An indomitable spirit in my heart 作:アイリスさん
「見付かる訳ないよね。こんな所に居るんだもん。あれから‥‥‥1年も探し回ったんだよ?寂しかったんだよ?‥‥‥一緒に、帰ろう?」
フェイトの瞳は、今にも決壊してしまいそうな位に涙が溢れてくる。こんな所にまで探しに来てくれた愛娘の愛しい姿に、抱き締めたい衝動に駆られる。だが‥‥‥。
「ごめんね‥‥‥‥‥‥私には、そんな資格ない。私は、約束守れなかった‥‥‥ヴィヴィオを捨てたんだよ?」
フェイトはポロポロと涙を流しながら、か細い声で答える。今更、どんな顔をして抱き締めてやれば良いというのか。その場の勢いもあったとは言え、フェイトが行った時間遡行
は間違いなくヴィヴィオへの裏切り行為。大切な人を失う事がどれ程辛い事か分かっている筈の自分がヴィヴィオにした、大罪だ。許される筈がない。
「そんな事無い!フェイトママは、私のママだもん!お願い、ママ‥‥‥一緒に‥‥‥帰ろう‥‥‥」
それでも、ヴィヴィオは食い下がってくる。フェイトだって辛いし、ヴィヴィオの気持ちだって分かる。許して貰えるのなら、出来る事なら手に手を取ってこのまま未来へと戻ってしまいたい。だが、それは今は出来ない。此処まで来た事全てが台無しになってしまうし、力を貸してくれる忍やヴェロッサ、シャマルにも顔向け出来ない。それに‥‥‥最後チャンスなのだ。親友『高町なのは』を死の運命から救えるかも知れない、最後の。
戸惑うフェイトの目の前で、遂に言葉に詰まって泣き出したヴィヴィオ。フェイトは少しだけ躊躇したが、駆け寄って恐る恐る抱き締める。
「ごめんね、ヴィヴィオ。私は‥‥‥私は、なのはを助けたいんだ。だから、一緒には、帰れ‥‥‥な‥‥‥い‥‥‥」
(本当に、本当にごめんね、ヴィヴィオ‥‥‥それでも、私は)
フェイトも限界を迎えて泣き崩れる。やがてヴィヴィオが決心を固めたのか、流れる涙を拭い、フェイトに向き合う。
「分かったよ、ママ。だから、もう泣かないで。その代わり‥‥‥絶対、なのはママのこと、助けてね?そうしたら‥‥‥私達の未来も、変わるかも知れない。約束して、ママ」
力強く頷き、フェイトは涙を拭う。愛おしい娘の額にキスをして、言葉を絞り出す。
「うん。助ける、助けてみせるから‥‥‥!なのはを助けて、3人で暮らそう‥‥‥必ず!」
ヴィヴィオも強く抱き締め返してきて、暫し時間が止まったような静寂。と、何時の間に傍まで来ていたのか、アミタの声で二人の時が再び流れ始める。
「お二人とも‥‥‥もうそろそろ、宜しいでしょうか?」
◆◇◆◇◆
後から現れたシュテルに送られ、未来へと戻っていくヴィヴィオ。瞳を滲ませその姿を見送ったフェイトの肩に、アミタの手が添えられる。
「ヴィヴィオさんなら心配ありません。責任を持って未来に送り届けます。それよりフェイトさん‥‥‥シャマルさんと忍さんを呼んでください。手短にですが、説明しなくてはならない事があります」
遠くで、混沌として未だに実体化していないナハトヴァールの様子を慎重に窺いながら話すアミタ。彼女の少し沈んだ表情に不安を覚えつつも、フェイトは二人を呼ぶ。
アミタ、フェイト、それに忍とシャマルの四人だけが集まり、周りに他のメンバーが居ないのを確認して、アミタが話し出した。
「お三方にとって非常に重要な事ですので、話しておきます。ですが‥‥‥先に謝っておきます。本当に、本当に申し訳ありません」
深々と頭を下げ謝るアミタ。これから話される内容が余程辛い物なのだろうか、と悩むフェイトの隣、忍はどうやらその意味を理解したようで、険しい表情に変わっている。
「よく聞いてください。皆さんの‥‥‥記憶を封鎖させていただきます。未来と、ヴィヴィオさんに関する記憶を」
