新たな配下も登場します。
原作とは大きく異なる点もあるとは思いますが、
暖かい目で見て下さると、幸いです。
それでは、ゆっくりしていってね♪
REMILIA
~蒼魔塞 門前
私は塔の周りを一周してようやく入口らしき場所を見つけ、其処に着地していた。
降りた場所から数十メートル手前に門があり、其の奥に天をも突き刺すような塔がある。
だが、私の表情は晴れてはいなかった。
「……………」
其の門の前に、紅い甲冑が寝ていた。
最初鎧が捨てられているのかと思ったが、わずかに動いてる。
其に、大事な事を忘れていた。
赤色のものが、今此の世に残っているわけがなかったのだ。
「あの赤い甲冑……アイツ、赤の配下の様ね」
「起きる前に私が仕留めてやる……霊夢、後ろの建物の陰に隠れてて頂戴?
惨劇が嫌なら目を瞑ってるが良いわ」
自分の手で始末したかった。
奴…赤には見えてる筈だ……配下達が次々と惨殺されていく様が……
自ら戦いから逃げて生き長らえた事を、後悔させてやる。
霊夢が後ろに下がって建物の陰に消えていくのを確認した後、
私は門前赤い甲冑を纏った配下に近付いて行った。
目標の目の前まで来た。大の字になって寝ている。まるで酒を飲みすぎた、愚人の様だった。
此の様子……街の上空で繰り拡げられた私達の戦いを見ていなかったのかもしれない。
主のピンチだったってのに……同じ主である私は余計に腹が立った。
すぐに右手を大きく振りかぶった。
「其の素首、ブチ落としてやる……!」
其の手にみるみる青いオーラが溜まり、巨大な青い爪と化した。
だが相手は、強大な霊力を放出してるにもかかわらずまだ寝ていた。
間抜けな奴だ……此から死ぬというのに、其の危険も察知できずにいるとは……!
愚か者は死んだ方がマシだ!!
「悪魔『レミリアストレッチ』!!!」
いくら堅い防御も一切効かない私の最大の物理攻撃。
モーションがとてつもなく大きいのが難点だが、相手が寝ているため、関係無かった。
私は自分の青い爪を、相手の赤い兜に振り降ろした。
ガァーーーン!!!!!!!
金属音が響いたが飛んだのは敵の首ではなく、私自身だった。
弾き返されて、思わず仰け反っていた。
(!?効いていない……!?)
すると、
「!!?」
其の衝撃で起きたのか、敵は下げていた兜を突然上げて此方を見た。
クッ、気付かれた……仰け反っている今を攻撃されたら……
だが、
「!??おわ、おわわあわわわ………!!!」
甲冑は攻撃しようとせず、大慌てで立ち上がると、敬礼をした。
「マ…マステア様!!私は……断じてサボっていませんよ!??」
「………ハ?」
マステア?誰だ?コイツ寝ぼけているのか?
「……誰のことを言ってるんだ?お前は誰だ?」
すると甲冑は、
「!貴方様に決まっているではありませんか!
其に判りませんか?……私ですよ!?」
当然の様にそう言うと兜を脱ぎ、脇に抱えた。
其の素顔を見て、私は驚愕した。
「美鈴…!??」
兜の下から現れた顔は、紛れもなく私の紅魔館の門番、紅 美鈴そのものだった。
だが、兜をとった拍子にフワッと広がった髪の色は藍色で、
帽子の色は緑色だったものの本物よりは薄く、どちらかというとエメラルド色に近かった。
其処についていた星には「龍」ではなく「蛟」という漢字があった。
両目も白色で顔の向かって左半分には、ダイヤの様な模様が規則正しく並んだ様な紅い幾何学模様があった。
其の顔が話してきた。
「その御様子……まだ赤様から『赤色』を授かっていないのですか?
私は授かって此の通り……さっそく活用していますよ」
美鈴似の妖怪は全身を纏う、真紅の甲冑を見下ろした。
「暁符『近朱者赤(きんしゅしゃせき)』……門番にはぴったりだって赤様は仰りました。喜びましたよ……赤様やマステア様方を御守りするのに最適ですもの」
其の時奇妙な感覚に襲われた。
ちょっとまて……?
私は片手を頭に当てていた。汗が出てくる。
何を言ってる?……さっぱり判らない……!
私は……何だ………何か他人と間違われている……!?
私から……『赤色』を奪った、あの忌々しい奴の配下に……!?
其に間違われる事等……!そんな事……今までで一度もなかったのに……?
500年間そんな事は無かったのに……!?
頭が混乱していた。何を言われているのか頭に入らなかった。
一度も味わったことのない経験は、こんなにも感覚を狂わせるのか……?
く……!『赤色』と一緒に思考回路も抜かれてしまったか……!?
「『赤色』は私達の未来を切り開いてくれるんです!あの御方を気に召さないとはいえ、貴方様も意固地にならないほうが賢明だと思いますが……」
内容は理解できなかったが、美鈴の声が頭に響いた。
気が付けば、もう片方の手でも頭を押さえていた。
駄目……此のままだと発狂しそう……!
