An indomitable spirit in my heart   作:アイリスさん

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鉄槌の誤算

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ‥‥‥化け物め‥‥‥」

 

すずかの攻撃にどうにか耐えているが、状況は芳しくない。始めにもらった一撃を防ぎ切れず、大きなダメージを受けたヴィータの身体は思うように動いてくれない。

 

(ちくしょう、身体が動かねぇ‥‥‥カートリッジ残り4発‥‥‥『虹色』に結構使っちまったからな‥‥‥どうする?)

 

ヴィヴィオに思いの外苦戦し、カートリッジを8発も使ってしまっていた。まさか、その後にこんな相手が現れるとは思ってもいなかった。

 

満足に動かない身体に鞭を打ち、アイゼンを構え直すヴィータ。「フフフッ」と不気味な笑い声を洩らすすずかを睨み冷や汗を流す。

 

ヴィータの視界に映っているのは、自身の360度をぐるりと囲む数多の赤黒い魔力の弾幕。空間を埋め尽くす程の量のそれを、すずかは顔色1つ変える事無く自在に操って見せている。ヴィータも粘ってはいるものの、避けきれずに被弾は増えていて墜ちるのは時間の問題。

 

「頑張らないと全部当たっちゃうよ?フフフッ」

 

狂喜を孕んだ笑みでそう口にしているすずかを睨み、ヴィータは已む無くカートリッジを炸裂。弾幕で埋め尽くされた空間を抜け出す。

 

「アイゼン!」

 

《Schwalbefliegen!》

 

一瞬の隙を突いてヴィータがアイゼンを構え、魔力で構成された鉄球を多数打ち出す。高速ですずかに向かっていく鉄球の群れ。

 

少し頬を膨らませ不機嫌な表情を見せたすずかが「抵抗しちゃ、駄目だよ?」と吐き捨てるように洩らす。輪郭を微かに赤黒く光らせながらその右手を前に出して鉄球の群れをなぞるように横に滑らせる。

 

「どかーん」

 

すずかが声と同時に右拳を握ると、向かって来ていた鉄球がその場で全て爆散。触れた訳でも、況してや魔力弾を浴びせた訳でもなく鉄球が消え失せた事に唖然としているヴィータを、凍るような冷めた瞳で睨むすずか。

 

「‥‥‥飽きちゃった。遊びはもう終わりだよ?」

 

発したすずかの足元に、大きな赤黒い魔法陣。と同時に、そこからすずかと全く同じ姿の『何か』が3体現れる。

 

「ちくしょう‥‥‥」と呟いたヴィータに、巨大な柱のような魔力の剣を向けた4人のすずかが、ゆっくりと迫っていく。

 

◆◇◆◇◆

 

月村邸。ファリンも事態は理解しているようで、フェイトとシャマルが着く前から門の外で待っていた。

 

「ファリンさん、すずかが!」

 

「分かってます。それで、そちらは?どうして一緒に?」

 

前回忍となのはを襲ったヴォルケンリッターの一人であるシャマルを、睨むように見るファリン。

 

「シャマル先生は味方です!詳しい事は後で話しますから、急いで下さい!」

 

叫びながらファリンの手を取って、抱き上げて宙を飛んでいくフェイト。シャマルも慎重にその後を追う。

 

《フェイトちゃん?本当にファリンちゃんに抑えられるの?見たところ殆んど魔力を感じないけど》

 

《大丈夫です。それに、今はこれしか方法が有りませんから!》

 

説明不足で未だに信じられない様子のシャマル。近づくにつれてハッキリしてくる、すずかのその膨大な魔力を感じていればそれも尤も。緊張の色が見えるファリンをチラリと見て、フェイトも唇を噛む。

 

(私だけじゃきっと、足止めにもならない。でも‥‥‥)

 

‥‥‥と、フェイトに通信のコールが入る。どうやら相手はエイミィのようで、流石に局側も事態に気が付いたようだ。

 

《フェイトちゃん!今どこに居るの!?フェイトちゃん、聞こえてる!?》

 

音声のみで、映像は繋がっていない。夜で目立ってはいないが、前回同様あの紅い霧が発生しており、通信を妨害しているようだ。

 

(‥‥‥ごめんなさい、エイミィ)

 

フェイトは繋がっていた通信を故意に切断。霧の発生源へと徐々に近付いていく。

 

◆◇◆◇◆

 

三人が現場に着くとすぐに、倒れているヴィヴィオが視界に入る。

 

「ヴィヴィオ‥‥‥?嘘‥‥‥ヴィヴィオ!」

 

