トレーナー「好感度が見えるメガネ?」   作:アシスト

4 / 6
4.独占力

 

 耳を澄ませば、小鳥のさえずりや誰かの悲鳴(うまぴょい)が聞こえなくもない昼下がり。俺は満を持して生徒会室の目の前に立っていた。

 

 グルーヴから預かった資料をルドルフへ届けにここまで来たのだが、正直、めちゃくちゃ不安だ。好感度が低かったらどうしようなどどいう浅はかな不安じゃない、高過ぎたらどうしよう不安だ。

 

『随分と自意識過剰な考えだねぇトレーナー君。テイオー君とオグリ君の2人が特別だった、という考えはないのかい?』

「そう考えたいのは山々だが、2度あることはなんとやらだ。ルドルフは俺の最初の担当ウマ娘、長い付き合いだ。悪く思われてない自信もあるし、良く思われ過ぎている自信もある」

『ほぅ…言い切るね。その自信、単に付き合いが長いからという理由だけじゃなさそうだ』

「まぁな」

 

 突然だが、少し昔話をしよう。

 俺が受け持つ前から、”皇帝”の二つ名を持つルドルフの走りは圧巻だった。その走りは人もウマ娘も見るもの全てを魅了し、ベテラン、ルーキー問わず、多くのトレーナーが彼女をスカウトしようと必死になった。もちろん、俺もその中の一人だった。

 

 最初はダメ元だった。『彼女の走りをもっと見ていたい』という子供のような理由でルドルフをスカウトしに行った。当たって砕けるつもりだったのが、彼女は俺のスカウトに首を縦に振った。

 

 

 ウマ娘とトレーナーは二人三脚。ウマ娘の期待に応えられずして、トレーナーは務まらない。俺は”皇帝のトレーナー”の名に恥じぬため、死に物狂いで努力し続けた。

 

 最初の頃は良かった。しかし、数々のG1レースに出場しては、当然のように一着を掻っ攫うルドルフの姿を見続けているうちに『自分は本当に彼女のトレーナーとして相応しいのか?』という不安が俺の中に募るようになった。完璧な走りに見えるのは俺がまだ素人だからであり、より良いトレーナーの下でその力を発揮するべきではないかと思うようになってしまったのだ。

 

 遂には練習中、その不安をルドルフの前で零してしまったことがある。トレーナーとしてあるまじき行為、ウマ娘側から解雇宣告されてもおかしくない所業だと、今では思う。

 

 でも彼女は違った。

 俯く俺の頭を優しく撫でながら、こう言ってくれた。

 

 

「違うよトレーナー君。君”だから”だ。私と同じ夢を持つ君がトレーナーだから、私は今まで皇帝の名に恥じぬ走りができたんだ。謙虚なのは君の長所だが、下を向いて自己謙遜はしないでくれ。君は前を向いて、私たちの夢の先にある光景を見ていてほしい。あらゆるウマ娘が幸福に過ごせるその世界を、私の隣でね」

 

 

 優しく、しかし力強く。励ますようにそう言って、俺を慰めてくれたルドルフ。

 

 まぁ泣いちゃうよね。仮にそれが社交辞令から出た言葉だったとしても、それまでの俺の努力が認められた気がして、安心のあまり号泣したね。突然涙と鼻水を垂れ流す俺におろおろするルドルフの姿は、今思うととても可愛らしいものだった。

 

 ここまで長々とルドルフとの過去を振り返ってきて、結局俺が何が言いたいかというとだ。俺とアイツはトレーナーとウマ娘の関係だけじゃなく、同じ夢を志す仲間であり同志である、ということだ。互いを信じて、信じられる関係だということだ。

 

 だからきっと好感度も高いと思う。しかし、仮に1000を超える好感度であろうと、ルドルフが2人のように暴走することはないだろう。俺たちの関係に(よこしま)な感情が入る隙などないからだ。

 

『ならばさっさと生徒会室に入りたまえ。心配はないのだろう』

「まぁ待てタキオン。万が一、万が一ってこともある。現にその万が一が二回連続で起こってるんだ。心の準備ぐらいさせてくれ」

『トレーナー君の根性はGかな? 心の準備をしたところで数値が変わることはない。シュレディンガーの猫さ、早く箱を開けて中を確認するんだ。実験結果を焦らされる私の身にもなってくれないか?』

「お前は命と貞操を狙われてる俺の身になれ!」

 

 ここでルドルフがとんでもない数字を叩き出してみろ! 俺の人生ゲームセットだよ! がめおべらなんだよ! 深呼吸ぐらいさせろい!

