好きには不祥がつきまとう   作:庭顔宅

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2/2壊死からの地生 ホシグマside

家に着き少年をソファに下ろし寝かせる。そしてタオルケットをかける。

 

さて、これから何をしようか考えてみたが特に何も出来ることは無い。この少年を放っといて何かをすることも出来ないし、しばらくはのんびり過ごすしかなさそうだ。

 

そういえばこの少年は何か食べたのだろうか?何か軽く作っておくか。

 

台所に行き辺りを見渡す。フライパンに鍋にトースターなどお手軽な物しかないが狭い。冷蔵庫を開ける。そこにも軽い物程度しか無く、何か料理できるほどの物はない。

 

これは困ったと目をそらす。するとそこには塩があった。

 

ホシグマは何かを思いついたように一直線に動き出し、炊飯器を開ける。そこには冷えてしまっているが、ちゃんとお米があった。

 

よし、おにぎりを作ろうか。お手軽で朝食にもちょうどいい。

 

保温のボタンを押し、温まるまでの間椅子に座って待つ。視線は自然と少年の顔に向かっていた。

 

傷一つ無いどころか、健康的な肌。警戒心の一つも見えずに眠っている。無表情。これが一番近い表現だろう。

 

視線を外に向ける。未だに朝日すら出ずにいつもより静かだ。ふと今日のことを振り返ってみる。

 

やはり何かがおかしい気がする。それはたった一回の轟音か、その後にこの少年が現れたことなのか。そういえばこの少年があの迷子という確証はなかったな。違ったのなら孤児院に入ることを進めれば良いだけの話か。

前提の話を考えてみるか。客観的に見て私はこの少年を誘拐したように見えるのだろうか?少なくともいきなり知らない場所、人が目の前にいるんだ。戸惑わない方がおかしいか。なにか良い感じに落ち着かせることの出来ることは……たしかスワイヤーさんにホットココアは心を落ち着かせると聞いたな。かたくなにホットミルクとはレベルが違うと力説していた。

 

ホシグマの顔から笑いがこぼれる。

 

早速実践してみようと、また台所に行き、電気ケトルの中にミルクを入れ電気を入れる。そしてまた椅子に座る。そこからはわずかな外の騒音とブクブクとケトルの中から湧き出す音に耳を預け、まったりとする。

 

「カチッ」

 

電気ケトルがミルクを沸かしたとお知らせが来た。ホットココアを作りに行く。ココアの元をマグカップに入れ、最初にミルクを1/3程入れてかき混ぜる。そして少しづつミルクを入れかき混ぜ続ける。その領分でもう一つ作る。完成してから気づいたことがある。

 

……作っても飲むべき人が寝ていたら意味が無いな。

 

自傷気味に笑う。そしてまた電気ケトルに水を入れ電気をつける。二つのホットミルクをを机に持って行き、椅子に座り直す。

 

このまま二つとも飲んでしまおうか。

 

そう思い一つ目に手をつけ始める。3,4口飲んだ頃に、少年の方からガサゴソと音が鳴る。

 

見てみるとそこには半目にしながらタオルケットにうずくまる少年お姿があった。

そして視線が交わる。どちらが動くこともしゃべることも無くただ目を合わせ続けていた。

 

するといきなり少年がタオルケットに身を包みながら、部屋の隅まで後ずさりする。顔から戸惑っているのが分かる。

 

そこでホシグマはこう言う。怖がらせないように、せっかくなのでこの余っているホットココアを飲んでもらえるように。

 

「私は近衛局のホシグマという。道ばたで寝ていたので保護をさせてもらった。とりあえずホットココアがある。飲むと良い。体が温まるぞ?」

 

少年は未だに戸惑った様子を見せている。だがゆっくりと動き出す。タオルケットをソファに置き、椅子に座る。

 

そしてマグカップを両手で取り飲む。一口飲むと表情は明るくなり、ほっこりとした感じがする。

 

