ザビ家成り代わり   作:くずみ@ぼっち字書き。

108 / 112
【成り代わり】another ORIGIN 謀略の"ギレン" 54【転生】

 

 

 

「ご相談があるのですが」

 と、声をかけてきたのはゼナ・ミアだった。云わずと知れた、ドズルの未来の妻である。

 軍務の合間、昼休みに出る途中に、廊下で呼び止められたのだ。

 ともにいたリュズギャル中尉、そして通りすがりの他の士官たちが、興味深そうに、しかし横目で見ながら歩いてゆく。

「どうかしたか、ゼナ・ミア少尉」

 問いかけると、逡巡したように視線が彷徨う。

「えぇと、その……」

「どうした」

 『ORIGIN』の“暁の蜂起”時、ドズルに銃を突きつけた時には、もっと毅然とした態度を取っていたのではなかったか。

 問いかけると、ゼナのまなざしがより忙しなく動いた。

「あの――ここでは、少々」

「個人的なことか。――ドズルか」

「は、その、えぇと……そうです」

「なるほど」

 それは、ごくごく個人的な話になるだろう。少なくとも、軍部ではできぬ話である。

「では、今週末、ちょうど例の“お泊り会”がある。アルテイシアたちと一緒に来れば良い。話は個別に聞こう」

 と云うと、どぎまぎしたような顔をされた。

「よ、宜しいのですか」

「構わん。まぁ、泊まる場所は残念ながらないので、夜には帰宅してもらうが」

 アルテイシアたちもそうなのでな、と云うと、何となくほっとした顔をされた。

 まぁ、こちらとしても、流石に“弟”の婚約者を、結婚前に泊めてやるつもりはない。お互いにとってはちょうど良い具合である。

「それでは、アルテイシア様たちとともに、週末に伺います。何かご用意すべきものは」

「いらん。それより、アルテイシアたちの荷持ちを手伝ってやってくれ。いつもいつも大荷物なのでな」

「は!」

 軍務を命じられたような硬さで、ゼナは、踵を合わせて敬礼してきた。そうして、くるりと踵を返し、きびきびとした様子で去っていく。

「……あの方が、ドズル閣下の婚約者ですか」

 ゼナの姿が見えなくなってから、リュズギャル中尉が訊いてきた。

「そうだ。“ガルマ”の同期生でな、例の“暁の蜂起”の時に、ドズルの足止めを任されたのだそうだ。それがきっかけかどうか、そう云うことになったのだが」

 そのドズルのことで相談、とは――まさかと思うが、ドズルは振られてしまうことになるのだろうか。

「軍務中なので仕方ないでしょうが、何と申しますか、個人的な相談があるにしては、随分硬い雰囲気でしたね」

「まぁ、ドズルや“ガルマ”の“兄”とは云え、私とはほとんど顔を合わせたこともないからな」

 こちらは、『ORIGIN』で見ているので顔もよく知っているが、流石に軍総帥に軍の内部で声をかけるのは、少尉の位階では緊張もするだろう。こちらがザビ邸にいたなら話は違うが、何分飛び出した身でもあるのだし。

 ともかくも、“お泊り会”に参加させるのであれば、アルテイシアの許可を取らねばならぬ。

 仕事の合間にメールを入れると、割合すぐに、二つ返事で了承された。

 曰く、

「ドズル殿の奥様になるのなら、私のお義姉様になるのですもの、お力になるのは当然です」

 とのことである。

 仲良いことは美しいこと、と云うべきなのか。

 ともあれ、今週末はそれで決まった。

 アルテイシアはともかく、心配なのはララァ・スンであるが――相手はドズルの婚約者であるし、そのあたりは、女主人たるアルテイシアが巧くやってくれる、はずだろう。期待したい、切実に。

 しかして、その週末、ゼナ・ミアは子どもたちとともに来訪した。

「お、お邪魔致します……」

 おずおずと入ってきたが、その両手には大きな袋をそれぞれに下げている。

「ゼナが一緒と云ったら、料理長が張り切ってくれましたの」

 アルテイシアがにこやかに云うが、増えた量は一人前以上のものがありそうだ。

 ともかくも夕食、の後、男の子たちが入浴、他の少女たちが後片づけに勤しんでいる隙に、ゼナに声をかける。ララァ・スンがちらりとこちらを見たが、アルテイシアに突かれて向こうを向いてくれた。ほっと胸を撫で下ろす。

「――で?」

「……で」

 “弟”の婚約者と未来の“義妹”と云うことになるからか、流石に先日よりは硬さは取れたように思う。

 が、よほど云い辛いのか、少しばかり顔を赤くして、もぞもぞとしている。

「それほど云い辛いことなのか?」

「い、いえ、っ……」

 さらなる逡巡、の後、ゼナはきっと顔を上げて――それは、さながら“暁の蜂起”の時の、ドズルに“閣下のお時間を戴きたいのです”と云った、あの時の表情によく似ていた――、口を開いた。