その瞬間、忍がアミタに詰め寄る。襟首を掴み、今まで見たことも無いような恐ろしい剣幕で。
「つまり、貴女は私達に、『なのはちゃんを見殺しにしろ』って言ってる訳ね?冗談は止してくれないかしら?」
その忍の威圧に臆する事無く、真っ直ぐに瞳を見据えながら、答えるアミタ。
「結果としては、そうなのかも知れませんし、言い訳する気もありません。ですが、本来『未来を知っている』というのは非常に危険な事なんです。フェイトさんなら、お分かりですよね?」
アミタの視線はフェイトへ。フェイトは確かに、未来を知っていたが為にその洗礼をこれでもかと受けてきた。死にかけた事だって何度もあった。‥‥‥だが。
「だからって‥‥‥なのはを見殺しになんて‥‥‥それじゃあ‥‥‥ヴィヴィオを裏切ってまで私は何の為に此処まで来たの‥‥‥?」
その場に膝を付き、泣き崩れるフェイト。忍の表情に一層怒りが籠り、その両手にも力が入る。
「認めない‥‥‥認めないんだから!」
これ迄、忍は未来に関する証拠を何一つとして形に残していない。証拠を残すのは危険だったからだ。クロノやリンディ達管理局に見付かればどうなるか分からないし、はやて達と繋がっているのを悟られないように、との配慮もあった。だが、それがまさか此処で裏目に出ようとは。忍だって、未来を知る事の危険位分かってはいるし、アミタの立場も分からなくはないのだ。アミタに怒りをぶつけてはいるが、これは忍の忍自身に対する怒り。‥‥‥不甲斐ない自分に対する。
「私だって辛いんです。王様達とも何度も話し合いました。ですが‥‥分かって下さい」
抵抗する事無く、申し訳無さそうに話すアミタ。忍も手を離し、その場にへたり込んだ。
(そうか‥‥‥きっとフェイトちゃんは何処かの時点で思い出したのね‥‥‥そして、私は思い出せなかった。だから、フェイトちゃんはなのはちゃんの身代わりになって、私は何も出来なかった‥‥‥最っ低)
理解して、悔しくて奥歯を噛み締める忍。シャマルも呆然として立ち尽くしている。
「本当に‥‥‥申し訳ありません。お三方、それにファリンさん、ノエルさん、ヴェロッサさんの三人も同様に、記憶を封鎖しますので‥‥‥ですが」
三人は顔をあげ、アミタを見る。「私も‥‥‥何とか考えてはみます」とだけ言い残すと、アミタはその足元にフォーミュラプレートを展開させる。
「皆さんにとって、最良の未来があるように、遠くから祈っています。では、これで」
アミタはエルトリアへと帰り、暫しの静寂。三人の記憶は封鎖され、後に残ったのはナハトヴァールとの決戦のみ。
「‥‥‥忍さん」
「何かしら、フェイトちゃん」
込み上げてくる悲しさに耐えられないフェイトは、思わず忍に抱き付き、ポロポロと涙を流す。
「理由は‥‥‥分からない。分からないんです‥‥‥でも‥‥‥凄く辛いんです‥‥‥」
忍も抱き締め返し、唇を噛む。どうしてかは思い出せないが、フェイトの気持ちが痛いほど分かる。辛く、悲しく、悔しくて悔しくて堪らない。
◆◇◆◇◆◇◆
シュテルと共に未来へと向かっている、ヴィヴィオ。その表情は冴えない。というよりも、沈んだまま。それはそうだ。未来に戻っても、大好きな人は居ない。フェイトは過去に残り、なのはだって。
「ヴィヴィオ」
様子を見かねたのか、シュテルが声を掛けてくる。力無く視線を向けるヴィヴィオに、シュテルは語る。勿論、表情は変わらない。
「いいですか、ヴィヴィオ。フェイトがどんな思いで、どんな覚悟で過去に残ったのか。貴女なら分かっているでしょう?それに、貴女は一人ではありません。未来に戻れば、友達や仲間が大勢居るのです。その人達と、フェイトの為にも、貴女は前を向くべきです」
「‥‥‥うん」
