レミリア視点で御送り致します。
原作とは大きく異なる点もあるとは思いますが、
暖かい目で見て下さると、幸いです。
それでは、ゆっくりしていってね♪
REMILIA
VS〈赤色の人形遣い〉アリス・マーガトロイド
~蒼魔塞 5階
【『英知の結晶』爆発まで残り4:49:36】
「……やってくれたわね、赤…!」
身も心も『赤色』で真っ赤に満たされたアリス本人だった。
だが広げた腕の先、両手はだらりと下がっていて不自然だった。
其はまるで空中で糸で吊るされた人形の様であり、十字架に磔にされて処刑を待つ
囚人の様でもあった。
夜に襲ったとはいえ、人形遣いを人形にするとは……其に人形にしただけではなく、
爆破する様にまでしている。
やっている事が人形を起爆させるアイツと気味が悪いまでそっくりだ。
「胸にある機械の中心……あの赤い部分が弱点ね」
霊夢が隣で呟いた。
「!根拠は在るの?…それとも、また御得意の勘?」
「長年異変を解決してきた私の勘を信用出来ないの?」
今回ばかりは命がかかっているのに……
円盤型のユニットが突然赤いレーザーを霊夢に向かって放って来た。
「!霊夢!!」
「判ってるわよ!」
とっさに横方向に前転をしてかわす霊夢。
今度はアリス本体が私に向かって中を滑る様に接近してきた。
「!?」
アリスが飛翔するよりも速い。
其の予想以上の速さに、動作が一瞬遅れた。
気付けば腹に蹴りを喰らって吹き飛んだ。
「!?ウグゥ……!!」
甲冑の様な機械を纏った足から放たれた、いつもより強烈な蹴りだった。
「レミリア!!」
霊夢が叫んだが、レーザーが飛んできたので回避した。
だが、地面に無様に倒れるほど、私は馬鹿ではない。
飛んでいる間に素早く体勢を立て直そうとした。
だが、
「!?ゴホォオ……!??」
後ろからの衝撃を受け、其のまま鉄の床に叩きつけられた。
「!!?~~~」
背中にギリギリと圧迫される感触がある。
先程私を蹴り飛ばしていた甲冑の足が、私を踏みにじっていた。
目だけで見上げると、アリスが見下していた。
白目も瞳も真っ赤になっていて区別が付かない。
「~~さっきまで、前にいた……筈な…のに……!?」
するとアリスの後ろで、
バジビビィ………!!!
赤紫色のスキマが赤い放電と共に閉じられるのが見えた。
まさか、スキマを使って後ろに……!?
いや、人形遣い如きが空間を裂いて移動できる訳が無い……
「!……『英知の結晶』の…機能の一つか……!」
赤ならやりかねない……自分の能力を自作の機械に内蔵させる事くらい造作も無いだろう。
でも……
「私だけ……見てて……良いのかしら!?」
「?…………」
人形遣いは其の声に反応にして、無言で顔を上げたが、
「『妖怪バスター』!!」
其の時には前方から霊夢がアリスに向かって大量の御札を殺到させていた。
だが、アリスが抑揚のない声でスペルを唱えた。
「……暁符『平安の天児人形』」
其と同時にアリスの皮膚に浮いた、赤い血管の様な模様が輝いた。
(!配下の時と同じだわ……!!)
すると円盤の一つが変形し、いつも従えている人形の様になった。
そしてアリスに向けて飛ばした霊夢の弾幕が命中する直前で、まるで吸い込まれるかの様に
人形になったユニット達に進行方向を変えた。
「!?」
そしてアリスの代わりにユニットに命中し、爆発した。
「!弾幕を引き寄せて、身代わりにさせるのね……」
霊夢の言葉にもう一期視線を上に向けると、次々と変形していくユニットからは
目視出来る程に紅い波状のオーラが出ている。
あれが弾幕を引きつけていると言う訳か……
「札じゃ負けるわね……だったら!」
霊夢はそう言うと一旦後ろに下がり、
「『パスウェイジョンニードル』!!」
今度は札ではなく大量の針をコアにめがけて発射した。
札より空気抵抗の少ない針状の弾幕でユニットの引力を振り切り、命中させようと言う
算段ね……
だが、此等もユニットに引きつけられて軌道が逸れてしまった。
「!?………」
私は背中を踏んでいたアリスの足が熱くなっている事に気付いた。
もしかして……!私は霊夢に叫んだ。
「霊夢急いで!あと少ししか時間が無いわ!」
「でも此では、アリスにつけてる『英知の結晶』に攻撃を当てられないわ…!」
そう言いかけた霊夢が気が付いた様に喚いた。
「なら、何ボサッとしてるのよ!!アンタも早く脱出して攻撃してよ!!」
「私、踏みつけられて身動き出来ないのよ!見て判らない!?」
「蝙蝠になれば良いじゃない!!!」
……どうかしてたわね……まさか私自身が、焦りのあまり此の方法を忘れていたとは……
つい数時間前にも使用していたじゃないか……
私は気を取り直して、能力を使用しようとした。
まさに其処で、何処からともなく身体中が締め付けられた。
「!?うぎゅ……!??」
思わず変な声が出たが、すぐに目だけで鎖の出所を探した。
私を踏んでいた方のアリスの足の機械が展開し、そのふくらはぎの両側から
紅いオーラで出来た鎖が一本ずつ射出され、私の身体に巻き付いていた。
「~~逃がさないつもりね?…でも、甘いわ……」
だが、
「…!?……!!……!~~~…」
………どういう事なの……?
