祝福の風も異世界からくるそうですよ?   作:迅雷の戦斧

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前回、日刊ランキングにいたことに、授業中にかかわらず、フリーズしてしまった迅雷の戦斧です。

今回は、ジン君の強化回(?)です。

ちょっと、アインスさんっぽくないかも・・・。

そ、それではどうぞ!


王の資格

 翌日、ノーネーム一行は、フォレス・ガロとのギフトゲームのため移動していた。

 

 「あ、昨日のお客さんじゃないですか!これからギフトゲームですか?」

 

 話しかけてきたのは昨日、飛鳥たちが立ち寄った「六本傷」の旗印を掲げるカフェの、猫耳尻尾の店員だった。アインスは猫耳を見るとリーゼ姉妹を思い出す。そのため少し猫が苦手だったりする。

 

 閑話休題。

 

 「でも、気をつけてくださいよ。アイツ、舞台区画じゃなくて、居住区でギフトゲームをするつもりみたいですから。」

 

 「居住区ですって!?」

 

 猫耳店員の言葉に、黒ウサギは驚愕する。そんな彼女に飛鳥が聞く。

 

 「舞台区画とは何かしら?」

 

 「舞台区画はギフトゲームを開催するための区画になります。ですが、ガルドはそこではなく、居住区でギフトゲームを開くつもりらしいのです。」

 

 それは確かにおかしな話だ。ギフトゲームを行う場所があるなら、そこですればいいものを、わざわざ居住区でやろうとしているのだ。

 

 猫耳店員と別れた一行は、一抹の不安を抱えながらもフォレス・ガロへ向かっていった。

 

 

 

 

 

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 フォレス・ガロの居住区に着いた一行だったが、居住区はとてつもない状態になっていた。木がうっそうと生い茂り、ジャングルのようになっていた。ジャングルの中で木に絡まれながらも点在している家の姿に、ここがもともとこんな場所ではなかったことがわかる。

 

 「なあ、黒ウサギ。ここは本当に居住区なのか?人がいる気配がしないのだが・・・。」

 

 「そ、そのはずです。でも、こんなに木は生えてなっかたはず。それに・・・」

 

 黒ウサギは、近くの木によるとしばらく黙っていたが、何か確信したように言葉を発した。

 

 「やっぱり、鬼化している。」

 

 「鬼化?それはいったいどういったものなんだ?」

 

 「鬼化と言うのは、簡単に言えば吸血鬼によって与えられる恩恵(ギフト)で、これを使うとこの木のように禍々しい姿に変わり、その力も強力になります。」

 

 「それではガルドは、吸血鬼のギフトを所持していたということかしら?」

 

 アインスの言葉に返答した黒ウサギに、飛鳥が尋ねる。黒ウサギは飛鳥の問いに首を横に振った。

 

 「そのようなことはないはずです。ガルドはただのワータイガーのはず。このようなギフトは持っていなかったはずです。」

 

 「なら、これは一体・・・。」

 

 「何、簡単な話じゃねーか。」

 

 戸惑う彼女たちに、十六夜が声をかける。

 

 「つまり、ガルドにこの鬼化のギフトを渡した第三者がいるんだよ。」

 

 「でも、なぜそんなことを?」

 

 「さぁな、そこまではわからん。まあ、第三者に何らかのメリットがあるから、与えたんだろ。」

 

 「考えても埒が明かないわね。ま、あの外道を倒すことは変わらないのだし、考えるだけ無駄ね。」

 

 相手が出所不明のギフトを所持しているにも関わらず、飛鳥は余裕そうだ。

 

 「み、皆さん!この契約書類を見てください!」

 

 一人、契約書類(ギアスロール)を見つけたジンが、他のメンバーを呼ぶ。その声からは、すごい焦りを感じ、顔も青ざめていることから、よほどのことなのだろう。残りのメンバーも契約書類を読んでいき、黒ウサギが驚きの声をあげる。

 

 「ガルド自身の命を条件に・・・指定武具で打倒!?こ、これはマズいのですよ!」

 

 「このルールって、そんなにマズいものなの?」

 

 「はい。これは恩恵(ギフト)ではなく契約(ギアス)によって身を守っている為、飛鳥さんのギフトで動きを止めることも、耀さんのギフトで傷つけることもできなくなっているのですよ!」

 

 「僕の落ち度でした。僕がちゃんとルールを決めていれば・・・。」

 