 

 その時、タキオンとの会話に夢中になっていた俺は、背後から近づいてくるウマ娘の存在に気付かなかった。

 

「だーれだ?」

 

 そのウマ娘はそう言って、両手でふわりと俺の視界をふさぐ。

 

 たった三音でもわかる安心感のある声色。両手から感じるのは、俺が不甲斐ない思いをした時やへこたれた時に、何度も頭を撫でてくれた時と同じぬくもり。

 

 聞き間違えるはずがない。

 感じ間違えるはずもない。

 

 いつの間にか、俺の心は落ち着きを取り戻している。

 やはり何年経っても、皇帝様には適わないな。

 

「………今日は一段と、子どもっぽいことをするんだな。ルドルフ」

「さぁ正解はー!ウマ娘界の奇行種、ゴルシちゃんでしたー! すっげーだろ! めっちゃ練習したんだぜ、田所〇ずさの声真似」(なめこ)

「テメーかよ!!!」

 

 俺の安心感を返せ! というか恥っず! 俺恥っず! 全然ちゃうやん! ことごとく間違っとるやんけ!

 

 視界が開けると、そこにいたのはまさかのゴールドシップ。格好は制服ではなく漁師のそれであり、彼女の背後にはクロマグロが入っているであろうどでかい発泡スチロールのケースがあった。マジで釣り帰りなのかコイツ。

 

 あと、頭に浮かんでる文字はなんだ。

 なめこって何だよ。もはや数字じゃねぇし!

 

「(ツッコミどころが多すぎる! 助けて! タキえもーん!!)」

『ふぅむ。流石にゴルシくんの好意は測定できないか。解析データもめちゃくちゃだ。予想はできたことだが、実証できた価値は大きいかな』

「(つまり正真正銘のバグってこと?)」

『そういうことだね。私の科学力じゃ、まだゴルシ君の解析は難しいようだ』

 

 ゴルシどんだけだよ。

 

「なーに一人でぶつぶつ言ってんだよトレーナー。もう一人の僕とでも喋ってんのか?」(ちくわ)

「い、いやなんでもない。お前こそ今まで何処で何してたんだよ」

「太平洋のど真ん中で釣り。アタシのオーシャンスピリッツは領海を越えるぜ!」(たわし)

 

 どうやら越えてはいけない一線を越えてきたようだ。俺、お前が捕まらないか心配だよ。頭の文字も訳わかんねぇし。

 

 いやでも逆に考えれば、これは寧ろ良かったと思うべきか。いつも通り、訳のわからないゴルシで安心した。おかしくないゴルシはゴルシじゃないからな。まぁ何をしててもおかしく見えるのがゴルシだけど。

 

 少し希望が見えてきたかもしれん。どんなシリアスもゴルシの領域展開(ギャグくうかん)の中では全てが無意味。テイオーやオグリのうまぴょいも有耶無耶にしてくれるかもしれない。今まで考えもしなかったが、ゴルシこそが救世主だった……?

