検査と言ってもやれることが無いと思うんだ。
注射の針は俺の頑丈過ぎる皮膚を貫通出来るとは思えないし、情報のjの字すらない…検査って何するんだろう?メンタルカウンセラーみたいなのなら出来ると思うけど。
そんな事を考えているカセロを放置して、監察官はモスティマを連れて行き少し離れた場所でコソコソ話を始めた。
「で、誰ですかあれ。」
監察官はそっと視線をカセロに向ける。完全にアレ呼ばわりである。
「誰だろう、わかんないな。本人にもわかってないみたいだし。」
「ふざけないでください。本気で追い出しますよ。」
「それは面白そうだね。追い出せるものなら追い出してみてよ。どうなるか気になる。」
「なんですかそれ。呪具ですか。捨てても焼却しても返ってくる呪いの人形ですか。」
「あーー普通にそのまま返りそうだね。願い事は叶えたんだし…いや直接突撃するのかな?さすがにここまできて諦めるとは思えないし。」
「1人の世界に入るのはやめてください。」
「で、結局どうするの?正直当てがあったわけじゃないし。ただ連れてきただけだし。」
監察官は一瞬貴方が言いますかと声が出かけたが、どうせ意味が無いと押しとどめた。
「なんで連れてきたんですか。」
「暇だったし、面白そうだったし?」
「こっちに聞かないでください。…とりあえず、どうやって出会ったのか話してください。」
「(カクカクジカジカ)で連れてきたって訳。」
「つまり人ではないと?」
「そういうことじゃないの。なんか根拠とかあるわけじゃないけど。」
「……とりあえず、能力を証明して貰う流れでいきましょうか。一般人なら追放。証言通りならば、上司に相談します。」
「賛成~。」
「カセロは短気ではなく、とっても長気なのよね?」
「怒ってる所は見たことはないね。」
その返事を聞いて2人はカセロの元へ戻っていく。カセロはボケーッと天井を眺めていた。とても特別な技能があるようには見えない。
「おまたせー」
モスティマの言葉にカセロがビクッと顔をこちらに向ける。そしてうなずいた。その様子に先ほどまでのどこか抜けた感じはなかった。急な変貌っぷりに恐怖を感じてしまった。
「とりあえず、検査の話は置いときます。その力とやらを見せてください。充分な結果があれば、上司に話を繋いでみます。」
「……力の証明はどうすればいいんだ?」
「アーツはどうなのですか?」
力の証明……俺のアーツはただ源石を生成して操作するだけなんだけど。今源石が源石を証明する手段はないので、実質石のアーツだ。多少アーツの応用がすごいだけだ。……一応マグマは作れるが…マグマでいいか。インパクトはある。
カセロは頭の上に、マグマでオリジムシを作った。これでインパクトと技術を証明できる。
「あっつ、」
「すごい赤だね。」
ほら驚いている。これで証明は充分だろう。そう思いマグマを消した。
「…溶岩のアーツなのですか?」
「知らない。」
「…脳死で答えてませんよね?」
「知らないものは知らない。知る機会など無かった。よって知らない。」
「はぁー、もういいです。それで話す内容は何なのですか?」
「内容?」
「責任者との話し合い、でしたっけ。一体何を話すのですか?事前に申請する必要があります。」
「……未来、、ですかね。」
「ふざけてると殴りますよ?」
「内容は相違ない。これは今後に関わる大切な話だろう。」
と思う、は心の中でつぶやいた。
「はぁ、言えないのなら帰ってください。さもなくば追い出します。」
カセロは、近くに武器を持ったオペレーターが控えていることがわかった。どうやら本気のようだ。
めんどくさい。めんどくさい。もう良いかなとカセロは考え始めた。なんかすごい人ムーブはもう無理かもしれない。ぱっぱと鉱石病治せるよ。お話ししましょと言った方が楽かもしれない。
「オリパシーを一時的に治すことが出来る。責任者と話がしたい。」
「…、何を言っているのですか?」
その声は若干怒っているようにも聞こえ、戸惑っているようにも聞こえた。
「言葉通りだ。さぁお話しをしようよ。」
カセロはヤケクソなのだ。ずっと待ち焦がれていた時。なのに焦らすなと、手に入るように見えて無理だというオチは許さないと、馬鹿凸の姿勢なのだ。
「ねぇ少し前、助けたい人はいるかって言ったよね。」
監視官の代わりにモスティマが声をあげた。
「そうだな。」
それに認証した。
「それがそれなの?」
「そうだな。」
「嘘じゃないよね?」
「嘘はつかない…いやちょっと違うことがあるが、根本的な所は変わらないだろう。」
