赤の六人目の配下と遭遇します。
原作とは大きく異なる点もあるとは思いますが、
暖かい目で見て下さると、幸いです。
それでは、ゆっくりしていってね♪
REMILIA
~蒼魔塞 大図書館
バキィィイ!!!!!!!
入口を勢い良く蹴破った私は、霊夢を連れて建造物の内部を大股で歩いていった。
太陽の様な外見が原因か、ドーム状になっていた空間には紅魔館と同じ様に
沢山の大きな棚に本が処狭しと並んでいる。
其の奥から声が聞こえた。
「!?だ、だ、誰なの……!?」
音が聞こえたらしい。相当慌てている様だ…着衣が終わっていないのだろう。
私は言葉を返さず大きな本棚の間を歩いて行く。
「!シファーなの!?まだ連れてきたら駄目よ!
!確認もまだしなくても……!待って、あと五秒……!!」
其の直後、私達は奥に辿り着いた。
一か所だけあった本棚に囲まれた何もない空間の中心に、地球儀や本が山積みにされている
机があり、椅子代わりにソファがあった。其の陰に何かがせわしなく動いている。
その者に対して声をかけた。
「……来てやったぞ、久しぶりだな」
陰にいる人物は其の声に反応し、顔だけを上げた。
其の顔は……
「!お、おや……貴方達だったのね?」
私の親友、パチェことパチュリー・ノーレッジそっくりの顔だった。
そして其処から立ち上がり、全身を見せた。
パチェが紫とピンクを主に基調にしているのに対し、此方は青と藍色を基調がメインだった。
だが急いで着たのか、若干着崩れを起こしている。
そして向かって顔の左半分には、他の配下と同じ様に紅い幾何学模様が浮き出ていた。
彼女の場合は赤い五角形を組み合わせた模様だった。
帽子はまだ被っていなかった。
「お前がヘフェリー・ウィズダムだな?」
私は問う。
「!もう名前を思い出してくれたの?嬉しいわね……」
そう答えて、最後に手に持っていた帽子を被った。
其の帽子には月ではなく、太陽の飾りが光っていた。
「冗談よ。藍雪とかいうろくでなしから聞いたんでしょ?」
帽子のリボンを調整しながら偽パチェは私に声をかけた。
其の目には軽蔑の色が浮かんでいたが、私達に対してではない事は判っていた。
「ベラベラと……私の名前を口にしてくれるわね……」
「……どうやら仲が良かったの、二人とも?」
記憶喪失ならではの嘘で出方を窺ったが、無視された。
「!そうそう…記憶があった頃の貴方は、私の事を『ヘフィ』と呼んでいたわね」
「そうか……じゃあ、ヘフィ。其処へ隠れてないで出てきたらどうなの?」
「!そ、そうね…もう…着てるもんね……」
へフェリーはゆったりとした動作で浮遊し、ソファに座った。
其の動作はいつも見ていたパチェの動きと変わらなかった。
本当の親友であるパチェに……
舌打ちを堪える。
すると敵は懐からメモ帳を、取り出して其に目を通し始めた。
メモ帳みたいだ。革の表紙に太陽のマークが施されている。
「?何、其は?」
隣の霊夢が訊ねた。
「!此?さっき外の蒼世界から魔法を習得してね……其を此の中に留めているのよ」
偽パチェが閉じたメモ帳を、振りながら答えた。
「称して『魔導メモ帳』……『赤色』と同時に赤様から授かったのよ」
……なんだ其は……魔導書のメモ帳バージョンか……
「私は外に出て魔法を覚えるのが好きでね……あのクソ門番からもそう聞いたわよね?」
「聞いた」
「フフフフ………」
「!ところで、シファーはどうしたの、リトル・シファーは?
ちょっと私が着替える時の見張りを任せてたんだけど……?」
霊夢が嘘を言う。
「入口で殺されたわ。そして橋から投げ捨てられていたわね……
犯人を止めようにもあまりに速くて……」
「!えぇ……!?」
身を乗り出してきた。此方は感情的になりやすいわね……
「まさか、門番に殺されたって訳じゃないわよね!?」
また門番か……今度は私が言う。
「其は判らないわ……だが、階段を駆け降りる後ろ姿はアイツみたいだった」
其は嘘ではなかった。目の前で見たんだもの。
バンッ!!!!!!!