 そして出てきた言葉が、

「閣下、わ……私は、女としての魅力に欠けるのでしょうか!?」

 ――飲みものを口にしていなくて、本当に良かった。

 もしも飲んでいたなら、吹き出してしまったに違いないほど、衝撃的な言葉だった。

 唾が気管に入りかけ、盛大に噎せこんでしまう。

「――な……何がどうなって、そんな発想に……?」

 ようようそれだけ云うと、ゼナはまなざしを膝の上に落とした。

「ドズル閣下に求婚されてから、結構経つのですが――閣下は最近、手すら握って下さらないのです。“俺の子を産んではくれまいか”とおっしゃったのに……」

 なるほど、あのプロポーズ――まったく原作のままだったのか――の後、手すら握らないでは、女性としては不安にもなるか。

 況して、ドズルの“弟”はあの“ガルマ”である。婚約者であるアルテイシアに、あれほど甘い――聞いている耳が砂糖漬けになりそうな――言葉を囁いているのを見聞きすれば、較べてしまいたくなるのも仕方ない話だ。直接的なプロポーズであったからこそ、余計にそうだろう。

 しかしながら、相手はあのドズルである。

「――今になって、照れが入っているのではないかな」

 あのプロポーズにしたところで、勢い余って、と云う部分はありそうであるのだし。

「ですが!」

 ゼナは云った。やや涙目になっていた。

「魅力的な女性であれば、そんなことはないはずです! 私に女性としての魅力が足りないから……!」

「いやいや」

 それならば、そもそもプロポーズなどしなかったはずだ。ドズルは、良くも悪くも一本気なところがある。

「他の男ならともかく、ドズルに限ってそれはない。君にプロポーズを受けてもらった後の浮かれぶりも知っているからな、それだけはない」

 それはもう、士官学校の校長を馘になったと云うのに、そのことなど忘れたような浮かれっぷりだったのだ。

「大方、君のことを大事に思い過ぎてのことだろう。気にすることはない」

 それこそ、かつてクラウレ・ハモンに云われた言葉ではないが、“釣った魚に餌をやらない”と云うか、やり忘れているだけのような気もしている。

「――ですが、これが閣下でしたら、どうなさいますか?」

 と云われても、

「……私は、義娘に“釣った魚に餌をやらない男”と云われたからな……」

 正直、ゼナに何かアドバイスできるような立場では、本当はないのである。

「それはその……義娘とは、ラル夫人、と云うことで宜しいでしょうか……」

「そうだ」

 頷いてやる。

「つまり、私が今ここでどうこう云ったところで、信憑性が欠片もないと云うことだ。――まぁ、ドズルについては突いてやるが、君が心配するようなことは何もない」

 そもそも、このところ二将官の死亡――しかも、互いを謀殺してのことである――やら、あるいはじわじわと迫る戦争の予感で、落ち着かないところもあるのだろうから。

 とは云え、それで婚約者に対するケアを怠っているのなら、それは甲斐性なしと罵られても仕方のないところではある。

 ――本当に、少しは突いてやらねばならんな。

 原作軸では、ルウム会戦時には既に子まで生まれていたと云うのに、こちらの遅れぶりは一体どう云うことなのか。

 ――待てよ。

 そう云えば、原作軸では、ゼナは多分軍人として任官されることもなく、そのままドズルに嫁いだのではなかろうか。

 対してこの時間軸では、ゼナは少尉として、内勤ではあるが軍務についている。

 そのあたりのことどもが、ドズルの態度にも絡んできているのかも知れない。つまり、暫くは軍人として、己のキャリアを高めてほしい、とでも云うような。

 まぁ、昔の結婚即退職、と云うご時世でもないのだから、それはそれであり得べきルートではあるが――しかし、求婚までしておいて、その後ほぼ放置と云うのは、時世はともかく褒められたことではあるまい。

「とりあえず、週明けには、少しあいつを突いてやろう。済まないが、今しばらく様子を見てやってくれないか」

 ここで二人の関係が拗れるようなことがあって、かれらの娘であるミネバが生まれなくなろうものなら、“ガルマ”が何やら画策することになるだろうからだ。

 そう、

「――“ガルマ”も、君が義姉になるのを愉しみにしているのだ。あまり早まったことは考えず、暫くは待っていてほしい」

 万が一のことがあれば、“ガルマ”がゼナを拉致してくるか、あるいはドズルを半殺しにするか――まぁ、とにかく大変なことになりかねないので、是非ともゼナには早まらないでほしいと思う。

 ゼナは、士官学校の同期であり、未来の義弟となるはずの人間がどんなものかを思い出したのだろう。無論、ゼナの考える“ガルマ”は、こちらの想定しているものよりも随分穏当ではあるだろうが、しかし、やる時は徹底的にやることは、傍で見ていたならばよく知っているはずである。

