東方蒼魔塞   作:因田司

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今回で赤の新たな配下との決着が付きます。
前半はアリス、後半は霊夢視点で御送りいたします。

原作とは大きく異なる点もあるとは思いますが、
暖かい目で見て下さると、幸いです。

それでは、ゆっくりしていってね♪


血塗れた狂者の落とし子

ALICE

VS RC-04×07 ヴェルメリオ

~蒼魔塞 紅月の研究所隠し通路 排気口内

 

私は狭い通路の中、列の先頭をはって移動していた。目の前には上海を数体、武器を構えながら

歩いている。

 

突然天井の一枚の板が吹き飛ばしながら、さっきの敵が目の前に降りて来た。

 

 

「!上海……!!」

 

 

上海達は衝撃をまともに受け、たちまちバラバラになってしまった。

 

 

「やはり来たか……!」

 

 

後ろからレミリアか、レミリアのそっくりさんの声が聞こえた後、後ろから四本のクローが一斉に伸びて来た。

 

複雑に動く爪をすべて避けた敵は、出て来た通路の天井の穴に逃げて行った。

私は安堵で深く息を吐いた。

 

 

「~~た、助かった……!」

 

「いちいち油断するな!隙まみれの今、次々に襲撃して来るぞ!!」

 

 

怒号を後ろから飛ばされてしまった。

 

 

「今は此の不利な状況から脱出する事が最優先だ!!」

 

 

私は少し不機嫌になったが、また上海達を周囲に配置して進行を再開した。

 

 

するとまた何処からか大きな音が響いた。

 

 

「!後ろからお出ましよ!!」

 

 

霊夢の声に、私は後ろを向いた。レミリアの後ろから敵が今にも襲い掛かろうとしている。

 

 

「レミリア!!」

 

 

レミリアが左右の翼のを振り、抵抗した。其の内の一撃が敵の胸を掠り、赤い血が出た。

胸を切られた敵が、再び出て来た穴から逃げて行く。

 

 

「直接攻撃なら無難でしょ!?」

 

「よし、次が来る前に急ぐぞ!」

 

 

其の時、目の前の通路の先で光が漏れているのを見つけた。だがよく見ると、金属の蓋で

塞がれていた。此のままだと外に出る事が出来ない。

 

 

「皆、止まって……」

 

 

其の出口から少し遠い位置でみんなに制止する様に呼びかけ、目の前の上海を操作して出口の

方に向かわせる。

 

 

「『大江戸爆薬からくり人形』!!」

 

 

そして金属の蓋の前まで来た処で爆発させ、蓋を引き飛ばした。

 

 

「出口は確保した…よし、行くわよ!」

 

 

 

 

穴の出口にたどり着いた私は爆発でひん曲がった縁に手をかけ、中の様子を見た。

 

 

「出られたわね……でも、此処は?」

 

 

壁と丸天井は全て白く何もない。汚れてもなく、無機質で不思議な部屋だった。

 

 

「こんな場所初めてだ……何かの実験場か……?」

 

 

後ろからマステアの声が聞こえた。レミリアには絶対見えない場所だったから判別はすぐに

出来た。

 

私は手に力を入れて身体を前方に滑らし、広い部屋の中に降りて行った。

少し歩いてあたりを見回しても、勿論何もない。

私の背後から、三度靴の音が聞こえた。三人も私の後を追うように降りて来たのだろう。

 

 

 

 

「!見つけた!あそこにいるわよ!」

 

 

私が指さす先、部屋の中央のはるか上に敵がいた。浮遊し、充血した目から赤い涙を流しながら

此方を見ている。先回りしていたに違いない。

 

すると敵の身体から赤い霧が噴き出し始めた。

 

 

「!また紅い霧……!!」

 

 

霊夢が腕で口を塞ぐ。

 

 

「アリス!霊夢をもう一度援護してくれ!!」

 

「判ってるわ!でも、出来るだけ援護にもまわるつもりよ!上海!!」

 

 

マステアの指示で、私は結界に巻き込まれない様に距離を取りながら上海人形を周囲に配置した。

 

 

「夢符『二重結界』!!」

 

 

霊夢が後ろで結界を張り、霧から身を守り始めた。

 

レミリアとマステア、二人の吸血鬼が再び敵の前に立つ。

私も結界の前で臨戦態勢に入る。

 

敵の周りにもさっきと同じ紅いナイフが浮遊を始めた。

 

 

「もう逃がさないわ……此処をお前の墓にしてやる!」

 

 

マステアがそう言うとともに左腕が変形し、再び四本の機械の爪を開いた。

 

 

「万物全てを、思い通りに操れると思うなよ?……赤……!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

REIMU

VS RC-04×07 ヴェルメリオ

~蒼魔塞 紅月の研究所最下層 試験場

 

 

「アリス!コイツは知流や咲夜と同じ、時を利用した瞬間移動が出来るわ!!

