転送装置で移動した先での出来事を霊夢視点で御送りしていきます。
一部グロ描写に御注意下さい。
原作とは大きく異なる点もあるとは思いますが、
暖かい目で見て下さると、幸いです。
それでは、ゆっくりしていってね♪
人工少女達の前夜祭
REIMU
~蒼魔塞 6階 とある一室
どれ程目を瞑っていただろうか。目を開けると、私達は薄暗い部屋に立っていた。
其処で私は、さっきの間に何が起こったのかを思い返していた。
赤が「ワープ装置」といっていたパネルみたいな機械……多分『英知の結晶』だろうけど、
其の上に私達四人が乗ると、突然足元から赤い大量の数字や記号で出来た結界が出現し、
逃げる間もなく囲まれた。そして其等が複雑に動き、紫や其の式神、藍が解いてそうな色んな
方程式を形作り始める。
動きが完全に止まると、其の公式達が紅く光り始めた……あまりの眩しさで思わず目を瞑ったん
だっけ……
洒落た移動方法を考えたわね……目にはすこぶる悪いけど。
「……どうやら、一方通行らしいな……」
「赤がアンタの言った奴なら、此の部屋に何かあるのかしら……?」
光らなくなった足元の機械を踵で数回踏み付けた後に、マステアが呟き、
其の隣でレミリアが同じ声で呟きながら部屋を見渡している。
「!?ヴッ……!!?」
其の部屋の空気に不快を覚えた私は自分の両手で鼻を押さえた。
「何…此の部屋……臭い……!!」
アリスが呻く様に発した其の声も鼻を押さえた為か吃って聞こえる。
其の部屋にはとんでもない悪臭が立ち込めていた。生き物が腐った…そんな臭いが充満している。
其の時だった。
「………来…………ない……」
声が聞こえた。部屋のどこかにいる。私達はすぐに身構えた。
「来ない……来る………来ない………」
一言と共に何かを千切る音が聞こえる。花占いでもしてるのかしら……?
すると私の目の端で何かが動いた。皆も其に気が付き、其に視線を向ける。部屋の奥で誰かが
座っているのが見える。私達に背を向けて何かをしている。
私達がソイツに近付こうとした。
「!!………」
するとマステアが機械のアームを私達の前まで伸ばして制止させた。隻眼で私達に目配せをして、
其のまま一人で近づいて行った。
そしてマステアが其の人物の直ぐ真後ろに立つと、
「!来た……やっぱり来てくれると思っていたわ、赤様……」
来るのを待っていたかの様にその人物は朗らかに言って勢いよく振り返った。
其の私の知っている顔だったが、マステアを確認すると、たちまちにして表情が曇っていくのが
暗い中でも確認できた。失望と驚きが入り混じった複雑な表情だった。
「!!!」
相手の顔を見たレミリアが息を呑んだ。驚くのも無理はなかった。
「フ、フラン……!??」
レミリアの妹、フランドール・スカーレットにそっくりだったからだ。
服装も全てフランと同じで、背中にも宝石を付けた様な歪な羽もある。
ただしフランの紅い部分を全て青くした感じで銀髪であり、其の宝石は全て色が無くモノクロ
だった。よく見ると本者のフランとは反対側にサイドテールにまとめている。額の真ん中に太陽を
模した紅い模様があり、其処から顔中に紅い様々な幾何学模様が広がっている。
今なら判る。基が人間でありながら此処まで吸血鬼の容姿を再現できるあたり
赤は此の幻想郷からでは考えられない技術、いわゆるオーバーテクノロジーを持っている。
クローンや、そして「英知の結晶」を作る所から、生物学的にも工学的にも長けている事が思い
