見上げた星空に英雄譚を   作:小鳥遊 白奈

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少女は悩み続けた。行き場のないこの場所で…
戦いの果てなど有るのかと……
そして…少女は悟っていた。

この場所での戦いは永劫であるという事を…
それでも…彼女が武器を手放さなかった。最後のその瞬間まで…
そんな少女を星々と1人の小さき少年が見守っていた


星空/ステラ

「はい。クエスト完了お疲れ様でした!」

 

ギルド管理局にて受けていたクエストの終了報告をしに来た。

 

「しかし、相変わらずステラさん凄い強さですね〜」

受付嬢が話しかけてくる。

ステラと言うのは、僕の冒険者名みたいなものだ。

 

「今回は、Crank以下の魔物だったからね。★★も有れば誰でも出来るよ…こんくらいは。」

 

「それもそうですね〜。でも実際、教会のクエスト誰も受けてくれなくて困ってたんですよ…教会の結界が崩れると困るんですけどね…普通は……」

トホホ……と置いてあった緑茶を啜りながら話を進める。

 

「それより…教会周辺の魔物は定期的に倒した方がいいね。

あそこ、無限湧きするから。」

「そうしたいのは山々なのですが…何せ万年人手不足…

ステラ君が、その剣で一掃し続けてくれると助かったり?」

 

その質問に対して僕は首を横に振る。

 

「無理ですね。」

「ですよね〜。」

ガックシとあからさまなリアクションを付けてアピールする。

正直……胸が見え隠れしてるのでやめて欲しい。

 

「さてさて……報告処理はこれで完了っと」

受付嬢は慣れた手つきで、デバイスを操作し手続きを完了させる。

画面はプライバシーもあるので見えないのだが…指を動かす素振りを一切見せないのでどうやって入力していたのか…さながら疑問ではある。

 

「じゃー報酬はいつも通り振り込んだから、後で確認してね〜♡」

 

画面から少しだけ目線をこちらにしてウインクする。

僕はそれを確認して管理局を後にした。正直もう眠い。。。

そろそろお昼になる…早く帰って寝よう。

 

ーー▷▶︎▷

 

ギルド管理局

 

「リューリヤのお気に入り行っちゃったね。」

別の子を受け持つ同期が声をかけてくる。

 

「そんなんじゃないよ。

あの子のお母さんにお世話になっただけ。

それにあの子…加護と守護が反発してるから…

他の子より気をつけないとすぐ死んじゃう。」

「そだね。普通は……加護と守護が相反するなんて事ないからね…」

 

魔族が攻めてきて、人々がユグドラシルに救いを求めた時、たった1人の英雄に加護と守護を与えた。

その英雄が残した遺産が、残された人々に加護と守護を与え続けてるという

加護はステータスの上昇系のモノが多く、守護は加護をサポートするモノが多い。

 

例えば、戦闘系の職業なら草原で戦うとステータスが上がる等の地形系の加護

太陽が見えてると運が良くなる等の天候依存の加護

逆に守護は、同系統だと草原で戦うと攻撃が当たりやすくなるや雨が降ると回復が早くなるなどがある。

いい事づくめという訳でもなく、加護と守護が(もたら)すデメリットもある

地形系の加護だと、草原でなら強くなるが荒野で戦うと弱くなるとか…

天候依存系だと、落雷だとダメとか。必ずしも自分の味方してくれるとも限らない為、加護や守護で職業を選ぶ人も少なくない。

 

さて、ステラの話に戻そう。

ステラの加護と守護は時間帯で効果が変わる。

夜になると、強くなったりだったり、状態異常で睡眠、気絶、誘惑などが効かない。等、利点がある分、昼間の間はかなりステータスが制限される為に夜と比べると格段に弱くなる。

教会での戦いでは、まだ完全に太陽が登ってなかったため、強いままだったが…太陽が差し込んで入れば勝ち目が無かったレベルだ。

 

逆に守護は昼間の時間帯で無いと効果が発揮しないのに夜になるとデメリットに変わる。

普通なら、夜の時間帯での効果を補助または強化する守護がつくはずなのだが。。。

ステラは昼間は加護のデメリットに苦しめられ、夜の間は守護のデメリットに苦しめられるという二重苦なのだ…

 

「でもリューリヤはあの子に昇格試験受けさすんでしょ?

