探っていきます。
原作とは大きく異なる点もあるとは思いますが、
暖かい目で見て下さると、幸いです。
それでは、ゆっくりしていってね♪
REMILIA
~蒼魔塞 紅月の研究所
私達は、薄く赤い光で照らされた廊下を歩いていた。
「……チッ」
思わず舌打ちが出た。
私達から『赤色』を盗っておいて、こんな処で贅沢に使って……
電球一つでも叩き割りたかったけど、何か作動すると面倒だったのでしなかった。
「何もないわね……罠とか無いのかしら?」
「此処もさっきと同じだろう…ましてや、絶対侵入出来なさそうな場所なら尚更だ」
私の隣からの霊夢の質疑に私の前のマステアが応答する。
「完璧主義の欠点だ。筋道通りの展開しか頭に無い。予想外の展開に対応出来ない」
「じゃあ何故、赤は私達を此処に誘った?」
今度は私が訊いた。
「秘密がある拠点に誘えば、必ず私達が其を探るのは見えてた筈だ」
「判らないわ……でも、此の秘密は私が言わなければ知らなかった筈よ」
「確執はあったもののまさか側近が裏切るなんて…という予想は出来なかったって訳ね」
暫く歩いていると、広い場所に出た。
「……何、此処……?」
霊夢が隣で声を潜める。
さっきまでいた塔の中と比べて格段に暗く、そして天井にぶら下げている灯から
薄くも真っ赤な光が降り注ぎ、金属の床を真っ赤に染めていた。
窓も無い、無機質な紅い部屋だ。
只、上に何も乗っていない机がちらほらと並んでいて、机の傍には様々な大きさの
赤い金属の箱があり、中からは各々の箱に合うサイズの金属が見えている。
「!あれは何…!?」
アリスが机の一つを指差した。私を除く皆は其の机に歩いて行く。
「此は……」
「……何かの書類かしら?」
確かにアリスが指差す机の上に紙の束が乗っているのが見える。
私も部屋を見渡しながらゆっくりと皆と処に歩こうとした。
すると、
「?」
左の靴に何か堅い物がぶつかった。
何が当たったのかと見下ろす。
「?………」
靴の先に金属片が転がっていたが、其の両端は丸く伸びている。
まるで形其のままに押し潰された骨みたいだ。
「霊夢…」
私は呼ぶと霊夢が振り向いた。
「此、拾って頂戴」
そう言って足下を指差した。霊夢は其の指の先を見て、屈んで拾った。
勿論位の高いものとしてのプライドもあったし、もし金属とは言っても銀だったら、
吸血鬼の私にとってはたまったものでは無かったからだ。
「此は……金属の骨……かしら……?」
霊夢も私が考えるのと同じ事を言っていた。
でも近くでよく見ると骨の関節に当たる両端には六角形の穴が開いている。
「……マステア、此は何か判るかしら?」
マステア達が呼ぶ声に反応し、戻ってきた。
アリスは手にさっきの書類を持ち、其の一枚一枚を見ている。
「此はスパナ……工具の一種か……」
マステアはすぐに何かを言った。赤の側近にいただけはあって何でも知っている。
「工具?て事は……何かを作っているところ…かしら……」
「!ちょっと見て、此……」
其の声に応じ、今度はアリスの処に皆が集まった。
アリスが見せた其の一枚にはいろんな物のイラストが奇麗に描かれ、各所の寸法まで
細かく記載されていた。其の傍には、細かい字で長い文章が書き綴られている。
「……何かの設計図みたいね……」
マステアが言うと、
「!そう言う事……!」
突然霊夢が声を上げた。
「どうしたの、霊夢?」
「何か判ったの……勘でも良いから言って?」
アリスと私が訊くと、
「ええ……勘に頼る事になるけど……」
そう言って霊夢は一度部屋を見渡し、
「此処で……『英知の結晶』が作られているのね」
「!『英知の結晶』……」
私は其の言葉を聞き、懐からある物を取り出してマステアに見せた。
