少しの間だけ静かな時間があった。お互いに喋らず、ただ虚空を見るだけの時間が。だけどその時間はすぐに無くなってしまった。
モスティマの車を背もたれにした、座り込んでいた2人は口を開いた。
「それで、さっきのはどうやったんだい?」
「どう、と言われてもな…」
「なんかうわわーな感じとか、ふんぬーって感じとかないの?」
「…そんな事を言われても理解できるのか?」
「何も無いよりはマシでしょ。」
カセロは考えた。わずかにうねり声を出しながら少しだけ顔を上げ姿勢を正した後、やっと喋り出す。
「強いて言うならゲームのような感じかな。多少力んだり緊張する程度で普段とあまり変わらないかな。」
「緊張してたんだ。」
「未だに慣れないというか、理解が出来ないというか……結局の話、俺にもよくわかってないからな。」
「よくわかってないのに、やったの?」
カセロは横から蔑むようなジト目を感じた。
決してその威圧に負けること無く、正面から受け止めないように顔を前に向けたまま言う。
「……経験はたっぷりある。万が一は起きないようにと気をつけているつもりだ。」
「ま、いいや。その治療?はどれだけ出来るの?」
「どれだけ?」
「うん。人数とかー範囲とかー条件とかー。うーーーん、まずは何人くらい出来るか教えて欲しいかな。」
「人数か……詳しくはわからない。感覚的にはわかるがそれ以上は知らない。範囲は接触できる距離、条件は知らない。今のところ条件らしい条件は見当たらないね。」
「普通に教えてくれるんだね。」
「茶化した方が良かったか?」
「いや、教えてくれるならそれでいいけど……嘘じゃ無いよね?」
「嘘はつかないって言ってるだろ?信用されて無くて悲しいあぁ……俺はモスティマの事は完全に信頼しているのに……」
カセロは片腕を目元に持っていき、目を覆い隠す。そしてシクシクと小声で物理的にささやく。
「ごめんごめんって。でもこれでも初対面の怪しい人にここまでしてるんだよ。君は色々知って居るかもしれないけど私は何にも知らないんだよぉ?私の気持ちも考えて欲しいなぁ……」
今度はモスティマが手で顔の目の前に壁を作り出し、チラチラと片目を見え隠れさせた。そこでカセロはささやきをやめた。彼は-が二つに増えるとただ面倒くさいだけの事になることを知っているのだ。
カセロは顔をモスティマの方に向け、疑うような目で言った。
「…初対面の怪しい人を無賃で使用人扱いしたの?」
「……そりゃ使える物はつかわないとね。」
モスティマはテヘっと舌をちょっとだけ突き出した。かわいい。そこにウインクしてくれたら最高だと思うんだよね。
カセロは何処か仙人のような風味を見せながら顔を前に向ける。
「前も言ったけど俺は何にも知らないんだよ。ただわかっている事がちょっとだけ多くあるだけで、本当は何にも知らないんだよ。」
「…わかってるねぇ……、そういえば感覚ってどんな感じなの?」
「急に話題が変わるな…感覚って何のだ?」
「人数だよ。に・ん・ず・う、感覚で大体わかってるんでしょ?」
「ぁー、感覚的には液体かな?大体4割ほど溜まってる。残りの6割が溜まったら俺はどうなるんだろうなー」
「さっきエリスの源石かじってたよね。それが溜まる原因?」
「いや違う。飲み込んでた方だ。」
「へー…あれって結局なんなの?体液?」
「そんな表現はやめてくれ。意味合い的にはその通りになるけど、その言い方はやめてくれ。」
カセロは断固として拒否した。
「わかったよ。で結局あれは何?血?」
「体内の源石かな?集めて固めてゴックンだね。」
「ゴックン?」
「……忘れて、ちょっと落ち着きが無くなってきてるから言葉選びが変な事になってる。」
「案外普通?」
「メンタルは凶人と面倒くさいをオタクで包み込んで天然とアホと馬鹿を4で割った感じですよ。」
「へぇ、たしか最初はあの洞窟に拘束されてたよね。いったいどうしたの?資格とか決まりとか言ってたけど。」
モスティマは平然と無視して話を続けた。
「秘密で。」
「じゃぁ」
「ちょっとまて、これはどこまで続ける気なのだ?」
「いいじゃん暇だし。仲良くしようよ。」
モスティマはコクッと首を傾ける。いつの間にか背もたれにもたれ掛からずに、楽な姿勢になっていた。
「はぁ……」
長い暇つぶしになりそうだ。
テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ
延長行為といわれても文句はいわん。だがしょうが無い事であり、文字数が2000付近になったので強制アウトです。
次は地獄だろうな……ケルシー構文なんて知らない……
せめてわかりやすい題材か豊富なパターンの例が欲しいです