 ジンはこの時、ようやく自分の過ちに気が付いた。あの時、ガルドへの怒りの感情に気を取られ、最も大事なゲームのルールまで頭が回らなかった。その代償が、アインスの予想通り、今になってやってきたのだ。口惜しさのあまり、唇を噛み、顔をうつむける。そんな彼へ飛鳥が声をかける。

 

 「気にしなくていいわ、ジン君。むしろ、これぐらいがいいハンデよ。」

 

 「うん、絶対に負けないから大丈夫。」

 

 飛鳥に続き、耀も言う。だが、それでもジンの顔は晴れない。そんなジンにアインスは、

 

 「今のお前は、コミュニティのリーダーにふさわしくない。」

 

 そう、言い切った。ジンはその言葉にさらにうつむく。

 

 「ちょっと、アインスさん!何もそんなこと言わなくても。」

 

 「少し黙っていてくれないか、黒ウサギ。」

 

 黒ウサギがジンをかばおうとするが、アインスは一言で一蹴した。その声は今まで聞いてきたアインスの声より、かなり冷たいものだった。

 

 「いいか、ジン。君はコミュニティを国にたとえたとき、王にあたる存在だ。つまり私たちは、君の臣下だということだ。王である君は臣下を導かなければならない。なのに何故、君は私たちより早く後悔し、絶望している。そのような王に臣下はついてこないぞ。少なくとも私はそうだ。」

 

 アインスの言葉に、ジンは何も言えず聞いている。

 

 「王というのは、常に臣下たちと共にいるものなんだ。臣下と共に考え、臣下と共に戦い、そして笑いあう。それが最高の王と呼ばれる者だ。王の立場である君は、私たちを信じていてくれればそれでいいんだ。私たちは必ず、その期待に答えよう。」

 

 「でも、皆さんがこちらに来たのは僕たちが呼んだからで、その僕が何もせずにいるなんて・・・。」

 

 「それがまちっがているんだ。」

 

 「え?」

 

 ジンは顔をあげる。そこには優しく微笑むアインスがいた。それは、慈愛に満ちた女神のような微笑みだった。

 

 「確かに、このような場面では君は役立たずかもしれない。しかし、必ずしも、王が強くなければいけないわけじゃない。人には、できることと、できないことがある。君はまだ自分にできることが見つからないだけだ。それはこれから見つけていけばいいものだ。」

 

 「見つかるでしょうか、僕なんかに?」

 

 「見つかるさ。私が箱庭に来る前につかえていた王は、ただの女の子だった。それでも、素晴らしい王になった。それに、私たちだっている。もし、どうしようもなくなったら、私たちに頼ってくれ。一人ですべてができる者などいないのだから。私たちは君を見捨てたりしないさ。」

 

 「その通りなのですよ!黒ウサギはいつだって、ジン坊ちゃんの味方です!」

 

 「ええ、少なくとも私たちがここにいるのはあなたたちのおかげなのだから、感謝してるのよ?」

 

 「うん、ありがとう、ジン君。」

 

 「今のオマエはまだまだだが、もう少しマシになったら考えてやるよ。」

 

 「みんな・・・。」

 

 ジンは涙が込み上げてきた。まだまだ未熟な自分だが、そんな自分でも信じてくれる人がいることが嬉しかった。ジンはアインスに向かって頭を下げた。

 

 「すいません、アインスさん。ご迷惑かけてしまって。」

 

 「何、気にすることはないさ。私こそ少し出過ぎた真似をしてしまった。」

 

 「そんなことはないですよ。むしろ感謝しています。」

 

 そういって、顔をあげたジンの顔にはもう、先ほどまでの不安の色はなかった。

 

 「僕、目指してみようと思います。このコミュニティにふさわしいリーダーを。」

 

 「そうか。なら、私から言うことはない。期待しているぞ、リーダー(・・・・)?」

 

 「はいっ!」

 

 自信をもってそう宣言するジンに、アインスは満足げにうなずいた。その後、ジンは十六夜と少し話してから、飛鳥たちとともに、ギフトゲームへと向かっていった。

 

 

 

 

 

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 ジンたちがギフトゲームを開始して幾ばくか過ぎたころ、十六夜は暇をもてはやしていた。

 

 「なあ、黒ウサギ。今からゲームを見に行っちゃ駄目なのか?箱庭の貴族とそのお付ってことで。」

 

