ですが戦闘はかなり少ないです。
原作とは大きく異なる点があるとは思いますが、
暖かい目で見て下さると、幸いです。
それでは、ゆっくりしていってね♪
REIMU
VS〈英知と日向の少女〉ヘフェリー・ウィズダム
~蒼魔塞 大図書館
「!……分厚そうね……」
私達が今対峙している赤の配下、ヘフェリーウィズダムは今自身のオリジナルのスペルで防御していた。
あの弾幕の量……容易には攻撃を通せない様ね…
「!ウッ……!!」
突然弾幕の中から、苦しそうに呻く彼女の声が聞こえた。
どうやらさっきの胃潰瘍が再発したらしい。
すると其と同時に、規則正しく彼女を囲んでいた弾幕が乱れ始めた。
其を見逃さなかったが、私より先にレミリアが動いた。
「『シーリングフィア』!!」
素早く図書館の天井に張り付くと其処から一気に弾幕の綻びに突っ込み、中にいるへフェリーを打ち倒した。
「!?ゥグゥ……!!!」
声が聞こえ、青色の弾幕が消えていった。
「~~さ、流石ね……マスィには敵わないわ……」
弾幕の渦が消えた後にはレミリアとヘフェリーが残っていた。
へフェリーはうつ伏せに倒れて痙攣しながらレミリアを見上げ、レミリアが彼女を見下ろしていた。
「私が……不調に遭ったのもあるけど…」
「其程、私達はやり合っていたの?」
「ええ……しょっちゅうね」
私は、顔を横に向けて、図書館を見渡し始めた。
理由は簡単よ。レミリアが止めを刺すのを見ずにいたいだけだった。
多分レミリアはそうするつもりだろう。
だが予想に反し、彼女は、
「……『赤色』の力は使わないの?」
「!?」
恐ろしい事を言い始めた。
あまりの発言に驚いて彼女達の方に向いてしまった。度肝を抜かれてしまったわ。
私はさっき雪に案内された時に見た、巨大な紅い龍を忘れるはずがなかった。
そして今までの会話からして、其の龍はへフェリーの『赤色』の力だという事は確定していた。
あんなのと…戦えっていうの……??
「…さっきも言ったわよね、マスィ……此の力は…制限がかけられているって……」
ヘフェリーは胃潰瘍とダメージに呻きながら答えた。
するとレミリアは、
「気が変わったの……私も『赤色』の力を欲しくなったのよ」
重なるトンデモ発言に私は勿論へフェリーも、彼女を見上げる顔が唖然としていた。
「……私も『赤色』の力を貰おうと思っているのよ」
レミリアが繰り返した。へフェリーが聞こえなかったと思ったのか、逆に聞こえたとして彼女に
更に衝撃を与えたかったのかは判らなかった。
すると、其を聞いたヘフェリーが血相を変えて叫んだ。
「無茶よ!!……貴方、聞いたところ……赤様の授かった力dゲホォ……!」
「大丈夫よ。以前の私は其を拒んでいた様だけど……いつまでもこんな意地を張るわけにいかないと判ったの……」
そういってレミリアが取り出したのは、目の前の偽親友から奪った『魔導メモ帳』だ。
「お前が此のメモ帳に載せたスペルの様に、外の世界には強力なものもある。
蒼世界に負けない様に、私も受け入れる事にしたのよ」
「ただ……其の力はどれ程のものなのか……」
レミリアがメモ帳を再び懐にしまいながら言う。
「貴方の『赤色』の力を見せて欲しいのよ……ヘフィ」
其処で言葉を切り、返事を待つ。
私も其の場でいた。
神社の巫女をしている癖に神様を意識した事はあまり無かったけど、自分達が危機に瀕していても、多分此処まで意識した事は過去にも此の先にもあまり無いかもしれない。
(神様……!!)
少なくともあれだけとは絶対に……お願い……早く止めを……!!
ヘフェリーも黙っていた。レミリアを見上げていた顔も下ろしている。
其の口を突いて出たのは、
「……下がって……二人とも……」
最も帰ってきて欲しくなかった答えだった。
すぐにレミリアが素早く彼女から十分に距離を取り始めた。
私も考えるよりも先に其にならい、レミリアの隣まで後退する。
「~~親友の……大きな…決断の……為なら………」
へフェリーがゆっくりと浮遊せずに立ち上がった。
顔を上げる。遠くからでも判る程に、すこぶる顔色が悪い。
「…………赤様……………御許し下さい………!!!」
そして、スペルを唱えた。
「暁符……『クリムゾンドラゴン』!!!」
するとヘフェリーの顔の右半分に施されていた、赤い五角形による
幾何学模様が消えた。
沈黙が流れていた。聞こえるとしたら何処に設置しているのか、時計が針を動かす音だけだった。
多分深夜はとうに過ぎているだろう。
だが次の瞬間、
「!!ア"……ウグゥウ……!!?」
突然へフェリーが呻き声を上げて首と胸を押さえて膝を折った。
そして其のまま腰も折ってうずくまりながら喘ぎだした。
私はある事に気付いた。
「見て、マステア……身体が……!」
「!!」
うずくまって呻き声をあげている彼女の身体が、原型を失くして肥大している。
其はゆったりとした衣装からでもはっきりと判った。
そして背中の真ん中の部分が一番大きく盛り上がり、
バリィイイ!!!!!!!
