ザビ家成り代わり   作:くずみ@ぼっち字書き。

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【成り代わり】another ORIGIN 謀略の"ギレン" 35【転生】

 

 

 

 残念なかたちで動きがあった。ルウムの件である。

 連邦軍の交渉役であるエルラン中将が、何やらあって、更迭されたらしい。後任には、ティアンム中将が就くと云う話だった。

 まさか収賄かと思ったが、そう云うわけではないようだった。

〈部隊内の不満分子を抑えられなかったようよ〉

 とは、引き続きルウムとの交渉に同席しているキシリアの科白だった。

「不満分子とは」

 連邦軍の、それも部隊内部の不満分子とは、一体何に対する“不満”があったと云うのか。

〈更迭された部隊長が、意外に人望があったらしいの〉

 キシリアが云う。

〈ルウム市民への発砲に関しても、まぁ兵士を庇うところがあったわけ。それが更迭されて、後任が、あのエルラン中将でしょう。あの将軍は、あまり部下の進退にも興味がなさそうだから〉

「……まぁ、そうだろうな」

 原作軸でも、レビル将軍の副官的な立ち位置であったくせに、ジオンと通じていたような男である。士卒の心配よりも、自分の保身を考えるのだろうな、とは思われるのだ。

 まぁしかし、今回の場合は、兵卒に人気がある方が拙いだろうとは思う。兵卒に人気と云うのは、つまり自分たちを守ってくれる=ルウムに屈しない上官と云うことである。それはつまり、自分たちの過失を認めないと云うことではないか。

「しかし、ティアンム中将も、今回は士卒を庇ったりはしないだろうと思うのだが」

 はっきりどんな人物かは知らないが、少なくともエルランのように金で動くタイプではないし、かと云って、レビルほどムンゾと戦いたい気持ちばかり、と云うわけでもない。世間的に見れば、割合バランスの取れた人間なのではないかと思う。

〈庇ってもらっては困るわ。でも、エルランと云う男は、規律を糺そうと云う気概もなかった。それをきちんと徹底できるなら、士卒も、多少の不満はあっても従うでしょう〉

「そんなものかな」

 まぁ、そうだろうが。

 つまりは、ティアンムとどう交渉するかが、今後の連邦との関係を規定していくことになるわけだ。

〈まぁ、ティアンムが連邦軍の規律を糺しきれるかはわからないけれど――エルランよりはきちんと話せそうよ。その分、交渉には手こずりそうだけど〉

「軍では今のところ、交渉役ならお前とマ・クベが双璧だからな。そのあたりは任せる」

〈えぇ、任せて頂戴〉

 キシリアは笑った。

〈それに、早く決着をつけないと、そろそろルウムの市民感情の問題もある。再度の暴発は、関係性を修復不可能にもしかねないわ。そうなれば、私たちも帰るどころではなくなってしまう――死ぬ気で調停するわよ〉

 本当は、こう云う役はお前の方が得意なんでしょうけれど、と溜息をつく。

〈まぁ、私もザビ家の人間、その名に恥じぬようにするわ〉

「頼んだぞ」

 キシリアの云うとおり、割合調停役に向いているのは、“兄妹”の中では自分だろうと思う。ドズルは人は良いが向きではないし、サスロは短気過ぎる。“ガルマ”はやり過ぎかねないところがあり、キシリアは、向かなくもないが若く、また女であるがために、交渉する相手からは舐められることもあるだろう。

 しかしまぁ、こちらか出ていっては、場合によっては事態を悪化させかねない――つまり、連邦の暴発を招きかねない、と云う意味において――ので、この場合はキシリアで間違いないのだ。

 云うと、キシリアは胸を張った。

〈任せて頂戴〉

 そうして、通信は切れた。

「……タチ」

「はい」

 例のリヒテン・ノビル中尉は、もうガルシア・ロメオ配下になるために発ってしまったので、執務室にいるのはいつもの面子である。シロッコも学生に戻ってしまったし、新たな秘書官を置かなくてはならないのだが、選別が面倒で放棄している。

 次は男か、あるいは既婚の女性士官を選ぶことにしたいが。

「エルラン中将の戻り先を確認しておいてくれ。それから、ガルシア部隊の現状と――月のアナハイムは、その後どうなっている?」

「ガルシア少将のところは、リヒテン中尉からお聞きになったかと思われますが、尉官の入れ替えがございました。ガルシア少将が、軍属以外の女を艦内に引き入れておられまして――そこに、連邦からのスパイが入りこんでいないかは、現在精査中です」

「可能性はありそうか」

「ないとは云えませんね。連邦からすれば、ガルシア少将の部隊は、やや不可解な行動を取っているように思えるでしょうから――そこに、ムンゾのどのような意図が隠されているかと、疑心暗鬼になるのは仕方ないことかと」

