないだろう。なので、料理を作るのがいい。料理は普段そこそこしてるつもりだし、ほぼ一人暮らしだし?
「よ〜し、これで役割は決定ね!」
んぇ?ちょっと待って?私まだどれやりたいとか言ってないんですけど???
私は『どうなってんの!?』と、役割を決めるために書いていたノートをのぞき込む。
「まじで...?」
そのノートにはメイドの欄に青野渚とはっきりと書いてあった。その下にはいつも一緒にいる3人の名前も...なんで勝手に決められちゃってるの?
「私と一緒だね!なぎちゃん!」
「まじで...?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「はぁ...」
家に帰った私はカバンを置きながらため息をつく。なんでよりにもよってメイド喫茶なのかなと今更ながら思う。ななちゃんが1票入れてなければ...と思うが、それを言ってしまうとクラスの女子にななちゃんが叩かれてしまうのでそれは言わない。
Vでの仕事だったり、新衣装なら全然メイドやるんだけどな...そうすればファンアートとかも増えるだろうし、というかメイド姿の蒼井美海なんて既にありそう。
「あ、やべっ!」
時計を見ると、時間がかなり遅い。
準備や話し合いで帰る時間がおそくなってしまったので、そろそろ配信をしなければならない。急いで準備を始める。
私はパソコンを起動し、機材などを調整しておく。
時間になったので配信開始のボタンを押す。画面には待機画面が表示された。
_______________︎
【雑談】だらだらと。【蒼井美海】
2467人が待機中#ソラカラ #大きい海 #Seaart
コメント:待機
コメント:待機
コメント:待機
既にリスナーたちが集まっていて、コメント欄が流れていっている。
配信開始の告知をするためにTwitterを開いた。
「っ!?なにこれ?」
まず目の前に入ってきたツイートに私は驚く。
_____________________
○みこみこ。@mikomiko3・12分前
みうちゃんのメイド姿のファンアート求む!!
○ 532 ⇄ 933 ♡ 9,548
_____________________
そのリプ欄を覗くと、リスナーや有名なイラストレーターの人から沢山私のメイド姿のイラストが沢山ある...
やっぱりあるよねこういうの...じゃなくて、なんでこの人こんなことしてるのかなぁ!?せめて私のいるところでやってよ!
「もう、なにやってんの...」
私は自分の身体を見下ろして、メイドの服を来ているのを想像する。思っていたよりもめっちゃ恥ずかしい。
そこで自分が制服のままなのに気づいた。そうだ、準備に気を取られて着替えるのを忘れてたや。
ん〜、着替えたいなぁ。少し汗かいて気持ち悪いし。でも、もう待機画面にしちゃってるし...ん〜...ちょっとくらい遅れてもいいかな?配信は開始しちゃったけど...うん。もっと遅刻したこともあるし...ね?機材トラブル的な感じで振舞おう。そうすればきっとみんなも許してくれる...よね?
_____________________
○蒼井美海@miumiu32・30秒前
ちょっと遅れる〜。みんなごめん。少し待ってて〜。
○ 12 ⇄ 56 ♡ 152
_____________________
「よし、急いで着替えちゃお...」
スル...サッ、パサっ...
「めんどくさいからこれだけ着ればいいや。」
下着も脱いで、男の時着てた普通の白いシャツを着る。今ではすごい大きいサイズだけど、家で着る分にはすごく過ごし易い。今は暑くも寒くもない時期だからこれが快適。最近はこの状態で配信してる時もある。
ふー、スッキリ。制服ってなんか過ごしにくいし、スカートだしめんどくさいところもあるよね。これが一番楽だぁぁ。
よしっ、配信するか...?
なんだか周りが寂しい感じする。....そうだっ!お菓子でも持ってきて食べながら配信するか!
私は部屋の外に出て、部屋のドアも開けっ放しで急いでキッチンの方に置いてあるお菓子を取りにいく。
お菓子は上の方の棚にしまってあって、女になった私には踏み台がないと届かないのでちょっとめんどくさい。さっきも1回、他のものを落としちゃったし。前に缶詰めを足の上に落としちゃったことがあって、めっちゃ痛かった。『誰だよあんなとこに缶詰め置いたの!!...お母さんしか居ないわ!』って一人でツッコんでたっけ。
あの時の私はまだまだだったな...しかし今回はちゃんと避けたのでセーフ!実際結構ギリギリだったけど。当たらなければいいのさ!
今回持ってきたのは、ポテチと、最近ハマっている美味しい謎ジュースも持ってきた。謎って言うのはよく分からない色してるし、実際飲んでみて何味かよくわからないけど、なんとなく美味しいから。
「よーし、準備もできたし配信始めるか〜。」
蒼井美海のカラーである青色(水色っぽい)のゲーミングチェアに座り、ずっと待機画面のままの画面とチャット欄を見る。
...??
いつもよりコメントが爆速で流れている?どうして...
その答えはコメントを見ただけで分かった。
コメント:お、帰ってきた
コメント:ミュートしてないよw
コメント:ミュート
へ?ちょっと待って?みゅーとされてなかった...???まじぃ...???
「え〜と...ねぇみんな...これ夢だよね?」
コメント:夢じゃない
コメント:本当だぞw
コメント:現実見ろ
コメント:生着替え助かった
「──なぁっ!?///」
ミュートしてなかったのは確かに私が悪いし、他のライバーさんだって同じミスをしていたのを見たこともあるし、そこまではまぁいい。
でも、そのミスに気づかずに、生着替えをしたのだ。恥ずかしすぎるだろこれ。男のときだったらこんな気持ちにはならなかったと思う...うぅっ...恥ずか死するぅ...
し、しょうがない、何も無かったかのように振舞ってみたらどうだろう。配信から逃げないだけでもマシでしょ?
「あ、挨拶しなきゃ!こんみう〜!ソラカラ3期生蒼井美海だよ〜!今日はね〜、タイトル通りだらだら雑談しようかなって思ってますぅ!」
コメント:は?
コメント:こいつ何も無かったことにするつもりだ
コメント:逃げるな
コメント:現実見て
ですよね〜、無理ですよね〜、知ってましたよ。はい。
ピロン
そこでスマホの着信音がなった。見てみるとマネージャーの阿部ちゃんからだ。
「あ、ちょっと待ってね。マネちゃんからメッセージが...」
『配信終わったらお話があります( ๑º言º)』
やばっ。これ絶対お説教パターンのやつじゃん。しかも長めの。阿部ちゃんって私のためを思って言ってくれるのはわかってるんだけど、お母さんや学校の先生に怒られるよりなんかすごく怖いんだよ。どうしよう、やっぱり逃げようかな?
コメント:どうした?
コメント:マネちゃんなんて?
コメント:マネちゃん大変そう
コメント:みうちゃんのマネージャーは大変だろうな
「あ、いや、マネちゃんがお話があるって言ってる...嫌だからみんなで逃げよu....」
『逃げないでくださいね??(^_^)』
「あ、死んだわ。逃げないでくださいだって。」
コメント:草
コメント:バレてるw
コメント:さすがマネちゃんww
コメント:お見通し
コメント:合掌
コメント:惜しい奴を亡くした...
コメント:いい奴だったよあいつは...
私の思考バレてるし!なんで!私って単純ってことか?
「ちょ、みんな見捨てないでえぇ;;」
その後、リスナーに度々イジられながらも配信をできるだけ長引かせる私だが、結局配信後に、1時間ものお説教が私を待っていたのだった。