 「黒ウサギの耳は箱庭の中枢につながっています。その為、ここからでもゲームの様子はわかりますので、事前に取り決めがない限り無理ですね。」

 

 「ハァー・・・箱庭の貴種さん、マジつかえねー。」

 

 「せめて黒ウサギに聞こえないように言ってください!傷つきますから!」

 

 ため息を吐き、あからさまにがっかりしている十六夜に、黒ウサギが悲痛な叫びを返す。それを適当に聞き流し、アインスに声をかける。

 

 「なあ、アインス。暇つぶしがてら、今から俺と勝負しねぇか?」

 

 「こんなときに何を言ってるんだ、おまえは。」

 

 「だって、箱庭の貴族(笑)じゃ、ゲームの様子が見れないし「何ですか、(笑)って!?」うるさい、黙れ黒ウサギ。「ヒドイ!?」お嬢様たちがけゲームしてんのに、何もしないのが退屈だからな。」

 

 それに、と言葉を続ける十六夜。

 

 「-----白夜叉が認めるオマエの実力が見てみたい。」

 

 昨日、白夜叉は飛鳥と耀の二人(・・)に魔王と戦うには力不足といった。

 

 そう、「二人に」だ。

 

 それはつまり、十六夜とアインスは、魔王と戦っても大丈夫だと白夜叉が認めたに他ならない。十六夜は蛇神を素手で叩きのめしたことから、実力があると認められたのだろう。だが、アインスは違う。誰もアインスが戦っているところを見たことはない。それどころか、アインスが箱庭で使用したギフトは、空を飛ぶ能力と「バインド」という名の捕縛魔法のみ。空飛ぶ能力もおそらく魔法だろうから、飛行魔法か。ともかく、アインスは、いまだ一度も攻撃系の能力を使っていない。サポートに特化している可能性もあるが、その場合白夜叉が認めるとは、思いづらい。最悪でも、魔王から自分を自衛できる程度の力がなければ認めないだろう。それに、白夜叉ほどの相手が、見ただけで大丈夫と判断したということは、まさしくアインスのことを「強者」として見ているということ。そんな相手に、十六夜が勝負を挑むのは当然といえた。

 

 アインスはしばらく考えたが、

 

 「いや、やめておこう。」

 

 そういって断った。十六夜は少し挑発するように言う。

 

 「どうした、逃げんのか?」

 

 「そういうわけではない。ただ、ここで戦うと余計に黒ウサギに迷惑をかけてしまうからな。」

 

 「うぅ~~、黒ウサギの苦労をわかってくださるのは、アインスさんだけなのですよ~!」

 

 黒ウサギは泣きながら、アインスに抱き付く。そんな黒ウサギの頭をアインスは、よしよしと撫でる。美人のアインスに頭を撫でられながら、抱き付き泣き続ける美少女の黒ウサギ。この光景を見て、十六夜が「お、これはこれでありだな。」と小さくつぶやいたのは、完全な余談だろう。

 

 さて、アインスが十六夜の申し出を受けなかったのには、もう一つ理由がある。アインスが張っている広域探索魔法に、自分たち以外の反応があるからだ。今のところ敵意を感じないので放置しているが、もし、十六夜と戦えばだいぶ派手な戦いになるだろう。それに乗じて何か行動されても、対処に困る。ゆえに、アインスはいつでも動けるように準備をしていた。

 

 結局、その反応はギフトゲームが終わるまで、何の動きも見せず、ゲームが終わった直後、どこかへ行ってしまった。

 

 

 

 

 

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 「皆さん、こっちです!」

 

 ゲームが終わり、参加者の三人に合流するため移動していたアインスたちが見つけたのは、負傷し血を流している耀と、その傍で必死に止血をしているジン、そして少し肩で息をしている飛鳥だった。

 

 「黒ウサギ、早く耀さんをコミュニティの工房へ!そこでなら治療ができるはず!」

 

 「わ、わかったのですよ!」

 

 黒ウサギに的確な指示をだすジン。おそらく止血している間にも、ずっと対処を考えていたのだろう。それができるだけでもジンは確かに成長しているのだろう。

 

 耀を抱えて移動しようとする黒ウサギをアインスが止める。

 

 「少し待て、黒ウサギ。」

 

 「ちょ、アインスさん!?今は一刻も早く耀さんを・・・。」

 

 「わかっているから言っているんだ。」

 

 そういって、アインスは耀に向けて手をかざした。

 

 「来い、クラールヴィント。」

 