「まぁ実際、サイド7を探らせているわけだしな。――“レッドフォース”号は、その後はどうだ」

「まずまずの働きをしているようですね。流石にドレン中尉たちほどの“戦果”にはならないようですが、“レッドフォース”号は、サイド7を航行する船舶からは恐れられているようです」

「それは重畳」

 下手を打って、あれか元はムンゾの官製海賊であると知れなければ良いのだ。

「まぁ、サイド7は、確かに資源運搬船の往来が激しいですからね。最近は、他の海賊も出没しているようで、“レッドフォース”号だけではなくなっております。連邦は、戦々恐々でしょうね」

「それは、それなりに建造も遅れているのだろうな」

 元々一隻で襲撃していたものが、他の海賊も入ったとなれぱ。

 タチはにやりと笑った。

「えぇ、順調に遅れておりますね。そのせいで、連邦軍は、海賊討伐の艦隊を派遣する予定だとか」

「それはそれは」

 まぁ、今までは海賊が一隻しかいなかったので、襲撃されても被害は少しで済んでいた――と云っても、程度の問題だが――のに、他の海賊までが参入となると、本格的な対策を講じなければ、甚大な被害になりかねないと判断されたか。

「なかなか、この作戦は巧くいったな」

「はじめはどんな悪ふざけかと思いましたがね。まぁ、閣下は本当に、ガルマ様とご兄弟ですよ」

「最近、そのフレーズが気に入っているな?」

 と云うと、

「私の実感です!」

 と叫ばれた。少々失礼な話ではないか。

「それはさておき、その海賊討伐艦隊の指揮官は誰だ」

 それによっては、もしかしたら展開が変わってくるのかも知れないのだ。

 タチは首を振った。

「そこは、まだ。今現在、探らせてはおりますが」

「場合によっては、ガルシア部隊とぶつかる可能性も出てくる。わかったら、早々に知らせるように」

「もちろんです」

 しかし、と云って、タチは溜息をついた。

「この時期に海賊討伐とは――ガルマ様の配属と前後するでしょうが、どうなりますやら」

「そうだな――“ガルマ”の、“開戦まではおとなしくする”と云うのが、早々に破棄される羽目になるのは困るな」

 もちろん、その可能性は計算に入れてはいるが、“ガルマ”配属後即開戦では、原作軸より三年以上早い展開になってしまう。

 三年早くて“一年戦争”ならば、“姪”になるミネバ・ザビが生まれるかどうかと云うころに、戦争が集結することになるのではないか。

 まぁ、正直連邦に負ける気はしない――勝利するかはともかくとして――ので、ゼナ・ミアが不慮の事故などでどうこう云うことがない限り、『Z』や『ZZ』、『逆シャア』の流れは断ち切れると思うのだが。

 ドズルは着々と準備を進めていて、既に資源採掘用の小惑星を、ア・バオア・クーやソロモンとして要塞化しつつある。それに加えて、あと二つ三つ、小惑星を調達させている――無論、“資源採掘用”にである――と云うことだった。原作よりも幾分多いのは、戦争の長期化を睨んでのことか。

 その多い分の小惑星は、採掘後、それこそ『逆シャア』における5th ルナのように、地球に落下させることもできるのだ。

 かたちを変えたブリティッシュ作戦までも視野に入れた状態で、連邦との戦いに突入できるのは幸いだが、しかし、あくまでもこの時間軸では、アースノイドとスペースノイドの格差是正、コロニーサイドの連邦議会への参画が主眼である。やらなくて良い戦いは回避すべきであるし、無益な殺戮も避けるべきだろう。

「ガルシア少将が踏み止まって下さるタイプなら良かったんですが――何と云っても、ガルシア少将ですからねぇ」

「まぁ、期待はできんだろうな」

 何しろ、マ・クベを蹴落とすことばかりを考えている男だ。そこそこに優秀でさえなければ、少将にまで上げたいと思うようなタイプではないが、そこはムンゾの人材の乏しさである。否、連邦にとて、このようなタイプはあるか――人が多いが故に、さして目立たぬだけで。

「……まぁ、そこそこに使えるのならば、多少の瑕瑾は問うまいよ。残念ながら、ムンゾにはあまり人がないからな」

 “ジオンに兵なし!”

