その綺麗な青い空に目を奪われた……
青空が映す世界を汚したくないと願った少女は剣を持って、戦いを選んだ。
だが…少女は木を守るだけで生涯を終えてしまったのだった…
あたりは血塗れだった。
見渡しても見渡しても、血の海……
「これが、貴様の正義の結末だよ」
悪魔と思しき、影は、僕に笑みだけ向けてそう言い放った。
「……嘘だ……嘘だ!」
悪魔に背を向け走り出す。
「逃げたって無駄さ。貴様の正義は人を殺し続ける。」
頭に響く、不快な声。
「!?」
なにかに躓き、原因を見る。
そこにあったのは……
ーー
「起きて!」
少女の声と共に、しゃーっとカーテンが開く音がする。
その小窓から朝の光が差し光、部屋の中を照らす。
僕は、寝覚めが悪いと思いながらも重々しく体を起こす。
「恋人に朝起こされて機嫌最悪って中々贅沢なことで。ひさひさ」
白いゆるゆるのローブを羽織ってる少女が不機嫌な顔で言う
「まぁ、ひさひさが無愛想なのは昔からなわけでして…
それを理解してあげてる私……やっさしい~♡」
「うるさ……い。だいたい…僕は夜型だし…」
霞んでる景色が徐々に色付いていく。
銀髪を後ろで軽く結ってる少女が映る…クリュア・シルバースノー…僕の彼女だ。
「ひさひさがちゃんと起きて、朝ごはん食べるなら、わざわざこんなことしなくてもいいんだけどねぇー?」
「ふぁー……後……1時間寝る」
布団を被り直そうとすると、カチャと音がする。
「クリュアちゃん、優しいから一撃で葬るよ?」
「彼氏に……刀向けるやつが優しいのなら、世も世だね…。」
「それに…シスターさんのご飯食べ逃すよ?」
「それは一大事だね…起きる。
そろそろアレイスも定期報告で帰ってくるだろうし。」
のそのそっと布団から出て軽く身支度する。
少女は刀を鞘に収めると、簡単に鞘ごとどこかに消してしまう。
「…はぁ……戦闘中はカッコイイのになぁ……」
ボソッと言った少女の声は、彼には届かなかった。
ー食堂ー
「シスター!来たよー!お兄ちゃんたちー!」
修道服を着た子供たちが出迎え、賑やかな食卓になる。
食堂に入ると、中央あたりで手を振ってる赤毛の少年がいた…アレイスだ。
既に確保していたのか、僕とクリュアの分を机に並べて待っていたらしい。
軽く手を振り返し、子供たちに引っ張られながらも席に辿り着く。
「相変わらず人気やな。ひさやんは?
子供らの注目の的やん?」
「そうなの…アレイス……聞いてよ。
ひさひさったら、ここの女の子たちに引っ張りだこでさ…」
「(もぐもぐ)」
黙々と食べる僕を他所に、愚痴を言うクリュアと笑いながら宥めるアレイス。
「愚痴零すのもいいが…定期報告頼むよ」
僕がそう言うと、アレイスは…
「4時から8時の4時間、森ん中見て回ったけども異変無しやな。
魔物の気配は沢山あれど…大した強さはないな。
この教会の結界を越えれる程のやつはなし。
必要ないとおもたけど、見つけた魔物は全部倒してる。」
食べながらも淡々と報告する
「精霊が堕天してる可能性は無いの?」
クリュアがそう聞くと、、、
「無いな。こんだけ綺麗な場所でそんな奴おったらさすがに目立つし、ワイも気づく。」
あっけらかんと報告するアレイスに……
「ふむ……」
僕は頷く。
「シスターさんを疑う訳じゃないけど、3日間調査活動して成果なしは正直にもうどうしようもないよね〜。」
「せやな。ひさやんの知り合い言うから着いてきたけど。料理がめちゃ美味い以外は成果なしやな。」
「…知り合いじゃなくて、僕がこの孤児院の出身なの言ったよね?
