セーーーーーフ!!!
何とか、9月中に投稿できました。
というわけで、久しぶりの投稿です。
これからは、月一は投稿できるといいな~
それでは、どうぞ
フォレス・ガロとのギフトゲーム終了後、耀は彼女の自室のベットで寝かされていた。アインスによって怪我は完治していたが、無くなった血までは回復しなかった。ノーネームの宝物庫に保管されていた増血のギフトによって、血を補給した彼女だが、いまだに目を覚まさない。
そんな彼女の横に、アインスは椅子に腰かけていた。もちろん看病のためだ。元々プログラムであり、多くの戦争を経験してきたアインスにとって、一日二日の徹夜など苦にならない。ゆえに彼女は一晩中耀の看病をするつもりだった。
アインスがそこまでする理由は、耀が大切な仲間であるのもあるが、それ以上にアインスのとある記憶が関係していた。
自身がまだ闇の書だったとき、八神はやての家族が死んで彼女が一人ぼっちになってしまったばかりのころのこと。彼女はいつも泣いていた。周りの大人たちには、いつも笑みを見せていた彼女は、いつも泣いていた。少女が一人で暮らすには大きすぎる家で、朝起きても誰もいない。夜寝るときも誰もいない。まるで、世界に自分しかいないような感覚。それが錯覚だとわかっていても泣くことを、恐怖することをやめられなかった彼女。彼女が生まれたときから一緒にあった闇の書の中で、アインスはずっと見てきたし、彼女のリンカーコアとつながっていた影響か、八神はやての心が伝わってきた。
耀はまだ子供だ。そんな彼女がいきなり命の危機に瀕したのだ。その恐怖は忘れることはできないだろう。アインス自身、それぐらいのことで耀が戦えなくなるとは思っていない。でも、心の整理の時間ぐらいは必要だろう。そんな彼女を一人きりにしたくなかったアインスは、帰ってきてから、ずっと耀の看病をしていたのだ。せめて彼女の目が覚めたとき、彼女が一人ぼっちにならないように。
ドカァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!
そんなとき、ノーネームの本拠にものすごい衝撃が走った。
「な、なんだこの揺れは!?」
もしかして、何者かが襲撃してきたのか!?アインスは、すぐに探索魔法を発動。すると中庭のあたりに三人の反応があった。一つは黒ウサギの物だが、あと二つはわからなかった。というのも、アインスの探索魔法は魔力を発するものであれば、その魔力から対象を特定できるが、魔力を発していないと、そこに何かが存在することしかわからず、何があるのかわからないのだ。ノーネームで魔力を発しているのは黒ウサギのみ(黒ウサギの発しているものも少し違うが、魔力と近いのか感知できる)であり、わからない反応のうち、一つは魔力を発しておらず、もう一つは初めて感じる魔力(に近いもの)であった。
黒ウサギがいるのなら、よっぽどのことがない限り大丈夫だろうが、一応自分も行ってみようかとも思ったが、アインスは思いとどまった。
「う、う~ん・・・」
先ほどの轟音と揺れで、耀が目を覚ましたのだ。
「耀、体は大丈夫か?」
「・・・アインス?ここは・・・」
「ノーネームの本拠の耀の部屋だ。何があったか覚えているか」
「何って・・・あ」
耀は自分に何があったか思い出した。フォレス・ガロとのギフトゲーム、油断して大けがをしたこと、飛鳥にギフトゲームを託して気絶してしまったこと。
「ギフトゲームは・・・」
「ん、ああ、飛鳥がちゃんと決めてくれた。ノーネームの勝利だよ」
「そっか・・・」
安心したと同時に耀の体が震えていく。今になって感じたのだ、死の恐怖を。ゲーム最中は必死だから気が付かなかった。さっきまでは、頭がしっかり働いていなかったからだ。しかし、状況を整理して頭が働いてくると、あの時のことを思い出してしまったのだ。
迫る爪、引き裂かれる体、流れ出る血、冷たくなる体温。
あの時のことを思い出して、耀は恐怖で震えてしまっていた。でも耀はその恐怖を抑え込もうとした。そのとき耀が何を思っていたかは、アインスにはわからない。でも無理をしているのはわかった。
だから、アインスはそんな耀を抱きしめた。
「え?アインス何「いいんだ」を・・・、え?」
「あんな大けがをしたんだ。怖くなるのは当たり前。震えるのも仕方がない。むしろそれは、人として当たり前のことなんだ。だから、我慢しなくていいんだ」
「で、でも私・・・ノーネームの一員で、強くなくちゃいけないのに、こんな・・・」
「だからといって、恐怖を我慢しなくていいんだ。むしろ、どんなに強くなっても恐怖を忘れるな。相手を殺し、殺されかける恐怖を忘れてしまっては、それは狂人と変わらない」
「・・・いいの?恐怖して、震えて、ない・・・て・・・」
「ああ、いくらでも泣いていい。私がここにいるから・・」
「ア・・・アインス・・・・。う・・・うわ~~~~~~~~~ん!」
恐怖を我慢していた耀だったが、アインスに諭されて泣いた。普段の彼女からは考えられないほどの声を出し、アインスに縋りつきながら泣いていた。
「怖かった・・・、死んじゃうのが・・・。箱庭に来てできた友達や、ノーネームのみんなに、もう二度と会えなくなるかもしれなくて・・・!」
「そうか。気にするなとは言わない。でもよく頑張ったな」
耀の泣き声は、しばらく止むことはなかった。
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あれから十分ほどたった後、落ち着いた耀はさっきまでのことで、顔を真っ赤にしていた。
「あ、ありがとうアインス。おかげで少し楽になった」
「それはよかった」
「そ、それでね、さっきのことは誰にも言わないでほしい」
「別に、誰かに言いふらすつもりもなかったから構わないが・・・」
「うん、絶対に言わないで」
-----さっきのことが飛鳥や十六夜の耳に入ったら、私は確実に弄られる!
