好きには不祥がつきまとう   作:庭顔宅

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3/1 嘆く海の雪辱 主side

………ここは?……

 

視界は黒色。上の方に僅かに青色が見える。体は縛られているように重い。だが縛られるというより無重力のような……沈んでいる?上の方に見えた青色がさらに薄くなる。

 

よし。深呼吸しよう。

 

ズゴボボボボォボォォォォボゥホゥ!ブオオオオバオウッバ!深い!ここ深い!

 

水の中なんて聞いてないんですけど?まぁこれで完全に空気なんて要らないことがわかった。昔の生物は酸素が毒になるぐらいだからね。多少はね!

 

不味いのは周りが暗くなるほど暗いって事だね。沈みすぎ。そのうち上下感覚なくなって深海生活始めることになるよ?さっさと浮上しましょう。

 

さぁ勢いを浮力に……

 

源石を下に勢いよく出す。だが源石は沈んでいく一方だ。

 

水ってすごいね。圧力というか…水圧というか…。大人しくプロペラ作って泳ぎましょう。

脚にプロペラを作り回転させる。

 

泳ぐって案外良い物だね。いやダイビング?どっちでもいいか。前世では15mを泳げないタイプの人間だったからね。海の心地良さを知らなかったんだ。水泳の授業の自由時間はずっと水に潜ってたなぁ。

 

シュヴェルはルンルン気分で浮上している。周りを警戒などせず。だから深淵より迫り来る奴らに気づけなかった。

 

ッッ?

 

なんか肌がヒリヒリするわ。クラゲでも居るのか?

 

そう思い振り返り、海の底を見る。だがそれをすぐに後悔する。

 

数々の液体がこちらに迫り、当たっている。そして海の先には暗闇の中でもよく目立つ。黒いフォルムに紫や緑に光り輝くのが見えた。その外見は草木のようで……そうだね。あれは穀海のランナーや浮海のドリフターみたいだね。

 

ヒリヒリする肌を見ながらこう思った。

 

これが噂の神経ダメージかぁ……じゃなくて!

 

迫り来る敵を見ながら

 

海の中にもあいつら居たのかぁ……じゃなくて!

 

今度こそ海面を見上げて

 

逃げるんだよぉ!!

 

腰の辺りにもプロペラを作って、全速力で浮上する。

 

ようやく辺りが明るくなった頃、いままでの豆鉄砲ではなく砲弾がシュヴェルを襲う。

 

ファ!?

 

その砲弾では体勢を崩す程度で終わったがいきなりのことに驚きながら後ろを向いた。そこには頭にコブを作ったファースト・トーカーがいた。

 

めっちゃ怒ってるわ。ストーカーって改名しろよ。多分さっき作った源石が偶然頭に当たったってこと?そんなアホな……

 

あ、

 

シュヴェルは驚きのあまり忘れていた。浮上することを、その間も海の怪物はコツコツと迫り来ていたのだ。そしてシュヴェルは悟った。

 

これ追いつかれる奴だ。

 

ファースト・トーカーが早い。空を飛んでいるように素早く接近している。

 

だが諦めないのが俺の魔法だ!強引な策に出る!

 

イメージは簡単。源石でこいつら追ってこれないように壁を作れば良いのだ。

 

あばよ。ストーカー…

 

迫り来る海の怪物を見下ろしながらそのベールをかけるように、そっと壁を作る。そして勝ち誇った顔をすることが大切です。俗の人はこれを煽りという。

 

シュヴェルは慢心をしている。そう言う場合は大抵何か問題が発覚するもので……今回はこれだ。

海の怪物とシュヴェルを隔てていた壁が音を立てながら中心が砕けさった。もちろん海の怪物の先頭にいるのはファースト・トーカーだ。

 

ウソだろ!?お前にそんな攻撃力と特殊能力はなかったはずや!

 

シュヴェルはさらにゴリ押しをした。先ほどと同じように壁を作る。それも三枚。そして最後の壁から柱を伸ばる。壁が沈むより早く柱が伸びる。

 

海の怪物達が壁を壊した頃には手遅れ。シュヴェルは海面へと飛び上がった。それはクジラが潮吹きをするように10m程飛び上がり陸へ向かう。

 

そして岩場に着地する。受け身を知らないシュヴェルは忍びが待機する構えで着地するのだった。

 

ガンッ

 

こ、今回は脚がジーンとしたぜ…へっへ親父……俺はやったぜ。

 

プロペラを消して丁度良い凹みに座り込む。そして海を見る。距離にして5mだが、岩場と言うこともあって高低差がある。日に照らされて岩陰が綺麗だぜぇ~~

 

何時まで経っても海の怪物は現れ無い。どうやら諦めてくれたようだ。

 

助かった……助かった……海と陸を制した怪物が一番厄介。はやく空を手に入れn

 

音も無く背後からシュヴェルの首元に剣が突き立てられる。そしてその剣は見覚えしか無い。このかっこいい黒い大剣。一度踏み込んだら逃げられない中毒性を持つシャチさんじゃないですかぁ~~~~巫山戯るのはここらへんにしておいて……どうしよう?