 案の定、暫くの思考の後、

「――わかりました。閣下を信じて待ってみることに致します」

 ゼナはそう云って頷いた。

「お話は終わったかしら?」

 そう声をかけてきたのは、アルテイシアだった。

「それなら、お茶でもどうかしら。帰る前に一息つきたくなったの。いかが?」

 と云って差し出してきたトレイの上には、やわらかく湯気をたてるカップがあった。独特の香り、これは、

「レモネードか」

「えぇ。カフェインだと、目が冴えてしまうから。ゼナさんも、どうかしら」

「――戴きます」

 そう云って、ゼナは両手で包みこむようにカップを受け取った。一口飲んで、

「……甘いですね。でも、ほっとします」

 と微笑む。

「少しだけ、蜂蜜も入れたの。リラックスできるでしょう?」

 なるほど、酸味の強い香りの中に交ざる甘さは、蜂蜜のものだったのか。

「ほぐれるな」

「おかわりもあるよ!」

 キッチンでスクイーザーと格闘中のゾルタンが云う。

「ギレンさん、お酒は入れる?」

 ララァ・スンが、スコッチのボトルを持ってくるが、流石にシングルモルトを、そんな冒瀆的な飲み方で味わいたくはない。

「いや、それは後で、そのままもらおう」

「じゃあ、おつまみ用意するわ!」

 と云う少女に、アルテイシアとゼナが顔を見合わせ、そして一緒にふふっと笑った。

「閣下も、ご自身でおっしゃるほど、“餌をやらない”タイプでもおありにならないのでは?」

「ね、ゼナさんも、そうお思いになるでしょ」

「えぇ、そうですわね」

 くすくすとこぼされる笑い。

 何となく面白くない気分になって、レモネードを飲み干す。

 週明けには、盛大にドズルを突いてやろうと思いながら。

 

 

 

 月曜日、朝一番にドズルを呼び出す。無論、ゼナ・ミアから相談された件でである。

「どうした兄貴、いや、総帥」

 ゆるい敬礼で入室してきたドズルは、デスクの前に立って云った。

「別に仕事の話ではないから、“兄貴”で構わん。――金曜の夜に、アルテイシアたちと一緒に、ゼナ・ミアが来た」

 その言葉にドズルは息を呑み、リュズギャル中尉はそっと部屋の外に出た。多分、ドアの前で、入室しようという輩を止めてくれるつもりだろう。

「ゼ、ゼナが、何故兄貴のところに!!」

 大きな手が、デスクを激しく叩く。インク壺でもあったなら、跳ねた拍子に書類などを汚しそうなほどの勢いだった。

「相談があると云われてな。個人的なことだから、軍では差し障りがあると云われれば、自宅に呼ぶよりあるまい。例の“お泊り会”の時だから、ふたりきりと云うわけでもなかったしな」