 有名なヨハン・イブラヒム・レビルの演説の一節ではないが、確かにジオン――ムンゾには人が少ないのだ。

 その人の少なさを、原作においては士気だけで補っていた――さながら、旧日本軍のように――部分はあったが、この時間軸ではそう云うわけにもゆかぬ。ムンゾの進退が、他コロニーの命運をも決するとなれば。

「そう云う意味では、ガルマ様やその同期は、期待の星ではあるんですがねぇ……」

 タチが嘆息する。

 が、優秀でも御し難い士卒と。ほどほどで御し易い士卒とでは――どちらが良いかと云うのは、中々難しい問題ではある。

「期待の星は、まだ期待されているだけだからな」

 “期待の星”と呼ばれた新人が、その期待どおりに活躍するかどうかは、実際に使ってみないとわからないのだ。

「まぁそうですね。指揮官が合わなければ、ただ腐らせる可能性もありますし」

「そうだな」

 しかし、そのあたりは上官の資質も試されるところではあるだろう。部下の資質をきちんと見極め、適した仕事を与えられること。それが、良い上官の条件だと思う。まぁ、実際にそれができるのは、限られたごく一部の人間だけなのだろうが。

「とりあえず、来たるべき開戦の刻までに、なるべく多くの有能な士官と兵卒を揃えること、それくらいしかできることはないか」

「それくらい、とは――それが難しいんじゃありませんか」

「何、われわれの軍は優秀だ」

 ある意味では、その優秀さこそが、原作におけるジオン敗北のもとになったのかも知れないが――連邦にすらない無茶苦茶さを誇る“ガルマ”が“活躍”すれば、そのあたりは補えるだろう。

 あとの問題は、連邦との戦いの間に、如何にしてコロニー同盟を維持していくかだ。

 強気なことを云ったとしても、コロニーは所詮コロニーでしかないのだ。軍事力のない他コロニーは、連邦に脅しつけられ、武力で制圧すると云われれば、容易く旗幟を打ち捨てかねない。

 それを、こちらがどうやって守っていくか。

「幸い、ルウムなどから志願してくる若者も増えてきたが――この危機に、ルウムへ一個中隊派遣するのもやっとであれば、ムンゾがコロニー同盟の守護者を称するのは、時期尚早だったかと思わぬでもないな」

「ルウムは、キシリア様を歓迎したと聞きますが、それでも駄目ですか」

「駄目だな。すぐに開戦しようと思い切れぬ程度には、ムンゾの国力はまだ少ない」

 まぁ、そもそもが連邦の三十分の一の国力しかないのであれば、どれほど頑張ったところで、その差は十分の一にまでも縮まることはないのだろうが。

 それを、精神論や正義のありなしで語る気はない。それは、とても戦略だの何だので語れるようなことではない。

 ただ、連邦の兵力をムンゾ一点集中にさせなければ、多少なりとも伍して戦える場面もあるかも知れない、それだけのことである。

「まぁ、個別の作戦に関しては、将官佐官の働きに期待するしかないな」

「閣下は、全部をご自身で差配なさりたいのかと思っておりました」

「馬鹿を云うな」

 思わず云う。

「私にできるのは、戦略ではなくて政略だ。連邦の退き際、ムンゾの退き際を見極めて和平交渉を申し出る、それが私の役割であって、戦闘そのものは、ドズルや“ガルマ”に任せるさ」

 戦局と云っても、極めて政治的側面が強いところしか、差配することはできないのだ。

 どちらかと云わなくても政局、そして政局である。

「私には、どちらも難しいですよ……」

 タチは溜息をついた。

 そして、思い出したように、

「あぁそうだ、月のアナハイムですが、まだ微妙な動きですね。メラニーCEOが、引き続き連邦政府に資金を注ぎこんでいるので、今後どうなるのかは注視していくべきでしょうね。それから、メラニーCEOが、月のアナハイムの動きに気づいているのかどうかも」

「見たところではどうだ」

「気づいていないようには見えるのですが――わかりません、裏で動向を察知していて、わざと泳がせているのかも知れませんし」

 確かに、その可能性は充分にあり得る。

「そうだな。とりあえずは注視するしかないか」

「では、その方向で引き続きやって参ります」

「あぁ、頼んだ」

 そう云えば、タチは自信ありげに頷いて、きっちりと敬礼をしてよこした。

 

 

 

「……妙な噂話を聞いたんだが」

 サスロかそんなことを云ってきたのは、“ガルマ”がダークコロニーに移ってから、一月あまりが経とうと云う頃のことだった。

「妙な噂?」

 何の話だろうか。掘り返せばいろいろあるが、リアルタイムでされるようなものは、今のところ心あたりがないのだが。

 首を傾げていると、

「――お前が、その、妙なMSを作らせていると」

「妙」

 妙とは一体どう云うことか。何がどう“妙”なMSだと?

