雪から霊夢達が情報を聞き出していきます。
原作とは大きく異なる点もあるとは思いますが、
暖かい目で見て下さると、幸いです。
それでは、ゆっくりしていってね♪
REIMU
~蒼魔塞 ロビー
私達は入り口を通り、大きな広場に辿り着いた。
「此処が、ロビーですよ」
藍雪という美鈴似の妖怪が、説明をしてくれた。
びっくりした。
沢山の石のアーチ……地面に広がる蒼い魔法陣……
これじゃ色以外、紅魔館と其と何も変わらないじゃない…
「!せっかくの御嬢様方の前で、此の格好は失礼ですね……」
すると剥かれた白目で赤い甲冑を纏った身体を見下しながら、雪が呟いた。
「暁符『近朱者赤』、解除!」
すると纏っていた赤い甲冑が、雪の体の中に吸い込まれて消えていった。
それによって雪の全体の服装が明らかとなった。
帽子と同じ薄い緑色のチャイナドレスで、黒い下穿きを穿いている。
赤い菱形をちりばめた幾何学模様は顔の右半分だけでなく、右腕にまで及んでいた。
「!気になりますか?此は赤様によって『赤色』が授けられた証ですよ」
雪が私達の視線に気が付き、右手を前に出して菱形の紋様を見せてくれた。
戻っていた瞳が腕の向こうから私達を見ている。
ゴーラやウォルモ達も、赤に『赤色』を刻みこまれていたのね…
私にとっては、其は何か…呪いの証としか思えなかった。
「ところで……」
レミリアが雪に聞いた。
「私の名前……マステアって一体どんな人物なんだ?」
雪が其の質問に答え始めた。
「貴方様は、此の『蒼魔塞』の主、八雲赤様の側近の一人、
マステア・アズール様です」
……成程、『スカーレット(赤)』じゃなくて、『アズール(蒼)』って訳……
其に側近……上手い具合に配置につけたわね…赤……
「ですが側近ながら、貴方様は赤様とあまり仲が良くありませんでした。
赤様が勤勉家で、構ってくれなかったのが原因だったんでしょう……
其故よく、貴方様は夜のうちにお一人で何処かに遊びに行かれていました」
少し困った顔をしながら、雪は言った。
子供扱いされていたのが気に食わなかったんだろう。
そして、私が連れてきたという嘘が通じた理由が判った。
まるで自分がされているかの様に、レミリアは明らかに不快な表情を見せた。
無論、雪には見せずに。
「メイド妖精はいるのかしら?誰一人見当たらないけど……」
今度は私が訊いた。
言った通り、廊下には私達以外誰もいなかったからだ。
「ええ、いらっしゃいますよ。変わらずメイド長のもとで熱心に活動しております。
待宵 知流(まちよい ちる)というメイド長です」
!また出てきた……今度は、咲夜の偽物の名前ね……?
レミリアが、私が一番聞きたかった事を真っ先に聞いてくれた。
「ソイツは、時を止められるのか……?」
「!大体は合っていますが、少し違います、マステア様。
彼女は『時を戻す程度の能力』です」
!『時を戻す』……?咲夜が使えなくなっていた能力じゃない……
そして階段を上り、私達は2階、そして3階へとたどり着いた。
REIMU
~蒼魔塞 3階
私達が昇り切った階段から一歩踏み出そうとした時だった。
「!御二方、御待ち下さい!」
「!?どうしたのよ……」
突然雪が私達を手で制し、一人前に静かに歩いて行った。前方を目を細めながら見ている。
そして懐から小さな石を取り出すと、近くの床に放り投げた。
其の石が金属の床を叩いた瞬間……
バシュバシュゥウゥウウ!!!!!!!!
