原作とは大きく異なる点があるとは思いますが、
暖かい目で見て下さると、幸いです。
それでは、ゆっくりしていってね♪
RC-08-B MASTEMA
VS〈蒼魔の妹〉RC-09 マドゥレート・アズール
~蒼魔塞 6階 屍体貯蔵室
「気を付けて!!今までの配下とは違うわ!!」
マドゥレートの霊夢が叫んだ。言われなくてもそんな事は判っている。
赤が他の配下より此処にいるのも、赤に死体で遊ぶ
「神槍『スピア・ザ・グングニル』!!」
「宝具『陰陽飛鳥井』!!シューート!!!!」
すると其を合図としたのかレミリアは青い光の槍を、博麗の者は巨大な青と白の陰陽玉を蹴って敵に攻撃を仕掛けた。
だが、そんな攻撃に少しも動じない所か口を三日月状にして微笑むと、
「禁忌『ダーインスレイヴ』!!!」
白い棒が赤い光に染まり、其を振る。先に辿り着いたレミリアの青い槍が其と衝突し、バラバラに打ち消された。更にもう一度振ると今度は陰陽玉を弾かれ、消滅した。
あれだけの威力の技を二度弾いても、両足は其の場から後ろに動じていない。其どころか弾いた後の表情も涼しげだ。
「!ダーインスレイヴ…一度鞘から抜けば生血を浴び、完全に吸収するまで鞘に収まらない魔剣か…!!」
「そうよ?で、其の生血を啜られるのは、いったい誰かしらね?」
そう言って、半ば見下した態度で棒を持っていない方の手と指を此方に向かって振り始めた。
「フランの『レーヴァテイン』を真似したつもりか!?」
其の挑発を真に受けたレミリアは、其のまま相手に突進していった。マドゥは背中に棒をしまうと両手で其を受け止めた。だが今度は衝撃を受け止め切れずに両足とも後ろに下がった。其の間、金属でもないのに其の勢いによって靴底から火花が発生している。
「~~あら、御姉様並に素早いし、力強いわね…ドッペルゲンガーさん…!?」
力を力で対抗しながら余裕で言葉をかける。しかし互いに地に足を付けて両手を組み合ったまま、一歩を譲ろうとしない。
「神槌『ハンマ・ザ・ミヨルニル』!!!」
私は飛び、光で出来た柄を瞬時に伸ばしながらレミリアの後ろから敵の頭に向かって槌を振り下ろした。マドゥはすぐに気が付き、レミリアを突き飛ばして空中へと逃げた。捉え損ねた私の槌はレミリアの目の前、マドゥが立っていた金属の床をへこませた。
私は諦めずに、地面から槌の頭を抜くと、天井に向かって飛んでいく敵に向けて柄を伸ばした。
だが到達するまでの間に、敵は此方に振り向き素早く背中に手を伸ばしてもう一度杖を持った。そして自分の前にかざして槌の頭を受け止めた。
激しく散る赤色と青色の火花に照らされる中、其の表情は嬉々としていた。其に比べて私は、自分の予測を遥かに上回った敵の其の力に顔を歪めている。右の眼球が嵌っていた空洞に汗が流れ込み、チクチクと痛みが走る。
すると棒を振り上げ、私の槌を弾かれた。伸びた柄は大きくしなり、其につられて私の両腕も上がり、身体が無防備となった。其の隙を見逃さなかった敵は、直ぐに高速で接近しながら胸に向かって、青い血まみれの棒を真っ直ぐに突き出した。
だが私も咄嗟に左翼で身体を覆い、電磁バリアの紅い翼膜で攻撃を防ぐ。攻撃を弾かれ、今度はマドゥが仰け反って懐をがら空きにした。左翼を戻した私は直ぐに光の槌を横に振った。
今度はしっかりと敵の側面を、槌の打面に捉えた。
「!!ゴッ……!!!」
敵は真横に叩き飛ばされて床に墜落して何度か転がるものの、モノクロの羽を使って飛翔し、直ぐに体勢を立て直して着地した。
「其の剣に誰の血も吸わないまま、此の戦いを終わらせてやる……!!」
マドゥは口から一筋流れていた青い血を手の甲で拭い、其を見下ろした。
「…フヒッ」
すると顔中の紅い幾何学模様が更に輝きを増し始めた。白目だった其の双眸が、逆に真っ赤に染まり始め、猫の様な黄色い瞳が現れた。
あの特徴は……!!