「し、しかし!」

「何だ、アルテイシアやララァ・スンがいなかった方が良かったのか? そうなれば、お前にとって、面白くない記事が出ることになったと思うぞ」

 と云ってやると、ドズルはぐぬぬと唸り声を上げた。

「そもそもだ! ゼナが一体、兄貴にどんな相談があったと云うんだ!!」

 俺と云うものがありながら! などと云うが、そう思うのなら、きちんとそれらしく扱えば良いのに、と思うのは、多分自分だけではなかっただろう。

「自分には、女としての魅力がないのではないか、とな」

「あぁ?」

「お前にとって、魅力的な異性ではないのではないか、と、ゼナはそう悩んでいたようだ。プロポーズはされたが、その後手も握られない、とな」

「ば、馬鹿な!!」

 またデスクが叩かれ、今度は端末や、重たげな水晶の群晶――ペーパーウェイト代わりに使っている――までが跳ね上がった。

「俺がいつ! ゼナに魅力を感じないなどと!! 誤解だ! ゼナはあんなに魅力的な女ではないか!!」

「それを、お前は本人に云ってやったのか」

 こんなところで云うのではなしに、と訊いてやると、ドズルは途端にもじもじし出した。

「そ、それは……」

「云わずに、手も握らずにいたのか? それは随分と、酷い婚約者だな。子を産めなどと熱烈にプロポーズしておきながら、そんな風だとは」

「お、俺は、あいつの人生に責任を!」

「ならば、手のひとつも握ってやって、甘い言葉をかけてやれ。私とは違うのだ、ゼナより軍の方が大事、と云うわけでもあるまい」

「お、おぅ……」

「“ガルマ”の真似をしようとしなくて良い。ゼナは、お前の直球なところが良かったのだろうからな、それをむざむざ殺すことはない」

「――兄貴」

「何だ」

「今から、ゼナのところに行ってもいいか」

 もじもじとしている。

「そこまで私に面倒をみさせる気か。お前も中将だ、私の許可など必要あるまい」

 行きたいと思えば勝手に行け、と云うと、ドズルは背筋を伸ばして敬礼してきた。

「では! ドズル・ザビ、これからゼナ・ミア少尉と面談して参ります!!」

「好きにしろ」

 にかっと笑顔を作ってみせ、ドズルは、ふわふわした足取りで部屋を出ていった。

 入れ替わりに、リュズギャル中尉が戻ってくる。

「大丈夫そうだったか、あれは」

 と問うと、首を振り、

「何故か壁に激突されておられました」

「壁は無事か」

「罅はともかく、崩れてはいないはずです」

「後で点検させよう」

「その方が宜しいかと」

 云いながら、外に佇むうちに受け取ったらしい、書類の束をデスクに置いた。

「“鳩”からです。ガルマ様たちの動向と、同期生たちに関しまして。――順調に、軍内部に“網”を張り巡らせておられるようで」

「あれのことだから、“糸”を手放しても、何か出てくるだろうと思っていたが――もうか」

「いえ、“糸”のような情報網ではなく、人的なネットワークのようです。ガルマ様とその同期生たち、及びダークコロニーでの僚輩などで、遊園地へ出かけられているのですが――そこに、ノリス・パッカード大佐が参加されるらしいとか」

「何」

 それは、例のギニアス・サハリンの副官であった男ではないか。

「アイナ・サハリンの件か……」

「そのようですね」

 リュズギャル中尉は頷いた。

「パッカード大佐は、どうしてもアイナ・サハリンを手許に置きたいとお思いのようです。あちらも、ガルマ様の動向を知って、遊園地へ赴かれるようです」

「ノリス・パッカードが、遊園地か」

 容貌魁偉と云う言葉が相応しい男が、遊園地。元々の「夢の国」ほどではあるまいが、子どもが多いだろう場所に、あの男ではひどく目立つのではないか。

「私が行く以上に不似合いだな」

「否定はいたしませんが」

 リュズギャル中尉は、眼鏡のブリッジを押し上げた。

「しかし、軍内部でよりは接触し易いのは確かです。まぁ、閣下も引き渡しにはまだ早いとおっしゃっておられましたし、ガルマ様も恐らく同意見でしょうから、交渉決裂にはなると思われますが」

「まぁ、実際まだ少々早いだろうからな」

 ゴシップ誌などの記者たち、あるいは特ダネ狙いのフリーの連中は、結構長々と、ひとつの事件を引っ張るものだ。「人の噂も七十五日」などと云うが、実際にああ云った輩に追い回されなくなるのは、恐らく年単位で先のことだろう。

 まぁ、そこまで引っ張らないとしても、今はまだ時期尚早に過ぎる。何しろ、ようやくひと月経とうかと云う頃合いでしかないのだから。

 とは云え、そちらについては特に心配はしていなかった。

 アルテイシアがアイナ・サハリンを保護しているのだ、である以上、“ガルマ”は、ノリス・パッカードに肩入れする理由はないだろう。アルテイシアの望まぬことなど、“ガルマ”は決してしないから。

「では、パッカード大佐については、特に?」

「あぁ。“ガルマ”に任せて良い。――しかし、ノリス・パッカードの動向など、よく押さえたものだな?」

「そのあたりは、蛇の道は蛇、と云うものです」

「なるほど」

 内勤と雖も、“鳩”は“鳩”か。

「タチが推してきただけはあるな。流石だ、リュズギャル中尉」

「私は、あまり“鳩”の実務向きではありませんので、他の“鳩”の情報を集めてくるくらいのものですが」

「いや、これはこれで得難い資質だ」

 そのあたりは、リュズギャル中尉の人徳と云うものだろう。例えば、“ガルマ”につけたトール・フォルタのようなタイプであれば、他から情報を引き出せたかは微妙なところだ。リュズギャル中尉のようなタイプは、秘書官には向きであるに違いない。

「引き続き宜しく頼む」

「私などで宜しければ」

 それを了承と取って、頷く。

 本当に、当分はこの男で問題ない。できれば、軍を引退した後も、議員秘書をやってくれるとありがたいが――流石にそれは、越権行為と云うことになるだろうか。

 ともかくも、ドズルとゼナ・ミアの件は、何とか落ち着くべきところに落ち着いたようだった。

 と云うか、案の定ドズルが、慣れぬまま“ガルマ”の真似をして滑り、さらにひと悶着あったのだとか。

 それを教えてくれたのは、議会で行きあったサスロだった。

「どうも、ゼナが、ドズルの言葉の意味をガルマに訊いたらしくてな。それで、お前に相談したところからのあれやこれやをガルマが聞きつけて、ドズルをつるし上げたらしい。まぁ、慣れんことはするものじゃないと云うヤツだ」

