その一方で、赤の行動も紹介しますが……
原作とは大きく異なる点もあるとは思いますが、
暖かい目で見て下さると、幸いです。
それでは、ゆっくりしていってね♪
HUCHI
~???
「~~不覚でした……!~~まさか……」
……………
「まさか、彼女達が……侵入者でしたなんて……!も……申し訳ございません!赤様!!」
……………
「私、藍 雪……!必ずや私達を欺いた、あの侵入者共をなぶり殺しにして見せます!
ですから……!!」
……………
「そうね………じゃあ………」
「?赤様……?な、何でしょうか、此は……?私の眉間に何を……???」
「貴方も……『失格』ね」
私のスキマの中、誰にも邪魔されない此の場所で、何度も、銃声は響いた。
REIMU
~蒼魔塞 5階
私達は今蒼魔塞の5階を歩いていた。
私は上を見上げていった。
「広いわね……」
4階までは天井と壁に囲まれた直方体を引き延ばした様な廊下が続いているだけだったが、
此の階からは全く変わり、柱が数本、数倍幅広くなった通路から高い天井へ真ん中に沿って
建っていた。
ろくに飛翔も出来ずに通路を歩いてきた私達にとっては気持ち良い程解放感に溢れた
空間だったわ。
アリスとの戦闘で直ぐには気付けなかったけど。
「下の階までは侵入者を撃退する為に作られたと言っても過言ではない。だから赤は
自分の大切に思っている階に、来れる筈が無いと踏んでいる。
従って此の階からは罠類は一切存在しない。安心して歩けるわよ」
マステアが前を見たまま私達に説明した。
其の後ろ姿からはみ出て見える、アリスのブーツが金属の床に擦れている。
「まさか、其処を侵入者の私達が歩いているんだから驚くわよね?
雪にも感謝しないと。彼女からはいろんな情報も貰ったし……」
「!隠れろ!……」
突然マステアが横に飛び、傍に建つ柱の影に隠れた。私達も其に続いた。
「いきなり何なのよ……!?」
声を押し殺してマステアに怒りの声を上げた。
其に応えるかの様に、彼女は機械化していない方の手である一点を指差した。
「見ろ」
其の先の廊下に、人影が立っていた。
主から染めて貰ったであろう紅いメイド服。そしてカチューシャをしている
金色の髪が、窓からの月の光に反射して輝いていた。
其の腰掛の端にはおびただしい数のナイフと、赤い鍵が一本ぶら下がっている。
右頬に時計の針を合わせた様な紅い幾何学模様が走った、咲夜そっくりの顔だ。
でも其の顔は何処か怯えていて、せわしなく廊下を見渡している。
待宵 知流だ。偽美鈴から聞いた名前を思い出した。
「名前は…此も雪から聞いたわよね?」
「ええ、アイツが待宵 知流……此処のメイド長ね。色だけは夢子そっくりね」
私の言葉に反応したマステアが此方を見た。
「夢子?」
「魔界っていう場所のメイドよ。一度手合わせした事があるんだけど」
「魔界?そんな場所が、外の世界には存在していると言うのか……?」
「ええ。因みにソイツは、其の魔界出身なのよ」
私はマステアが抱えているアリスを顎で指し示した。
マステアがうつむき、腕を組む。
「そうか……外の蒼世界には、まだまだ知らない事象が存在するのか……」
すると、何も音はしなかった筈なのに突然知流がビクッと反応し、私達の居る
反対側の廊下に首を向けた。
「!うわ、何……?過剰にオドオドしてビクビクして……頼り甲斐無さそうね……
咲夜でもあんな態度取らないわよ?」
「罠を解除し忘れるのも頷けるわね」
私とレミリアは呆れる。
すると、腕組みをほどいたマステアがもう一度指差した。
「彼女の後ろにあるの……判る?」
「「!あ……!」」
私達は同時に声を上げた。
大きな扉があった。下の階にあった大図書館に続く扉とそっくりだった。
只、あの扉には太陽の文様があったが、此方には三日月の模様が施されてある。
一見、大きさ以外は何の変哲もないけど……
「あれには二重のセキュリティが施されていて、其の奥は赤しか立ち入る事が出来ない。
其の一つの解除方法が、知流の持っている赤い鍵だ。わざわざ鍵を配下に持たせて警護させる
事自体珍しいが……」
「焦って冷静さを失ってるんじゃないかしら?」
レミリアが言った。
「そうだと、有り難いわね」
「じゃあ、どうするのよ?」
私はマステアに訊ねる。
「……止むを得ない。私が彼処から退去させる。鍵も奪取する」
マステアは抱えていた人形使いを静かに床に寝かせ、立ち上がった。
「此処にいて。無駄に戦わせて、霊力を空費してはいけない」
そう付け加えて、柱の陰から出て扉に向かって歩いて行った。
「……思わぬ策士に巡り合えたわね」
其の背中を見ながら顔をしかめていたレミリアに、私は囁いた。
マステアが知流の横まで来た。知流は周りを気にしているのかまだ気が付いていない。
『灯台下暗し』が良く似合う風景だった。
マステアが声をかけた。
「知流」
其の声で、弩で弾かれたかの様に偽咲夜が飛びあがり、慌てて姿勢を直して敬礼の
ポーズをとる。
「!?マ、マママステアお、御嬢様……!!お、御帰りなさいませ……!!」
此処まで来ると、もはやギャグとしか思えない。本人は必死なんだろうけど……
思わず笑うのを堪えた。
アイツ、本当に時を戻す力なんて使いこなせてるのかしら?