 

「はっ! ゴルシちゃんレーダーが反応してる! 発信源は……地球の裏側か!トレーナー、アタシちょっとブラジルまで行ってくる!」(ちりとり)

「……えっ?ちょ、ちょっと待て!今晩は俺の家で」

「わり、アタシパスで。うおおおっ! アタシのフロンティアスピリッツが、ゴルシちゃんを海へと駆り立てた!待ってろワンピぃぃぃっス!」(おかか)

 

 俺の引き留めに応じるわけもなく、ゴルシは窓ガラスをパリーンと突き破って暁の水平線へと走り去る。マグロの入ったケースだけを残して。

 

 ………いや、うん。俺が間違ってた。一秒でもゴルシに期待した俺がどうかしてたよ。反省しよう。

 

「何やら騒がしいと思ったら、やはりトレーナー君か」(70)

「あっ、ルドルフ」

 

 声のした方を向くと、生徒会室からひょっこり顔を出し、こちらの様子をうかがうルドルフがそこにいた。流石に騒ぎ過ぎたようだ。

 

 頭の数字は70。普通だ。普通に高い。だがそれが良い。

 

「うるさくして悪かったルドルフ。窓の修繕費は俺の給料から天引きしといてくれ」

「その必要はない。君たちの会話は聞こえていたよ。割ったのはゴールドシップだろう、トレーナー君に責任はないよ。まったく彼女は……理事長には私から話しをしておこう」(70)

「助かる」

「彼女の傍若無人且つ破天荒な行動には慣れている。気にするな……と言いたいところだが、どうせなら言葉だけじゃなく、行動でも感謝を示してほしいかな。んっ」(70)

 

 そう言って、ルドルフは俺の前に頭を差し出す。これは”頭を撫でてほしい”のサインだ。

 

 普段は真面目なルドルフだが、俺と2人になるとき少しだけ子供っぽくなる。『私ばかり君の頭を撫でている気がする』『なら俺も撫でようか?』ってやり取りを昔して以降、2人きりになるとこうやってナデナデを催促してくるのだ。

 

「ありがとよルドルフ。後すまん。いつも迷惑かけて」

「ふふっ、気にするな。それでこうしてもらえるなら、安いものさ」(70)

 

 髪が乱れないよう、優しくルドルフの頭を撫でてやる。

 しかし、好感度は70をキープしたままだ。

 

 これは勝ち確演出ですね間違いない。ルドルフは正常だ。これなら安心して相談もできる!やったぜタキオン!お前も嬉しいだろ!ようやくまともなデータが採れたんだからな!

 

『……………ん、そうだね。そうだと思っておくよ』

「(……えっ。何今の間。何その不安を煽る意味深なセリフ。安心していいんだよな俺)」

『確かにまともな数字だ。解析データは正常値、バグもない。70は心の底からトレーナーの事を信頼する程度の好意だ。ただ……これはおかしい……でも……うむむ………いや何でもない。気にしないでくれ』

「(無茶言うな!? 言え! 一体何がおかしかった!)」

 

 俺が必死に聞いても、タキオンは言葉を詰まらせた後『やはり何でもない』と答える。お前ほど『何でもない』が信用できないウマ娘はいないぞオイ。

 

「そういえば、トレーナー君がメガネをかけているのは初めて見るな、伊達メガネかな? 伊達男の君には良く似合ってるよ、伊達だけに。……ふふっ」(70)

 

 エアグルーヴのやる気が下がりそうなセリフを口にするルドルフを見ても、好感度は70のまま変わらない。俺には特に問題なく見えるが、タキオンには何が気がかりなんだ?

 

 まぁいい。一旦タキオンを信用しよう。気にしなくていいって言うなら特に問題はないんだろう。ルドルフが正常であることは一目瞭然なんだ。ここからはポジティブに行こう。

 

「ダジャレも絶好調で何よりだよ。これ、グルーヴからの届け物」

「ありがとう、確かに受け取ったよ。しかし、エアグルーヴが他人に資料の運搬を任せるなんて珍しい。外せない用事でもあっただろうか?」

「トレーナーとうまぴょいの練習だってよ」

「うまぴょい? ……ああ、ダンスの練習という意味か」

「そうそう」

 

 まぁ間違ってない。

 グルーヴは後輩の上で踊っているだろうし、後輩は不運(ハードラック)(ダンス)っちまっているし。悲しい事件だったよ……。

 

 過ぎてしまったことを悔やみ続けても仕方ない。過去よりも目前の問題を解決せねば。

 

「今少し時間あるか?ちょっと相談したいことがある。2人で話したい」

「構わないよ。相談と言うのなら生徒会室で話を聞こう。今日はブライアンも練習で来ないからな。さぁ、入ってくれ」(70)