「!!?」
其の左右の壁から無数の槍が飛び出した。
そして、まるで番犬の牙の様に石を粉々にしていった。
「全く……また罠を解除してないな……あの駄メイドは」
そう毒づく様に言うと、傍の壁にあった金属の蓋をあけた。
そして其の中にあった配線盤をいじり始めた。
「~~~~~~」
すっかり面食らったレミリアがワナワナとしている。
ヤバい……此処でキレられたらうっかり事実をしゃべってしまう可能性がある……
「~~ど、どうなってるのよ、此は!?」
レミリアが怒る前に、代わりに私が雪に少し怒ったような口調で言った。
少しキャラを崩した方が効果的だと知っていた。
すると操作しながら、雪は再び態度を変えた。
「!す、すみません……此の階からは、対侵入者用の罠が大量に仕掛けられていて入り口に
一番近い此処で稼働を制御できるんです。本来はメイド長の役割なのですが……」
カチッ
音が響くと、槍が静かに引いて行き、壁の中に収まっていった。
雪は溜息をついて蓋を閉めながら、呆れた顔で言った。
「何を思ってか解除し忘れる事が多くて……其でよくメイド妖精の何匹かが死にます……恐らく、間の抜けてる部分があるんですよ」
物騒ね……其の鉄壁故、内部で死ぬ奴が出ているなんて……
でも皮肉にもアンタも、侵入者達を其の鉄壁の中に通してくれているのよ……
人の事は言えないわよ?
「さっきの質問の答えはどうなったの?メイド妖精はどこに行ったの?」
さっきの話を蒸し返してみた。
此処まで下手に出てくれるなら、利用して更に聞き出してやるまでよ…
するとさっきまで質問に答えてくれていた雪が突然口ごもり出した。
「其は……恐らく…始まった……から…だと……」
「!待て……」
レミリアが呟いた。私にも嫌な予感がした。
「?どうされました?」
雪が聞いてきた。
其処で、レミリアは考え込んでいた。
いつにも増して深刻な表情だ。
そして、口を開いた。
「私には……妹は居るのか……?」
すると、偽美鈴が、
「私は……妹様は…好きではありません」
重々しく言った。明らかに嫌悪を抱いた表情だった。
嫌な予感が的中した。やはりレミリアの偽物にも、妹がいた。
「なんて……名前なの……?」
私が聞くと彼女もまた、深刻そうな表情で話しだした。
「……マドゥレート・アズール様。赤様のもう一人の側近です」
レミリアの妹、フランドール・スカーレットの偽物に違いない。
「あの御方は、御言葉ですが…残虐極まりありません。人を選んで殺します。
あの御方自身が気に入らないと思った者を、自身の快楽のために……
…遺体は………影も形も残りません」
フランも狂気で殺戮を犯すけど、其は無差別に近いものがある。
彼女に比べて、此方は選んで殺すのか…其も気に入らない奴を、自分の憂さ晴らしに……
此方のほうが…ずっとタチが悪いわね……
「……もしかしたら、もう其の時間になったのかもしれません……召集がかけられた…
…最低十人以上……殺す者を選ぶために………誰も廊下にいないのは其の為でしょう」
とんでもない奴ね……姉妹そろって大きな壁となりそう……
其の時、
「ギオォォオォアァァアァァーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!」
バサァ……!!!!!!バサァ……!!!!!!
遠くから凄まじい咆哮と羽音が聞こえてきた。
グラグラ……!!!!
其と同時に塔が少し揺れ始めた。
「!な、何……此は……!?」
私は轟音の中を叫んだ。
「~~まさか……崩れるんじゃないでしょうn痛ぁあ!!」
レミリアがバランスを保とうとして、逆に地面に転んだ。
飛ぶ暇もなかった。
「~どうやら……帰ってきたようですね……」
!もう一人のレミリアの事?……にしては、あんな声は出さない……
でも此の羽音……巨大な蝙蝠にでも変身するのかしら?
雪が近くにあった、紅魔館には無い窓の外を見て確認しているらしく、
そして窓から離れて私達に来るように催促した。
私達は転ばない様にゆっくりと近付き(途中雪が私達を支えてくれた)、其処から外を見た。
すると信じられない光景が飛び込んできた。
蒼魔街の上空から此方に、巨大な赤い飛龍が此の塔に向かって飛んできていたのだ。
勿論、動いていた白いスポットライトに一斉に照射されていた。
「あ、あれは……!?」
今度こそ冗談抜きで驚いた。
すると、声が聞こえてきた。其はまるで頭の中に響いているかの様だった。
『おや、マスィ……帰ってきていたのね』
「!?お、お前は……?」
『言わなくても大丈夫……全て判っているわ。貴方が記憶を失くしている事はね』
「!??」
(間違った方向に)見抜いている……?此の声の主、何者かしら……?