不意討ちされない様、後ろにも十分に気を配れ!!」

 

「判っているわよ!!」

 

 

アリスとマステアの会話を聞きながら、私も結界の中から様子を見ていた。

 

二人が其処で敵に向かっていった。

 

敵が周囲に漂わせていたナイフを発射した。二人が避わしたが、ナイフは其のまま此方に

飛んで来た。

 

 

「『身代わり人形』!!」

 

 

アリスが私の目の前に盾を持つ人形を配置し、攻撃を防いだ。

一応、ナイフ『の様な実体の無い弾幕』だったので結界だけで十分で防げたが、折角なので恩恵は

受ける事にする。

 

レミリアとマステア、それぞれが素早く動きながら交互に爪の一撃を叩き込んでいく。体中に次々と傷が出来、あたりに赤い飛沫が飛び散る。

 

が、敵は泣かずに無表情で仰け反っているだけだった。確かに転んだだけでも泣きそうな年齢の

子供が、こんなに攻撃を受けても泣き喚かないのは不気味だった。

 

 

「躊躇うな!子供のなりに油断すると死ぬぞ!!此奴は、赤の破壊兵器だ!!」

 

「こんな気味の悪い人間の子供!……誰が攻撃を躊躇うか…!?」

 

 

すると攻撃を受けていた敵から、一際赤い霧が噴き出した。

 

 

「!?」

 

 

二人はバックし、私達の目の前に戻って来た。

 

敵の身体が霧に包まれ、姿を視認する事が出来ない。私は結界でぼやけている事もあり、完全に

見えなくなっていた。

 

 

「姿を見せなさい!!魔符『アーティフルサクリファイス』!!!」

 

 

其処にアリスが一体の人形を投げ込んだ。人形は爆発し、其の爆風で赤い霧を無理矢理吹き飛ばした。

 

其処から現れたのは赤い甲冑を纏った先程の敵だった。其の甲冑は此の要塞で門番をしていた、

今は亡き『クローン』門番のと大きさ以外がそっくりだった。

 

 

「!あの甲冑は……暁符『近朱者赤』!?」

 

「雪の『赤色』の力だ!物理も全てが効かなくなる!!」

 

 

兜の中から、赤い瞳が相変わらず無表情で此方を見ている。

 

 

「弱点としては動きが鈍くなる事があるが……知流の能力で補う筈だ!気を付けろ!!」

 

 

そういう事ね……私は結界の中から睨み返す。彼方も、不利と判断して防御に徹してきたわね……?

 

だが気が付くと、敵がアリスと私の間に瞬間移動していた。

 

 

「!?しまっ……!!」

 

 

アリスが振り返ろうとした時には敵が私に拳を振りかざしていた。

 

だが襲い掛かろうとした其の甲冑に四本の爪が突き刺さり、拳は結界の寸前で止められた。

 

 

「~~お前の相手は、此方だろう…!?」

 

 

マステアが敵を刺したまま、アリスの後ろから自分の目の前まで引き寄せ片手で持ち上げた。

刺していた一本を抜き、敵の首に巻き付けて締め付け始めた。

 

 

「打撃系統も駄目なら……!」

 

 

敵はもがいて抵抗しているが刺さっている機械の爪は折れない。流石の『赤色』による力も

『英知の結晶』には敵わない様だった。

 

其の時、何処からかミシミシと嫌な音が響き始めた。私は次に何が起こるかが判った。

アリスも其に気付いたらしく、咄嗟に顔を両手で覆った。

 

 

そして次の瞬間、

 

 

 

バキィィイ………!!!!

 

 

 

大木が折れるような音と共に、敵の首がへし折られた。

マステアが拘束から解放すると、糸の切れた人形の様に其のまま地面に落ちた。

 

 

「…雪……知流……」

 

 

彼女の目の前で甲冑は赤、身体は青い塵となって消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…もう大丈夫よ」

 

 

レミリアが私とアリスに声をかけた。私は結界を解除した。

あたりの景色が鮮明になり、赤い霧も次第に濃度が薄くなり、消えていった。

 

すると壁の一角が四角く切れ、扉が現れた。其と同時に聞きなれた声も響く。

 

 

 

『……まさか、倒されてしまうなんてね……完全に予想外だった』

 

「!!赤ぃ……!!!」

 

 

マステアが吸血鬼特有の牙を剥き出しにして辺りを見る。

赤が此処を何処からかで、視てるのかしら……?私達も探すが、其らしきものは見当たらない。

 

 

『……まぁ良い……其の先の部屋にワープ装置があるわ。上に乗れば、六階の一室に移動出来る

様に設定している』

 

「!六階……一番手薄な最上階の一階下にわざわざ連れてくれるか……?」

 

 

マステアが呟く。

 

 

『ところで……課題は……どうやら、まだやっていないらしいわね』

 

「だから何?」

 

 

素っ気なく返すと、声が聞こえなくなった。

 

 

『…其のヴァイタリティ、私の処まで持ってくれるかしらね……』

 

 

暫くしてそう言うと、完全に声が聞こえなくなった。

 

 

「……ふぅ」

 

 

私は大きく息を付きながら首の骨を鳴らす。

 

 

「行先用意してくれるし課題見逃してくれるしで、慧音よりも優しいわね。彼方は課題を忘れた

生徒に、頭突き喰らわしているってのに」

 

「いや、そんな筈は無い。赤は出した宿題を拒まれた事を、絶対に赦しはしない」

 

 

マステアは顔をしかめて言った。

 

 

「自身の完璧を穢した者は、徹底的に排除する筈だ」

 

「まさか、此の先で……?」

 

「…追加の課題が用意されていると?鋭いな」

 

「取り敢えず行きましょう……紫も心配だわ」

 

 

私とマステアが話しているのに、アリスが急かして来る。

 

 

「本者が偽物に殺られる筈は無いわ。ましては幻想郷を創った賢者の妖怪と其の猿真似をした

人間よ?」

 

 

私はそう言い、用意された装置のある部屋に向かって歩いていった。

 

今更其の位でビビっていたら……受けて立つわよ、補習位ちゃっちゃとこなしてあげよう

じゃないの。

 

 




如何でしたか?

次回は別の場所での戦い……紫と赤の戦いです。

それでは、次回もゆっくりして行ってね♪
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