「お前が、その――軍には相応しからぬカラーリングに、MSを塗装させていると聞いたんだが……」

「あぁ、桃ザクか」

「桃ザク!?」

 素っ頓狂な声を上げられた。

「――ひとつ訊くが、それは誰のためのMSだ」

「もちろん“ガルマ”だ」

 原作軸では、ガルマ・ザビのカラーは紫だった――恐らくは、髪の色とのかね合いだろう――が、“ガルマ”には似合わない。

 まぁ、だからと云って、ピンクが似合うわけでもないのだが。

「何だってそんな色に! 戦場では狙い撃ちにされるだろう!!」

「単に、キャスバルのMSを赤くしようと思っていたからだな」

 原作より深いクリムソン、あるいはスカーレットのような赤に。

 そしてもちろん、

「アムロ・レイの機体は白に。――そのちょうど中間を、“ガルマ”に充てようと思ったのだ」

 まぁ、キャスバルはともかくとして、アムロはこの時間軸では、パイロットとして戦争に出ることはなさそうだが。

「正気か!」

「我が軍では、軍服のカスタマイズも認められているからな」

 まぁ、佐官以上に限った話ではあるが。

「それを、MSにも当てはめようと云うだけのことた。何か問題が?」

「問題も何も」

 サスロはごくりと唾を呑み下した。

「……父上がキレるぞ」

「何を今さら」

 肩をすくめてやる。

「“父上”は、私が何をどうしても気に入りはせんさ。それに――“ガルマ”には恨みもあるしな」

 厨房長を焚きつけて、あれやこれやの食における厭がらせをさせてきたことについて。

「恨み?」

「食い物の恨みへ恐ろしい、と云うことだ」

 山葵ソースやプチトマトなど、積もりに積もった恨み、このあたりで晴らさせてもらおうか。

「……お前に食い物の恨みとは、似合わんな」

「私にも好き嫌いはあると云うことさ」

 “ガルマ”の夕食などに、辣韮をぶちこまないだけましだと思ってもらいたいものだ。

「……何と云うか、意外に子どもっぽい理由だな」

「食い物に、大人も子どももあるものか」

 好きか嫌いか、それだけのこと。

 サスロは両手を上げた。

「わかった、が、父上がそれで納得するかは、また別の話だぞ」

「“父上”は、何を云おうと納得などせんよ」

 そんな期待をするよりも、“ガルマ”に直接どうこうした方が、よっぽどましだ。

 デギン・ソド・ザビと云う人物は、多分、ガルマ・ザビ――“”付か否かを問わず――がいれば良いと云う、家庭人としては失格な男なのだろうから。

 ――まぁ、“家庭人”云々を、私が云うのはおかしな話か。

 こちらはこちらで、家族よりも、国や組織を愛する人間であるのだから。

「あの方は、“ガルマ”さえいれば良いのだからな。それならば、私は私で、好きにやらせてもらう。第一、軍は私の管轄なのだしな」

「――それで片がつくとも思えんが」

「知るか。納得できんのは、“父上”の勝手だ」

 ただひとりの息子可愛さだけで動く男に、兄妹で組んであたっているあれこれを邪魔させるつもりはない。

「“父上”の“ガルマ”可愛さだけで、十年近くかけて積み上げてきたものをご破産になどさせるものか」

 MSの色云々ではないにせよ。

「本当に、反抗期なんじゃないのか、ギレン?」

「云ったろう、私は死ぬまで“反抗期”だ。“父上”にだけではない、連邦のやり方に、アースノイドのあり様に、すべてに異を唱えて反旗を翻す」

 虐げられたもの、遺棄されたものの側に立つ、それが、いくつもの“昔”からくり返してきたことであれば。

「……神にでも逆らおうと云うのか」

「その神が、この世界のあり様を“善し”とするのであればな」

 そのような“神”など、万人の仰ぐべき神ではない。択ばれしものしか善とせぬのであれば、そのような“神”など討ち滅ぼし、新たな神を崇めれば良いのだ。

 サスロは息を呑み、やがて大きく吐息した。

「……お前は、ある意味、ジオン・ズム・ダイクン以上の過激派だな」

「そうかも知れんな」

 だが、ある意味では、ジオンよりも穏健でもある。

 アースノイドの優位は否定するが、かと云って、スペースノイドが優れていると云い立てたいわけでもない。

 そう、単にアースノイドだろうとスペースノイドだろうと、人間はなべて等しい権利を与えられるべきである、と云うだけのことだ。それは、実際にすべてにおいて平等――テストや徒競走の順位をつけない、財産を完全に等分に配分する、など――であるべきと云うのでもなく、生存にまつわる権利が等しく与えられるべき、と云うことである。つまり、果たされるかどうかはともかくとして、機会を均等に与えられる権利を保証せよ、と云う話なのだ。

 権利の保証であって、それ以上でもそれ以下でもない。機会はあっても、当人に能力や運がなければ、与えられない場合もある。ただ、アースノイドだから、スペースノイドだからで、例えば試験を受けることすらできない、と云う不平等を是正したい。

 この“不平等是正”がなされたところで、アースノイドにばかり大きく不利、と云うことにはならないだろう。まぁ、能力も何もなく、単にアースノイドと云う地位だけで得たものがある人間にとっては、あまりありがたくない話かも知れないが。