 そう云ってくつくつ笑う。

 まぁ確かに、サスロは直情だが、言葉選びは流石にドズルほど不器用ではない。それ故の笑いなのだろうが、なかなか容赦がないのは、まぁ性格ではあるのだろう。

「で、そう云うお前の方はどうなのだ」

 と突っこむと、こちらもわたわたとする。ドズルほどではないにしても、こちらも器用とは云い難いようだ。

「お、俺の方は構わんだろう」

「しかし、順序を云えば、お前の方が先なはずだからな」

「その言葉、そっくり返してやる。一番歳上のくせに、相手すらいないじゃないか」

「私は、一度は結婚したからな、もう構わんだろう」

「親父は諦めていないぞ。この間のランク・キプロードンの娘との話も、かなり乗り気なようだったからな」

 揶揄うように云われ、思わず渋面になる。

「止めてくれ。あの娘とは、どうこうなれる要素は皆無だ」

「そうか? 向こうも、結構乗り気だったようだが」

「父親はともかく、娘の方は、私が誰かもわかっていなかったのだ。それがギレン・ザビだった、で、頷くとも思われん。話がなくなって良かったのだ」

「そんなものか」

 サスロは首を傾げ――そして、面持ちを改めるや、顔を近づけてきた。内密の話だろうか。

「ところで、ドズルの婚約者のゼナ・ミアだが――確か、ムーアの出だったな?」

「そうだったか」

 あまり、そのあたりは記憶がない。士官学校の入学式に、生徒の名前とともに出身サイドも読み上げていたのは憶えているが、個々の生徒の出身地までは把握していなかった。

「で、それがどうした」

「ゼナ・ミアがドズルと結ばれることに、ムーアでは、結構なお祭り騒ぎになっているそうだぞ」

「それは、キシリアとシャア・アズナブルが婚約した時のように、と云うことか」

「そうだ」

 サスロは頷いた。

「ルウムの争乱の時に、キシリアをやっただろう。それもあって、ゼナとドズルが婚約しているなら、万が一の時にはドズルが派遣されてくるんじゃないかとな。――ムーアの“隣り”はザーンだ、あそこは最近、とみにコロニー同盟派への圧力が凄いそうだしな」

 お前の“休暇”は、随分ぎりぎりのタイミングだったようだな、と云う。

「確かに、ザーンの不穏さは見聞きしたが――そんなか」

 タチからも、まだそれらしいことは聞いていなかったが――しかし、訪れた時に、既に過激な学生運動やら、それを取り締まる――恐らくは――諜報員やらが跋扈していたのなら、僅かの間に自体が悪化していたとしても、あまり他のコロニーには情報は出てこないか。ザーン内部の情報統制も、あの段階で随分厳しかったようではあるし。

「まぁ、俺が知っているのも噂に過ぎん。ザーンの実態は、お前の“鳩”の方が知っているだろうからな」

「確かに不穏だったが、昨日今日で内乱が起こりそうなほどではなかったな」

 表面張力は、まだいっぱいにはなっていなかった。

 が、確かにムーアがゼナ・ミアとドズルの婚約でお祭り騒ぎなら、流石に“隣り”サイドの動向くらいは、情報統制の中でも知れる人間はありそうだ。

 そのものたちは、ムーアの騒ぎを何と思うだろうか? ルウムの一件が、ザーンでどのように報じられたかはわからないが、ある種のロマンスとして消費された、その物語の欠片でも伝わっていれば、やはり有事には、ムンゾがムーアへ部隊を派遣するだろう、と考えるものは少なくはないはずだ。

 例えば、ザーン訪問時に出会ったあの学生たちが、それを期待して擾乱を起こす可能性はあるだろうか。

 ――常識的に考えればない、はずであるが。

 しかし、過去の様々な学生運動――それらは往々にして“民主化運動”と云われた――が、巨大なうねりとなってその国の政治を揺り動かした――しかし政府による弾圧を経て、潰されていった――ことを考えれば、絶対にない、とは、云い切れなかった。

 ――戦端は、きっとザーンで開かれるよ。

 “ガルマ”の不吉な予言を思い出す。

「ザーン、か」

「思い当たる節でも?」

「それもあるが――“ガルマ”がな」

「ガルマ?」

「云っていたのだ、“戦端はザーンで”と」

 声を低くして云うのに、サスロは息を呑んだようだった。

「――では、近いと云うことか」

「残念ながらな」

 コロニー社会で唯一の“ブラックボックス”であるザーンが、連邦との戦いの端緒となるのであれば、開戦はそう遠い話ではないはずだ。

「“金庫”の貯まり具合はどうだ」

「……一年はやれる。が、それこそ一月で終わらせるつもりでいないと、年単位でずるずるいくことになるぞ」

「わかっている」

 戦争とはそう云うものだ――そして、双方によほど短期で終わらせると云う強い意志がない限り、ずるずると長引いて、国も人も疲弊することになる。

「せいぜい“風通し”は良くしておくさ」

 例え戦いがはじまってしまっても、早期に終わらせると云う意志を確認するためにも。

 サスロは頷いた。

「そっちは、完全にお前のテリトリーだからな。任せる」

 俺は、せいぜい国が破綻しないように、“金庫”の中身を増やすだけだ、と云う。

「それこそ任せた。金回りのことは、私にはわからん」

「まぁ、お互いに己の最善を尽くすのみ、と云うことだな」

「あぁ」

 頷き合い、そこで別れる。

 思っていたより、戦いの刻は近づいているようだった。

 