耀は先ほどとは違う恐怖を味わっていた。
そこで、泣き疲れたのか、耀を睡魔が襲う。
「ん、眠い・・・」
「体力はまだ回復しきってないだろうし、あれだけ泣けばな」
そう言ってアインスは立ち上がる。
「さて、もう一人で大丈夫なら、部屋に戻りたいんだが」
「うん、大丈夫だよ。ありがとう」
「そうか。なら、またあし「あ、ちょっと待って!」・・・、どうした、耀?」
アインスが尋ねると、耀が遠慮しがちに聞いてくる。
「えっとね、アインスさえよければなんだけど・・・私の友達になってくれないかな?」
「友達?私がか?」
「うん。私は元々箱庭に友達作りに来たんだ。そして、飛鳥と同じようにアインスと友達になりたいと思ったから・・・。ダメ・・・かな・・・?」
アインスは少し考えてみて、あることを思い出してみた。
「友達か・・・。それなら、私と耀はもう友達になっているぞ?」
「え?」
「私だけじゃない。黒ウサギとも、十六夜とも、白夜叉とも、耀はもう友達なんだ」
「な、なんで・・・」
耀はアインスがなぜこんなことを言ったのかわからなかった。アインスは少し苦笑しながら答えた。
「まあ、私も本人から直接聞いたわけではないんだが・・・、私の知り合いが言うにはな、友達になるのはとても簡単なんだそうだ」
「そうなの?」
「ああ、『名前を呼ぶ』それだけでもう友達になれるらしい」
「名前を呼ぶ・・・」
それはかつて、フェイト・テスタロッサが高町なのはに言われたこと。アインスは、フェイトを闇の書に取り込んだとき、その記憶からこの言葉を聞いていたのだ。
「そんなことで友達になれるなら苦労しないよ・・・」
「そうか?友達になりたくない人を、親しく名前で呼ぶことなんてないだろう?」
「・・・言われてみれば確かに」
耀は納得すると、アインスを見つめる。
「もう私には、たくさんの友達ができていたんだね」
「そうだな。まあ、友というのは目に見えないつながりでつなっがている。慣れない人からすると、わからない者なんだろう」
「そっか・・・、ねえ、アインス?」
「ん、なんだ?」
「ううん、呼んでみただけ」
そう言って、嬉しそうに言うようにつられて、アインスも微笑む。
「耀。もう眠いのではなかったのか」
「うん・・・もう限界・・・」
「なら今度こそ、おやすみ、また明日」
「うん、おやすみ・・・ありがとう」
アインスが耀の部屋が出る。耀は目をつむり、睡魔に身を任せる。
-----今日はいい夢見れそうだな。
そう思いながら。
いやー、ホント久しぶりですね。
最後に投稿したのは去年の6月でしたっけ。
お待ちしていた方、申し訳ございませんでした。
これからも気長にお待ちいただけると幸いです。
さて、久しぶりに質問に答えましょうか。
「蛟劉の攻撃に三発で対応するぐらい戦闘センスがある十六夜が、アインスより弱いの?」といったもの。
そもそも、蛟劉とアインスでは、戦闘方法が全く違います。近接戦が得意な蛟劉相手であれば、同じく近接戦を得意とする十六夜も対処できるかもしれません。
しかし、アインスが得意とするのは遠距離、それも広域殲滅です。十六夜の遠距離攻撃は、何かを投げる、殴り飛ばす、蹴り飛ばすのどれかぐらいです。あとは、一気に近づいて攻撃するかです。探索魔法に対する隠ぺいができない十六夜では、不意打ちはもちろん、どさくさに紛れて近づくのも難しいし、飛ばしたものも、まっすぐにしか飛ばないでしょう。対してアインスは、遠距離からバンバン攻撃できます。十六夜なら、アインスの魔法を殴って破壊できそうですが、ブラッディダガーや、アクセルシュートといった複数の魔力弾による攻撃には、対処できないだろうし、それで体力が減った後、砲撃魔法叩き込めばアインスが勝てるだろうと思っています。
作者の主観いっぱいですが、一応上記の理由でアインスが十六夜に勝てると思っています。経験、技術で負けていて、さらに戦い方の相性も最悪じゃあ、いくら十六夜でも勝てないでしょう。
まあ、これは真正面から戦った場合であり、条件によっては十六夜が勝つ可能性も十分にあります。
それでは今回はここまで。
それでは、また次回!