【THE LEGEND】
2010年 有馬記念
その馬は完全に包囲された
世紀末覇王は包囲網を突破し伝説をつくった
しかし、その馬は常識では考えつかない方法で突破した
『道が無ければつくればいい』
伝説を超えろ
神様、馬の神様、私は貴方に何かしましたか?
コレでも普通に生きてたよ。彼女はいなかったけど、大学も卒業して、就職もして、普通に暮らしてたところに、いきなり通り魔に刺されて死ぬなんて笑えねぇよ。てか、この展開って異世界転生だろ?なのに…なんで…
『馬なんだよ〜ぉぉぉぉぉぉ!!!!』
「ヒヒィィ〜〜ン」
「お〜、どうした?アカ?腹減ったのか?」
腹はいつも減ってるわ!飯食わせろ!
「お〜よしよし、相変わらず凄い食い意地だな」
こいつは厩務員の太田、俺の育ての親みたいなもんだ。因みに俺の実の親は俺が生まれた瞬間育児放棄しやがった。
野郎ぶっ殺してやる!(まぁ、何故か生まれた時の記憶がないんだよな〜)
そんな事があり、今は太田が、俺を育てている。飯くれたり身体洗ったりしてくれるのは感謝してるが…
「お前は可愛あなぁ〜ぶちゅ〜」
男のチューなんて需要がないんじゃ!やめろや!
「ヒィン!」
「あ〜、やっぱ嫌いか」
当たり前じゃ!次は女のコよんでこい!
「さて、飯も食べたし、運動でもするか?」
お、やろやろ。俺一応競走馬なんだろ?重賞勝てるかどうか分かんねぇけど、楽しくがんばるぜぇ〜
〜厩務員〜
コイツは絶対に走る。俺はあった瞬間にそう思った。
コイツとの出会いは数年前、当時、俺は朝早くから牧場の掃除をするために起きていた。すると、そこには栗毛の牝馬が一頭いた。どっからから逃げ出してきたのかと思い、周辺の牧場に電話をかけたが、どこの馬でもなかった。ニュースも新聞も、どこにも馬が脱走したという情報がなかった。このまま放っておくのも仕方ないので、うちで買うことになった。
それから3カ月後
牝馬のお腹が膨らんでいることがわかった。獣医に話を聞くと妊娠していることがわかった。2ヶ月だそうだ。それはおかしいと思った。俺の牧場には牡馬はいない、妊娠するなんて有り得ないと思ったが、まぁ、考えても仕方がないと思い、元気な馬が生まれてくることを願うばかりだ。因みに牝馬の名前はクリコと名付けた
さらに数カ月後
目が覚めるとクリコの隣に小さな馬がいた。俺は目を疑った。前日に会った獣医の話では、後一週間後ぐらいと言われたのに、もう産まれている。急いで獣医に連絡し検査をしてもらった。検査の結果、母子共に健康だった。ただ一つだけ、その馬は赤いのだ。いや紅色の馬だった。そのせいかクリコは子供に見向きもせずにいた。これが育児放棄というやつか、と思った。なので今日から俺が育てる事となった
「コラ!アカ!寝草まで食うな!」
「柵を齧るな!後でご飯上げるから」
「太田さん!アカが脱走しました!」
どこで育て方を間違ったのか…一歳になる頃にはとんでもない暴れ馬になっていた。
健康なのはいいが、寝草も食うわ、脱走するわで従業員はてんやわんや、油断すると、髪をしゃぶられたり、腕を噛まれる。中には服を引っ張られ引きずられて行った者もいた。
この先色々と不安になってきた。
〜馬サイド〜
「お〜い朝だぞ、起きろ〜」
?もう朝か、おはよう助手の彼女なし男、岩田君
「…何かイラッときた…ったくよ〜人間みたいに8時間睡眠を取る馬なんて聞いたことねぇよ。ボロの出す場所も決まって外だし。閂を外すわ、二足歩行で歩くわ、お前、ほんとに馬か?」
脳みそは人間だな
「ほら、今日は特別に林檎を切ってやるよ」
ほ〜林檎か、皮も切ってくれよ
「ビワハヤヒデは確か、バナナが好きだったよな、お前も食うかな?」
「ブルルルゥ」
何でも食うぜ、何なら肉もってこいよ
「あっそうだ、お前ももうすぐセリに出るらしいぜって、言っても分からんか」
ほ〜、どんな馬主に買われるのやら…あそうだ、因みに俺の血統ってどうなってんの?
「しかし、買い手がつくかね〜、お前、なんてったって"血統不明"だもんな」
へっ?