ヴィヴィオは頷くが、その表情は暗いまま。
「‥‥‥それに。フェイトを信じてあげるべきです。貴女の大切な、信頼する母親である、フェイトを」
「‥‥‥うん。でも」
言い掛けるも、未来に着いてしまった。「ではヴィヴィオ。此処でお別れです」と手を伸ばしてきたシュテルと握手を交わしたヴィヴィオは、睡魔に襲われる。
完全に眠ってしまったヴィヴィオを抱き、シュテルはとある公園に降り立つ。傍にあったベンチにヴィヴィオを寝かせ、その寝顔に語り掛ける。
「貴女の信頼する人達は‥‥‥貴女を独りにしたりはしませんよ。良い夢を、ヴィヴィオ」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「‥‥‥オ!ヴィヴィオ!」
誰かに抱かれ揺すられ、ヴィヴィオは目を覚ます。まだ寝惚けていて瞼が重い。
「良かったぁ。心配したんだよ?怪我とかない?大丈夫?」
聞き覚えのある声。「う‥‥‥ん‥‥‥」とやっと瞳を開いたヴィヴィオの目に映ったのは‥‥‥。
「探したんだよ?ヴィヴィオ‥‥‥」
「なの‥‥‥は‥‥‥ママ?」
そう。間違いなく、なのは。機動六課時代より少しだけ大人びてはいるものの、なのは本人だ。
「‥‥‥なのはママ!!」
「ヴィヴィオ‥‥‥ヴィヴィオ」
ヴィヴィオは頬擦りしてくるなのはに、泣きながら抱き付く。此処は間違いなく、ヴィヴィオの時代。という事はつまり、フェイトはなのはを助けたのだ。
「‥‥‥ママは?フェイトママは!?」
溢れる思いを必死に堪えて問う。なのはは「フェイトちゃんなら‥‥‥」としか答えない。
「ねえ、なのはママ!フェイトママは!?」
直後。後ろからトントン、と肩を叩かれる。ハッとしてヴィヴィオは振り返り、その涙腺が決壊。ボロボロと涙が零れ落ちる。
「フェイ‥‥‥ト‥‥‥ママ‥‥‥!」
「良かった。無事だったんだね、ヴィヴィオ」
間違いない。ヴィヴィオが生き別れた当時のままの、大人のフェイト。ヴィヴィオが夢にまで見た光景。なのはが居て、フェイトも居る。嬉しくて、嬉しくて堪らない。涙は止まらない。そんなヴィヴィオに、フェイトからの念話。
《‥‥‥今までごめんね、ヴィヴィオ。お帰りなさい。頑張ったね。もう、一人になんてしないよ》
《うん!》
泣き顔ではあるものの、ヴィヴィオの表情はこれ迄の人生で一番の笑顔。
それから自宅に帰ってきた三人。なのははキッチンで夕飯の仕度。リビングに向い合って座ったヴィヴィオとフェイト。
「ねえ、フェイトママ。どうやってなのはママを助けたの?」
「そっか。あの時の記憶、ヴィヴィオには無いんだね‥‥‥わかった。話してあげる」
フェイトは当時の、機動六課時代の『ゆりかご』での出来事を話し始めた。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
JS事件時。なのははスカリエッティのアジトに突入、無事一味を逮捕し、その入口へと戻ってきた。
「エリオ、キャロ」
「はい、なのはさん!」
エリオとキャロの方も、ルーテシアを無事保護。スバルは負傷して動けそうも無いらしいが、何とかギンガを保護したらしい。シャマルやザフィーラの活躍もあり、市街戦は六課の勝利だった。
「後はヴィヴィオだね‥‥‥フェイトちゃん、大丈夫かな‥‥‥」
嫌な予感がして堪らないなのはは、思わず空を見上げる。まだ上空に浮かぶ『ゆりかご
』。クロノ率いるクラウディアを旗艦とした艦隊による一斉砲撃まで、もう時間は殆んど残されていない。
《‥‥‥なのはちゃん》
と、不意にモニターが開く。相手ははやて。だが、その表情は酷く重い様子。
「はやてちゃん?」