 そしてそれは、ムンゾ内の“名家”とて同じことだ。

 能力、と云う言葉には、知能や学力、技能の他に、人徳なども含まれると考えているので、“適材”であるならあまり恐れる必要はないだろうが――家名に頼るばかりで、人の間を取り持つことすらできぬなら、まぁ相応の立場に下げてやれば良いのだ。

「……確かに、閣下は過激派であられますな」

 茶を持ってきたタチが笑った。

「ジオン・ズム・ダイクンは、スペースノイドに“ニュータイプ”と云う夢を与えましたが、云ってしまえばそれは、敗者を慰撫する夢物語に近かったように思います。スペースノイドの方が優良人種である、なんてのは、まぁ実態が苦しいことから目を逸らすことを主眼にした言説ですからね。戦争に敗れた国民、打ち捨てられたものたちは、その事実を覆すような夢を見たがるものですから」

「そうだな。衰退しつつある民族こそが、自分たちの民族の優越性を語りたがるものだ」

 中世紀末のドイツ然り、日本然り。

 そうして自民族こそが択ばれし優良種であるとぶち上げた挙句、戦争に突入してまた敗北を喫することになると云うわけだ。

 “優良種”などと云う言葉を唱え出す段階で、かれらの民族は、もはやその活力を失いつつあるのだと云うことに、どうして人びとは気づかぬのだろうか。真に活力に満ちている時、人びとは、己の民族の出自になど意を払わぬものだ。衰退し、自民族の“特殊性”――まぁ、ここで云うような“特殊性”など、全体の“普遍性”から見れば、微々たるものでしかないわけだが――をことさらに振り回すことになるわけである。

 そう云う意味では、ギレン・ザビもまた、ムンゾ――ジオンやスペースノイドの優位を振りかざさねばならぬほど、綱渡りのような危うさで開戦に踏み切ったのかも知れなかった。

「まぁ、ジオンの云ったようなニュータイプは、棄民たるスペースノイドに与えられた、美しい神話なのだとは思うが――しかし、連邦との戦いは、美しくも何ともないものになるだろう。われわれとしては、準備万端に整えて、少なくとも、戦いの後にスペースノイドが踏み躙られることのないよう、退き際を見極めねばなるまい」