その時の育て母がシスターさんのお姉さんだったってだけの関係さ。
まぁ……そのお姉さんは僕が殺したようなもんだけどね…」
「「……」」
「状況から考えるに知能犯……考えたくは無いが人間の可能性も考えよう。
僕らに出された依頼は、これ以上、子供の被害者を出さないことだ。
森に危険はないってわかった以上、この教会内が怪しい。」
「じゃーその辺は中に詳しいひさやんに任せるわ。
ワイも全部探したわけじゃないし…外もうちょい警戒するわ。」
「クリュアは近くの町から少し情報収集して欲しい。
この教会だけじゃなく、町にも被害が無かったかどうかをね。」
「りょー」
2人は立ち上がり出口へ歩いていく。
そすると大勢の子供たちが構ってと言わんばかりに、2人にくっつく。
「……じゃ、解散…」僕は2人を見捨てた
さて話を戻すと…
僕らは今、町から少し離れた森の奥にある町外れの遠すぎる教会にいる。
そうなったのは今から5日ほど前に僕がギルド協会で貼りだされていた依頼を見つけただからだ…
内容も曖昧な上に、依頼料も言ってはなんだが割に合わない額…
そんな依頼だったが、僕は即座に受けた。
【子供の数が日に日に減ってる。
1週間ほど前から子供達は怖がってどんどんやつれていく。
孤児院の為……お金は少ないですが……3食と寝床は出します……
どうか……解決を】
理由の1つとしては、先程言った通り、僕がこの孤児院の出身だからと言うのが大きい。
クリュアとアレイスも子供が嫌いなわけじゃないし戦闘となったとしても僕にとって2人ほど安心して背中を預けれる人間は居ない。
そんな僕らが来て、シスターさんも安心したのか手厚い歓迎を受けて事情を聞き、とりあえず3日間調査しているのだが…
森周辺は雑魚の類の魔物ばかりで微弱ではあるが教会の結界を越えれる様な魔物は見つかってない。
そして、最悪の可能性としては、教会の結界を補助する精霊が堕天した場合だが、これも結界が維持出来てる為、選択肢には無い。
「さて…僕もそろそろ……」
立ち上がった途端、1人の女の子が僕の横に駆け寄ってくる。
「ねえねえ?」
「ん?」
「お兄さんたちって強いんだよね?」
「そだね。特に今囲まれてる兄さんは力持ちだから後で肩車とかしてもらうといい。」
「じゃーお兄さんは弱いの?」
純真な目でどキツイ事を直球で聞くな……この子は……
「僕は足が速いだけだからね。力は言うほどないかなぁ?」
「ふーん。じゃーお兄さんじゃないんだ」
女の子は何か知らんが意気消沈したらしくそっぽ向いて、少し僕から距離をとる。
「じゃー誰なのかな?」
その笑顔は…凍り付いていた気がした。
突如……怒号が鳴り響く。
「
壁に対しての攻撃を少年を巻き込んでの突進攻撃。
土煙も相まって、少年の姿は見えない。
「え?え?何がどうなって?え??」
そんな中、シスターさんは少し動揺をしたが、すぐ様自分のなすべき事を思い出せたのか首を横に振り……
「と、とにかく、皆さん出口へ!聖堂まで!!」
「はーい、おねえちゃんに付いてきてねー!アレイス!そっちお願い!」
子供達の先頭をクリュアが先導する。
アレイスは子供たちの最後尾まで瞬時に移動し、ハグれがないか確認し、懐にあるナックルを取り出す。
「ひさやん!無事か!?」
土煙も落ち着いた頃、さっきまで小さな少女だったモノは…イノシシのデカい怪物と化していた。
「ワタシの!食糧をぉ!かえせぇ!!!」
突進された少年はかなり小柄であるが故に普通であれば大惨事なのだが。
「最初からキミだと分かってれば…突然襲ってこようが、対処は出来る。」
「ぐぎゃあああああ」
怪物の咆哮を真正面で聞き届ける……
僕は、2本の剣を交差させて前へと突き出し右足を前へ踏み出し左足を軸にして突進を壁ギリギリで耐えていた。
「
押し込まれる力を加える…それが向こうの答えだった。
このまま競り合っていても押しつぶされるのが関の山だろう……
ただ…僕は時間を稼ぐ必要がある。
「クリュア!アレイス!避難を急いで……ここはスグ戦場になる!」
「わかってるてば!」「わかっとる!」
4、5人程度だが、集団から逃げ遅れてる子供たちが居る。
アレイスが回収してはクリュア達の方まで誘導して居るが…
「潰れろォおおおお」
怪物の咆哮まじりの攻撃が力を増す。
「…ここが分水嶺みたいだね。このままだと、剣が折れそうだから……ね」
柄を握ってる手に力を入れ直す。
「星空型…」
前へと踏み出してる足に力を入れ……一気に剣を振り下ろす!