〜厩務員〜
「血統不明?」
「はい、どの馬の血統とも全く合わないんですよ。まぁ、これに関してはあまり珍しいことはないのですが…問題はこれです」
「…クリコは…不受胎の可能性?」
「はい、クリコは子供の産めない身体だと結果が出ました」
「でも、アカを産んだぞ」
「それも色々おかしいんですよ。大田さんの話によれば牡馬はいないっていうじゃないですか、だから妊娠はしないはずなんですよ」
「まぁ…それは、偶々運が良かったと言うことで」
「とにかく、あの馬は今後子供は産めませんので、また何かありましたら連絡お願いします」
「わかりました」
セリ当日
「ブルブル」
「どうした?具合でも悪いんか?」
いや何、岩田君。馬に生まれ変わったから何かすげぇ血統の馬かと期待してたんだぜぇ、まぁ、勝手にだが、そしたら血統不明って、何だよ、これが上げて落とすってか?
「さぁ、お前の番だ。頑張るぞ」
何をだよ
「さぁ、次は…おおっ、これは…赤いですね」
会場から驚きの声があがる
「ヒヒィィィン!」
何だ?テメェら?見せもんじゃねぇぞ!
「落ち着け、落ち着け、どうどう」
嘶くと止められた
「さぁ、値段は50万円から」
「1000万」
「えっ!」
一斉に視線がそちらに向かう
「16番…1000万…他にいませんか?…1000万で落札」ダンッ
俺を買い取ったのは女性だった。やったぜ!
そう思うと俺はウキウキで"スキップ"をしながら出ていった
「良かったな!買い手がいてくれて、しかも女の人だぜ!」
なんだ?嫉妬か?見苦しいぞ少年
「…俺今度、連絡先交換しようかな」
「ふっ…」
「お前…鼻で笑ったか?」
「ブルルッ」フリフリ
まぁ、頑張り給え、応援してるぞ
〜とある女性〜
私は自慢じゃないが売れっ子の小説家だ。その結果、馬主にもなれた。何故馬主になったかというと、理由は一つ、競馬ファンだからだ。いつか自分の馬を走らせたいと思い、夢を描いていた。そして、遂に念願の馬主にもなれ、競走馬を買うことにした。しかし、どの馬を買えばいいのか全くわからないし、手持ちのお金はたったの1000万円、他の人はその5倍は持っていた。まぁ、どんな馬でもいいやと思い、気長に待っていると、赤い馬が入ってきた。登録では栗毛となっていたらしいがどう見ても赤毛だ。でも自然とその馬に引き込まれる気がした。なので私は思い切って有り金全部でその馬を買い取った。セリが終わったその瞬間、私は…いや、その場にいる全員が目を疑った。
「テイオー…ステップ…」
何と、その馬はテイオーステップをしながらその場を後にした。その後…
「き、君!2000万円だそう!あの馬を売ってくれ!」
「いや、私は5000万円だそう!」
「いや、私は!」
「何やってるんですか!セリは終わりましたよ!」ダン!ダン!
ほかの馬主の人達に迫られたので大急ぎでその馬に会いに行った
次の日
〜馬サイド〜
「ブルルルゥ♪」
「やけに上機嫌じゃないか、それよりお前、あんな事ができるなんてな」
ん?スキップの事か?まぁ、試しにやったら出来た。それに馬にはできない横歩きもできるぜ、後は二足歩行とか、一発芸もできるぜ
「馬主さんもいい人そうだったし、良かったなアカ…いや、カヴァロロッソだったなお前は」
直訳すると紅の馬だっけ?ジ○リに怒られそう…でも…気にいった。流石見る目あるぜ
昨日、すぐさま馬主、水谷さんが来て、速攻でお金を払って契約も済ませ、名前をつけた。あとから聞いた話だとこの人は売れっ子の小説家らしい。後で聞いてみよ。さて、まぁ細かな事はおいおいやるらしいので一先ず帰っていった。俺たちも家に帰った。
〜数日後〜
とうとう別れのときが来てしまった。俺は今日から競走馬として旅立つ
「ヒヒィィィィン!」
大田さ〜ん。また遊びにくるわ〜
「おお、お前も悲しいのか?俺もだ。向こうでも元気でな」
助手く〜ん、彼女づくり頑張れよ
「…何か、バカにされたような気が…」
ついでに、母ちゃ〜ん!元気でな
「…」プイッ
やっぱり一発蹴ろう
「さて、行くぞ〜」
あ〜ちょっと!一発だけ、一発で済むから離せぇーー!
そうして、俺の競走馬生活が始まった
次も馬の話です