「気を付けろ!!『赤色』の力を最大限にぃい"…!??」
そう皆に向けて叫んでいると最中に突然、腹部に激痛を感じた。
「お返しよ、御姉様」
何時の間に移動したのか、私の目の前に立っていたマドゥの右の拳は、私の腹に深く食い込んでいた。残っていた左目が飛び出そうな程の痛みに堪え切れず、私は両手で腹を押さえて背骨を曲げた。
腹から拳を引き抜き、素早く右側に移動したマドゥは、私の義足の膝部分を横から思い切り踏み付けた。
「!?ガッ……!!?」
義足は砕けながら不自然な角度に折れ、バランスを崩した私は其の場で片膝を付いた。私の足元に黒い金属の破片が、甲高い音と共に散らばる。
「弱いわね……御姉様が弱いのも、『赤色』じゃなくて『英知の結晶』で意地を張ってるのがいけないのよ?」
其の言葉と共に、今度は後ろに背中が強く引っ張られた。
「!?ウゥ……!!!」
そして其の間も無く金属の砕ける音と配線が切れる嫌な音と共に、左の義翼を翼膜ごと切断された。あの棒ではなく、手刀で切断したのだろう。此も痛みが無かったが切り取った羽と、私の背中に残った一部の断線した配線からは赤い漏電が起き、私の背中や後頭部に小さな火傷を創っていく。
「身体の『英知の結晶』さえ破壊してしまったら、弱体化できるものね、御姉様は……」
そう言うと私から切り取った義翼の断面を、漏電を諸共せずにかじり燃料となっている『赤色』を吸収し始めた。
其の間も私の背中に手を置き、地面にうつ伏せにしようとしてくる。私を無力化しようとすると共に、霊夢達からだと私が盾となって容易に攻撃出来ない様になっている。
「いい加減、赤様から『赤色』を貰ったら?」
「~~今更考えを変えたって、手遅れよ……奴は私を見限った。もはや…~~抹殺の二文字しか、私に対する考えは無い…!」
私は不安定な姿勢の中で、身体にかけられる力に抵抗しながら其を断った。私の背中の火花で髪の毛が焦げていく臭いが鼻に付く。
「……そ。此でも駄目なのね」
頑なな拒否に素っ気なく答えたマドゥは、私の義翼の断面から口を離して投げ捨てた。地面に落ちた機械で出来た翼は完全に『赤色』を吸い尽くされ赤いラインや翼膜がすっかり消えていた。
そして未だ立つ事が出来ず、垂れていた私の頭に向かってパンチを繰り出した。
「『身代わり人形』!!!」
其の瞬間に盾を持った人形が割り込み、代わりに其の一撃を受けた。人形は盾ごとバラバラになって吹き飛び、空中で爆散した。
「嗚呼もぅ…!!咒符『上海人形』!!!」
「!?アリス……」
声と共に私の傍で新たに展開された人形からマドゥにレーザーを繰り出した。敵はレーザーを避けながら後退して私から遠ざかった。
私を助けた人形遣いが直ぐに寄って来て肩を貸してくれた。目の前で霊夢とレミリアが、二人掛りでマドゥの相手をしているのが見えた。
「アンタ、随分とやられたけど大丈夫!?」
「義足と義翼だから痛覚は無い……腿での噴射でバランスは取れる……」
機能しなくなり、邪魔だと判断した右膝から下を左のアームで千切り取りながら私は言った。直ぐに右腿の裏、ハムストリングス部分のカバーを外して補助用のホバーを露出し、噴射を開始した。レミリアと同じスカートが噴射を浴びている部分だけ黒く焦げ、やがてボロボロに焼け落ちていく。
私はアリスの肩を借りながら、姿勢が平行になる様に噴射する量を微調整する。
「……!!よし…此で問題は無い……!」
「…無茶はしないでよ?」
調節し終え、何とか体勢を立て直すとアリスから離れた。そして霊夢とレミリアの後ろから動きを封じようとマドゥに向かって左腕のアームを伸ばした。手は変形させて四本の指を拡張し、敵の身体を鷲掴みにしようとした。
「!……懲りないわね…?」
敵は其を回避すると、白い棒を振り回し、爪の部分を全て折られてしまった。だけど霊夢達の猛撃で腕までは破壊出来ずに、滑るように移動して後退する。
「もう……~~面倒臭いから、全員倒しちゃおっ!……」
着地しながら鬱陶しそうにそう叫んだかと思うと、棒を両手で持ち、其の場で振り上げた。同時に其の棒は蒼色ではなく紅色の炎に包まれていった。一般的な炎の橙色ではなくリチウム等の炎色反応で見られる、血の様な鮮やかな紅色だ。
「暁符『蒼ざめた馬』!!!」