 

「フンッ……フンッ……」

 

何故匂いを嗅ぐ。おれは敵じゃ無い!!さっき襲われたからその海の残り香があるかもしれないけどおれは敵じゃ無い!……でもそれを口に出せなかったら意味が無いんだよなぁ…

 

「不思議な匂い……海の匂いに……陸の匂い……確かそんな奴があったらサンプルを確保しろっていってたかしら…」

 

サンプル?ケルシー?もうロドスに居るんだ。そういえば今はストーリーのどこだよ。くっそもっと早く疑問に思ってたら龍門でわかったかもしれないのに…

 

「あなたサンプルを頂戴。」

 

え?

 

「サンプルって何だ?」

 

いったい何がサンプルになるの?髪の毛?

 

「そうね……腕を貰いましょうか。」

 

バイオレンスッ!?答えになってないですよ~。だめだ逃げれない。すでに死は一歩手前にある。特にこの首元の剣とか後ろに居るスカジの蹴りとかスカジの内股の汗ばむ匂いとか、いろいろだ。

 

初代差し込み隊長舐めたら死ぬぞ?スキル3でATK2000超える化け物。それに性癖と清楚と残酷性を足して再配置時間で割ったみたいな存在だ。タイマンで勝てるわけが無い。スルトもってこいやぁ!

 

たしかモジュールとか意味わからない物で一回HPが0になってもHP、防御デバフ貰って一回だけ復活するって聞いたことがある。

 

化け物。

 

「無言は了解と捉えていいかしら?安心して。一撃で終わらせるから。」

 

スカジは剣を振り上げる。

 

「待ってくれぇッ。」

 

迫真の声ってこのことを言うのだろう。まだ腕を失う訳には……あれ?再生できるのでは?ん??

 

「どうしたのかしら?他に何か良いサンプルがあるのかしら?」

 

サンプル……ねぇ…

 

「これではダメか?」

 

手を後ろに持って行き手の平を見せる。

 

「……何も無いのだけど?」

 

「ちょっと待って。」

 

ダメ元で源石生成してみる。他のサンプルは思いつかないから無理だったら腕捨てる。でもこの源石も体の一部だし問題無いでしょ。

 

「……何かしらこれ?」

 

スカジは生成した源石を手に取った。

 

「アーツだ。それはサンプルにならないのか?」

 

「フンッ……フンッ……」

 

運命の瞬間。これが受験生の合格発表の気持ちか……

 

「海の匂いに……陸の匂い……これでも良いわね。感謝するわ。」

 

後ろでゴソゴソと音がする。恐らく源石をしまっているんだろうな。助かったわ。案外チョロい……というかこの体が不明なんだよなぁ……

 

「これ……」

 

「ん?」

 

膝に袋が投げ置かれる。軽い。なんだこれは?

 

「なんだ?これは?」

 

「お金よ。」

 

なぜにお金?賄賂はいらん。自分で稼ぐ!!

 

「謝礼のようなもの……物を得るには正当な対価が必要なのよ。」

 

正当な対価?腕を斬り奪おうとしていたのはどこのどいつですか?これが天然?これがアザビエルの沼?

 

気にしちゃダメだ気にしちゃダメだ。戻ってこれなくなるぅ~

 

「それじゃあ。さようなら。」

 

そう言って後遠のく足音が聞こえる。……結局顔を合わせること無く帰って行ったな。嵐のような人だ。それにしてもお金……

 

袋を開く。龍門幣だね。これは十万……ここだけの話まだお金の価値観わかってないの。一ヶ月も龍門市街いてなんで知らないんだって?知る機会が無いからだよ。

 

とりあえずこれはフードの中にしまう。

 

シュヴェルは袋をフードの中に納める。そして立ち上がる。

 

やっぱり安心信頼利便性の源石産。拡張拡大色々出来ます。さてぇ!?

 

シュヴェルはフードを脱ぐ。そしてフードを地面に叩き付ける。

 

おとおとおたくとおとととおおと

 

スゥゥゥ……………

 

音がしないッ!!!!あの石と金属がこすれ合う音がしない!!!

 

フードを消す。そこにはさっき貰った袋しか無かった。

 

ブローチ……………………三角ブローチ……………………推しからのプレゼント………………………初めてのプレゼント………………

 

シュヴェルは両手をついて座り込む。岩場に貯まった水から酷い顔が見えた。

 

どこで………海?底に沈んだのか?あの海の怪物どのから隠れて手の平サイズのブローチを探せと?なんて無理ゲー?可能性を考えるなら海流で流れているかもしれないし、魚のお腹の中かもしねぇぇぇぇぇこの糞魚ァァァァッッッッッ

許さん。お前だけは惨たらしく拷問にかけ殺す。なんなら魚体実験する。俺以外も回復出来るか調べ上げてやる。そしてお前を魚人になるように改造する。俺の頭の中に存在する美少女に変えてお楽しみする。

 

そこで許したるからはよ出て来いや。

 

海に叫ぶ。

 

心の中を掻きむしられるような激しい痛みを感じながら苛立たしさが全身に広がる。そこでなんて叫んだかはもう覚えていない。

 

 

 

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ

今更だが毎回sideにしなくて良いって事を理解した。
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