東方蒼魔塞   作:因田司

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今回は、『赤色』の力で龍となったヘフェリーと戦います。

原作とは大きく異なる点があるとは思いますが、
暖かい目で見て下さると、幸いです。

それでは、ゆっくりしていってね♪


アンラクトガール ~少女解放~後編◎

REMILIA

VS〈英知と日向の少女〉ヘフェリー・ウィズダム

~蒼魔塞 大図書館 屋上

 

私達は鉄橋から飛び、大図書館の屋上に到着した。

大図書館の天蓋の大半を突き破り、偽パチェが完璧には変身し損ねた龍の上半身が出ていた。

 

 

「まずはかく乱させるわよ!」

 

「ええ……!」

 

 

其処から間髪を入れずに私は左、霊夢は右に分かれて龍を囲むように飛翔し始めた。

 

 

龍は右手を、霊夢の方を狙って薙ぎ払っていたが、霊夢は難なくかわし、相手をいなしていた。

 

すると、龍の口蓋が三つに裂け、大量の赤い大玉弾幕と共に舌が飛び出し、其の先でへフェリーも私達を狙うレーザー型の弾幕を大量に口から吐き出して来た。

 

素早く体を動かし、弾幕を回避していく。

 

さっきは私が先手を取ったが、今度は霊夢が上空で先にスペルを唱えた。

 

 

「宝具『陰陽飛鳥井』!!」

 

 

手元に大きな陰陽玉が現われて、

 

 

「シューート!!!!!」

 

 

其を思い切り蹴とばして、舌の先のへフェリーの胸に命中させた。

 

 

「痛ぁいよぉおぉおぉおぉ!!!!!!!」

 

 

陰陽玉が当たった彼女の胸からは赤い血が噴き出し、左手で必死に押さえている。

どうやら舌自体は相当脆いみたいね……

 

赤い龍も潰れた悲鳴を上げ、舌を出したまま痛みに耐えきれずに其のまま身体が傾き始めた。

 

しかし、下にあった太陽の光を模した捩じれた棘のようなモニュメントの一部が首を貫いたが、構わずばったりと倒れた。

 

 

「!チャンスよ!!」

 

 

私達は急いで顔の方に回り込んだ。

 

口の端から舌が長く伸び、先でへフェリーが痛みにもがいていた。

 

霊夢が御祓い棒を振りかぶりながら彼女にむかっていった。

すると舌が素早く伸び、瞬く間に蛇の様に霊夢の体に巻き付いた。

 

 

「!悪夢!!」

 

「~~大丈夫よ…此の位……!!」

 

 

締め付けられながらも、霊夢は手を胸の前に交差させ、

 

 

「『亜空穴』!!」

 

 

すると霊夢が消え、舌は巻き付く対象を失った。

 

 

「!?」

 

 

偽パチェは舌の体をよじり霊夢を探そうとしたが、

 

 

「!?グゥ……!」

 

 

次の瞬間には真上にワープした霊夢に踏み付けられてダウンしてした。

霊夢は彼女を踏み台にし、華麗に宙返りをしながら私の処に戻ってきた。

 

舌はゆっくりと持ちあがり、偽パチェの顔を此方に向けた。

偽パチェは左手で負傷した胸を押さえている。

 

 

「~~なかなか強烈ね、博麗の者……でも……」

 

 

すると其の不揃いの両目を閉じ、再び開いた。

 

 

「此処からはそうはいかないわよ……」

 

 

開かれた目の色が変わった。

赤紫色の白目に黄色い瞳……魔理沙に化けた赤が最後に見せた瞳と同じ色合いだった。

 

更に……『赤色』の力を……?

 

 

そう思っているうちに、舌がまた龍の口内に収まっていった。

 

そして龍の頭が起き上がり、左手をついてまた体勢を立て直した。

其の時に首に刺さっていたモニュメントが折れ、一緒に持ちあがって行った。

 

 

「もう一度よ!」

 

 

私達は、其の場から空へと飛翔した。

 

目の無い龍は今度は私の方に顔を向け、大きく三つの口蓋を開けた。

 

 

(!チャンス……!!)

 

 

私は向きを変え、弱点ある龍の口内へ飛びかかった。

 

 

「神槍『スピア・ザ・グングニル』!!!」

 

 

手に、青い光の槍を出現させる。威力を上げて……一気に止めを刺す…!