あの子は★★になって半年くらいかな?

★★になった時も、★から1年経たずにソロで昇格したってうちで話題になったけ?さすがに次の昇格試験はそうそうクリア出来ないと思うけど…」

「そだね。でも昇格試験自体はステラ君の希望なんだよね」

 

リューリヤはペラペラと何枚もの資料の紙を捲る。

そして、ピタッとたった1枚の資料で手を止める。

 

「白咲 陽鎖刀…」

そのつぶやきにどれ程の意味があったのかは、彼女でも分からない…

 

ー▷▶︎

 

「おかえりーひさひさ。どうだった?」

「どうもこうも、完了報告しに行っただけだよ。

アレ…アレイスは?」

鞘に手を当てて、すぐさま武器を収納する。

クリュアの返事と着替えを適当に済ませて、椅子に座る。

「時代が呼んでるとかなんとか言ってどっか行ったね。」

「まぁた…闘技場か…加護のせいなのか、守護のせいなのか…」

クリュアが呆れた様に言うと僕も呆れた様に返す。

アレイスの加護と守護は戦闘系のモノだ。

そのせいなのか、戦ってないと落ち着かないとかいう理由でよく闘技場に遊びに行く。

そこそこな報酬を稼いで帰ってくるので別段いいんだけども。

 

「ひさひさみたいに落ち着いてくれてたらいいんだけどね?」

コトっとホットココア2つ用意して片方を僕の前に置いてくれる

 

「ありがとう。」「いえいえ」

 

「体調はどう?アレだったら治癒しようか?」

「そこまでじゃないかな。戦闘さえしなければ、支障はないよ」

そか。となんの躊躇いもなく僕の膝の上に座る。

 

「クリュア…毎回思うんだけど。」

「♪♪♪」

「あ、もういいです」

教会では子供たちも居たから、だいぶと我慢してたんだろう。鼻歌を歌いながらココアを飲んでるのを見ると言う気も失せた。

 

「相変わらず…砂糖を飲まされる気分だな。」

そう言いながら、動きやすそうな黒服に身を包み本を読みながら上から女性が降りてくる。

 

「エレッタさん…そう思うならちょっとは注意してほしいですよ」

何故かって…眠いから。

「姐さんヤホー」

 

「コレに関しては少年の甘やかしが原因だから。私からは何も言えんな。」

淡々と言いながら僕らの正面側の椅子に座り、本を畳んで机に置く。

すると指をパチンと鳴らし、自らのコップにコーヒーを入れて自らの正面に置いた。

ちなみになんだが、このエレッタさんで僕のギルドメンバーはアレイスを除いて全員揃ったことになる。

 

「んで、姐さんはどしたの?降りてくるなんて珍しい」

 

「ん?1週間もクエストから帰って来なかったからね。

私なりに心配していたんだよ。少年の場合は加護や守護を無視して戦おうとすることがあるからね。

そんな中、無事に帰ってきたと言うんだ。顔を見たくもなるだろう?」

「ふーん……そんな寂しそうな顔しても、ひさひさはあげないからね」

「相変わらずで安心したよ。コレから暗い情報を伝えなきゃいけないからね…」

じとーっとした目で、エレッタを見つめるも肝心のエレッタは苦笑で返す。

 

「???」

「なんかあったんですか?」

 

コーヒーをまたひと口と飲んで、エレッタは指を鳴らし、机の真ん中辺りで、半透明の画面を出現させ、地図を出す。

ユグドラシルを中心とした7つに別れる国。その1つが種族…人間が主に暮らす僕らの国、アルヴァランだ。

 