「!『魔導メモ帳』……ヘフィの……」
「厄介な魔法が使えない様に、奪ってたのよ」
そう言い、私はメモ帳の様な機械をマステアに渡した。
「其も此処で作られてたと言う事になるのね」
「えっと、ゴメン霊夢、何?其の……英知?」
「あぁ、お前はまだ知らなかったわね」
そう言うとマステアが説明を始めた。
「自分の作る、機械の数々をアイツが勝手にそう呼んでるだけだ。
独創的なオリジナルの形もあるが、何かに似せて作ってある事もある。だが、一個一個の
機能がとてつもなく強力で、オリジナルをも比には出来ない」
「私達、散々苦しめられたものね」
霊夢が相槌を打つ。
「ええ……しかし、本当に多種に及んでいる。小物から大型の機械まで様々なものを作り上げてきた。建造物も例外じゃない」
マステアは其処で一息つき、
「現に……此の『蒼魔塞』も其の一つだからな」
「!え、此の建物も……!?」
アリスは驚きのあまり、設計図の束をクシャッと両手で握った。
「そう。そして、貴方の胸部に取り付けられていたのも……そして、私の身体の一部もね」
そう言うと左腕を前に出し、先程の様に肘までを二つに分裂させ、回転させた。
其を見下ろす表情は、さっき見せた時と同じ屈辱に満ちたものだった。
「でも、一番凄いのは、部下から発注されたものを僅か数分で作ってしまう事よ」
「!?数分……!?」
一通りの動作を終え、腕を元に戻しながら言った言葉に、数体の人形を操って設計図の皺を取っていたアリスが吃驚した。
「私の上海人形だって……そんな短い時間で作れないわよ!?機械なんて尚更…!」
「私は」
そう言うとマステアは持っていた『魔導メモ帳』を振りながら言う。
「此が目の前でヘフィが赤に注文するのを間近で見た」
「ま……側近だものね」
霊夢が言う。
「で、どうなった訳?」
「直ぐにスキマに消え去り、三分で一冊の魔導書もどきを持って戻って来た」
「!三分……!?」
アリスは整頓していた皺を取り終えた設計図の束を、バラバラと床に撒いた。
……いくらなんでも驚きすぎよ、少しは順応してよ。
驚くタイミングは七色だけど、驚き方が単色過ぎるのよ、アンタは……
「もしかすると……」
すると、マステアの言葉を聞いてきた霊夢が呟いた。
「既に用意していたのかもしれないわね……」
「!其はどういう事だ……!?」
今度はマステアが訊いた。
「詳細は判らない。でも……」
そう言うと首を曲げ、ある一点を見ながら断言した。
「あの先に、答えがあると思う」
私達は霊夢の視線の先に、次の通路への入り口があるのを見付けた。
ドアも無く四角い部屋で唯一切り抜かれたかの様な四角い穴がぽっかり
と口を開けていた。
「次の部屋へのハッチか……開いてたんだな」
「いえ、開いてたんじゃない……開けたのよ……赤がね」
「!?」
霊夢の発言に私達は周りを見渡し始めた。
「何処にいる!?」
「此処にはいないし、私も見てないわ……でも、判る……今も何処かで
私達を見ている」
そう言うと、裾の中から御祓い棒を取り出す。
「どうやらアイツも腹をくくった様ね……用心するのよ。妨害が入るかも
しれない……」
「其は此の事かしら?」
突然言葉が聞こえたかと思うと、上から霊夢の腕に腕が巻き付き
身体が上に持ち上げられた。
「!霊夢!!」
素早く反応した私は、咄嗟にスペルを唱えようとしたが……
霊夢を襲ったのは、赤ではなかった。
「!紫!!」
「こんばんは……素敵な夜を御過ごしかしら?」
御得意のスキマから腰まで出し、背中を向けて逆さにぶら下がった大妖怪が巫女の
腕に自分の腕を回し、近付けた頬に自分の頬を寄せていた。
相変わらず、艶っぽくて胡散臭い。まぁ、赤にも通ずるものはあったけど……
?赤?………!赤!!