そう唱えながら渾身の力を込めて地面に棒を振り下ろし、突き刺した。強大な力を受けた金属の床は其の力を分散しようと自らの表面に、地割れの様に亀裂を創っていく。
すると其処から、蒼い光と共に何かが飛び出して来た。
「!!!」
其等は青い炎の馬だった。玩具の様に足がそりの様に繋がった、の大軍が荒れ狂う潮の様に放射線状に広がり、膨れ上がっていった。
其の防御も役に立たない荒れ狂う波に、私達は為す術も無く飲み込まれるしかなかった。
「ん~~………雑魚いっ!!」
地割れの様に綺麗に割れた金属の床の上、倒れている私達を見下ろしながら、マドゥレート・アズールは拗ねた様に叫んだ。
「!!!~~~………」
私は両手を付いて何とか体を起こした。ホバーの駆使して四つん這いになろうともがく。そんな私を弱いと判断したのか、敵は既に興味を別の者に向けていた。
「…そう言えば、アンタが博麗霊夢よね?赤様が仰ってた特徴と一致してたから」
私の隣で立ち上がろうとする霊夢の方を見下ろしながら、マドゥは言った。其の黄色い瞳は、不気味と言って良い程キラキラと輝いていた。一方の霊夢は何も言わずに口から一筋垂れていた青い血を、手の甲で拭いながら彼女を見返していた。
「じゃあ、此処でアンタを仕留めたら、赤様、機嫌直してくれるかも?」
そう呟くと霊夢に向かって羽を使わずに走って来た。其の途中で棒を両手で持ち、後ろに振りかざしたのが見えた。危機を感じた私も四つん這いの状態から霊夢に向かって飛んだ。残った私の、本当の羽と足を使って。
出来るだけ遠く、霊夢の近くに……
其の瞬間から万物がスローモーションの様に、其の動きを遅らせていった。
走る途中から見せ始めた、敵のオリジナルと変わらない狂気より快楽を見出した表情。
其処から振りかぶり、霊夢に向かって棒を突き出した。
反応が遅れた霊夢が、大幣でガードをしようとしている。
間に合わない…!!私は爪の折れたアームを伸ばして霊夢の身体を掴み、後方に向かって投げ飛ばした。
突然自分にされた事が判らず、驚きを顔から隠せないまま後ろ向きに飛ぶ巫女の身体。
彼女が立っていた場所に、私が其の身体を滑り込ませた。
よって、霊夢に向かって突き出した棒は、代わりに私の胸を貫いた。
「!!!……」
ハート形の先端が心臓に到達し、其のまま背中を貫くのが判った。
痛みは全くない。胸が少しずつ熱を帯びていくだけだ。熱い、只其だけだ。痛みはおびただしい出血と共に後に襲ってくる事は判っていた。
「あら…結局御姉様が、生血吸われるんじゃないの……」
姿勢を低くしていたマドゥは、その姿勢を私に顔を寄せて来た。其の頬には私の青い血飛沫が点々と付いている。『赤色』によって色の変わった其の目は血に飢え、誰か死を渇望していた。
本当にそっくりだ…蒼世界で見た、レミリアの妹に……噂から、地面を掘り進んでまで地下室を見た甲斐が有った。
やはり彼女は、赤にとって最適なDNAの持ち主だった様だ……
良い機会だ…私はそう思った。赤が胚や胎児からクローンを創る研究所を目撃した時から考えていた、秘策を実行するチャンスが来た。私が事故から生き延びた、もう一つの理由…赤による外的要因ではなく、私による内的要因、其を利用した方法だ……
只、其の憶測が役に立つか…もし此が、失敗してしまったら……
「マステアァア!!!!」
後ろから霊夢が私を呼んだ。油断していた自分の代わりに刺された私を本気で悲痛な声で呼んだ。
鋭い彼女は、人間をベースとした私が此の一撃で無事じゃ済まない事に瞬時に気付いただろう。吸血鬼の力を人為的にもたせても、人体の再生速度を変えるという事までは流石の赤も出来なかったのだ。でなければ、側近であるアズール姉妹の量産に失敗しない筈が無い。
「傍に来るな!!」
私は、近付く事も拒否した。
迷っている暇は無い。此の脅威は、確実に葬る。霊夢達に、此以上の霊力の空費と手傷を被らせる訳にはいかない。
赤は、私が殺したかったが…止むを得ない……私は霊夢達の方にマドゥが行かない様に、自分を刺した棒を持つ其の腕の一本を右手で握った。
「!?……」
マドゥが其の動作に驚いた。私が事切れていない事に動揺したのか、血に染まった眼球の中で黄色い瞳が小さく揺れる。
己を犠牲にしてでも……此処からが、勝負だ……!!