 

 

 

 

 

*————————*

 

 

 

 

 

「なるほど……事情はわかったよトレーナー君。テイオーは兎も角、まさかオグリもとは……これは少し、骨が折れそうだ」(70)

「し、信じてくれるのか?」

荒唐無稽(こうとうむけい)な話ではあったが、君がこのような冗談を言う人間じゃないことは、私が一番良く知っている」(70)

「る、ルドルフぅ……!」

 

 テイオーの暴走、オグリのペロリスト化。このままでは2人に命と貞操と尊厳と人権が奪われかねないこと。今日起こったことの全てをルドルフに話した。全てを話し終えるまで、ただ頷いて俺の話を聞いてくれたルドルフには感謝しかない。

 

 しかし、このメガネの事だけは話さなかった。理由はタキオンに口止めされたことと、伝えなくても別に支障はないだろうと俺が判断したからだ。

 

「あのメールを見た時から何かあるとは思っていたが、まさかそんな奇天烈な事態が背景にあるとは夢にも思わなったよ」(70)

「……本来なら俺だけで解決するべき問題だってのはわかってる。でも、もうそんなこと言ってられる余裕はないんだ。頼む、力を貸してほしい」

「無論だ。さっそく一つ、いい案を思い付いたよ」(70)

「マジか!」

 

 さっすがルドルフ、頼りになりすぎる。

 お前が俺のウマ娘で本当によかったぜ。

 

 

「私と一緒に海外へ夜逃げしよう。安心してくれ、トレーナー君は私が責任をもって幸せにする。支葉碩茂(しようせきも)な人生を約束しよう」(70)

 

 

 …………。

 …………。

 

 ルドルフが淹れてくれたコーヒーを一口飲んで、気を落ち着かせる。

 ふぅ、おちけつ。好感度をよく見ろ俺。70から変動はしてない。つまり、そこから導かれる真実はいつも一つ。

 

「ジョークにしてはガチトーンだったな。一瞬ヒヤッとしたぞ、はっはっは」

「む? 以前テイオーたちと見た恋愛ドラマを参考にした案だったのだが、ダメだったか?」(70)

「………流石に最終手段かな」

 

 こんなタイミングで天然ボケをかますとは、心臓に悪いぜまったく。しかし、ルドルフなりに真剣に考えてくれた案だ。国外逃亡は頭の片隅に置いておこう。

 

 仮に逃げても、追ってくる可能性は充分ある。だから、2人から逃げる方法より、2人をどうにかして諭す方法を第一として考えたい。俺はそうルドルフに伝える。

 

「うむ。トレーナー君の気持ちはわかった。しかしそうなると、一人では少し厳しいな」(70)

「やっぱ難しいか?」

「トレーナー君の話を聞く限り、オグリは兎も角テイオーは聞く耳を持ってくれるかすら怪しい。私一人だけで2人を諭すのは困難だ」(70)

「ならルドルフがテイオー、俺がオグリの相手をするって言うのは」

「いや、君が表立って行動するのはやめた方がいい。ウマ娘の筋力は人間のそれをはるかに上回る。トレーナー君は彼女たちから見える位置にいない方がいいだろう」(70)

 

 確かに、と俺は頷く。万が一見つかって襲われるようなことがあれば、俺一人じゃ逃げ切ることは不可能だからな。

 

 そうなると俺達にはもう一人、ウマ娘の協力が必要になるわけだ。ゴルシとタキオンを除外すると、頼れるウマ娘は一人しかいない。

 

「ライスくんにも協力を仰ごう。2対2なら勝ち目はある。ちなみに、彼女に話は?」(70)

「まだだ。一応、これから会いに行くつもりではいる。一緒に来るか?」

「いや、先に向かってくれ。私は少し準備がある、後で向かうとライス君に伝えてほしい」(70)

「わかった。……ありがとな、ルナ」

「礼には及ばんよ。君と私は一蓮托生、比翼連理(ひよくれんり)の仲だからね」(70)