 

 

 サスロとの会話の流れで、久々にゴップに連絡を入れた。

〈なかなか“外交”熱心なようではないか〉

 最初にきたのは、案の定と云うか、皮肉っぽい言葉だった。

「リーアのことですか」

〈ランク・キプロードンは、なかなか蝙蝠だな。そちらにもこちらにも、良い顔をしてみせる〉

「まぁ、なかなかの政治力だとは思いましたが」

 あまり迂闊なことは云えないなと思いながら返すと、鼻を鳴らされた。

〈それだけか?〉

「正直に申しますが、キプロードン首相のご令嬢に、リーア滞在中財布にされておりまして、そちらに正体がバレないよう、戦々恐々としておりましたので、他には何も」

〈財布〉

「何と云うか、傍若無人なご令嬢で」

〈ギレン・ザビとも思えん弱腰ぶりだな〉

「女の理不尽さは、閣下とてよくご存知でございましょう」

〈……ふん〉

 鼻先で笑われるが、しかしその表情は、ゴップにもまたそのような心当たりがあるのだと云うことを表していた。

「ところで、ザーンについて、いろいろ噂を聞いているのですが」

 と、直球で訊くと、渋面を見せられた。

〈私の方も、噂だけ聞いた。何やら不穏らしいな?〉

「――閣下はよくご存知かと思っておりましたが」

 現在のコロニー社会で、最も連邦寄りなのがサイド1・ザーンなのである。

 であれば、連邦の中枢部などとも近く、特にゴップなどは内情を把握しているだろうと思っていたのだが、そうではなかったのか。

〈私の掴んでいるのも、噂に過ぎんよ。お前の方もだが、情報部が跳梁跋扈しているのではないのか〉

「――私の管轄する部署では、そのようなことは」

 そう、基本的には、“伝書鳩”は情報収集をこととする部署であり、所謂“諜報部”のような、情報操作によって世論や戦況などをコントロールする部署ではない――いや、実際にタチがそうしていないかどうかは不明だが。統制しようと思っていても、配下のものが実際に何をしているかまでは、こちらですべて把握することは不可能である。

 しかし、諜報部門がやたらと跋扈するようでは、政体としては不健全である。

 だからこそ“伝書鳩”は“伝書鳩”――つまりはメッセンジャーと云うことだ――と云う名をつけたのだ。そこに、余計な色をつけることがないように、と云う意味をこめて。

 しかしながら、タチ以下の“伝書鳩”たち、あるいは本来の軍の情報部がどのように動いているかと云えば、こちらも把握しきってはいないのが実情だ。

 無論、タチにはよく云って聞かせているので、情報操作や隠蔽などはしていないはずだ。しかし、それはあくまで“タチが把握している限りの情報において”であり、その配下が何かしていたとしても、こちらで把握することは難しいのである。

 況して、こちらの直下ではない軍情報部においてや、と云うものである。ザビ家の三人が、いずれも軍上層部にあるとは云え、すべてを正確に把握し、完全に統率を取ることは不可能だ。

 しかも、今回は遠く離れたサイド1、ザーンである。

 先だってのザーン訪問の折、タチは、ザーンのホテルに“鳩”乃至は“鳩”の協力者がいるような口ぶりであったが、それはまだ生きたラインなのか――そして、そのラインからは、まだ断続的にでも、情報が入ってきているのだろうか。

 特にザーンに関する情報は上がってきていなかったが、そのあたりのことも含め、タチを問い質さなくてはなるまい。

 ともかくも、今ゴップに云えることはひとつしかない。

「――“伝書鳩”は、その名のとおりのメッセンジャーでしかありませんよ」

 どちらかと云えば、外部では情報収集、内部では監査色が強いのだ。情報をこととする部署であるのは確かだが、情報操作に特化した部署ではない。 

 情報操作に関しては、基本的にサスロに任せることが多かった――あちらの下のどこかには、警察機構や、軍とは関わりのない情報局――中世紀の部署名を挙げるなら、CIAやSIS、KGBなどがそれにあたるだろう――があるはずだ。そちらが十善に仕事をしていれば、軍の情報部など、戦略に関わる情報の収集が中心になるはすなのだ。

