An indomitable spirit in my heart   作:アイリスさん

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再会を願って

 

 

「さて、ファリンと言ったか。我も手伝う。さっさと結界を完成させるぞ」

 

事態を飲み込めず「あの、えっと」と戸惑っているファリン。ディアーチェは構う様子は無く、「さっさとせんか」と急かす。

 

「でっ、ですが!すずか御嬢様相手にあの子一人でなんて‥‥‥」

 

「ユーリなら心配は要らぬ。お主が考えているよりもずっと強いからな。あ奴の力は星の生命活動にすら影響を与える程だ。敵う者など居らぬわ」

 

ディアーチェのその視線の先。すずかはユーリを不機嫌な表情で睨む。

 

「邪魔、しないで」

 

「止まって下さい、すずかさん!」

 

すずかの分身は既にユーリに潰されている。魔力の刃を握ったまま、すずかが全方位に展開している魔力弾の山をユーリに向かって一斉に放つ。

ユーリは避ける事無く、呆れる数の全ての弾幕を被弾。だが‥‥‥。

 

「無駄です、すずかさん。少し大人しくしていて下さい」

 

煙が晴れてくると、そこには掠り傷一つついていない、無事な姿のユーリ。すずかは頬を膨らませ感情を露にしながら、ユーリに向かう。

 

「私の邪魔しないで!」

 

降り下ろされた巨大な魔力刃を、ユーリはまたしても簡単に片手で受け止める。怒りの表情のすずかの持つその魔力刃をそのまま粉砕し、ユーリがすずかの胸辺りに手を伸ばし、その魔力を掴む。

 

「『エンシェント‥‥‥』」

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛!」と悲鳴をあげるすずかの胸元から、その強大な魔力を引き抜き槍状に形成。その赤黒い槍を、ユーリがすずか目掛け放つ。

 

「『‥‥‥マトリクス!』」

 

魔力槍は轟音をあげてすずかに激突。彼女を中心に辺りは光に包まれる。

 

◆◇◆◇◆

 

「すずか御嬢様!」

 

「大丈夫です、『手加減』はしましたから」

 

余りの爆発の状況を目の当たりにして、血の気が引いて顔面蒼白のファリン。ユーリが大丈夫とは言っているものの、はいそうですかとは納得し難い。

 

「大丈夫と言っているであろうが。そんな暇があるなら集中せぬか」

 

「ですが、ディアーチェさん!」

 

尚も食い下がるファリン。「やれやれ」と溜め息をつき、静かに語るディアーチェ。

 

「他でもないユーリがすずかを殺める筈が無かろう。ユーリはすずかには借りも有るからな」

 

納得した訳ではないが、ディアーチェ達の言葉を信じる他はない。唇を噛み締め、再度集中し始めたファリンと、それをサポートするディアーチェ。

 

動く様子の無い、倒れたままのすずかを中心に積層型大規模立体魔法陣を組み上げた後、ファリンは再び御札に自身の力を込め、足元に見た事の無い魔法陣を展開させる。

 

「では‥‥‥始めます!」

 

サッカーボール程の大きさの赤と白の陰陽模様の光球が八つ現れて、ファリンの周りを回り始める。それに立体魔法陣が呼応して、眩い光を放ちながらすずかに向かい収束していく。

 

「『集!』」

 

ファリンと陰陽珠からすずかに向かい光が走り、同時に立体魔法陣が小さくすずか一点に収束。すずかの身体を包んでいく。

 

◆◇◆◇◆

 

すずかの封印を確認し、アミタはベンチに向かい歩く。寝かされているのは、スヤスヤと寝息を立てて眠るヴィヴィオ。

 

「ヴィヴィオさん、ヴィヴィオさ‥‥‥寝ていますか‥‥‥丁度良いかも知れませんね」

 

起こさないよう抱き上げて、ディアーチェ達の元へと飛ぶ。「ウム、では行くか」と呟いたディアーチェの足元に、フォーミュラプレートが展開。

 

「これで、最後の一人も無事に回収完了です。ではファリンさん。皆さんを宜しくお願いします」

 

アミタがファリンに手を振ったのと同タイミングで、何処からか声が聞こえてくる。聞き覚えのあるその声に、フォーミュラプレートの術式を一時止める。

 