「そのためのわれわれ、と云うことですからね」

「あぁ、そうだ」

 供された茶を含んで、頷く。

 美しい幻影に溺れるのではなく、動いてみせねばならぬ。本当の、スペースノイドのあるべき“明日”のために。

「そのためにも、戦端も何も、こちらが選べる状況でありたかったのだがな……」

 まぁ、ムンゾだけならばまだしも、他サイドまでコントロールできようはずはない。

 幸いにも、今現在連邦とのごたごたを抱えているのは、最も近しいルウムである。そのことを、最大限に活かしたいと思うところではあるが――さて。

「まぁ、キシリア様次第、と云うところはありましょうな」

「身内で良かった、と云うべきかは迷うところだな」

 確かに、他の将官たちよりはコントロールしやすいが。

「俺でなくて良かったよ」

 と、サスロはやや戦慄した風で云った。

「お前とて、交渉事は不得手ではあるまい?」

「だが、俺が得意なのは、予算やら、金に関する交渉と、情報操作そのものだからな。ルウムの命運なぞ、背負わされてもとてもとても」

 肩をすくめて首を振る。

「交渉など、本質はどれも同じではないか」

「そうですよ。サスロ殿ともあろう方が、そんな弱気なことを」

「いやいや」

 サスロは、手を振った。

「ギレン曰くのガルマほどではないが、俺もやややり過ぎるきらいはあるのでな。そのあたりの見極めは、そう巧くはないな」

「お前は自信満々だとばかり思っていたぞ」

「ひとには得手不得手があると云うことさ」

「お前の不得手は、もっと別のものかと思っていたが」

「他の何だと云うんだ」

「……軍事かな」

「そっちはドズルにも勝てんさ。俺は、根っからの事務畑だ」

 確かに、そこは否定できないが。

「だがまぁ、ザビ家の皆が皆、同じような方面が得意では、互いにフォローし合うことができなくなる。得手不得手が重ならんのは、良いことだろうな」

「そうだな」

 頷いて、サスロは茶を飲み干し、席を立った。

「まぁ、例のザクの件は、父上には黙っておくさ。どうあっても、ガルマをそれに乗せるんだろう?」

「そうだな」

 キャスバル――“シャア・アズナブル”の赤と、アムロ・レイの白の間の色のザクに。

 ゲームやら何やらでは、ガルマ・ザビ専用MSのカラーリングはブラウンだったのだそうだが、“ガルマ”ならばピンク以外にはあり得ない。

「お前が“食い物の恨み”などと云うのは珍しいからな、それに免じて黙っていてやるよ。――しかし、ガルマが大人しくそれに乗るかな」

「そこは無理矢理にでも乗せる」

「お前らしいな」

 苦笑して、サスロは去っていった。

「しかし、ピンクですか……」

 残ったタチが、やや呆然と呟いた。

「まぁ、厭がらせとしては、これ以上ないんじゃないかとは思いますが――ガルマ様は、拒否なさるのでは?」

「数年来、心に誓っていたことだ。絶対に乗せる」

「いや、しかし……ピンクはないですよ、ピンクは」

「ローズピンクとどちらが良かったかな」

「……どっちこっちと思います」

「白よりは目立たんだろう」

「いやぁ、どうでしょう」

 どっちが目立とうが、正直構わないのだ。これは、あくまでも“食い物の恨み”であるからして。

「まぁ、色以外は“ガルマ”の希望どおりだと思うがな」

 鉄オル的メイスも、長いブレードも、もちろんビームライフルも装備させる。足回りも極限まで上げていて、それこそ“シャア・アズナブル”かアムロ・レイ、あるいは“ガルマ”くらいしか乗りこなせない機体になった。色以外は、“ガルマ”も不足は云わないだろう。

「その色が、結構問題だと思いますがね……」

「それに関しては、絶対に譲らん」

「――そうですか……」

 タチは溜息をつき、私は関知いたしませんよと念押ししてきた。

 

 

 

 ドズルが連絡してきたのは、それこら暫くあってのことだった。

 キャスバルの件である。

〈あれは、どうにかならないのか、ギレン〉

 と云うドズルは、弱り切った風であった。

「何の話だ」

〈キャスバルだよ〉

 苦虫を噛み潰したような顔だった。

「まだごねているか」

〈ごねると云うか、転属させろとうるさいんだよ。もちろん、配属したてで変えられんと突っ撥ねはしたが……〉

「今度はお前の方にいったのか」

 思わず呟くと、目を見開かれた。

〈お前の方にいった後なのか!〉

「あぁ。ガルシア・ロメオの下に異動させろの、MS部隊に入れろのと喧しかった」

〈あいつは、自分の立場をわかっているのかな……〉

「“ガルマ”がいくのだから、自分も、と云ったぞ。“シャア・アズナブル”ならばまだしも、キャスバル・レム・ダイクンにそれができると、本当に考えているのか」

 そうだとしたら、あまりにも現状を把握していなさ過ぎる。

 キャスバル・レム・ダイクンは、ムンゾの象徴であるジオン・ズム・ダイクンの息子である。ジオン亡き今となっては、ジオンに投影されていた様々なものどもは、すべてキャスバルに引き継がれたと云っても間違いはない。 

そのような若者を最前線に出すことを、ムンゾ国民は良しとはしないだろう。

 翻って“ガルマ”はと云うと、“ザビ家の愛されし末子”であるとは云え、既にいろいろとやらかした後である。連邦との関係を思えば、ほとんど一兵卒に等しい入隊も、最前線への配属も、致し方のないことだと納得させ易い。キャスバルとは話が違うのだ。

〈あいつらは、ずっと兄弟みたいに暮らしてきたからな。ガルマが地球に行くまでは、離れて暮らしたこともなかっただろう。そのせいだとは思うんだが……〉

「それにしても、軍務を舐めているとしか思われん」

 こちらが再三“ガルマ”離れしろと云ったのを、キャスバルは何だと思っていたのか。

「私は確かに“ガルマ”の手綱を取れとは云ったが、それは依存させるためではなかったはずなのだがな」

〈……まぁ、確かに依存しているな〉

「依存を完全に悪だと云うつもりはないが、度を越せば、いかなるものでも悪い面が出てくるものだからな」

 “過ぎたるは及ばざるが如し”とは、少し違うかも知れないが――何ごとも、過度であることは、良いこととは云えないものなのである。

「この辺で、少しばかり“毒”を抜いてやらなくては、今後まったく使いものにならん可能性もある。――だが、お前から直接云えば、われわれに直接話ができるものと思って、今後も態度が変わらんかも知れん。ドズル、お前も直接キャスバルとやり取りせず、あれの直属の上官を通して、許可できない旨を伝えるようにしろ。そして、今後は軍の規律に従って申請も嘆願もするようにせよ、ともな」

〈あ、あぁ、そうしよう〉

 ドズルは、首振り人形のように、こくこくと頷いた。

〈しかし、それでキャスバルは引き下がるかな〉

「それでも直接くるようなら、後は突っ撥ねるしかないな。ダイクン家のものだからと云って、軍を私物化することは許されんのだ」

〈わ、わかってるさ〉

 拳を握りしめ、ドズルは云った。

〈俺にも体面と云うものがある。初年度のキャスバルにいいようにかき回されては敵わん。おう、びしっと云ってやるぞ、びしっと!〉

「是非ともそうしてくれ」

 “ガルマ”と云いキャスバルと云い、ムンゾを自分のもののように考え過ぎている。

 確かに皆は、ザビ家やダイクン家のものに敬意を抱いてくれてはいるが、それがすなわち、ムンゾを自分たちの好きに扱える、と云うことではないのである。

 まぁ、多分にわかって敢えてそう振る舞う“ガルマ”はともかくとして、キャスバルは、そのあたりを少しばかり履き違えている可能性は否定できない。

 それこそこのあたりできちんと思い知らせなくては、今後も同じような調子でこられては、他に示しもつかなければ、軍の規律を乱す可能性もある。連邦との開戦を視野に入れつつある現在、ダイクン家のものがそんな風では困るのだ。