其の部分の布を突き破り、其処から更に赤い鱗に纏われた皮膚が隆起しだした。
「!!オ"ォオ"オ"………!!!!」
痛みの為か、再度呻き声をあげたが、さっきよりも声が低くなっていた。
そして次に右腕の袖が弾け、鋭い爪が生えた巨大な赤色の手と腕が出現した。
他の部分も次々と服が破れて肥大していき、今は図書館内にある本棚の半分の高さにまで大きくなっていた。
「……成程、シファーが苦労してた訳ね」
隣で、レミリアが呟くのが聞こえた。かすかに声が震えている。
御祓い棒を握る手に汗が噴き出して何度も滑りそうになる。
「~~此が……赤様から授かった……力ぁ……!!」
一部を除いて赤い鱗に覆われた彼女が紅い片手で顔を覆いながら言った。
もはや男としても問題ないのではと思われる声だ。
「よく…其の目に………焼き付けるのよ!!!」
すると地面が震えだし、天井からも小さな瓦礫が降り始めた。
「!此は……!」
「い、いったん外に出るわよ!!」
やがて大きくなる瓦礫の音に負けない様、レミリアに叫んだ。
私達は急いで入口の方に床を蹴って飛翔していった。
REIMU
~蒼魔塞 大図書館への道
入口から出て太陽のモニュメントから低空飛行で急いで距離をとり、滑りながら着地した。
『蒼魔塞』と大図書館を唯一つなぐ鉄の橋にも其の振動が伝わって来ていた。
着地の勢いがほぼ収まると同時にすぐに振り返り、さっきまで中にいたモニュメントを見上げた。
次の瞬間、其の上部分つんざく様な爆音と同時にが大きく吹き飛んだ。
「!!キャァッ……!!」
一段と振動が強まり、バランスを保てずに膝をついた。
吹き飛んできた巨大な赤い破片は運良く橋にはぶつからず、其のまま遥か下へと落ちて行った。
そしてすぐに其の割れ目の中から、
「ヴヴヴ…………!!!!」
巨大な龍の上半身が這い出てきた。
とてつもなく大きい。現在出ている上半身でも私の神社を倍にしたくらいの
太陽のモニュメントの半径とほぼ同じ大きさだ。
つまり博麗神社と上半身が同じ大きさになる。
其の体は血のように紅く翼もあり、姿は大分違えど、まさに龍神に匹敵する程の脅威を
持ち合わせているように見える。
だが、右腕だけしかなく、顔も左半分だけしかないように見えた。
眼も眼どころか眼窩もなく、まるで退化している様だった。
其なのに真っ先に眼下の私達に顔を向け、咆哮を放った。
「ムギュオォオオォオアアァアァァアーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!」
耳が痛い……私達は低い姿勢のまま思わず耳を塞いだ。
鼓膜が……破れそう……!!
すると咆哮が反響する頭の中に声が聞こえた。
『!?どうして…!?どうしてこんな事が……!?』
ヘフェリーの声だ。さっき雪と一緒にいた時も同じ事があった。
テレパシーを利用しているのね……
だが、咆哮が終わっても聞こえる其の声には焦りの色があった。
『まさかぁ…!!こんな事ってぇ……!!』
そして赤い龍は大きく口を開けたままになった。
すると炎の様に飛び出してきたのは……
「!!!」
「……ヘフェリー!???」
先程まで変異をしていた龍の、舌の一部になったヘフェリーだった。
帽子以外は服が全て破け、裸同然の姿となっていたが、
顔の左半分、左腕、右太もものみが出ているだけで其以外は肉塊に埋もれて舌と同化していた。
そして唯一残っていた帽子も、リボンで結んだ二か所の頂点を突き破られ、
其処から舌の様なモノが飛び出ていて、面影を残しながらも彼女自体がまるで先の割れた
蛇の舌の様になっていた。
長い髪の毛はすべて舌と同じ質感となり、
リボンを巻いていた耳の横の髪は、代わりに先端に牙の一部とみられる突起物が生えていた。
彼女の顔は『赤色』の力を使った反動とみられる白目を剥いていたが、
顔の右半分も舌の一部と化し、右目だけがまるでカメレオンの眼の様に残っていた。
其の顔をあり得ないとばかりに歪め、残っていた左手で頭を抱えていた。
「~~赤様はぁ……こ、此を…危惧されてぇえ……?!!」
其の瞬間、ピンときた……そう言う事ね……
「……赤紫が制限を課した理由が判った気がしたわ」
「!どういう事?」
レミリアが此方を向いた。
振動が大分収まった様なので、私は立ち上がりながら勘を頼りに説明を始めた。
「多分一日に何度も変身すると、同時に弱点を露出する危険があったのね……」
「!弱点って……?」
私は舌の先となった彼女を指差した。
「あんな強大な力を持つ龍に変身を繰り返すと、次第に霊力も枯渇して疲労が溜まる……
そうなると当然完全に変身できずに、彼女自身の一部が残ったまま龍となるのよ」
「!龍の身体は、アイツそのものか……変身できてない部分だけ、龍の身体も
欠如したままになる訳か」
そしてヘフェリーの一部が融合していた舌が龍の口の中に戻って行った。
私は懐から針を数本出した。
初めは龍と戦うなんてと、ビクビクしてはいたけど……
不完全で弱点があるなら、なんとかなるはず……!!
「……悪いけど……お前には文字通り、辛酸を舐めて貰うわ………ヘフィ」
レミリアがそう言うのを合図に、私達は太陽のモニュメントの上に飛翔した。
私達を迎え撃つ龍の咆哮が、青い満月が浮かぶ夜空に轟いた。
如何でしたか?
今回は、どちらかと言いますと戦闘より会話の方が多くなってしまいました。
ですが次回はそうはならないかと……
次回は『赤色』の力を解放したヘフェリーと戦闘を行います。
此の章では最後の話になりそうです。
それでは、次回もゆっくりしていってね♪