『待って!』

 

「その声‥‥‥なのはか?姿が見えぬが‥‥‥?」

 

『ここだよ、王様!ここ!』

 

声はヴィヴィオから聞こえてくる。思わず覗き込んでみると、ヴィヴィオの胸元からなのはを模したヌイグルミが現れた。

 

「お主、デバイスか?クリス‥‥‥にしては妙だ」

 

『私だよ、なのはだよ、王様!』

 

その場で固まる一同。声や話し方の特徴はなのはと同じではあるが、俄には信じ難い状況。

 

「なのは‥‥‥か?状況を説明せぬか」

 

『うん‥‥‥』

 

『なのは』の理解している範囲ではあるが、一通りの事を説明。事情を漸く理解し、「ふぅむ‥‥‥」と考え込むディアーチェ。

 

『ヴィヴィオを元の時代に帰してくれるのは凄く嬉しいんだけど‥‥‥もう少しだけ、せめて闇の書事件が終わる迄で良いから‥‥‥待ってもらえないかな?』

 

「余り過去に関わるのは良くないのだが‥‥‥何故だ?」

 

ディアーチェが『なのは』を睨むように見る。確かに、これ以上の深入りは良くない。事実、『すずかの封印が解ける』のは『なのは』の知る限りの過去では一度だけだったし、ヴィヴィオが転移してきたという記憶も無い。

 

『分かってる。けど‥‥‥ヴィヴィオはまだフェイトちゃんを見付けられてないの。『自分の母親』としてのフェイトちゃんを‥‥‥だから、せめて二人が本当の意味で再会するまで待って欲しいの。お願いします』

 

そう言って『なのは』は深々と頭を下げる。「しかしな‥‥‥」と躊躇うディアーチェの袖を、ユーリが引きながら口を挟む。

 

「ディアーチェ、私からもお願いします。ヴィヴィオさんとフェイトさんを、会わせてあげたいんです」

 

「‥‥‥やれやれ、仕方あるまい。だが『なのは』よ、リミットは事件解決迄だ。それ以上は待たぬぞ、良いな?」

 

相も変わらずユーリには甘いようで、渋々納得するディアーチェ。ユーリと『なのは』の表情が笑顔に変わる。

 

『ありがとう、王様』

 

「ディアーチェ、ありがとうございます!」

 

「では我々は行くとするか。良いか?ヴィヴィオにはくれぐれも事件に深入りはさせるでないぞ?」

 

一時停止していたフォーミュラプレートが再起動され、ディアーチェ達は光に包まれ消えていく。もう一度『ありがとう』と呟いた『なのは』の視界から三人が完全に消えた所で、ファリンが歩み寄ってくる。

 

『ファリンさん。黙っててごめんなさい』

 

「‥‥‥大丈夫です。知ってましたから」

 

変わらず眠ったままのヴィヴィオとフェイトをベンチに仲良く座らせ、やっと動けるようになりヴィータを抱えたシャマルと別れ、空を見上げる二人。

 

「ちゃんと再会できると良いですね」

 

『大丈夫だと思います。フェイトちゃんとヴィヴィオは親子ですから』

 

◆◇◆◇◆

 

一方の、エルトリアへと戻った3人。窓の外を眺めたまま呆けているユーリを見付け、ディアーチェがその頭を撫でる。

 

「何を呆けておるか」

 

「ディアーチェ‥‥‥」

 

切なそうな、悲しそうな表情を見せるユーリに、頬を染め恥ずかしそうに答えるディアーチェ。

 

「‥‥‥さっきだか、アミタには我等の世界線に飛んでもらった。その‥‥‥なのはが『ゆりかご』から帰還した時の話を聞こうと思ってな」

 

「ディアーチェ‥‥‥!!」

 

満面の笑みで、涙を湛え抱き着くユーリ。「こっ、これ、離さんか!」と口にしてはいるが、ディアーチェも満更でもない様子であった。

 

 

 

 

 




『なのは』の願いを聞き入れて、エルトリア勢は一時帰還。

やはりユーリは固かった。
霊符「夢想封印・集」ファリンver.
本来攻撃スペカのため、オリジナル要素が有るのはご容赦下さいm(__)m
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