知らされた。
「…御姉様……?どうして御姉様が、其処から……?」
右目以外がレミリアそっくりの顔を意外そうに見上げてフランそっくりの声で訊ねる偽フラン。
そんな彼女にマステアが言った。
「マドゥ、帰って来たぞ」
知流にも行っていた、自身の妹の名前だった。思わず私も囁く。
「……マドゥレート・アズール?」
雪が言っていた、赤の最後の配下の名前だった。フランそっくりの配下。二人が実在する
スカーレット姉妹と同様、アズールという姓で繋がれた姉妹という揺るぎない証拠だ。
そして同じ妹であるフラン同様とんでもない事をしでかしている彼女は、あの暴力的とされた
雪も、其の名を口にさせた時には心の底から怯えさせたほどの訳あり少女だった。
「今日は何匹殺した?」
同じアズールの姓を与えられた姉は、蒼の妹を見下ろしながら静かに聞いた。
アリスが怪訝な顔をしている。あの配下の所業を知らないまま異変に巻き込まれた人形遣いは其の
凄まじい事情が判っていないらしい。
彼女の傍により、其の耳の傍で私は呟く。
「妖精よ…あの配下が気まぐれで選んで殺したのが沢山いるの。でも主の赤は其を赦しているのよ」
其を聞いたアリスの顔は強張り、唾を飲み込んだ。
「う~~んとね………」
そんなやり取りをしている間に、質問されたフランもどきは暫くあざとい仕草で考え、
「沢山っ!!!」
座ったまま両手を広げ、いかに大量に虐殺したのかを子供っぽく表現する。
「ねぇねぇ、ところでさぁ。私何で御姉様達が来たの判ったと思う??」
「?来る、来ないと言ってたから、花占いでもしていたか?赤から花を貰ったか?真っ赤な花弁の?」
赤色が好きな赤ならやりかねないかもね…私は思った。『赤色』を抜いた其処ら辺の花から一本に
だけわざわざ戻して彼女に渡しただろう。いくら配下を道具として扱う赤もお願い位は
聞いてくれる筈だ。
でも其に対して彼女が出した答えは、私の予想の斜め上を行くものだった。
「あ、やっぱり花占いだと思ったんだ?違うよ…ほら!」
そう言うと持っていたものをマステアに差し出した。
「やってるのは指占いだよ!!」
其の掌には五本の指を人とは思えない力で引き千切られた青く染まった小さな手首があった。
「!!ヒィイッ……!!」
完全に怯えたアリスは私の袖をギュッと握った。首吊りした人形だの人形を組み立てる時に
バラバラになった四肢のパーツだの、ずっと気持ち悪いもの見て来ている癖に……生になると途端
に駄目なのね…情けない、と思ってる私も、見てて気持ちの良いものとは感じられない。
よく見ると部屋の隅にはボロボロにされ、バラバラにされた妖精の死骸が大量に積まれていた。
知流のミス等で死んだ妖精の死骸を、すべて玩具としてマドゥの部屋に放置していたのだ。汚い
わね。ゴミ溜め場なの、此処は……?
「ねぇ、其処の蒼白と隣の御姉様そっくりなソイツは私の玩具?玩具よね!?」
其処で首を曲げてレミリアと、そして奥の私とアリスの方を見ながら言った。興味津々で見ている。
「……アレ?私の事、言ってない……??」
隣から小声でアリスの声が聞こえる。
だが、マステアは静かに首を振り、
「残念だが、もう私はお前の味方ではなくなってしまった。だから彼女達もあげられない」
「知ってる」
即座に返されたフランもどきの言葉にマステアがハッとする。
「蒼魔塞で何が起きているのかは全て知ってるのよ。だから御姉様が帰ってたのも知ってた!!
