アイプラ 短編集   作:如月遥

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なかなか情報が出てこない橋本さんを題材にしております。
情報が少ない=設定つけ放題、と割りきってご覧ください。


さとみ×インタビュー×ドライブ

『橋本さん、ちょっと頼みがあるんだけど…いいかな』

先輩から気まずそうに声をかけられた私、星見プロダクションの新人マネージャー、橋本さとみです。

「先輩? どうしたんですか?」

『取材のオファーが入ったんだけどさ…』

なんでしょうね?どうも先輩の表情がいまいち乗り気じゃない感じです。

「取材ですか?ありがたいじゃないですか!で、どのグループの取材ですか?」

はぁ、と小さく溜め息をついてから、先輩はぽつっとつぶやきました。

『それが…俺たち、マネージャーへの取材なんだよ』

「へ? マネージャーの取材…ですか?」

『そう。【新進気鋭の星見プロ、その裏側を支えるマネージャーに密着!】だとさ』

「えええええええ!?なんでアイドルじゃなくてマネージャーに密着取材なんですかぁ!?」

思わず声が裏返りました。

『ネクストヴィーナスグランプリのトップ4が在籍する事務所。これだけでも話題性が高いってのはわかるよね』

一息つくようにコーヒーを流し込み、先輩が言葉を続けます。

『それぞれのグループで新曲も多数出ているし、さらにはクロスユニットも出てきた。これだけ多忙な事務所の裏側を伝えることで、各芸能事務所の裏方さんたちに光を当てたい…ってことらしい』

「こここここ、光栄ですけどそんなししししし、取材したっておおおおお、面白くもなんともないじゃないですか!」

さすがにテンパりました。でも、それも先輩の次の言葉でさらにひっくり返ります。

『うん。だから、逆に…オフ限定ってことにした』

「え?オフ…限定?」

ちょっと何言ってるのかわかんないですよ!?

『そう。これなら少なくとも月スト、サニピ、トリエル、リズノワ…みんなには迷惑がかからないからね』

先輩は再び言葉を切り、私の目を見ながら、真剣な表情で言葉を紡ぎます。

『なんとか引き出した妥協点なんだ。橋本さんには申し訳ないけど…協力してもらえるかな?』

「…他でもない先輩からここまで頼み込まれちゃ断れませんよぉ…わかりました、お受けしましょう!」

『助かるよ。俺も俺で取材がつくから、あとはうまいこと打合せしていこう』

というわけで、なんの因果か私が取材される立場になっちゃいました。

 

-+-+-+-+-+-

 

 

「は、橋本さとみですっ!星見プロダクションでマネージャーやってます!」

あー!めちゃくちゃ声が裏返ってる!

『あはは…だいぶ緊張してますね?気楽にいきましょう』

インタビュアーさんはそういいますけどそんなの無理ですよぉ!せんぱーい!

『で、今回はマネージャーのオフの楽しみを聞きたくて取材させてもらってるわけなんですけど…橋本マネージャーの趣味って何ですか?』

「あ、はいっ!私の趣味は…実益も兼ねてるんですけど、ドライブですね!」

『ほほう、ドライブ…じゃ、早速行きます?』

「ほぇ…?…いいんですか?」

『ええ、橋本マネージャーに密着するのが今回の目的ですから』

「わっかりました!じゃ、早速行きましょう!」

 

「これが私のプライベート用の愛車、BOON X4(ぶーん くろすふぉー)でっす!」

『おー…助手席にも運転席にもバケットシートに四点式のシートベルトとか…んん?四点式?』

「ふふふふふ…今日はとこっとんお付き合いしてもらいますからねぇ…?」

 

そう、実は私…ちょっとした走り屋だったりするのです。

国内A級*1とはいえ、ライセンスも持ってますし、やろうと思えばレースでサーキットを走れるんですよ?

 

 

「はい!というわけで、やって来ましたスポーツランドやまなし!」

今回は【公道を走れる車でサーキットを走る】だけですので、そこまで大仰ではないんですけどね。まずは受付…書類と、必要事項、あとは料金ですね。

よし。じゃ、ちょっと着替えてきます。え?何でかって?サーキットを走る以上はそれなりの準備が必要なんですよ!

 

…着替えなう…

 

ヘルメットよっし、レーシングスーツよっし、グローブおっけー、レーシングブーツ、よし!準備完了しました!

