アイプラ 短編集   作:如月遥

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葵×手料理=深夜の飯テロ

「くぁ…疲れたな…」

芽衣と怜の期間限定ユニットに関する打ち合わせが想像以上に長引いてしまい、事務所に戻ってきたのは深夜になろうかと言う頃合いだった。

(腹は減った、が、流石に何もないもんな…)

一人ごちながら事務所のドアを開ける。今日の打ち合わせの記録もまとめなくてはいけない。

自分のデスクに腰を下ろす。とりあえず栄養ドリンク1本くらい飲んでから今日の打ち合わせのまとめをするか…と考えたとき。ドアが開く音がした。

(この時間に事務所に残ってるのって誰だ…?)

ドアに視線を投げると、葵が入ってくるところだった。

『お疲れ。なんかげっそりしてない?』

いつもの軽口。ただ、それなりに気遣ってくれていることは伝わる。

「ああ、思ったより打ちあわせが難航してな…」

『どうせ、その分だとろくにご飯も食べてないんじゃないの?』

「まあ、な…食べる余裕すらなかった、というのが正解か」

溜め息ひとつこぼしながら鞄の中のノートを取り出す。メモした内容と、ボイレコで録音した内容を突き合わせながら報告書と企画書を作らないといけない。

『だろうと思ったよ。…ならある程度の量は行けるよね?』

「? どういうことだ?」

『少しキッチンを借りるよ、また後で』

それだけ告げて事務所を出る葵。相変わらずよくわからない奴だが…まあ、葵なら何かしでかすようなことはないだろう。まずは目の前の仕事を片付けなくては。

ノートに取ったメモとボイレコの内容を照らし合わせながら報告書と企画書を打ち込む。無機質な打鍵音だけが深夜の事務所に響く。時間をかけて打ちあわせしただけの労力には見合う内容になりそうだ。一通りまとめ終わったので保存をかける。

席を立ち、ひとつ背伸び。心地よい痛みとともにバキバキと縮こまっていた骨が伸びる音。とりあえず水分補給だけでもするか…と給湯室に向かおうとしたときに、再び事務所のドアが開いた。

『お待たせ。手抜きだけど、とりあえず食べてよ』

丼に山盛りに乗った肉からは焼き肉のタレをふんだんに使った香ばしい香り。この時間帯にこの香りはまさに暴力的。一気に掻っ込む。行儀がわるい? そんなのしったことか。口のなかに一気に広がる二区の弾力、タレを吸った米、そして、キャベツの千切り。

『そのままだと喉に詰まるよ』

マグカップに入ったスープを押し付けられる。一息ついてスープを流し込む。熱を持った液体が流れ込む感覚は脳への目覚めの刺激。気がついたら丼もマグカップも空になっていた。そんな俺を見た葵は少し口角をあげる。

『兄貴たちとそっくりだ』

「ん? なにか言ったか?」

『いーや、何でもない。食べ終わったら、とりあえず食器は水に浸けといてよ。それじゃ、お休み』

…相も変わらず猫のように気まぐれな奴だ…まあ、それもあいつの魅力なんだが。それに、意外な一面も見られた。

そうだな、次は料理番組のオファーがあったら推薦してもいいかもしれない。

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