図書館へと向かいます。
原作とは大きく異なる点もあるとは思いますが、
暖かい目で見て下さると、幸いです。
それでは、ゆっくりしていってね♪
REMILIA
~蒼魔塞 4階
コツッ……コツッ……
私達の足音が、暗い廊下に響き渡る。
4階に上がっても、やはりメイド妖精は一匹も見当たらなかった。
「綺麗ね……」
後ろから霊夢の声が聞こえてきた。
「何が?」
「月よ」
多分、窓から月を見てるんだろう。サーチライトの後ろで輝く、大きな蒼白な満月を……
「今は前を見て歩いた方が良いわよ?」
前を向いたまま言った。
「!どうしてよ?」
「もしかしたら、解除し忘れた罠があるかもしれない…あの反抗的な門番が、わざとね」
「!アイツ、あの様子は完璧に作戦に嵌っていたわよ!?私達を、完全に
信じ切っていたじゃない!?」
「いずれにせよ、警戒するに越した事はないわ」
見たいのはやまやまだった。が、敵はそうさせる暇もくれない筈だ。
此の私にさえも……
く……!赤め……!!
「ちょっと、何処行くの、レミリア!?」
後ろから霊夢に呼び止められた。
「!何よ!?靴紐でもほどけたの!?てか、アンタの靴に紐なんてあったっけ!?」
苛立っていた私は、思わず訳の分からない罵詈雑言と共に振り向いていた。
少し離れた壁際にムッとした顔をしていた霊夢がいた。
だが、すぐに壁を親指で指しながら言った。
「此の扉じゃないかしら?こんな目立った扉を通り過ぎるなんて、吸血鬼は本当に
太陽が苦手なのね?ん?」
……此の皮肉は流石に甘んじて受けとめようか……
言い過ぎた事に少し萎えながら、霊夢の処に戻って其の指された壁を見た。
確かに、目的地に行くための扉の様だ。赤い扉に大きな太陽の紋章がある。
こんな目立つ扉に気付かないとは……!
く……!赤め……!!
「私の所もこんな扉があったらな…太陽じゃなくて月なら完璧なのに」
私は呟きながら、扉の右部分を押した。霊夢は左側を押す。
ガチャ……
鍵がかかっていないらしく、大きかったが簡単に開けられた。
REMILIA
~大図書館への連絡通路
扉の先に出た其の瞬間、横向きの風に煽られそうになった。
「!ヴ……!?」
「~~そうやら……外に出たみたいね……!?」
塔と太陽のモニュメントをつなぐ鉄の橋の上、其の橋の一方の端に私達は立っていた。
其の反対側にはモニュメントへの入口らしき赤い扉がある。
だが扉の前に、誰かが立っていた。姿勢も私達を見る視線もまっすぐだった。
遠くからでも、其が誰かはひと目で判った。
「…雪の説明にもいないから、変だなと思っていたけど……」
「やっぱりいたのね……小悪魔」
其の姿は紅魔館大図書館の小悪魔に酷似していた。
だがやはり色だけが異なり、青い髪と瞳、そしてゴーラと同じようにベストとシャツの色が
逆になっていた。
向かって右目の周りに荊を組み合わせた様な幾何学模様が浮かんでいた。
あの門番が言っていた『赤色』を持つ証だ。
私達が橋を渡り終えて近付くと、姿勢正しく深々とお辞儀をした。
「御待ちしておりました、マステア様、悪夢様……」
其の返事の代わりに質問をぶつけた。
「お前は……誰なんだ?雪の説明にはいなかったが?」
雪の名前が出た瞬間、偽小悪魔は顔を歪ませた。
「やはり……私の事は眼中には無かったんですね……あの門番……」
そして襟元を正して、自己紹介を始めた。
「私はシファー。リトル・シファー。
此処『蒼魔塞 大図書館』の司書、そしてへフェリー・ウィズダム様の使い魔です」
シファー……あのテレパシーの最後に言ってた名前ね…
……アンタにも、大妖精と同じ様に名前がつけられるなんて……
「御二方の事情は存じ上げております」
「パ……へフェリーから聞いたのね?」
「左様で御座います」
危なかった……思わずパチュリーって言いそうになった。
せっかく霊夢が即席で立てた作戦が台無しになるところだったわ……
「なら、話は早いわ。へフェリーの処に案内して頂戴?」
今度は間違えない様にいって、扉を開けてモニュメントの中に入ろうとした。
だが、
「御待ち下さい、マステア様!」
「!え……?」
思わず振りむいた瞬間、偽小悪魔に扉を閉められ、前に立ち塞がれた。
「!何するのよ!!」
「其は今は出来ません……申し訳ありませんが」
「!何……!?」
私は威厳たっぷりに小悪魔もどきに詰め寄った。
偽小悪魔は扉の前にいながらも、完全に怖気づいていた。
門番の様に態度を変えたのではなく、只私の態度に威圧された様だ。
「い、いえ……先程へフェリー様からマステア様であっても、今は此処を
通すべきではないと命じられました」
「?今?どうしてよ…?」
霊夢が問いかけた。小悪魔似の彼女は、少し目をそらしながら答えた。
「御覧になった筈です……へフェリー様のあの力……強大なのは良いのですが
身体が入りきらず、服が引き裂けてしまうのが難点で……
『赤色』の力を使う度に、替えの服を差し上げなければなりません」
成程……あの会話の最後…着替えを要求していたのは其の為だったのね……?