「ちょっと、紫……!」
私が姉について罵倒しようとした瞬間、
「アンタ!其の言葉、今どういう状況なのか判ってるの!?」
「!!あ~あ~、判ったわよ……下ろすから騒がない騒がない」
正体が判るや否や、突然喚き始めた霊夢に慌てた紫は霊夢を拘束から解放した。
「アンタの姉が大変な事してるのよ!!何とかしなさいよ!!」
金属の床に着陸した後もまだ怒っている霊夢を余所に、紫が
マステアの存在に気が付いた。
「貴方…アイツの側近ね」
「お前……赤の妹か」
其の時、マステアを見る紫の視線に何かを感じた。
何……まるで……
(マステアを……憐れんでいる?)
そう感じた。
赤の配下をしているのだから当然だと思ったが、何故か其の解釈に素直に納得が
出来なかった。
どうしてかしら……?只、憐れんでいるだけなのに……?
其とも、別の何かを……?
だが其の哀愁も、何時もの胡散臭い微笑と共に無くなった。
「裏切ってくれて助かるわ」
「……其はどうも」
にこやかに挨拶する紫にマステアは応える。……アンタも乗らなくて良いのよ……
「……で、突然だけど」
其の言葉通り、突然紫は真剣な表情になってスキマからではなく懐から扇子を取り出した。
「霊夢の言ったとおり、此の先に答がある」
閉じた扇子で開けられたハッチの先を差し示した。
「!まさか…もう此処を見たの!?」
「ええそうよ、アリス。下見は済んでる……!あ、因みに彼処のハッチの解錠したのは藍ね」
そう言って後ろを向くと扇子を広げ、口元を隠した。
「………?」
紫は何も言わずに黙っている。
「……ちょっと……紫?」
怒りは収まり、不安になったのか霊夢が紫の背中に声をかける。
紫はまだ黙っている。
「何を見たのか、言いなさいよ……」
すると、
「真実は何よりも残酷よ……幻想と同じく」
紫は背中を向けたまま言った。
「……え?」
霊夢が頓狂な返事をすると、紫はゆっくりと此方に向き直り、
「其は……自分の目で確かめなさい」
静かにそう言った。其の瞬間、私は毛をザワザワと逆撫でされる感触を覚えた。
何なの……?私は訝しがり、そして判った。
殺意だ。大妖怪の殺意だ。
此方の全員を見渡す其の目付は此方を見ているものの、何か遠くの方を睨んでいる様にも見えた。言葉無くして怒りで白熱している。
霊夢とアリスが其の視線に射抜かれ、竦み上がるのが目の端で見えた。
私は思った。大妖怪が激昂し、そして自分の口でも語りたがらない程だ……
此の先で、ろくでもない物を見たに違いない。
「そして赤も、とっくに侵入に気付いている」
だが、其もすぐに消え去り何時もの目付で扇子の向こうから声をかけた。
「!じゃあ、部屋に急がないとマズいか……」
マステアはそう言いながら、ハッチの前に立った。
紫以外は其に倣い、急いで同じ場所から奥を覗き見た。
再び廊下になっていたが、さっきよりも、そして此の部屋よりも更に
ギラギラと強く赤の濃い光に満ちていた。まるで私達を阻む網の様にも見える。
血や霧…紅いものに見慣れた私でさえも其の充満した光に思わず目を細めてしまった。
「いよいよ真実、ね……」
アリスが、紫の言っていた言葉を引用して言った。
其の後で唾を飲み込む音も聞こえた。
後ろから足音が聞こえた。やっと紫も来た様だ……
「太陽に隠れた月には一体どんな秘密をしまっているのかしらね……赤?」
霊夢はそう言うと、私達は紅い光達を掻い潜る様に廊下を走って行った。
如何でしたか?
今回からは、新たに紫も異変解決に加わりました。
何を見たのでしょう……?
そしてアリスが完全にドジっ子になっています。
どうしてこうなったのでしょう……?
次回も研究所内の探索を続け、真相に迫ります。
それでは、次回もゆっくりしていってね♪