声は頭の中に響き続ける。
『そして、隣にいる、見慣れない部外者は?』
多分私の事だろう。少しムッとしたが何とか堪えた。
其に対して雪が答えた。だが声の調子は変わっていた。
「今日から私達の仲間となる、博麗悪夢さんです」
『へぇ……博麗……赤様が嫌っていた連中ね……?』
「御言葉ですが、此の御方は赤様に忠誠を誓うと仰ったのですよ?近くにいらっしゃらなかった
貴方には判りませんでしょうが」
露骨に嫌そうな調子が含まれていた。
そうこうする内に巨大な真紅の龍が、塔から突き出ている太陽のモニュメントの上に降り立った。
するとまた声が響いた。
『門番は門番らしく門に帰れ。後は私が引き受けるから』
「貴方は外ばかり出ているせいで、塔の構造を理解なされてないでしょう、へフェリー様!?」
『理解出来てるからこうしてるのよ、ド低能が…貴方こそ、そんな所にいて誰か
余所者にでも侵入を許してみなさい。今度は真っ先に妹様の御道具になるわよ?』
其を聞いて雪の顔がサァーッと青ざめた。
やはり、気に入らないものとしての対象は身内にも可能性があるらしい。
『貴方達…私の処に来て……4階の外に通じる渡り通路の先……
太陽のモニュメントの中がそうよ……其にもう一度顔が見たいわ、マスィ』
『シファー!着替えを持って来て頂戴!』
すると大人しくしていた龍が、赤い霧となってモニュメントに吸い込まれていった。
そして、頭の中に響いていた声も聞こえなくなった。
レミリアが近付いて呆然としていた雪に訊いた。
「……あの声は誰だ?あのドラゴンが発していたのか?」
雪はハッとして顔を振り、説明してくれた。
「ヘフェリー・ウィズダム様……あの太陽のモニュメントの中にある図書館を拠点にしている、
アウトドア派の魔女です。外の知識を得る事が趣味で、私達の
事を構ってくれません。『蒼魔塞』の恥さらしも良いところですよ」
パチュリーの偽物と美鈴の偽物は、どうやら関係がよろしくないらしい。
其はさっきの会話からでも判っていた。
「あの龍の姿……恐らく、赤様の『赤色』の力でしょう……ですが、ますます外に出るようになり、
ますます私達の事に気をかけなくなってしまいました。調子に乗るのも大概にして欲しいです」
最後の部分は怨みがましく、ぶつぶつと言っていた。
「……行かなくて良いの?惨殺されるわよ?」
此処まで情報をくれたなら十分、後は追い払えばいいわね。
下手に戦闘も起こしたくはないし……
「!!申し訳ありません……私は…此で……」
「門番、頑張るのよ?」
!上手いわ、レミリア……此処で其の言葉は最適ね……
「!マステア様……では、失礼します……御二方…良い夜明けを……!」
そして雪は踵を返し、まるで逃げるかの様にもと来た階段を降りて行った。
「……追わないの?」
私は階段を見るレミリアに小声で尋ねた。
「良いの、情報をくれたし…何だか可哀想だし、生かしてあげるわ…邪魔をしなければ」
レミリアは無表情で言った。此は……後で殺す気満々ね。
「さて……此の上の階よね、4階って……」
私は天井を見上げた。
「ふん、図書館……パチュリーの偽物から先の様ね……」
レミリアはそう言ってズカズカと歩いて行った。
「!ちょ…!待ちなさいよ…!」
私は慌ててその後を追いかけて行った。
まったく……そそっかしいんだから……
如何でしたか?
最後まで騙された門番さんのお陰で一気に
配下の名前が明らかになりました。
次回、太陽のモニュメントの中にむかい、
新たな配下のもとに向かいます。
それでは、次回もゆっくりしていってね♪