驚き、モニターを見つめるなのは。モニターには、はやて、気を失っているであろうヴィータ、それにティアナ。それと、ティアナに抱かれ眠っているヴィヴィオの姿。場所はどうやらアースラのハッチの中のようだ。
《なのはちゃん、あのな?》
「‥‥‥フェイトちゃんは?」
はやてが話すより早く、なのはが口を開く。目を見開いたはやては、視線を逸らし言い難そうにしている。
《フェイトちゃんは‥‥‥》
なのははその場にへたり込んだ。はやてから聞いたのは、衝撃の事実。フェイトが自らを犠牲にし、四人を『ゆりかご』の外へと逃がした事。
「‥‥‥そんな‥‥‥そんな事って」
なのはの脳裏に、突入前の事がフラッシュバックする。はやての最初の作戦では、スカリエッティのアジトに突入するのはフェイトで、『ゆりかご』にはヴィータとなのはで突入する筈だった。それが‥‥‥フェイトの猛抗議で、フェイトが『ゆりかご』突入に変わったのだ。
「まさか‥‥‥フェイトちゃん、こうなるのを知ってて‥‥‥そんな」
茫然自失のなのはは、その場から動けない。もう時間は無いし、非常に濃いAMFの中を助けに行ける手段など、なのはには無い。
「そんな‥‥‥嫌だ‥‥‥こんなの‥‥‥嫌だよ」
周りの面子も、なのはに掛ける言葉を見付けられない。《ごめんな、なのはちゃん。私のせいや‥‥‥ごめんな》と繰り返すはやての声だけが響く。
そんな静寂を破ったのは、忍だった。
「確りしなさい、なのはちゃん!」
「‥‥‥忍さん?」
今駆けつけたらしい忍。その手には、大きなケース。
「フェイトちゃんを、助けに行くんでしょう!」
声を張る忍。だがなのは当然、そんな気力もない。今回ばかりは‥‥‥手段が見付けられない。
「なのはちゃん、これを」
忍がケースを開く。なかには大きな武器。
「試作品だからこれ一つしか無いわ。『ストライクカノン』よ。これなら、魔力に依らない大威力砲撃が出来る。フェイトちゃんを助けに行けるわ!」
なのはの瞳に、生気が戻る。立ち上がって、忍を見つめる。
「忍さん、私‥‥‥」
「もう時間が無い。エネルギーの消費も大きいから、残量には注意してよ?」
「‥‥‥はい!」
ストライクカノンを受け取り、なのはは今度はキャロと向き合う。何がしたいのか理解出来たようで、キャロは召喚魔法陣を展開し始める。
「なのはさん!今から飛んで行っても間に合いません!私がなのはさんを転移しますから‥‥‥フェイトさんをお願いします!」
「うん!」
直後「頼んだわよ、なのはちゃん」という忍の言葉と共に、なのはは『ゆりかご』上空へと転移した。
一方の、『ゆりかご』内、玉座の間。フェイトはその場に仰向けになっていた。
(これで、良かったんだ。なのはも助けられたし、これで)
ヴィヴィオとの約束は果たせそうにない。だが、フェイトが全てを思い出したのは、突入作戦の直前。他に手は思い浮かばなかった。
(ごめんね、ヴィヴィオ。出来る事なら‥‥‥三人で生活したかった)
バルディッシュは既にはやてに渡してある。なのはとヴィヴィオには何も残してあげられなかった。せめて形見だけでも、と思っての事だ。
(もうすぐ砲撃が始まる‥‥‥プレシア母さん、アリシア姉さん。私も、そっちに行きますから)
瞳を閉じたフェイト。
やがて非常に遠くはあるが、砲撃音と爆発音が聞こえてくる。
(始まった。でも、なんだか‥‥‥)
違和感。どうにも局所的な感じがする。音は近付いてくるが、それは頭上から。
(‥‥‥え?今‥‥‥)
確かに、何か声が聞こえた。段々近付いてくるそれは、確かにフェイトを呼ぶ声だった。最後にフェイトの視線の先の天井に穴が開き‥‥‥なのはが降ってきた。
「フェイトちゃん!!」
「なのは!?」
不恰好ながら着地したなのはが、フェイトを抱き起こす。強く抱き締められたフェイトには、状況を理解出来ない。