「ふっ……違ぇねぇ。じゃあ、ちょっと行ってくる」

 

 ポンと、ルドルフの頭を軽く撫でた後、俺は生徒会室を後にする。

 

 

 順調だ。全てが順調に良い方へと進んでいる。数時間前までの焦燥感が嘘のようだ。やっぱ悩みは自分だけで抱えるのはダメだな。今日改めて、仲間と悩みを共有する重要性を理解できたぜ。

 

 さぁ、ライスの元へ向かおう。この時間ならカフェテリアでおやつを食べてる頃だ。相談するついでに、兄妹仲良くモグモグタイムと行こう。

 

 ところで、ノリでああ言って生徒会室を出たけど、ひよくれんりってどういう意味だろ。仲が良い的な奴だとは思うが。

 

『………むぅ。やはり変だ』

「まだ言ってるのかタキオン」

 

 ルドルフとの会話中も、聞き取れない程度の小声でブツブツ言っていたタキオン。

 何が変なのか聞いてもまったく教えてくれないから今までスルーしてきたが、ようやく教えてくれる気になってくれたようだ。

 

『トレーナー君。確認なんだが、会長の数値は70一定だったね?』

「おう。会話しようが頭を撫でようが70のままだったぞ」

『それが妙なんだ。数値は一秒間隔で常に更新されるようになっている。細かな表情の動きや感情の揺らぎを読み取って計算される数値だから、何をしても数値が変動しないのは本来おかしい事なんだ』

 

 どうやって好感度を算出してるかと思ったら、そういう原理か。この技術力でもゴルシには通用しないってどういうことだよ。

 

「おかしいのはわかった。けど好感度が一定だったのは事実だろ。何か他に理由があるってか?」

『考えられるのは、数値が一定になるよう我慢し続けることだが……いや、会長なら可能か?』

「我慢?」

『幸福、欲望、嫌悪。あらゆる感情を鋼の意思で、心の内に留めるのさ。心の外に出なければ、私のメガネでは読み取れないからね』

 

 ふーん。つまり感情の抑制が上手いってわけか。

 皇帝は心の強さも天下一品なんだな。

 

『抑制なんて生易しいものじゃない。鎖で無理やり縛り付けているようなものさ』

「それって一緒じゃないのか?」

『全く違う。無理やり抑え込んでいるのなら、必ず容量に限界が来る。爆発しようものなら、数値は万を超えるだろう。まぁ仮説だがね』

「おっそろしい仮説だな。けどまぁ、ルドルフに限ってそれはないだろ。はっはっは」

 

 

 

 

*————あります—————*

 

 

 

 

 今日は少し調子に乗ったかもしれない。

 比翼連理は流石に攻めすぎたかな。

 

 

※比翼連理……相思相愛の仲。仲睦まじい夫婦間の例え

 

 

 堅忍果決(けんにんかけつ)。彼に嫌われたくない一心で、この感情を我慢し続けてきたが、そろそろ限界も近い。せめて彼が見てない所では、この気持ちを発散しよう。

 

 私はトレーナー君が好きだ。彼の笑顔が好きだ。あの優しい手が好きだ。聞くだけで身体が熱くなるあの声が好きだ。彼の一挙手一投足が大好きだ。最初は一目惚れだったが、彼のことを知っていくうちに、彼の全てが好きになってしまった。

 

 隙あらば抱きつきたいし、隙あらばキスしたいし、隙あらばうまぴょいしたほど、私は彼を愛している。はしたない感情であることは重々承知しているが、これが本心だ。我慢はしても否定するつもりはない。

 

 しかし、私はテイオーのように独占力は強くない(自称)。

 私が一番なら、君のそばに誰が何人いようと構わない。

 

「だが……テイオーには、どちらが上かを分からせてあげないといけないね」(12000)

 

 そう呟いて、私はテイオーにメールを送る。生徒会室に今すぐ来るように、と。

 

 皇帝と帝王。どちらがよりトレーナー君に相応しい称号か、存分に語り合おうじゃないか。フフッ。

 

 

 

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