この幸せな世界の裏側で…   作:naomi

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第7話 気まずい1日

「通知来た~。今回は………20万ペル、内容は撃退数1………って俺最後のヤツ仕留めなかったら報酬無しの可能性あったのか?」

 

午前中に届いた昨日の戦績報酬に一喜一憂する新。

 

(さて、今日はなにをするかな……)

 

外に出ると隣の部屋の扉が開く。そこから出てきたのは

 

「お前……山内真緒」

 

「………なによ」

 

「お前お隣さんかよ?」

 

「…………最悪。」

 

足早に部屋を出る山内真緒。それを新は追いかけた。

 

「昨日はお疲れ!お前はどのくらい報酬もらったんだ?」

 

「…………」

 

「どこに行くんだよ?」

 

「…………」

 

「相変わらずの無視かよ」

 

「…………あのさ、イヤホン越しに聞こえてくるその煩い声どうにかならないの?」

 

「煩い声って……これは俺の生まれつきの声だしょうがないだろ」

 

「………なら私に話しかけないで」

 

「………そこまで言うかよ、……なぁ病院しらないか?」

 

「病院?貴方昨日のクリエイトでどこかやられてたかしら」

 

「いや、コンの見舞いに行きたくてよ」

 

「なに、嫌味?」

 

「別に友達が心配だから行きたいだけだ。なんだあんた昨日は別に大した事無い感じを装って実は心配してるのか?」

 

「心配?あれは戦いよ戦いに情けは無用だわ」

 

「そうか、まあいい。それで病院の場所教えてくれないか?」

 

「なんで私が」

 

「病院ったって沢山あるんだろ?行き当たりばったりで行っても埒があかないし、この町から出て司令部に訪ねねに行っても身体が吹っ飛んであの世行きだし」

 

「別にそれでいいんじゃない?」

 

「なんだと」

 

「病院は4つのエリアに1つづつしかないわ」

 

「しゃあこのエリアの病院を探せばいいのか!案内してくれよ」

 

「私、用事があるから他をあたって」

 

「なんだよ用事って?」

 

「なんでわざわざあんたに言わないといけないのよ」

 

山内真緒はさっさと行ってしまった。道行く人に道を訪ねようやくついた東エリアの病院

 

(こんな大きな病院なのに大分つくのに時間がかかっちまったな。気は進まないが課金してスマホにナビアプリ入れるか?)

 

「ピピ!御用はなんでしょうか?」

 

「金藤小次郎の見舞いに来たんですけど、病室教えてもらえないですか?」

 

「ピピ!金藤小次郎……検索中………ピピ!当階の大広間です」

 

(大広間?なんでそんなところに)

 

大広間に足を運ぶとそこはとても病院とは思えない実情が広がっていた。

 

「痛てーよ治療受けさせてくれよ」

 

「…………。」

 

「ピピ!田中正蔵死亡確認。死亡手続きの為移動する」

 

怪我で苦しむ者、咳込む者、意識があるかすらわからない者が1つの大広間に関係無く集められていた。

 

「おい!そこのAI」

 

「ピピ!いかがされましたか?」

 

「なに呑気な事言ってるんだ?早く治療してやれよ!」

 

「ピピ!この方々は残念ながら治療費として必要なペルをお持ちにならならない人が集まっています。」

 

「なっ金払えないからって、置き去りかよ」

 

「サービスを受けるのに対価を支払うのは人類が発展していくに連れて培ってきた全うな価値観ですが?」

 

「せめて軽症な怪我くらい見てやってもいいんじゃないのか?」

 

「ペルは表世界の通貨と違い収入方法が限られています。支払えもしないとわかっていながら後払いでなどこのパラテネでは考えられません」

 

(僕はもうこれしかないんです)

 

ふと頭をよぎったコンの言葉。

 

急いでコンを探す新。コンは………もう呼吸するので精一杯の状態だった。

 

「コンしっかりしろ、コン」

 

「はじめ………さん?どうし………ました………か?」

 

「諦めるなよ、助かる手段はまだあるはずなんだ」

 

「ぼく………には、お………かね……はら……え………」

 

「コン……おいコン!AI今彼はどんな状態なんだ?」

 

「ピピ!金藤小次郎は頭を激しくうちつけた影響で脳のダメージを激しく受けており、今日には死亡すると予測されています。」

 

「どうしたら彼を救えるんだ?」

 

「治療で20万ペル。すぐに支払いが出来れば一命は間逃れるでしょう。」

 

「それじゃあダメだ完治するのにどれくらいかかる?」

 

「維持するに1月20万ペル。状態にもよりますが最短3ヶ月は懸かると予測されますので彼の回復まで保証するには60万ペル。なので現時点で80万ペル支払う必要があります。」

 

「俺のペルを使ってくれ、取り敢えず治療と1ヶ月は保証出来るだろ?」

 