 アインスの両手の人差し指と中指に指輪が現れる。それは金色の指輪で、緑の石がついた物と、青い石がついた物のペアでそれが片手ごとについている。

 

 「静かなる風よ、癒しの恵みを運んで、『静かなる癒し』。」

 

 アインスが詠唱を唱えると、クラールヴィントから緑色の魔力が放射状に放たれた。その魔力に触れた耀の傷が、みるみるうちに塞がっていった。

 

 「す、すごいです!これほどまでの回復用のギフトがあるなんて・・・。」

 

 「傷は塞いだが、さすがに無くなった血液までは回復できない。後は任せても大丈夫か?」

 

 「はい、後はお任せください!」

 

 黒ウサギは耀を抱えてコミュニティへ全速力で帰って行った。

 

 黒ウサギが帰って行ったあと、十六夜はジンを呼び何か話していた。それをアインスが眺めていると近くに飛鳥が寄ってきた。

 

 「飛鳥か。体の方は大丈夫か?」

 

 「えぇ、怪我もしていないし、少し疲れただけだから。それにさっきのあれ、春日部さんの傷だけではなく、私の体力も回復してくれたでしょう?」

 

 「気づいていたのか?」

 

 「あの、緑の光みたいのに触れたら、体の疲れが取れていったもの。さすがにわかるわよ。ありがとうね、アインスさん。」

 

 「あれぐらい当然だ。気にすることはない。」

 

 アインスと飛鳥が話していると、十六夜とジンの二人がガルドの傘下にいたコミュニティの旗印を、元のコミュニティの人たちに返していた。あの十六夜のことだ、何か考えがあるのだろう。そうしてすべての旗印を返したジンは、その場にいた他のコミュニティの全員に聞こえるように言った。

 

 「ジン=ラッセルです。これから聞くことも多くなると思いますが、よろしくお願いします!」

 

 この宣言を聞いて、このコミュニティなら・・・、(ジン)なら大丈夫だと、アインスは思うのだった。




 前回の設定だったり、それ以外にもキャラの実力についての質問があったので返答をしていきたいと思います。

 三話で、十六夜と通常時のフェイトが同じ速さだと書いたのについて、「第三宇宙速度の十六夜と同じってフェイト早すぎない?」というのがありました。
 理由としては、十六夜はまだこのとき、本気を出していなかったので、フェイトと同じに感じるだけで、実際は十六夜の方が早いです。スピード順は、 十六夜(全力)>>>フェイト(ソニック)>>十六夜(手抜き)≧フェイト といった感じです。

 次に、「アインスがノーネームで一番強いって、十六夜のこと過小評価しすぎじゃない?」というもの。
 十六夜はパワーとスピードは、確かにアインスより上です。しかし、やはり経験の差というのがあります。古代ベルカ時代から研鑽してきた技能は、確実に十六夜を超えています。十六夜は速いですが、直線運動しかできませんし、攻撃も「当たらなければ、どうということはない」といったセリフがあるように、躱してしまえば問題ありません。
 十六夜の敗因は、ズバリ「実戦経験と、積み重ねてきた研鑽と技能の差」です。

 アインスの魔力がSSSランクとしたことについて「SSSランクのアインスと白夜叉が同じ強さだと、白夜叉よわくない?」というのもありました。
 これ、そこまでおかしいですかね?Sランク魔導士って、確か一人で次元航行艦落とせるらしいんですよ。だったら、SSSランクならかなり強いと思うのですが・・・。全力じゃない白夜叉ならこれぐらいでも問題ない気がするのですが・・・。
 まあ、とりあえずアインスさんの魔力量をSSSランクにしたのは、ちゃんと理由があります。アインスさんはナハトを封印している為、全力ではありません。全力のアインスさんの魔力量はEXランク(測定不能)です。なので、全力のアインスさんと区別するために、あえて魔力量をSSSランクにしています。

 最後に、「アインスって次元世界滅ぼしたことあるの?」といったもの。
 答えると、ありますよ?ただ、十六夜が「星を物理的に滅ぼせる」のに対し、アインスは「星の文明を滅ぼす」といった違いがありますが。先にあげたとおり、単純なちからだけなら、十六夜はアインスより上なので。

 ・・・あとがきがだいぶ長くなってしまいました。申し訳ございません。

 アンケートのほうも、活動報告でやっているので、よろしくお願いします。

 それでは、またの投稿まで。
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