私には判るのよ」
「!じゃあ、私達が人間から生まれた存在だという事も、全て知っていたというのか……!?」
でも、マドゥはそう訊かれても首を振り、
「……其は流石に知らなかったわ…一部の……ごく限られた場所だけど……結界があって
……其の内部の詳細は……知る事は出来なかったの……」
千切った指の付け根をしゃぶって青い血を吸い始めた。そのせいで言葉が途切れ途切れになる。
結界の内部……あの研究所の事ね。其処まで考えて結界を張ってたなんて赤も用意周到ね…
…にしても、とんだ英才教育です事…フランなら絶対に言いそうにない言葉を、さっきからコイツ
は赤子のやる動作の間に次々と並べて来る。赤の影響の大きさに驚かされた。
そうやって配下を洗脳して来た訳…真実を知ってると此処まで見方が変わるのね。知って
なければ、赤の真似をした只のませガキにしか見えない筈だったのに。
「でも、其の事は気になるわね……私達が生殖じゃなく、製造で創られたって事」
そう言うと直ぐに飽きたのか、しゃぶるのを止めて素早く立ち上がる。
そして持っていた手首を投げ捨てた。其は弧を描く様に飛んで死体の山へと消えていった。
するとマステアが一歩後ろに下がり、背中越しに私達を見た。
「お前たちは下がってろ……!!」
そう言った顔には汗が流れている。妹の脅威を十分理解できている様だ。
マステアは今度はレミリアを見やる。
「マドゥレートはお前の妹、フランドールよりもずっと幼く、ずっと猟奇的だ。比なんてもの
にはまるでならない……!!」
其の言葉にレミリアはカチンと来たらしく、眉が僅かに動いた。
「…私のフランより凶悪なの?」
マステアの隣に進み出て、同じくフランもどきの前に立つ。
「なら面白いわ……フラン以上に私を愉しませてくれるのね…??」
「!あら、私にせがんで来るの?なんて活きのいい玩具♪」
レミリアの妹とそっくりな声を出しながら嬉々として両手を合わせる。
さっきの赤子みたいな生物兵器とは違って立派な成功作みたいだから、油断は出来ないけど、勝機もある。悪魔の妹そっくりとはいっても素体は人間。欠損した部位を
マステアが再生出来ないなら吸血鬼と全く同じ性質は持ってはいない筈…なら、人間と同じく死ぬ。
「妹がどれ程か…見させて貰うわよ。アンタの方が下がったら?自分の妹を殺り合うのは
乗り気じゃないだろうし」
「いや……赤が創った人造吸血鬼を妹と位置付けられた事を知った今なら……出来る!!」
此の二人、何だかんだと言って仲が良くなっているわね……二人のやり取りを聞きながらそう
思う。
「ふ~ん、御姉様まで相手になるのね……私、其も初めてかも」
実の姉…と位置付けられたマステアが敵となった瞬間でも、少しも動じない。
紅魔館の中でも特に畏れられているフランの遺伝子を持っているだけに、やっぱり今までの配下
とは違う。オリジナルの狂気を其のまま採用している所からもう違ってる。心血を注いで創った
なかで、一番期待が込められている。まさに殺戮という赤の理想が形となった配下と言っても
良い。私は内心で震えた。
「アリス、私達も行くわよ!此のままだとレミリア達が危ない……!」
「!……行かなきゃダメ?」
「何言ってるの、腰抜け!!異変に巻き込まれたのなら、やるしかないのよ!!」
私達もマステア達の両端に立つ。
すると、部屋の壁の一部が開き、中からに太陽型の電球が出現して一斉に点灯した。部屋は一気に
明るくなり、目に悪い紅い光で満たされた。
さっきまでは暗くて判らなかったが、此の部屋もさっきの実験場と同じくらい広かった。私達は
部屋の一室に立っていた。
「なら、私は倒せないわ……赤様が私を創ってるのなら、尚更……」
偽フランはそう言うと、青い血にまみれた右手を頭上高くにかざした。
すると、其の手の先…空中から酷く湾曲したハートが付いた棒が空中から召還された。
フランのとは違って其の棒は混じり気のない純白だったが、握った瞬間、青い血で汚れていった。
「何故なら……」
『赤色』の力を発揮させたのか顔全体の幾何学模様が紅く光り始め、其と同時に両目も
白目になった。
私達も構える。最後となる赤の配下は元となった吸血鬼らしく狂気じみた形相で吼えた。
「私は、永遠にコンティニュー出来るのさ!!!!」
如何でしたか?
最後の九人目の配下…フランとほぼ同じ性格になるという……此ではパクりに
なってしまいます……でもそう言ってしまうと全ての配下がパクりになってますが。
何処かで差別化を考えないと……
次回はそんな最後となる新たな配下、マドゥ戦です。
それでは、次回もゆっくりしていってね♪