「時計をここにかざしてください。ピピ!渡新所持金41万ペル。彼の治療に使用した場合。残り1万ペルとなりますが、よろしいですか?」

 

「すぐにやってくれ」

 

「手続き………完了。これより金藤小次郎の治療及び入院手続きに入ります。」

 

コンの身体は治療室へと運ばれた。

 

 

 

 

 

「ここは……新…さん?」

 

「コン。良かった大丈夫か?」

 

「頭は痛いですが……なんで僕ベットの上に」

 

「治療を受けたからに決まってんだろ?」

 

「治療って僕はそんなお金………まさか新さん」

 

「あぁ俺が払った。」

 

「そんな……なんで僕なんかの為に」

 

「なんでって?友達を助けるのに理由なんているかよ」

 

「友達……ってあって間もない僕が?」

 

「たまたま俺がコンを助けて、その翌日右も左もわからない俺をコンが助けてくれて、コンのおかげでクリエイトも経験出来た。俺は充分お前を友達だと思っている。お前が俺をどう思おうが勝手だけどな。」

 

「新さん………ありがとうございます。」

 

大粒の涙を流すコン。しかしここで疑問が残った。

 

「でも僕のおった怪我って新さんの所持金だと恐らく足りないと思うのですが?」

 

「あぁ俺は残り1万ペル、お前の治療費も1ヶ月分が精一杯だった。だが安心しろお前は治るまで面倒見てもらえる」

 

「えっ?どうしてですか?」

 

「山内真緒が残りの治療費を払ってくれた。」

 

「山内さんが!?どうして?」

 

 

 

 

それはコンが治療で運ばれた直後だった。

 

(金尽きるまでにクリエイトが無いと俺もコンも共倒れか)

 

(バカじゃないのあんた)

 

階段から山内真緒が降りてきた。

 

(お前……なんでここに)

 

(私もここに用事があるからよ)

 

(そうなのか)

 

(たかが1日2日の関係を相手に自分の全財産使うとか、どうかしてるわ)

 

(全財産じゃねぇ、1万残ってる)

 

(あんた、クリエイトがもしこの間に起きなかったら死ぬのよ)

 

(わかってるよ)

 

(しかも残り最低でも1ヶ月20万。クリエイト1回ですまない可能性だってあるのよ)

 

(俺はコンが見捨てられなかった。それだけだ)

 

(なんで?)

 

(俺はコンの友達だから。確かに俺は偶然コンを救った。そしてコンは訓練所で戸惑う俺に親切にサポートしてくれた。なによりコンの頑張りがなければ、俺はあんなにも早くクリエイトに参加出来なかった。コンのおかげで俺は来て約3日で一生経験せず死んでいく人もいる唯一の生きる手段クリエイトを経験出来たんだ。だから俺はコンに感謝してるし、友達だと思ってる)

 

(………)

 

(でもこの後クリエイトに失敗したり、クリエイト事態が発生しなかったら。共倒れになるけどな。そうなったらコンに謝らなきゃな)

 

(………そこのAI)

 

(ピピ!なんでしょうか?)

 

(金藤小次郎の治療に40万ペル支払うわ。必ず完治させなさい)

 

(ピピ!手続き中………山内真緒より支払いを確認。承諾しました。最善を尽くします)

 

(お前……)

 

(勘違いしないでよね、彼がああなった原因は私にありからそれで死なれちゃ嫌ってだけよ)

 

(ありがとう。山内)

 

 

 

 

「そんなことが……山内さん」

 

「早く治してお礼言ってやれ」

 

「お二人共、本当にありがとうございました」

 

「へっ、また見舞い来るからよ。ゆっくり休んどけ」

 

照れながら病室を立ち去る新。

 

「だとよ」

 

「………。」

 

「でも、ありがとうな、代わりに払ってくれて」

 

「さっきも言ったでしょ、彼に死なれたら後味悪くて嫌なのよ」

 

「そういえば、なんでお前この病院にいるんだ?」

 

「だから用事があるって言ったでしょ」

 

「実は俺の言葉が引っ掛かってついて来たとか?」

 

「ウザ………ついて来なさい」

 

とある病室につれて来られた新。そこには1人の女の子がいた。

 

「あの子は?」

 

「私の妹よ」

 

「えっ、妹?」

 

「病気で入院している時に、両親が死んだ。引き取り手がいなかったから、この施設内ってことに抵抗があったけど、私はここにしかいられないからこっちへ病院を移したのよ」

 

「………。」

 

「これが私の用事。わかった?じゃああの子待たせてるから、さっさと何処か行ってくれる?」

 

「おっ、おう」

 

「お姉ちゃん遅い~」

 

「真由ごめんね」

 

妹の面倒を見る姿に彼女の違った一面を見た新は、その姿を暫く微笑ましく眺めていた。

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