『おー、本格的ですね!』

記者さんもちょっと驚いてるかも。いいですねー、新鮮です!

「身を守るためって意味もありますからね!ただ…サーキット走行中は同乗不可*2なので、申し訳ないんですけど、撮影はピットゾーンでお願いしますね!じゃ、橋本さとみ、BOON X4、出発しまーす」

 

「さーて…どんどん攻めて行っちゃいますか!」

ハンドルを切ったときに感じる、横方向に振られる感覚。アクセルを踏み込んだときの車窓に流れる風景。

サーキットなので千変万化とはいかないですけど、あっという間に流れていく景色はホントに自分が風になったみたいですごく愉しいです。

ホント言ったら…二輪のライセンスもとるべきなんでしょうけどねー。そうしたらホントに風になれるかも、なんて。

【BOON X4のドライバー、まもなく時間です。ピットにお戻りください】

あー、もうそんな時間なんだ。残念だけどピットに戻ります。

 

「…って訳で…今回はサーキットに来てみたわけですけど、どうでした?」

『市販車でも走ることができるってのは初めて知ったのでちょっとビックリしましたね』

「こんな感じで良ければ、ライセンス無しでもきちんと申請したらサーキットで走れるんです!是非、興味のある方は挑戦してみてくださいね!」

 

-+-+-+-+-+-

 

 

『今、サーキットを走ったわけですけど…一般道のドライブとかはされるんですか?』

「そうですねー、海岸沿いのドライブもしますし、峠を走るのも好きですよ?」

『じゃあ、その辺りのドライブスポットもご紹介いただけます?』

「紹介しちゃっていいんですか?いいんですね?」

『お、お手柔らかにお願いしますね?』

ふっふっふっ、ちょうどここ、スポーツランドやまなしのそばにはいい感じのツーリング向けの道があるので、そちらをご紹介しちゃいますよぉ!

「まあ、まずは軽く腹ごしらえといきましょうか。記者さんもどうぞー」

恐る恐る助手席に座る記者さん。大丈夫ですよー、他人の命を預かる以上は安全運転でいきますからね! というわけでしゅっぱーつ!

 

 

はい、というわけでそば 甘味処 宮沢橋さんです!

『へぇ…きれいなレストランですね』

「そうでしょそうでしょ!? ここ、さっきのスポーツランドやまなしさんからそこそこ近くてよく寄るんですよねぇ」

ここでは私は天ざる、記者さんは天ぷらそばを注文。

「あ、あまり食べ過ぎたらこの後大変になりますからねー。少し余裕がある状態がおすすめですよー」

『…わかりました汗』

結構ワインディングきついですからね、ゆっさゆっさ来て胃とかにダメージ来ると…ってこともありますから。

 

食休みの後はいよいよ一般道*3でのツーリングです。

この時期ですと山も深いですし、緑がきれいかな。私も食べてすぐですから、無理はしない範囲でのドライビングに努めます。

「このあたりから外を見てるとすごく雄大で気持ちいいですよー」

『わぁ…!確かにこれは良い景色ですね』

「でしょ?お気に入りのルートのひとつなんです。凹んだときも…ここの景色見てたらどうでもよくなっちゃいます」

なんとなく落ち着くんですよね…走りでヒートアップしてるのを落ち着かせるにも良い場所です。

「さて、のんびりと戻りましょうか」

『そうですね、良い景色も堪能できましたし』

では、解散するまでが密着取材、安全運転でれっつごー!

 

「はい、お疲れ様でした!」

『いやー、なかなか珍しい体験もできましたし…あの自然もすごかったですね』

「喜んでもらえたなら何よりですっ!これで、何とかなります?」

『そうですね…うまいことまとめてみますよ。また、原稿ができましたら確認してもらうためにお持ちしますね』

「今日はありがとうございましたー」

『いえいえ、こちらこそりがとうございました』

ふぅ…やっぱり人の命を預かる運転はプレッシャーがかかりますね…今度は一人で気ままなツーリングしよっと!

*1
※国内ライセンスにはAとBがあります。Bの場合は自分1人で走行するラリーなどでのライセンス。Aだとサーキットでのレース走行が可能です。

*2
※実際スポーツランドやまなしではサーキット内での助手席搭乗が禁止されています。

*3
今回は昇仙峡グリーンラインを走りました

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