「よって今は…着替えている途中なのであります……
申し訳御座いませんが、もう少し御待ち下さいませ」
其は困ったわね…時間が無いっていうのに……
私は考え込んだ。すぐにでも会いたいんだけど……
其の時、私に良い考えが浮かんだ。
「良いわ、其までの時間潰しをしよう」
「!例えば…どの様な事を……?」
すぐに私は答えた。
「悪夢との弾幕勝負かしらね……」
「!?」
霊夢が『はぁ!??』とでも言いたそうな顔で此方を見た。
「!戦闘ですか……ですが、どうして……?」
「要は彼女の力も知りたいんでしょう?其を此処で量っていれば、
へフェリーや、赤様のためにもなるんじゃない?」
私は、両手を握り拳にして其の小指の部分を軽くぶつけあいながら説明した。
此の二つの拳は霊夢と偽小悪魔を表しているつもりだった。
「成程……其は妙案……流石ですね、マステア様!」
そして私は、いつもの命令口調で、
「悪夢、行け」
すぐ霊夢が少し私の方に振り返ってた。
頭に「?」でも浮かんでそうな困惑した表情になっている。
多分、出会ってすぐという設定なのに其の態度?…と、疑問を持っているんだろう…
まったく……私は霊夢に近付き、素早く耳打ちをした。
すると、事情を察したらしく、私が元の位置に戻るころには、
小さく溜息をつきながらもすぐに表情を戻し、
「ええ、仰せのままに……」
偽小悪魔と向き合っていた。
「さっそく、此の力を使う事になりそうですね……」
小悪魔は羽を使い、橋から少し上の方へ飛び上がった。
「!」
私達は視線をあげ、小悪魔もどきを見上げた。
「ンンン……!!!」
相手は其処で身体を縮こませた。
すると小悪魔もどきの身体から紅い螺旋が出てきて、すっかりと身体を包んだ。
私達も後ろに下がって距離をとった。
そして、すっかり覆われ、赤い球状の物体となった。
「では、私も行かせて貰います!!」
其の中から声が聞こえたと思うと、
「暁符『ミドル・シファー』!!!」
バフゥウゥウゥウ…………!!!!!!
赤い塊が爆発した。
「!!」
爆発で起きた赤い煙の中から姿を現したのは、さっきまで私と同じぐらいの
身長だったのが、すっかり大人の人間の女性まで大きくなっていた偽小悪魔だった。
服のサイズもすっかり変わり、少しきつそうだったが本人はそれ程気にはしてない様子。
そして何より変わったのは頭の羽の下に、まるでサテュロスの様な赤い、
ねじれた立派な角があった事だった。
そして今までの赤の配下と同じ様に、赤い荊の幾何学模様は赤く光り、其の両目は
白く剥かれていた。
「貴方も……へフェリーと同じ、変身系の能力なのね……?」
嫉妬を堪え、出来る限り静かに言った。
身長が伸びる、サイズがいろいろ大きくなるのは小さい私にとっては
御法度に等しかった。
まさか、こんな事をしてくるなんて……私が全部直々に相手したかった……!
く……!赤め……!!
「赤様を嫌ってらっしゃるのでしょうが、『赤色』は授かった方が宜しいかと……
私は此の力、誇りに思っていますよ!?」
そう言う大人偽小悪魔の左手には、赤色の一つの大玉弾幕が作られていた。
そんな彼女を見上げながら、毅然と霊夢が言った。
「本気で来なさい。でなければ、私の力は量れないわよ?」
「其のつもりです!行きますよ、悪夢さん!!」
(……せいぜい頑張りなさいよ、霊夢……いざという時は私がついてるから)
其の様子を霊夢の後ろから見ていてそう思った。
此の戦いを提案しておいて、何を思っているんだろう、私は……
如何でしたか?
空想上の設定を利用して霊夢をけしかける一方、相手のサイズの変化に
嫉妬して其を後悔するレミリア……何してるんですか……
次回、時間稼ぎという名の戦闘を繰り広げていきます。
それでは、次回もゆっくりしていってね♪