治すのは一時的ではない。実質物理的に取り除くのだ。まだ再び鉱石病になるかとか調べてないけど。そういえばオリパシーってアーツの強さにも干渉したよな?それってどうなるんだ?今まで治してきたのは何だかんだで非戦闘民ばっかだったな。
「じゃあ治してみてよ。」
「モスティマは嫌だな。」
「なんで?」
まだわかってないとがあるし、推しが悲しいことになったら死ねる自信がある。
「君は普通じゃ無い。よって不確定なところが多い。だから嫌だ。」
たしかサルカズーな天使ーで錠ーで鍵ーなモスティマさんだ。さすがに怖い。どうせ緊急性はないし。安定を進みます。
「ふーん…」
モスティマは目を伏せた。だが次の瞬間にはパッと華やかな声をあげる。
「じゃこの人治してみてよ。こっちは普通でしょ?」
「そうね。私を治してみてよ。嘘じゃ無いならできるでしょ?」
どうやら監察官様も乗り気なようだ。見た感じ戦闘員には見えないが…聞いておくか。
「アーツ適正は高いか?」
「普通ね。」
普通……その普通がどのラインかわからないんだけど…
「…ま、いっか。体上に源石は現れているか?」
「…横腹に。」
「見せて。」
監察官は戸惑いを見せること無く、服をずらして腹部を露わにした。綺麗な肌に突き刺さったように源石があった。握りこぶし程度もなく、小さかったが、確かに飛び出していた。
「他は?」
「無い。」
「じゃ始めようか。」
カセロはいつも通り手を突き出し、指先から血を流す。
「飲んで。」
「…これを?」
「うん。」
さすがに他人の血液を飲むのは抵抗があるようだ。まぁ逆に抵抗がない人の方が少ないのだが。可能性があるのはワルファリンくらいかな。
先ほどよりも間をあけてから監察官は声をあげた。
「……わかったわ。」
そういってしゃがみ込みカセロの指を咥え、舐めた。傷口を抉るように、血を舐める。痛い。
咥えられるのは初めてだった。なんかいかがわしい行為をしているように思えてくる。どうやって対処するべきか。これは難題だ。
そしてモスティマはジッとこちらを静かに見ていた。その目はとても集中しているようで、血走っているようで怖く感じた。
「舐めなくていい。ただ血を飲めば良い。」
「そう。」
そう返事した。だが指を咥えたまま話さない。……とカセロは、ま、いっか諦めることにした。
「もういいぞ。」
血の量は充分だ。後は頭の中で頑張る。
「そう。」
相変わらず素っ気ない態度…じゃっかん頬が赤い気がする。そっちは放置して、横腹の方へ意識を向ける。
「ちょいと失礼。」
そう言って、源石にかじりつく。手は使わずに頭だけを近づけ、ボリボリとむさぼる。小さいので3口で終わった。
「なっ、」
驚いているのが、放置する。後日まとめて対応しますよ~~たぶん。
ちょうど体内のほうもいい感じのようで、体の表面から源石の黒色は消え去り、最後の仕上げと、体内にバラバラに存在していた源石を口へ運んでいく。
集まった源石は結晶化した。
その形となった赤い源石はどんどん近づいてくる。親指4つ分ほどの大きさだったので、そのまま飲み込んだ。異物が食道を押し広げ通っていった……気持ち悪い…
「終わった。」
「な!?、え、は?」
監察官は片手で口を押さえ、片手で源石があった横腹を触っていた。モスティマもいつの間にか、監察官の側に行って、一緒に横腹をさすっていた。
なんかこういう反応新鮮。いままでは、ぁぁ神よ感謝しますみたいな感じだったからな。しばらく時間がたったが、まだ理性がもどってきていないようだ。このままでは暇なので、一言進言する。
「……医療室行ってくれば?」
その言葉にハッとなるようにビクッと動きを止め、監察官の人は走り出していた。そこには残されたモスティマと監察官に押しつけられた端末があった。
目と目が合った。なんか気まずい。
「モスティマも行ってくれば。ここで休みながら待たせ貰うし。」
そう言いながら、先ほどまで乗っていた車を背もたれにして床に座り込んだ。
「結果が出てくるのは遅いよ。それにどちらの結果にせよ、急いで結果を伝えてくれるでしょ。」
モスティマもそう言いながら隣に座った。
「それもそうか。」
治ったなら、おい出て来てくださいませカセロ。
治らなかったら、オイ出テ来イヤカセロ。
感情が喜か怒だけの変化である。
今ので溜まった源石は体感4割ほど。着々と溜まっていっていた。
テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ
終わらせると言いましたが結末は決めていません。行き当たりばったり投稿なので当然です。
とてつもない終わり方をする可能性があります。ご了承ください。