「会いたかったよ、フェイトちゃん」
「どうして来たの!?駄目だよ、なのは!早く逃げて!!」
なのはは苦笑いを見せる。「それがね?」と舌を出して状況を説明してくれた。
「‥‥‥だからね、脱出出来なくなっちゃって。途中で引き返す事も出来たんだけど‥‥‥私は、フェイトちゃんと一緒なら、って思っちゃった」
ストライクカノンのエネルギー残量、残り15%。どう足掻いても帰るには足りない。「馬鹿っ!なのはの馬鹿!」と泣き出すフェイトの唇を奪い合いキスをしたなのはが、少し照れながら話す。
「だから、最後にフェイトちゃんにお願い。私と‥‥‥恋人になってくれないかな?」
「なのはの馬鹿‥‥‥」
もう時間は無い。今にも最後の時を迎えるのだろう。それならせめて‥‥‥とフェイトは頷き、キスをして手を繋ぐ。
「ありがとう、フェイトちゃん。思い残す事はあるけど‥‥‥最後がフェイトちゃんと一緒なら、まあいいかな」
「えへへ」と笑うなのは。フェイトも涙を流しながらも笑い返す。そうして瞳を閉じた二人に、大きな砲撃音が聞こえてきた。
「もう、時間みたい。フェイトちゃん‥‥‥」
「なのは‥‥‥」
覚悟を決めた二人を襲ったのは、浮遊感。その違和感に瞳を開いてみると、驚きの人物が立っていた。
「‥‥‥私には、出来ません。お二人を見殺しになんて、例え博士が止めたとしても!他の時間軸に干渉するな、なんてクソ食らえです!」
「「アミタさん!?」」
同時に叫ぶ二人。結局助けに来たアミタは、持っているザッパーに出来る限りのエネルギーを込め始める。
「時間が有りません!私に掴まって下さい!絶対に、絶対に離さないでくださいよ!!」
アミタのザッパーが唸りをあげ、周囲が震える。バリバリッ、とヒビが入り始めたザッパーに集まった力を、下方に向けて放つアミタ。
「バリアントザッパー!オーバーブラストォォォオ!!」
轟音と共に、『ゆりかご』に大穴が開く。フェイトとなのはを抱き、アミタはエネルギーを再度フル稼働させる。
「行きますよ、二人とも!アクセラレイター!!」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「そっかぁ」と、頷くヴィヴィオ。ニコニコしながら聞いていたヴィヴィオに、フェイトは一枚の写真を手渡す。
「ママ、これは‥‥‥って、これ!!」
写っていたのは、ヴィヴィオ。それと闇の書事件当時のなのは。ファリンがいつの間にか撮っていたものらしい。
「この写真のお陰で、忍さんは記憶封鎖が解けたんだって。だから、今の未来に辿り着けたんだ」
「そっか。じゃあママ、今度こそ、約束。絶対絶対、絶ーっ対居なくならないでね?」
フェイトは「うん、約束」とにこやかに頷く。
そんな話をしていると、なのはがキッチンから歩いて来た。
「なーに、二人とも。内緒の話?」
「うん、なのは。ちょっとね」
なのははフェイトに顔を近付け‥‥‥その頬にチュッ、とキスをした。目撃したヴィヴィオの顔は真っ赤。
「なのはっ!?ヴィヴィオの前だよ?」
「良いんだもん」
‥‥‥後からヴィヴィオが聞いた所によると、『ゆりかご内で約束したから』となのはは半ば強引にフェイトをモノにしたらしい。フェイトはなし崩し的に今の形に収まってしまったようだ。
(これからは、フェイトママも、なのはママも居る。もう、一人じゃないんだ‥‥‥)
ヴィヴィオの心底幸せそうな表情が、これからの三人を何よりも象徴していた。
最後までありがとうございました。これにてan indomitable spirit in my heartは完結とさせて頂きます。
いやあ、あっと言う間でした。後日談とか有るやも知れませんが、今の所は予定は有りません。今後も別の所でお目にかかれれば幸いです。