涙を浮かべ、震える手でヴィヴィオを抱き上げるフェイト。

 

「しっかりして、ヴィヴィオ、ヴィヴィオ!」

 

狼狽し、泣きながら抱き締めるフェイト。ヴィヴィオが目を覚ます様子はまだ無いが、その胸から『なのは』が出てくる。

 

『フェイトちゃん!ヴィヴィオなら大丈夫。ダメージは大きいけど気を失ってるだけだよ。それから‥‥‥シャマル‥‥‥先‥‥‥生?』

 

『なのは』の言葉に何となく察しのついたシャマル。かなり驚きながらも「まさか‥‥‥『なのは』ちゃん‥‥‥?」と漏らしている。

 

『はい、シャマル先生。こんな姿ですけど』

 

「本当に‥‥‥?会いたかったわ、『なのは』ちゃん!」

 

シャマルは『なのは』を抱き上げ、頬擦りしながら涙を流す。余り猶予も無い状況に、抱かれている『なのは』が『一先ず、その事は後で』と表情を変えて話し出す。

 

『ファリンさんはすぐに結界に取り掛かって下さい。シャマル先生はサポートを。‥‥‥フェイトちゃん、すずかちゃんの足止め‥‥‥お願いできるかな?』

 

「何とか、やってみる」

 

答えたものの、フェイトはどこまで時間を稼げるかは分からない。何せ前回は手も足も出ずに呆気なく捕まり血を吸われている。

 

(今はカートリッジも有る。前回よりは何とか‥‥‥でも‥‥‥)

 

不安は消えない。何せ、すずかは『あの』ヴィータを打ち倒して気絶させ、今当に血を吸おうとしている真っ最中。

 

前回の事を思いだし、恐怖に手足が震えるフェイト。(‥‥‥確りしなきゃ)と自分を何とか奮い立たせてバルディッシュを握り締めて前を向く。

 

(やるしか、無いんだ‥‥‥ヴィヴィオの為にも)

 

倒れたままのヴィヴィオに一瞬視線を向けて、飛び立つ。

 

(そうだ。私はどうなってもいい。せめて‥‥‥せめて、ヴィヴィオは守ってみせる)

 

フェイトが辿り着くと、すずかはヴィータの首筋から唇を離して口からその血を吐き出している所だった。

 

「この子、人間じゃない‥‥‥?美味しく、ない。‥‥‥だから、来てくれて嬉しいよ、フェイトちゃん」

 

「すずか‥‥‥」

 

すずかは満面の笑み。だがそこに何時もの優しそうな面影は無い。

 

「また、いっぱい血をちょうだい?美味しい血を。ね、フェイトちゃん?」

 

フェイトは歯を食い縛り、バルディッシュを構える。バリアジャケットが金色に輝いて、その構成が変わる。

 

(真・ソニックフォーム‥‥‥今度は、捕まらない‥‥‥!)

 

ザンバーフォームでバルディッシュを展開し直してカートリッジを炸裂。すずかに刃を向ける。すずかもニヤリと不気味な笑みを浮かべて手元に魔力を集め、巨大な魔力の剣を造り上げる。

 

「今度こそ、すずか!」

 

「フフフッ。フェイトちゃん‥‥‥今度は、逃がさないよ?」

 

◆◇◆◇◆

 

そうしてフェイトとすずかが激突し始めた頃、地上。

 

「ファリンちゃん、信じて良いのよね?」

 

「すみません、シャマルさん。まだ始めたばかりで慣れないので‥‥‥少しだけ集中させてもらえませんか?」

 

「ごっ、ごめんなさい」と謝るシャマルに、「‥‥‥いえ」とだけ答えるファリン。やはり、まだシャマルを信用した訳では無いようだ。

 

「私は、どうしたら良いのかしら?」

 

何をしたら良いか分からず様子を伺っているシャマルの手を、ファリンが握る。ファリンのその左手からシャマルの身体に感じた事の無い力が流れ込んでくる。

 

「これは‥‥‥魔力?‥‥‥とも少し違う‥‥‥?」

 

「シャマルさん、今から『それ』で結界を構成します。手伝いをお願いします‥‥‥いきますよ」

 

言い終わったファリンの右手には何処から取り出したのか、1枚の御札。それを自身のこめかみに翳し、声を張るファリン。

 

「『霊符!』」

 

 

 

 




書いてるうちに東方回になっていました(汗)

フェイトちゃんが既に真・ソニックフォームです。

きゅっとしてドカーン?夢想○印?さぁ?何の事でしょうか?
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