 ――であれば、さて、軍では誰が統括しているのか。

 可能性として高いのは、原作と同じくキシリアだが――さて、その下の実務を担っている将校は、一体誰であるのか。

 ――あるいは、こちらの意に沿うものを、情報部のトップに据えるか。

 しかし、一番相応しい男――タチ・オハラ――は、既に“鳩”の長である。

 その次となると、ランバ・ラルは向かないし、かと云ってマ・クベも少々雰囲気が違う。

 ――まぁ、今考えることではないか。

 少なくとも、ゴップとの化かし合いの最中に考えることではない。

「その“鳩”のせいと申しましょうか、我が軍の情報部は少々……」

〈お前がか。てっきり、“鳩”と情報部をこき使っているものだと思っていたが〉

「情報将校などと云う連中は、自分のところで上げるべき情報を止め、“育てる”などと称して弄り回す輩が多うございますので」

 こちらが“鳩”などの諜報部門を重用するのは、生の、リアルタイムの情報を求めているからであって、勝手に心中を忖度された挙句、意に沿わぬ方向に事態を捻じ曲げさせるためではないのだ。そのあたりのことを考えない輩が多いからこそ、わざわざ“伝書鳩”などと云うものを作ったのである。

「閣下こそ、連邦の情報部の動きを、何かご存知ではないのですか」

〈ふん、兵站担当の人間が、情報部なぞと云う連中と関わりがあると思うか〉

「いえ」

 政治家気質のゴップも、情報部門と無縁ではないだろうとは思うが、しかし、あまり相性が良いようにも思われない。何と云うか、狸は狸であって、情報部門の連中とは相容れないように感じる。

 諜報系の人間は、割合狐っぽい雰囲気の人間が多いイメージでえる。狐とは、つまりは自分のことだ――だから、諜報や監査を好む、と云うところは、もしかするとあるのかも知れないが。

「関わりをお持ちとは思いませんが、しかし、閣下ならば、そう云う輩の動向も掴んでおいでなのではないかと思いまして」

〈それはお前の方だろう〉

「私の方は、どちらかと云えば監査ですな」

〈……ふん〉

 ゴップは、まったく信じていない顔である。

 仕方ないと云えば仕方ないが、信用されぬものである。

 せめて、ゴップに疑われても仕方のない程度に、軍情報部を掌握たできていれば良かったのだが。

 ――原作軸でも、ジオンの諜報部門、と云うと“キシリア機関”くらいしか上げられんしな……

 しかもあれは、どちらかと云えば、内部の粛清などに特化した、特高警察のようなものだったようであるし。

 しかしまぁ、情報部のトップを、咄嗟に思い出せないのは、確実に問題ではある。もしも暗躍されたとして――“鳩”を優遇しているので、水面下でいろいろ画策されてもわかる、と思いたいが――、絞め上げる相手がわからぬでは困る。

 この後、タチやドズルあたりと計って、軍内部の情報部を整備し直さなくてはなるまい。

〈――何を考えている〉

 ゴップの声に、我に返る。どうも、そこそこ考えこんでいたようだ、

「いえ、ムンゾは、軍の情報部が弱かったなと」

〈その分、お前の“伝書鳩”が幅を利かせておるのだろうが〉

「さようでございますな。しかし、情報部をきちんと統制しておかなくては、下手に暗躍されても困りますので、どうしたものかと考えておりました」

〈それだけのものを持ちながら、まだ不満だと云うのか〉

「手綱の取れぬああ云う輩は、害悪にしかなりません。それに、ものごとは多角的に見ませんと、ひとつの情報源を盲信すれば、ことを誤ることも多々ございますので」

 独裁者と呼ばれるものたちが、最終的には失脚する場合がほとんどなのは、そこなのだろうと思う。

 己の望む“報告”を上げてくるものばかりを重用した結果、己に不利な報告、耳に心地よくない言葉が隠蔽され、そこから体制そのものが崩壊していくことになるのだ。「蟻の一穴」とやらである。