へフェリーが机を思い切り叩いた。叩いた後の拳も震えていた。
「あんの謀反者……赤様に報告して、妹様の餌にしてさしあげてやるわ!!」
「ヘフィや」
私は激昂する偽親友に、わざと間延びした声をかけた。
「アイツは後で私が始末しておく。安心しろ」
「!本当!?」
嗚呼、此処の連中は本当に騙され易くて助かる。
「死ぬより酷い目にあわせとくよ……親友が望むなら」
偽パチェは首を横を向けた。目の部分が髪で見えなくなる。
「……頼むわ、マスィ……アイツの横行には此以上我慢出来なかったところなの」
呟くように言った。霊夢が疑問の声をあげた。
「?横行……?」
「ええ……」
「アイツは自分が格上と判断した者には、とことん尽くして媚びへつらうけど
格下と判断した者には逆に雑言と横暴を絶やさない卑屈な性格の持ち主なのよ。
最近赤様から『赤色』の力を授かってから、其がますます酷くなってね」
互いに悪口を言ってる……あまりにも酷い内輪もめだな、此は……
「まさか猟奇的な事までしでかすなんて……」
偽パチェが両手で顔を覆った。
赤の配下を、自分の配下の様に思っていた様だ。相当なショックを受けている。
同情などする余地もない……というよりも、する義理もない。
私は霊夢と違って甘くはない。
例え……相手が親友そっくりだったとしても。
「……ヘフィ」
そんな感情を押し殺し、あたかも親友に接する様な声をかけた。
「私と勝負しない?」
偽パチェは両手を開いて顔をあげて私を見た。
私は続けた。
「折角外の蒼世界から魔法を習得したなら、使う良いチャンスになるじゃないか」
「!でも…」
「奴は私が逝かせると言っただろ!?今はもう忘れろ」
必要以上の口出しはさせない。言い続けて、敵の主張を出させないようにした。
「だが私は記憶を失くしているから、スペルも全部は覚えていないかもしれない……だから…」
私は霊夢を親指で差し、
「悪夢をハンデにどう?其に、此処に馴染む為には互いを知る事も大切じゃないかしら?」
もちろん空気になりかけていた霊夢も忘れてはいない。
二対一になるように持ちかけた。
「お前も新たに加勢する博麗の力も、知りたいだろ?」
「勿論構わないわよ?親友が望むなら……」
「よし……」
内心でほくそ笑みながら、冷静に答えた。
「私達をマスィだと思わないでくれ……雪だと思って全力でかかってきなさい」
だが、偽パチェはソファから立ち上がりながらも、
「いえ、今は雪を忘れさせて欲しいわ…マスィとは本当に久々だから……
貴方と戦うという事で良いかしら?」
…まぁ……懐古の念にも浸らせるのも、悪くはないわね……
「……良いだろう」
「私は、いない貴方の代わりを担おうと……赤様をがっかりさせない様に、
必死で頑張って……」
そう言いながら手にあった魔導メモ帳を開いた瞬間、
へフェリーの周りに何重もの魔法陣が出現し、光を放ち始めた。
其の光で目が眩みそうになった。霊夢も光から目を覆っている。
魔法陣による蒼い閃光の中から叫ぶ声が聞こえた。
「赤様に一目置かれる程、私は強くなったのよ!?」
……私の偽物の代わりか……恐らく、遠く及ばんようなものを……
「だがスペルが足りなくても勝ってみせる!!行くわよ、悪夢!!」
「ええ!!」
そして、誰にも、そして私にも聞こえない様な声で呟いた。
「勝ってみせるわ……そう、狩ってみせるのよ……貴方もね…」
如何でしたか?
次回からへフェリーと戦っていきます。
かなりの長期戦になりそうな予感が……
其では、次回もゆっくりしていってね♪