「……“ガルマ”とあまり長いこと一緒にさせておいたのは、本当に拙かったかも知れんな……」

 特に、キャスバルにとって。

〈何か考えがあるのか、ギレン〉

「ない。とにかく、キャスバルに軍組織と云うものを理解させねばなるまいよ」

 似ていたとしても、軍と士官学校はまったく違うのだ。そのことを、いい加減、心に刻んでもらわねばならぬ。

「この分では、私が以前した説教も、まったく憶えてはいないのだろうな」

 ――大体、

 キャスバルは、頭の良い――いろいろな意味で――連中だけに囲まれてきて、その上、ニュータイプたちとの関わりもあり、意思の疎通に不自由したこともない。

 実際には、話の通じる人間ばかりではなく、また、そのような察しの悪い部下を率いて出撃せねばならないこともあるのだと、どうやって知らしめてやるべきだろうか。

「……いっそ、初年兵の部隊でも率いさせてみるか」

 士官学校を出たエリートではない、軍の仕組みもよくわからぬ連中を率いてみれば、世の人びとが部下の統率に苦労すると云うのがどう云うことか、実地で知ることができるのではないか。

 そうすれば、少しは自分の立ち位置も把握できるのではないか――流石に、ランバ・ラルのような意識は無理だとしても。

〈そ、それは流石にやめた方が良いぞ〉

 ドズルは、慌てたようにそう云った。

〈キャスバルも不慣れだし、初年兵にも気の毒だ。何より、そんなことで貴重な士卒を駄目にしたくはない。――キャスバルは、気長に育てるしかないだろうな〉

「駄目か」

〈駄目だ〉

「――まぁそうだろうな」

 そもそもがお坊ちゃん育ちなのである。部下の使い方など、わかってはいない。

 原作では、“坊やだからさ”と云われたのはガルマ・ザビだったが、この時間軸では、間違いなくキャスバルこそだろう。

 確かに士官学校では、習ったとして部下としての立ち振る舞いくらいだろうが、それさえも踏み越えてくるでは如何ともし難いものかある。

「……甘やかし過ぎたか」

 原作軸の“シャア・アズナブル”がキャスバルを見たならば、頭を抱えるか、あるいは他人事として腹を抱えて笑うかだろう。

 ――本当に、どうしてこうなった。

 デギン・ソド・ザビに甘やかされた本家のガルマ・ザビとは違うはずなのに、実態はそれ以下ではないか。

〈キャスバルは優秀だが、もしかすると、それが裏目に出ているのかも知れんな〉

「なるほど?」

〈何と云うか、無駄に何でもできるからな。その上ダイクン家の嫡子だろう、人に傅かれて当然と思っているところがある。その調子で軍に入ったのでは、上官の頭越しにこっちと話をしようともするだろう〉

「……困ったものだな」

〈まったくだ〉

 思わず溜息がこぼれ落ちる。

 多分、最大の誤算がキャスバルなのではないかと思う。こちらも、“ギレン・ザビ”になったばかりの頃は、まさかこんなことになるとは思わずに、1stや『the ORIGIN』における“シャア・アズナブル”を想定してものごとを推し進めていたのだ。

 ところが、蓋を開けてみれば、“ガルマ”とともに育ったキャスバルは、原作軸におけるほどの冷徹さこそなくなったが、その代わりにひどく甘い、いかにもなお坊ちゃんになってしまっていた。

 特に、“ガルマ”にひどく依存しているところなどは、完全に想定外である。

 ――軍人として、きちんと独りで立ってもらわねばならんと云うのに……

 それどころの話ではない。

「これで、きちんと士官として、指揮官としてやっていけるのだろうか……」

〈そう焦るな、ギレン!〉

 ドズルは云った。

〈何と云っても、キャスバルはまだ入隊してすぐなんだぞ。どんなに優秀だったとしても、初年度はあんなものだ。いや、あれより悪い奴だって山といる〉

 そう云う様子は、流石に現場を見つめてきただけのことはある、落ち着いたもの云いだった。

〈お前は、ちょっとキャスバルに求め過ぎてるんだ。少し長い目で見てやれよ。あいつはいずれ、お前の期待に応えてくれるさ〉

「そうだと良いのだがな」

〈信じておけよ〉

「……努めよう」

〈そうしてくれ。――そう云えば、サスロの恋人を見たぞ〉

「ほう?」

 秘密主義のあの“弟”の、本気らしい恋人を?