「マドゥは元気か?」
マステアは話す。
どうやら彼女の妹、マドゥレート・アズールについて話している様だった。
彼女が静かに話しかけるあたり、知流の態度に慣れてるだけはあった。
私だったら苛々して蹴りを入れていたかもしれないわね。
「!え、は、はい……相変わらずの、御様子で……へ、部屋を血染めに……」
「元気そうね」
そう言うとマステアは腰に手を当てた。
「ところでだ……赤は何処にいる?」
「!え……!?ふ、赤様は……其の……」
「赤と話がしたい。『赤色』に関してなんだが」
『赤色』という言葉を聞いた途端、知流の顔がパッと明るくなった。
「け、決心……されたのですね……!?」
「唯の相談だ。他意は無い。後、此処は立ち入り禁止の場所の前よ?
此処にいて大丈夫なの?………」
其の時、私達は見た。
手を腰にあてていたマステアの機械化された左腕の肘部分。
其処から、小さいアームが床に向かって伸びていくのを。
「!!!………」
咲夜もどきは話を聞く為にマステアに顔を向けている。全く気が付いていない。
「霊夢……!あ、あれ……!」
「判っているわよ……!!」
珍しいレミリアの震え声に応えながらも、唖然としていた。
アームは床すれすれを這いながら知流の真下まで来ると、まるで毒蛇が鎌首をもたげるかの
様にスルスルと伸びあがり、腰に付いた赤い鍵の真下まで来ると其の先端の三本指を開いた。
「!」
鍵を音も無く摘み、腰から外し、再び音も無くするすると戻っていくと、今度はマステアの
後ろに伸び、背中を伝って後頭部にまで到着した。
そして帽子の中に機械の手を潜り込ませ、鍵を隠した。
「!!………」
そして一連の動作を終え、役目も終えた機械の小さな腕は、マステアの肘に収納されていった。
あまりに呆気無く、そして、鮮やかだった。
横を見るとレミリアはぽかんとしていた。流石に驚きを隠せなかったらしい。
「……赤を呼んで来てくれ。此処で待っているから」
そんな私達の驚愕を余所に、マステアは平然と命令を下した。
あの間にも偽咲夜と何か話していたんだろうけど、全然耳に入っていなかった。
「は、はい……!!」
鍵を盗られた事に気が付いていない駄メイド長はそう言うと、踵を返して走っていった。
途中で小さく、何度か転びながら。
「……………」
見えなくなるまで見届けたマステアは此方を見て、隻眼ながら目で来る様に合図した。
「流石……もう……いろいろと流石ね」
私は柱の陰から出て、マステアに歩み寄りながら言った。
レミリアも一歩後ろからついて来ていた。
「知流はいつもオドオドしてはいるが、上位の私達に対しては非常に忠実だ。
其に、下位の者に対しても雪と真逆の対応をする」
そう言いながら帽子を外し、機械化していない手で髪の上に乗っていた赤い鍵を
取った。
「非常に優しく、素直で面倒見が良い。故に赤だけでなく、他の配下からも人気は高い……
……振舞の可愛さも兼ねてな」
苦笑しながら鍵を手渡してきた。其を受け取って見た。
「鍵だ。持ち手から此処の扉のものという事は相違無い筈よ」
「此が……第一のセキュリティのキーね?」
鍵は錆ではない、紅い金属で出来ていて其の持つ部分が赤い三日月を摸していた。
此処での雰囲気からしてカードか何かかと思っていたけど、普通の先の細い鍵を採用している所
からすると、赤にも意外に古典的な一面がある事が覗えた。
すると、マステアがまわりを見渡し始めた。
「処で……もう一人は?」
「!いけない、置いて来てしまったわ……!」
振り返って見ると、柱の陰に其の姿が横たわったままだった。
私がアリスの処に戻ろうとしたが、
「心配は不要よ」
マステアが止め、機械の腕を彼女に向けた。
私は思わず訊く。
「何をするつもり……!?」
其の瞬間、腕の肘から手の部分が金属音と共に二股に分かれた。
「!??」
思わず後ずさりをしてしまった。
そして其の分離した腕達が、マジックハンドの様に平行に伸びていった。
アリスの処に到達するとが平行に動きながら、さっきマステア本人が抱き上げるのと
同じ様に器用に彼女を下から抱え上げた。
二等分されている筈なのにアリスを抱え上げる。とてつもない程の耐久力ね……
そしてアリスを抱えたまま、此方に向かってゆっくり戻ってきた。
戻ってくる速度は、抱いているアリスを気遣ってのものに違いない。
「……随分と便利な腕ね……」
機械の腕を一本に戻しながら再びアリスを抱えるマステアを見ながら、レミリアが思わず
言葉を漏らしていた。
「私自身は気に喰わない……赤が創った腕だもの……」
マステアは歯ぎしりを漏らした。
「そんな事よりもセキュリティだ。知流が戻って来る前に済まそう」
私は紅い鍵を手に、紅い扉に立った。
レミリア、そしてアリスを抱えたマステアは一歩下がった処にいる。
「さぁ、赤裸な真実……暴き出してやろうじゃないの!」
そう言うと私は、解印の準備を始めた。
如何でしたか?
此までで散々霊夢達を苦しめてきた『英知の結晶』。
味方に付くと、非常に頼もしい限りですね。
そして雪同様、戦わずして退場した知流。
新キャラの中ではかなりキャラが強かったですが、扱いが不憫でした。
次回から月のモニュメントの封印を解除し、遂に其の内部に侵入していきます。
霊夢達は其処で何を見るのでしょうか……?
次回もゆっくりしていってね♪