「吹き荒れろ!鎌鼬!!」
瞬間、化け物は少年の剣に僅かに後退し、少年と化け物の間に風の刃が無数に発生する。
「グギャァ!」
「申し訳ないけど、もう僕には近付けない。
君の周囲はもう風の刃が囲っている。」
化け物はもう一度突進しようと姿勢を戻すが戻す過程で、空間に発生している刃に触れてしまい思わぬ大ダメージを受け怯む。
しかし、怯んだその後ろにも風の刃があり化け物は四方を囲われてると痛みで理解する。
「ひさやん!決めてまえ!」
「ひさひさ!いっけー!」
外野の2人が僕に合図を送る。
「だそうだから、遺言聞くけど?ある?」
「こんなガキどもの場所でワタシが!
チビ一人!!!!たったひとりに!!!」
猛獣は、叫び散らして痛みを無視して姿を変える。
「猪の次はゴーレムか。化けてたのが人だったからメタモル種だとは思ったけど…」
大の大人の2倍の岩石の体に変貌する、こうなれば刃が身を刻む事は無い。
……この教会……何メートル天井あるのか…そう思うほどに巨人はみるみる、大きさを変えていく。
しかしどれだけ大きくなろうと建物の天井には頭が届かない。
ふと入り口に目をやると、本を片手に魔法を詠唱し続ける少女がいた。
「…クリュア。この魔法しんどいだろうに……。」
思考を遮るかの様に、ゴーレムは左腕を振りかぶり叩きつけに来る。
「星空型」
僕は左の剣を逆手に持ち替え、跳躍してゴーレムの拳に向かって突っ込む。
「ばーか!!!空中では、避けれないでしょぉ!!!」
「問題ないよ。デカいだけしか取り柄ない君に僕を攻撃するのは不可能に近い。」
拳が左手の剣に掠った瞬間、技が発動する。
「月と星々の煌びやかな光を……」
短文の詠唱を終えた後、少年は怪物の視界から虚ろと消える。
「!?」
拳を戻そうにも、完全に重心がそっちへズレてる為、巨体では修正が効かなかった。
「朧月」
声が聞こえたのは、自らの後ろ上空…
「この!!!!」
地面を抉り、礫を苦し紛れに投げる。
「クリュア!お願い!」
その一言で少女は待ちわびてたのか、指をパチンと堂々と鳴らした。
瞬間、無造作に投げられた礫は全て目の前から消える。
「どうなって……」
怪物は理解を越えてしまったのか、思考を放棄する。
「星空型…」
礫は消えたのではない、移動したのだ…空中での僕の足場になる為に。
足場の礫を一気に踏み出して空中を高速で落ちていく。
「
1つの流れ星の様に線を描いて、加速していき、敵を両断する。
すたっ
「ゲームセット。僕の勝ちだ」
「ぃぎゃああああああ」
剣を鞘に直すと同時に切り裂かれた敵は断末魔をあげて塵と化す。
ふぅとため息をひとつ付くと、剣は鞘ごと消える…
「二本も剣要らなかったなぁ…」
そんな愚痴を零しながら依頼完了の報告をするためにシスターへと歩み寄るのだった。
「ギルド、円卓の星空。リーダー、白咲 陽鎖刀
教会からの行方不明事件の解決を承諾願いたい。」
「あ、、、はい。本当にありがとうございました!」
「「「「「ありがと!!!」」」」」
そんな子供たちの笑顔に見届けられ、割に合わねえなぁと思いながら僕らは教会を後にしたのだった。
「ねえ、ひさひさ」
「ん?」
「次回予告ってどんな風にするの?」
「あ〜…適当でいいんじゃね?」
「「じゃー次回。」」
〝星空〟(ステラ)