 

 

 

「ムギュァアァアァァアーーーーーーーー!!!!!!!!」

 

 

 

だが口からは舌は出ず、代わりに赤い炎が赤い光弾数発と共に吐き出された。

 

 

「!!」

 

 

すぐにスペルを解除して龍の背中の方に飛行してかわす。

 

其処に巨大な翼撃が襲う。

 

 

「!?クッ……!!」

 

 

巨大故にかわし易いものの、其によって起きる風圧に吹き飛ばされそうになった。

其の後にも何度も翼撃が来たが、風圧に巻き込まれそうになりながらも回避する。

 

だが避けていく内に私は、翼は闇雲に動かされている様にしか思えなくなった。

中には、的外れな方向に振る事もあったからだ。

 

何でだ?私が見えていないのか?まぁ、まだ目が口内にあるのも原因なんだろうが……

 

 

「『妖怪バスター』!!!」

 

 

ふと、霊夢の声が聞こえた。

 

見ると遥か向こう、龍の顔の前で霊夢が弾幕を放ち、龍が片手で其に応戦していた。

 

そうか、あっちに気が向いているから、私への攻撃が粗雑になってるのか……

 

 

だが霊夢のどの攻撃もすべて龍の強固な鱗に跳ね返されていた。

硬すぎる……其に本来怯ませる為に最適な目も、両方とも口内にあって狙えない。

 

やはり、偽パチェが残っている舌を狙うしか……

 

 

すると私の目に其の首に刺さっている、モニュメントの一部が飛び込んできた。

 

 

「!あれだ……!」

 

 

龍の翼の間をかいくぐり、其のポイントに向かった。

 

 

 

 

紅魔館の時計台の時計の短針ほどが首から出ている。

食い込んでいる部分と合わせると、かなりの長さになるわね……

 

龍の気は霊夢が引き付けている……今しかないわ!

 

すぐに両手で出ている部分を押し、真下に下ろそうとしたが、なかなか動かない。

硬い表皮が邪魔をしているに違いない。

 

 

「~~吸血鬼を舐めるんじゃないわよ……!」

 

 

左手で真下に押し続けながら、右手を振り上げた。其の手に蒼いオーラが集中し始める。

 

十分に集まった所で、握り拳にして其のままモニュメントの破片に思いっきり叩き付けた。

 

 

 

「悪魔『レミリアストレッチ』!!!」

 

 

 

 

強い力を受けた棘は凄まじい勢いで垂直に移動し、龍の首を完全に切断した。

 

斬られた頭部は、モニュメントの上に大きな音を立てて無造作に転がった。

 

頭を失った龍の身体は、片手や翼で必死に穴の渕に捕まろうとするも、大図書館の中に落ちていき、赤色の塵となって消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私達は、モニュメントに降り、穴の傍に転がった龍の首に近付いた。

 

龍の首は奴の首だ。切られればもう……

 

 

「オ"オ"………オ"オ"オ"………」

 

 

偽パチェは龍の口の中から出ていた。

残っている腕で移動したのか、龍の下顎の部分に荒い息でもたれている。

 

全身が龍の涎で濡れている。そして其の口からも、片手で押さえている胸の傷からも、真っ赤な血が流れていた。

 

良く見ると、伸びている舌の一部からも出血し、足元に広がる涎に混ざって広がっていた。

 

 

「~~も、申じ訳…ございません……赤様……!……お…~~御言葉に……

背いた…ばかりに……!?ア"ァ"ア"ァ……!!!」

 

 

苦しみながら吐く言葉に私は違和感を覚えた。

 

 

「……さっきは私の為と言ったのに、どうして赤の為になってるんだ?」

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

私は訊いた。

 

 

「クク……」

 

 

すると、へフェリーが唐突に笑い声を洩らした。

 

 

「貴方……やっぱり、マスィじゃないのね…?という事は……やはり赤様が

仰っていた………」

 

 

……今頃気付いたのか……

 

 

「何時からだ?」

 

「最初から気付いてたわよ……だって…マスィは、そんなに……人間味が残って

いないもの……」

 

「!其は……どういう事だ?」

 

「『赤色』の力による事故のせい…其だけよ」

 

「言いなさい、赤は何をしようとしてるの……?」

 

 

すると霊夢が私達に近付いて、偽パチェを問い詰めようとした。

 

 

「霊夢……私がやるから良いわ」

 

 

私は霊夢を引き下げた。

偽名を使わなかったのは、今更死ぬような奴に使う事も億劫だったからだ。

 

すぐに相手は其に喰いついた。

 

 