〈あぁ。黒髪の、なかなか情熱的な感じの女だったぞ〉

 情熱的、と云われると、スパニッシュかラテンアメリカ系か、そちらの方しか思い浮かばないが。

「サスロは、“父上”には引き合わせたのかな」

 先日顔を合わせた時には、恋人のことなど一言も云ってはいなかったが。

〈さぁなぁ。俺は、ズムシティの街中で、遠くから見ただけだからな。とりあえず、スタイルは良かったぞ。顔までは見えなかったがな〉

「ほう」

 まぁサスロのことだから、顔もそれなりに綺麗なタイプを選んだのだろうが、それにしても、北方系が大半を占めるムンゾにおいて、遠目からでもわかる南方系を選ぶとは、よほど美形なのか、あるいは馬が合ったのか。

「それで、声はかけなかったのか」

〈俺にも連れがいたからな〉

 なるほど、ゼナ・ミアかとぴんときた。

「プロポーズは成功したのか」

 と云うと、冷やかしたわけでもないのに真っ赤になって、

〈あ、あぁ……〉

 もじもじしながら頷いた。

「では、“ガルマ”、キシリアに続いて、三人目のお前の婚約も成立か。実にめでたい」

 その上、サスロの恋人の存在も確定、となれば、そちらも良い知らせを聞ける日は近いだろう。

 そして少なくとも、ドズルとゼナ・ミアの間には、ミネバが生まれてくることは確実だから、これでザビ家が滅亡する可能性は限りなく低くなったと云うことだ。

 つまり、自分がどうにもならなくとも、恐らくザビ家は安泰なのだ。

〈お前も、あのララァとか云う娘と何かあったんじゃないのか?〉

 とんでもないことを云い出したドズルを、思わず睨みつける。

「それはない!」

 少なくとも、こちらの心づもりとしては。

「私の三分の一の歳の娘だぞ。少女どころか、幼女と云っても良いくらいだ。そんな幼い娘を、相手にできると思うか?」

〈う、む、いや、しかし、父上は乗り気のようだぞ〉

 乗り気。乗り気とは。

「とち狂っているのではないか。私は別に独りで構わんし、むしろその方が気楽で良いくらいだ。“父上”は、是が非でも結婚させたいようだが、うかうかとその手に乗るものか」

 既に一度結婚して――かつ破綻して――いるのなら、もうこれ以上は良いだろうに。

〈サスロ兄も云っていたが、本当に父上と上手くやれていないんだな〉

「“ガルマ”可愛さに大局を見失うような人物に、どう敬愛の念を抱けると云うのだ」

 人間らしいと云えば聞こえは良いが、デギン・ソド・ザビの家族愛の対象はほぼ“ガルマ”のみ、それに親愛の情を抱くには、こちらも“永遠の反抗期”で心の余裕もない。勝海舟とその父・小吉のような、激しく強い愛を受けていれば話は違うが、根本的に、高圧的な父性とは、甚だしく相性は良くないのだ。

〈お前が、そんなに父上に反発すると云うのが、俺には一番の驚きだよ……〉

「長男は反発しやすいのだよ」

〈そんなものかな――だが、だからガルマにきつく当たるんだな。そこはわかった〉

「いや、それはまた別の話だ」

 “父”は“父”、“ガルマ”は“”ガルマである。

 こちらの対応について、“ガルマ”はいつもぐぎぐぎ云っているが、正直、政治がここまで絡んでいるのでなければ――つまり鉄オル世界くらいの政治的難易度であれば、こちらもある程度野放しにしてやれるのだ。

 が、これは宇宙世紀の、しかもある意味トミノ以上に政治的な、安彦良和的『the ORIGIN』世界である。歴史上にモデルを求めれば、新撰組と、源平合戦時の鎌倉↔朝廷間の駆け引きくらいの違いがある。つまり、政治に関係するか否かの話であるが。

 とにかく、末端組織の人間であるうちは、多少の誤算は修正可能だが、そうでないとなると――わずかのミスで、天国から地獄へ真っ逆さま、なのだ。

「“ガルマ”は、戦場でこそ真価を発揮するので、あまりおかしなタイミングで政治向きに手を突っこまれると、軌道修正がな……」

 こちらにも、目論見と云うものがあるのである。

〈な、何かわからんが、いろいろあるんだな〉

 と、“ガルマ”以上の軍事畑であるドズルは、引き気味に云った。

「そうだ。ともあれ、キャスバルのことは任せた。――それと、無事にプロポーズが成功して良かったな、おめでとう」

〈……お、おぉ〉

 照れくさそうに頭を掻いて、やがてドズルはにかっと笑った。

〈今度、きちんと挨拶にいく〉

「あぁ、愉しみにしている」

 最後は和やかに、通信は終了した。

 

 

 

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