私もまた一口飲む。しばらくこの時間が進む。外からは騒音はいつの間にか無くなりわずかな物音だけが響いていた。

 

以外と心地が良いな。スワイヤーさんが言っていたことは本当だったらしい。今度はホットミルクで試してみようか。

 

半分ほど飲んだころに気の抜けた音が聞こえてきた。

 

「くぅぅぅ……」

 

少年の顔が真っ赤になる。わずかにホシグマは笑う。そしてちょうどいいと思い。

 

「小腹は空いているか?」

 

と聞く。目の前の少年がビクッと震える。

 

「…は…はい……」

 

小声でそういった。ホシグマの目を見据える。そこには怯えている様子はない。

 

「分かった。作ってこよう。」

 

そしてホシグマは台所に向かう。最後に少年が戸惑った様子が見えたが無視をして行く。

 

まずは炊飯器からお米を器に移し、台の上に持って行く。そして塩も持って行き、手を水で洗い、塩を手に薄くつけおにぎりを軽く三つ作る。

 

簡単に片付けをして、おにぎりを少年の前に持って行く。

 

「どうぞ召し上がれ。」

 

「ありがとうございます、」

 

少年は両手でおにぎりを持ち食べる。ゆっくりと一口一口噛み締めるように食べる。

 

 

あっという間におにぎりを食べ終わる。

 

「ごちそうさまでした。」

 

「お粗末様でした。」

 

少年は物欲しそうで残念がるような顔をした。ホシグマは食器を洗面台に持って行き水につけておく。

 

少年はどうやらおにぎりを気に入ったようだな。それではそろそろ名前を聞くか。

 

そして元に椅子に戻り、さっそく少年に疑問をぶつける。

 

「それで君の名前は?」

 

特に何といった様子も無く自然と答える。

 

「シュヴェルです。」

 

「そうかシュヴェル君。

 

「シュヴェルです。」

 

「うむ?そうかシュヴェル。どうしてあんなところで寝ていたんだ?」

 

少しためらうような様子を見せるも、淡々と言う。

 

「逃げてきた。」 

 

「それはチェンという人か?」 

 

一瞬シュヴェルは目をかすかに見開いた気がした。それ以外の反応は無かった。

 

「……では、もし良かったらそのフードの中を見せてくれないか?」 

 

今度はシュヴェルが飛びのけぞる。椅子は後ろに倒れ「ガタン」と音が鳴る。そのまま辺りを見渡し始める。 

 

「待ってくれ!」 

 

その言葉に反応し、シュヴェルが台所の小窓から出ようとしていたが、止まる。顔はこちらに向けずに、耳だけを傾けてくれているようだ。 

 

ホシグマは一度息をのみ、再度話しかける。その目はまっすぐとシュヴェルの方を見ている。

 

「私は君がここに居る間いかなる危機からも、君を守る。だから、見せてくれないか?」

 

この言葉にどんな意味があるかは分からない。なぜどんな人かもしれない人に対してここまで言うのか。

なぜそこのフードの中に興味を持ったのか。

 

どうしてかは分からないが、どうしても見なくてはならない。そう思ってしまった。

 

しばらく時間がたってから少年はゆっくりとこちらを向く。

 

まっとうな目をこちらに向けながら、ゆっくりと手をフードの方に持って行き、勢いよくフードを外した。

 

「ッッ…………」

 

珍しくホシグマは息をするのを忘れていた。

 

だってそこにはあり得ない光景が見えた。

 

まだ幼い少年がこちらを見ている。

 

だがその目に幼さは無い。

 

下からゴツゴツとした尻尾が、自分の身を守るように背中にそびえ立つ。

 

その頭には腕ほど大きい鬼のような角が一つ額から生えている。そしてわずかに後ろに二つの普通ほどの大きさの龍のような角が生えていた……

 

 

 

 

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ
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