「!…霊夢?…ハァ…ハァ……やはり…博麗…霊夢ね?……赤様が其の名挙げていらっしゃった……」

 

 

其処で、へフェリーの黄色い瞳が縮まった。

 

 

「!じゃあ何……?あの門番をアンタ達は出し抜いたって訳……?」

 

 

だんだん矢継ぎ早に言葉を発する様になる偽パチェ。

そうなると息も当然上がってくる。

 

と突然、

 

 

 

「アッハハハハハハハハ…………!!!!!!!」

 

 

 

大声で笑い始めた。

が、血が喉に詰まったらしく吐血と共に咳き込み始めた。

 

 

「何がおかしいの?」

 

「ゲホォ!!…ハハハハ……あの門番に醜態を晒させたのね!?よぉくやったわ…!ゴプゥッ……気分が良い…クク……ヘヘヘヘ………」

 

 

さっきまでとは明らかに様子がおかしかった。

 

 

「重ねた変身の影響で、人格の崩壊まで引き起こしてるのよ…可哀相に……」

 

 

霊夢が傍に来て冷たく言った。

だが、自分が死ぬというのに、何を考えているのか……

 

 

「一つお願いを……頼んでも良い…かしら……?」

 

 

偽パチェは唐突にすがり付く様な声を出した。

確かに、人格が判らなくなっている……此程のものとは……

 

だが、最後に聞いてやるか……私は止めをさそうとしていたがいったんとどまった。

 

 

「…何だ?赤へ死亡報告してほしいか?」

 

 

偽パチェは其処でひとつ呼吸をゆっくりとした。

 

そして、私にこう言った。

 

 

 

 

 

「……雪を………私のところに……連れて来なさい………」

 

 

……は?

 

 

「アイツを……あの世に連れてきてくれたら……許してあげても…良いわ……」

 

 

…コイツ…………

 

 

「……何処までも見下げ果てた奴だ」

 

 

そして、

 

 

「……必殺『ハートブレイク』」

 

 

再び蒼い槍を手にする私。

 

ふと後ろをふり返ると、霊夢は顔を背けている。私が止めをさすのを見ないつもりだというのは明白だった。気にせず敵に視線を戻す。

 

せめてもの情けだ……威力を弱めて殺してやる!!

私は親友の偽物の頭を狙って投げようとした。

 

 

 

が、突然地面が揺れ、私は槍を投げ損ねた。

 

けたたましい音を立てて鉄が切れる音がし、すぐに足元が傾き始めた。

 

落ちる……!私は直感的に気付いた。

明らかにオーバーなサイズの龍が暴れたせいで鉄橋が重さに耐えきれなくなったのか……!!

 

 

「レミリア!此処から離れるわよ!!」

 

 

霊夢の叫び声を聞こえた。私達は直ぐに飛翔し、図書館の屋上から離れた。

 

 

 

 

「精々足掻いてみせなさいよぉ!!!先にあの世で待ってるからさぁあぁ!!!!

アハハハハハハハハハハ…………!!!!!!!!!」

 

 

 

 

その哄笑は、太陽と共に下に落ち、聞こえなくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大図書館が無くなり、切れた鉄橋だけが残る先で私は下を見た。

今度は煙が凄かったため、落ちた場所がすぐに判った。私達の真下だった。

 

顔をあげ、霊夢の方を見た。だが、アイツの顔は見れなかった。

罪悪感が込みあがってきたからだ。

 

 

どうしてなの?私は、当然の事をしたのに……

 

だが、小悪魔、そして本当の親友の顔が頭に思い浮かんだ時、私は思い知らされた。

 

 

…此からは私の配下に似たものと戦っていくのか……

 

美鈴、咲夜、フラン……

 

そして、いずれ自分自身とも……

 

 

アイツは……私の弱みに確実に付け込もうとしている……

あたかも親友を殺すような感覚に陥れようとしている……

 

私に躊躇させ、其の隙に……

 

 

 

 

許さん……!!絶対に許さんぞ…赤……!!!

 

 

 

 

顔を下に向け、霊夢の傍を通り過ぎた。

 

其の際に言葉をかける。

 

 

「……行くわよ」

 

 

私達は鉄橋を音を立てて歩き、再び塔の中に戻って行った。

 

其の背中を蒼い大きな満月が、静かに照らしてくれていた。

 

 




如何でしたか?

次回からは新章で残りの新たな配下と戦っていきます。
ですが、其の前に、新たな配下の紹介が入りそうです。

それでは、次回もゆっくりしていってね♪
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