「今のソイツに、何を言っても無駄よ」
後ろから声が聞こえ、私は振り向いた。偽美鈴も私の肩越しに声の主を見た。
広い街道の真ん中を、霊夢が此方に向かって歩いてきた。
私は安堵した。其の様子を耐えかねて、出て来てくれたんだろう。
あのままだと、理解も出来ない様な言葉の渦に飲まれるところだった。
だが次の霊夢の言葉が、其の感情を粉々に打ち砕いた。
「だってソイツは、記憶を失ってるんだもの」
……ハ???
~~ど、どういう事だ……記憶?いつそんな設定になったんだ?
せっかく展開の糸口が見つかったっていうのに、ぶり返させるつもりか?
其に気のせいか、いつもの霊夢と態度が違っていた。
いつも喰ってかかる様な様子がなく、クールキャラになっている。
霊夢の姿を確認した美鈴似の妖怪は、
「!誰だお前は?勝手に此の場所にその足を踏み入れるな」
途端に態度を変えた。
本物の美鈴もあまりしない様な高圧的な態度だ。妖怪の山の天狗共と張り合えるレベルだった。
「私がアンタの主を連れて来たのよ」
霊夢がそう言っても、
「嘘をつくな。本当の主は赤様で、マステア様方は其の側近だ。
そんな事も判らないのか?」
偽美鈴の態度は変わらなかった。
「名を名乗れ。さもなくば帰れ。蒼世界の俗物が」
普通の霊夢ならキレてもおかしくない程の言い様だった。
だが、霊夢は霊夢らしからぬ平静な態度で、腕組みをしながら、
「私は名乗る主義はない……しかし、あえて名乗るなら……
博麗悪夢(はくれい あくむ)かしらね?」
もちろんそんな名前の筈がない。霊夢の嘘だ。
よくもまぁ、そんな単純な名前を口に出来たものね……
「博麗……赤様が警戒しろといった輩共を信用できるわけがない」
偽美鈴が唸るように言った。其に霊夢は溜息をつきながら、
「……私は、もう赤様の方に鞍を変えようと思ってね。姉が結界を守ってるらしいけど、私はもうどうでも良くなったのよ。大変だし。面倒だし。
そう思って赤様のところに行こうとしたら、アンタの言う蒼世界でコイツが彷徨っていたのよ」
全部……いや、大体は嘘っぱちだ。
霊夢の姉なんて見たことが無かったし、私は最初からずっと一緒だった。
結界の管理を疎ましく思ってるのかは微妙だが。
だがそう言った途端、偽美鈴の態度が、
「そうでしたか……悪夢さん。マステア様を此処まで連れて来て下さり、
ありがとうございました」
またも180度変わっていった。御辞儀までしている。
もう、まさに天狗の態度にそっくりだった。
偉い偉い味方にはヘーこらして、余所者には威圧をかける……此の美鈴、世渡りが上手そうね……
「!あ、申し遅れました……私は此処、『蒼魔塞』の門番、藍雪(らん しえ)と申します。御嬢様……此の名前に、何か思い出される事はありますか?」
自己紹介した其の時、霊夢が何故このような芝居を打っているのかが判った気がした。
思わず笑いたくなるのを堪える。
フフフ……そう言う事だったの……
なかなか面白い事思いつくじゃないの……
お前が其処まで考えてるなんてね……
なら、私も……其に便乗するまでよ!
「!あ…!あぁあ……!雪……聞いた事のある名前……!
何となく思い出す事が出来たわ」
口裏に合わした。
「!思いだされましたか……!?」
「ええ…少しは」
でもどうやら、と私はわざとらしく顔を曇らせてみる。
「詳しく思い出せない事から私は……此処での記憶を完全に……全て失ってしまってる様だ……
此処の構造も……お前の言う赤というのが、何をなさろうとしてるのかも……そして……」
そう言って顔を両手で覆う。
「思い出も……全て……」
そして指のわずかな隙間から敵の顔色を窺う。
予想通り、偽美鈴はショックを受けていた。
そしてとどめといわんばかりに顔を上げ、懇願する様な目付きでラッシュをかけた。
「だから此の中を案内をしながら、思い出を……蘇らせて貰えない?
ついでに雪の口からも話してくれると助かるんだけど……」
「其に気が変わったわ……私も『赤色』を受け取る!屋上に案内して貰えない?」
偽美鈴は真正面から止めを受けてくれた。
「!勿論ですとも…マステア様が仰るなら!……悪夢さんもどうです?」
顔を悪…霊夢にも向けて、聞いた。
「ええ……私も仲間入りする前に是非とも知っておきたいと思っててね」
霊夢も門の傍の壁に寄り添い、腕組みをしながらクールに答えていた。
内心は飛び上がりたいに違いない。
すると、
ガシャァァン!!!!
美鈴似の妖怪の後ろの門が開き、彼女も嬉しそうに言った。
「お帰りなさい、マステア様!そしてようこそ、悪夢さん!私、藍雪が赤様の所まで案内します!!」
そして私達は雪と名乗った偽美鈴の後につき、開けられた門を通り、巨大な塔の入り口の中を
歩いて行った。
其の時、私の傍を歩いていた霊夢が、私の耳の傍まで近付き………
こう囁いたような気がした。
「計画通り………」
如何でしたか?
巧みな作戦で難なく潜入成功しました!
因みに悪夢は霊夢の偽名であり、
オリキャラではありませんので悪しからず……
次回、歩く蒼魔塞の中で、間接的な事情聴取が行われます!
それでは、次回もゆっくりしていってね♪