「さて、グランエルダとユースティリアが協定を結んで、少しでも我々の領地を増やそうと魔族軍に戦争を起こしてたのだが。

つい昨日……敗戦したとの連絡があった。」

「!?」

グランエルダとユースティリアは魔法の国として有名で、前者がエルフ族、後者が妖精族の国として有名で種族間の違いはあれど仲がいい事と他の国に対しても友好的なので有名だ。

 

「姐さん…グランエルダには私より強い……師匠様が居るんだよ?」

「知っている。同じエルフ族としては受け入れ難いと思うが、、、事実だ。

だが敗戦したとは言っても人事的被害で死者が出たとは聞いていない。

そこはユースティリアの軍師の指揮が良かったと言えるだろうね。」

 

「魔族側については僕達はまだなんの情報も持ち合わせてない。

教会で戦ったのは所詮、雑魚も雑魚…。」

 

ウトウトしながらも話を続ける。

 

「少年たちが本気を出すまでもない雑魚とはLvが違うという訳だね。」

「師匠…心配だな…ねえ、ひさひさ…」

「zzz」

 

「「この状態で寝れるのかぁ…」」

 

「呆れても仕方ない。最初は警戒されすぎて大変だったものだ。

それに彼の場合、仕方ない部分もある。。。

しかし…星の領域も発動してない所を見ると、ほぼ無防備だな……」

 

「そだね…

ねえ、姐さん」

「ん?」

私とひさひさは出会って1年、付き合って半年程の付き合いだ。

そんな中、ずっと気になってたことがあった。

 

「ひさひさってなんで加護と守護がこんな相性悪いんだろうね…

夜は強くなる代わりに昼間はこうやって無防備になる…

なのに、夜の間、ひさひさはかなりのデメリットを背負わないといけない。

ユグドラシルは……英雄の意思ってのはなんで……」

 

「クリュア。神木を恨んではいけない、英雄を妬んではいけない。

少年の相反するソレは、神託で与えられたものでは無い。」

「???」

クリュアは首を傾げながら、ステラの手を握ったり、離したりする。

 

「知らない方がいいこともある。

足りないモノをかき集めようと努力した、愚者の話なんか。ね」

 

エレッタは悲しい顔をして、ステラを見つめる。

エレッタはクリュアがこのギルドに入るよりも前にステラと一緒に旅をしていた。

アレイスもそうだ。私が来る前から居た。

 

「……」

 

「ただいまーやで!!!」

バァーンとかいう効果音がなり響きうるさいのが帰ってくる。

 

「うるさいのが帰ってきたな。

さて、賑やかになる。少年はベッドで寝かせよう。」

ひさひさの膝から降りると、姐さんが魔法で瞬間移動させた。

 

「ん?ひさやん寝てんのか?」

「そだよ。ばか」

「バカとはなんや……準優勝やぞ!」

「80回目だね。その準優勝」

「まーた、あの龍剣士に負けたんだw」

 

ボロボロになってるところを見ると図星っぽい

「ちゃうちゃう!あのボケナス今回出てこんかってん」

「じゃー誰に負けたのさ?」

アレイスはバカだけど、かなりの拳闘士だ。

ひさひさと同ランクの相手ならほぼ負けない。

先程あげた龍剣士はひさひさの星よりも2つ上なのだ。

 

「そりゃあ。ひさやんやで?

やから聞いたんや。寝てんのかって」

 

「「は?」」

私と姐さんは同時にハモった。




キャラクター紹介
白咲 陽鎖刀(しろさき ひさと) 22歳
星空型(ソラかた)と言う個性的な型式を使用する二刀流を主とする★2剣士。
小さい頃に両親と教会でお世話になったシスターが魔族に殺された為に剣をとり戦うことを決めた。
妖精とエルフの混血で俗に言うハーフなのだが、魔法の才能には恵まれず剣の実力のみで戦う。
夜天の加護と光の守護を持ち合わせては居るのだが、メリットの恩恵を受けれる時間帯が存在しない為に常に倦怠感と眠気に襲われている。
恋人にクリュア、ギルドメンバーが2人の計4人で仲良く出来ている為に現状、不満はない…
使用している剣は、片方は母親の形見、もう片方は教会のシスターが使用していた聖剣である。
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