〈慎重だな〉

「ものごとは、何がどう転んで、陥穽に墜ちることになるとも知れませんので」

 “昔”のあれこれを考えれば、慎重の上に慎重を重ねても、まだ足りぬくらいである。

「まぁ、私が失脚するくらいならばまだ良し、最悪はムンゾの破滅です。そればかりは容認できない」

 そんなことになれば、何のためにここまでやってきたかわからぬではないか。

 目指すは“一年戦争”敗北の回避、それのみである。勝たなくとも良いのだ、負けさえしなければ。

〈ザビ家が支配する今のムンゾで、そんなことが起こると思っているのか〉

「絶対は、生まれて死ぬ以外にはないのです。ご存知でしょう」

 生病老死、それ以外の絶対などない。盛者必衰とは云うが、人が必ず栄えるとは限らない。同じように、ムンゾの強さもまた。

「私も、後世に、悪逆の支配者と名指しされる可能性はございます。それでも、ムンゾが滅ぶよりはその名を受ける方が良い」

〈――お前が、どうしてそれほど先行きを悪く考えるのか、まったくわからんな〉

 ザビ家の“支配”は盤石だと聞いているぞ、と云われるが、それはあくまで現時点での話である。

「その時いかにもてはやされようと、“棺を蓋いて事定まる”と申します。しかも、それで評価が完全に定まると云うわけでもありません。それはもう、慎重にもなりますよ」

 まぁ、死んで随分経ったのに、死の手前での評価が覆らずに、そのままきてしまうこともあるのだし。

〈そんなに後の評価が気になるか?〉

 首を傾げられるが、こればかりは、余人にはわからないだろうとは思う。良くは云われぬ“昔”、あるいは悪し様に云われる“昔”が幾つもあると、いろいろ考えてしまうのだ。

 まぁ、

「歴史は、生き残ったものたちが紡ぐものですからな。それらのものたちに良い環境を残さなくては、永遠に悪し様に云われるだけです」

 あの時必死に組み上げたものを、後々――数十年単位のことではない――までも批難されるのは、良い気分はしないものだ。例え、その批判に十二分に根拠があるとしても。

 まぁ、“過去”を認識しないものにとっては何の問題もないのだろうけれど。

〈死んでしまえば、そんなもの気にすることもできるまいに〉

「ですから、やれるうちにやっておきたいのです」

 それが、結局は“今生”での成果を上げることにも繋がるはずなのだし。

 ゴップは首を捻る風だったが、やがてひとつ頷いた。

〈――まぁ、そう云うこともあるかも知れんな。で、そのためにどうしようと?〉

 薄い笑い。答えをわかっていて言葉を促す、紛れもなく狸の笑いだ。

「仮に――仮に、連邦とコロニー同盟が争うことになったとして、極力速やかに、停戦合意にこぎつけられるよう、連邦内部に働きかけて戴きたいのです」

〈それが容易なことではないと、お前とてわかっているのだろうに〉

「わかっておりますとも」

 主戦派の抵抗や軍人の矜持、武器商人の思惑、そして何より“市民感情”と云うものが、容易に戦争を終わらせないのである。

「ですが、われわれが強い意志を持っていなくては、停戦など俎上に載せることもできぬでしょう。ですから、お願いしたいのです。いざと云う時には、停戦の呼びかけに、閣下にこたえて戴きたいと」

 ゴップへ沈黙した。

 それはそうだろう、連邦が負けているならまだ良いが、勝っているなら軍人は進撃を続けたいものである。しかも、連邦軍としては、国力が二十分の一以下のムンゾなどに負けることは想定していないだろうから、つまり、こちらが敗北を回避するための前振りである、とも解釈できるはずなのだ。と云うか、十中八、九、そのように考えているだろう。

 しかしながら、連邦にガンダムはなく、ムンゾはMS-06ザクⅡを配備しつつある。国力はともかくとして、技術力においては、こちらが圧倒的に勝っているのだ。

 加えて、連邦軍には驕りがある。コロニーのひとつでしかないムンゾに何ができるかと云う驕りが。

 だが、仮にムンゾが崩壊すれば、コロニー同盟によって結びつきの深まった他サイド、特にルウムは、多大な影響を被ることになるだろう。それはもちろん、原作軸のルウム――戦場となり荒廃したルウムほどではないだろうが。

 だが、速やかに停戦合意が行われず、戦争が泥沼化すれば、軍隊らしい軍隊。持たぬ他サイドでも、暴動が起きる可能性は非常に高い。

 そして、暴動が起きた時、戦争で疲弊した軍隊を、さらに暴動鎮圧に駆り出さねばならないのは、連邦なのだ。

 ややあって、ゴップは深々と溜息をついた。

〈――まったく、よく人を化かす狐だな〉

 折れたのだとわかるような声音だった。

「閣下ほど狸ではございませんよ」

 笑いながら云うが、睨むまなざしが返されただけだった。

〈――まぁ良い。だが、私の力を過信してもらっては困る。私としては最善を尽くす、が、確実にことが運ぶとは思うなよ〉

「もちろんでございます」

 戦局が有利に進むうちは、連邦もムンゾも、停戦など考えはしないだろうから。

 しかし、

「そこを何とか調停するのが、閣下と私の腕の見せどころではございますまいか」

 そう云ってやると、ゴップは今度こそ苦笑した。

〈相変わらず化かす男だな。――まぁ良い、戦争は、どちらにとっても長引かせるべきものではないからな。弱腰との汚名は受けてやろう〉

「恐れ入ります」

〈お前もだぞ、ギレン・ザビ。万が一、ムンゾが押し気味であったとしても、停戦の申し入れをしたならば、速やかに受け入れるようにな〉

「もちろんでございます」

 恭しい仕種で頭を垂れるが、ゴップから返ったのは短い笑いだけだった。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。