数週間か数ヶ月先の先の先
ロドス内の白を基準とした研究室。そこには一人のフェリーンが机に向かい作業をしていた。その後ろの扉から一つの陰が忍び寄る。
「どうしたスカジ?いつもより早い帰還だが何か問題があったか?」
「昔あなたが言っていた物を見つけたらから、途中でここに寄っただけよ。」
そこでようやくケルシーは振り返る。
「いったいいつの話だ?」
「陸と海の匂いがするものがあったら持ってこいと言ったのはどこの誰かしらね。」
「ああ、失念していた。確かそんな物は存在しないと結果を出たはずだが、本当にあったのか?」
「これよ。」
スカジは手に持ていた石をケルシーに投げる。それをケルシーは片手で優しく受け取る。
「貴重なサンプルを雑に……」
「それ相応の硬さだから問題無いと判断したのだけど?……どうしたの?」
ケルシーはまじまじとその手にある石を覗き見る。それを顕微鏡で見たと思えば一部を削り取って何かの液体に漬け込んだ。片眉を動かしたと思ったら言葉を紡いだ。
「ふむ…………本当にその匂いがしたのか?いや今もその匂いはするか?」
ケルシーはその石をスカジに投げ返す。
「私を疑う気?…フンッ……」
スカジは石を鼻の近くに持ち上げ匂いを嗅ぐ。その顔はいつもと変わらず無気力な表情だ。
「海の匂いは薄くなってるけど、それでもしっかりとするわよ。それでいったいどうしたのかしら?」
「それはただの源石だ。」
「え…」
そこでスカジが今日初めて初めて表情が崩れる。そんな事お構いなしとばかりにケルシーは言葉を続ける。
「君が海の匂いがすると言うのであればそれは貴重なサンプルだ。報酬は払う。また見つけたら持ってきてくれ。」
「ちょっと待ちなさい!!」
作業に戻ろうとしていたケルシーを止める。
「どうした?何か問題でもあったか?資金が足らないなら申告しろ。」
「そっちではない。本当にただの源石なの?」
「軽く調べただけならそこら辺の源石とそこまで変わらない。多少純度が高いだけで何の変哲も無………聞いておこう、これはどこで見つけた?」
そこでようやくケルシーが目を細め、表情が険しくなる。
「シエスタの端の断崖。そこで奇妙な男と会った。」
「シエスタ………一つ聞くシエスタでは海の匂いと陸の匂いどっちが強いのだ?」
「海の匂いが6割…いえあのときは8割ぐらいだったかしら。」
「先にその源石を返してくれ。」
「ええ、どうぞ。」
スカジは投げる。それをケルシーが受け取ったらすぐに何かのケースの中に密封する。そして机の引き出しから紙を取り出し質問を続ける。
「今まで匂いが強くなったことは?」
「海の怪物共が襲ってきたときくらい?そんなに変化するのはそれぐらいだったわ。」
「出会いは偶然か?」
「海の匂いが強くなってるから見に言ったらそこに座り込んでいたのよ。近づいたら陸の匂いが強くなったからサンプルを頂戴したわけ。」
「待て、男からサンプルを得たのになぜ石になる?」
そこでケルシーは視線を紙からスカジへと移す。
「男に要求したらアーツで石を出したから。匂いは変わらなかったから問題無いと判断したわ。」
「アーツで源石を…?……」
「少なくとも男が動いた気配も石が動く気配も感じなかったわよ。石は手の平の上でどんどん大きくなっていったもの」
「男の外見は……」
「後ろだったからわからないわ。陸の匂いが染みこんだフードを着ていたぐらいしか。」
「スカジ。依頼を変える。その男を見つけ次第連絡を寄越せ。可能ならその男を連れてこい。五体満足かは問わない。息の根は残せ。」
スカジは考える素振りを見せ、答える。
「………特徴が無いのだけれど。男が隠れようと思ったら見つける事は不可能じゃ無いかしら?」
奴が匂いを操るすべを持っているなら私は同一人物と判断が出来ない。そうスカジは判断した。
「どれほどの知恵を持っているか分からない以上断言は出来ないが、あちらも接触を望んでいるかもしれない。最優先で連絡を寄越せ。もし可能なら連れて来い。」
「はぁ……見つけたらするわ。」
スカジは踵を返し、部屋の外へと歩を進める。
「それじゃ依頼に戻るわ。」
「ああ………」
スカジが部屋を出る。そして今さっきやっていた作業の中断作業をしてこの源石の解析を急ぐ。だが調べても調べてもこの源石が源石である証明しか出来なかった。
一度保留にしようとこの源石を他の部屋に持っていき保管する。
「上等か………怪物か………亡霊か………貴様は何だ…」
研究室に帰る途中返ってくることの無い質問を虚空に呟くのだった。
テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ
これは今出すべきではない気がしてきた……まぁ忘れる前に出してしまいましょう。