「蝙蝠に……変身出来ない……?」
気が付いた。まさか、能力も縛られるの…?此の鎖は……!?
事態が一気に最悪の展開に近付いた。
爆発を起こした場合は人形遣いだけではなく、私も巻き込まれてしまう。
そして私の頭にはある言葉が浮かんだ。
『此の光は赤くても太陽の力を一切含んでいない……安心するのが一番だぜわよ?』
此の砦の外で私達にスポットライトを浴びせた際、赤が発した台詞だ。
太陽の力を含んでいない……其を言っている事は、『あの時』は含んではいないと
言う事になる。
なら常に、そして今回のにも含ませている。恐らく、爆発した時の熱と光に入れているに違いない。
其の間にも霊夢がありったけの弾幕を放って尽力しているがどれも空しく、アリスの
身体の傍をかすりもせず通過していった。
此のままだと縛られ、逃げられないまま無様な最期を迎えてしまう…!
卑劣な作戦だ……くそ……赤ぃ………!!
バキィィイ……!!!!!!
「!?」
突然鈍い音がしたかと思うと、急に身体が軽くなった。
何が起こったのかが判らなかった。
目線を上にあげると拘束していたはずのアリスがいない。鎖の拘束も解かれていた。
「?……何が起きたの……?」
目線を変えて霊夢を見た。霊夢も唖然としている。
「判らない……誰かが、素早くアリスを叩き飛ばしたのよ」
上半身だけを起こして、廊下を見渡した。
いた。私の後ろ、其も相当な距離が開いた廊下の上にアリスが仰向きで倒れていた。
手足を纏っていた赤色の機械が、折りたたみながら胸の『英知の結晶』に収納されていた。
其の『英知の結晶』の真ん中部分が酷くへこんでいて、紅く放電していた。
そして其処から始めて気が付いた。其の奥に別の誰かが立っている。
輪郭からして随分小柄だ。
「……危なかった」
ソイツがアリスに近づき、胸の機械に手を伸ばした。
「……もう少しで、また犠牲が出る処だったわね……」
伸ばした手が明るいところまで伸びた時、驚いた。
機械の腕だ。人間ではありえない、二本指の開閉式のアームだ。
其の腕が人形遣いから機械を取り外した。
すると身体から何か紅い霧状のものが抜け出てきた。『赤色』に間違いない。
其に伴ってさっきまで身体の芯まで真っ赤だった姿が一変、もともと赤かったリボンまでもが
青くなっていった。
「……こんな小細工を……」
其の人物がそう言うとともに機械が窓の外に飛んでいった。投げ捨てたのだ。
そして横たわっていたアリスの姿が奥の暗がりに引き摺られて、宙に浮いたブーツだけしか
見えなくなった。
やがてアリスは抱きかかえられている事を知った。
アリスよりも小さいのに凄い力だった。
「気を付けて……アイツがアリスをぶっ飛ばしたのよ」
声が聞こえて横を見ると、いつの間にか霊夢が隣に来ていた。
すると、
「……そっちに連れていくわね」
「!!!」
今度ははっきりと其の声を聞いた私は身体が震えた。
聞き覚えのある此の声だった。恐らく、今まで聞いていた誰の声よりも多く聞いた此の声……
其の姿が此方に近付いてきた。
私の上ずった声が漏れた。
「まさか……お前は……!!」
一歩ずつ近づいてくる。
其の姿が月の光に照らされ、全身が見えた。
「マステア……アズール……!!」
自分と同じ蒼い自分が其処にいた。
今までで一番聞いてきた……『自分の声』の主が私を見ていた。
如何でしたか?
突然現れ、アリスの救出に助力した赤の側近マステア。
赤の配下でありながら、霊夢達を助けた其の目的とは…?
次回からは意外な方向に話が進んでいきそうです。
それでは、次回もゆっくりしていってね♪