おっはーー。いやこんにちわーーだわ。
シュヴェルが意識を覚醒させて第一に日差しを認識した。太陽はすでに上空にあった。
早く起きなくて良い日常。これだけで最高の人生かもしれない。ストレスフリー。せっかくなので背伸びもしておきましょうか。
シュヴェルが両手を空に向け背筋を伸ばす。その時ポン助が何かを訴えかけるように髪を引っ張ってきた。
どうしたポン助?飯か?
いつものようにご飯をポン助に与える。それをしっかりと丸呑みにする。いずれご飯を与えても食べなくなった。それでもポン助は髪を引っ張り続ける。ポン助が引っ張り続けている方向には昨日行った街があった。
街に行けと?しょうが無いね。散歩しようか。
シュヴェルは立ち上がり崖を駆け上ろうとしてジャンプする。がポン助が今までより強く引っ張ったためにジャンプが出来ず。壁に激突しそうになった。ギリギリのところで受け身が取れたが衝撃により手がジンジンする。
ポ ン 助 ?喧嘩売ってる?それとも遊びたいの?リアル大乱闘スラッシュブラザーズする?容赦しないよ?
シュヴェルがフードの中にいるポン助に向けて視線を向ける。ポン助はそんなこと気にしないと今度は海の方に向けて髪を引っ張る。
本当にどうしたの?ポン助?頭おかしくなった?おかしくなる程の知性は無かったはずだけど……デラックススピーカーネオ?
ポン助が髪を引っ張り続けていた方向の岩場には昨日放りなげたデラックススピーカーネオが無残にも放置されていた。特に外見に異変はない。
シュヴェルがデラックススピーカーネオの目の前に行くとポン助は二回、それだ。と言わんばかりに規則正しく髪を引っ張った。
さらにデラックススピーカーネオを背負うとポン助はまた規則正しく二回引っ張った。
了解。ライブ行きます。でも場所どうしようかな……ポン助?
ポン助が髪を一方向に、街の方向にずっと引っ張り続ける。
ポン助?もしかして場所を選んでくれるのか?よし!なう゛ぃを頼んだぜぇ~~ポン助!
シュヴェルは駆け出す。そしてポン助が選んだ毎回別の場所でライブを五日ほどした。人も集まりだし。二十人とはいかなくても十五人ぐらいは集まるようになった。その中ではいつも来てくれる客も出来はじめていた。だが問題が一つある。
それはライブをした全ての場所であのイケオジがライブを終わらせる前に必ずいたことだ。
イケオジはエスパータイプだろ。絶対。裏で俺のこと絶対笑ってやがる。俺の奥深く、マリアナ海溝より深く眠る日本人のお人好しにたかりに来てる。
もうヤケクソになるか?イケオジ関係なしにお布施貰いに行くか?このままライブをするだけの人生で良いのか?よし。俺は出来る人間だ。俺はやれば出来る。よし。よし!ポン助!今日のナビを頼む!
やっぱりポン助は頼りにならない。
場所は変わってビーチ横の道。今日は珍しく遠回りをすると思ったら。ビーチ横を通ることになった。このナビは非人道的だ。こんな残酷なことが許され良いのだろうか?いや許されない。喉が渇いてしょうが無い少年を縛り付けその前で、成金がプールの中でジュースを飲んでいるような物だ。
ポン助?なにか言い訳があるなら聞くぞ?俺はお前と違って人道的かつ道徳的だからよ。さぁ吐け。
ポン助はぷるぷると体を大きく震わせた。
許す。こんな可愛い生き物がそんな非人道的かつ非道徳的。凄惨で人権無視、人倫に反する非情で苛酷な悪魔のような恐怖による支配を植え付け容赦のない人の道にそむく鬼畜の所業を、後生の悪いやり方を、人として恥ずべき行いをするわけないだろ!!いい加減にしろ!!
あっあれは!?
ビーチ横の道を歩いている。さらに横にそれはあった。
健やかなのどごし。フルーティーで濃厚な味わいを。お値段たったの三百幣。マインゴー
マインゴー。聞いたことの無い名前だが露店だからわかる。あれは飲み物だ。それもビーチ横とかいう激戦区。そのお安いお値段は量産型の証拠でもあるが、あの人の列は味の証拠だ。
そっと俺もその列の最後尾に並ぶ。
三百幣。これを使ったらセイロン様から貰ったお小遣いがついに二桁に入る。このきりの良さは天命のように思える。そしてこれは覚悟の証明にも思える。今日お布施を貰うという覚悟の…後戻りを断つ行動だ。だからこれ飲むべきなのです。決して喉が渇いたなどという欲望ではない。それは勘違いだ。目の前に沢山居るリア充なり恋人に対する殺意が錯覚を起こしたのだ。リア充の集団の中に小汚い餓鬼がいるぞという視線のせいでもあるぞ。
それされるだけで欲望がへこむんだが?まじ辞めて欲しい……
* * * * *
異質に見えた。
ここはビーチの端だ。後ろには道路があるビッグロードと言われる露店の運命の場所さ。人が集まるビーチに面している道だからね。この場所を手に入れるのは大変だったよ。金がかかるわかかるわ。ちょっと借金もしちゃったし。
そんな中で学者の賢い友達の提案でお手軽なジュースを売っているんだよ。最初はさらに赤字を重ねると思ったんだがね。大黒字でね!もう儲かるわ儲かるわ万々歳だよ!!ほんと友達様々さ!他にお手軽な物を売っている店がいないもんでね。面白いぐらい客が集まったよ。
今ではそれなりにお手軽な物を売る店が増えたけど、それでも実績と信頼と味でこの辺りのトップを総ナメしていったさ。
そんでもって話は戻るけどここビーチの端。人が観光客が集まる場所さ。その中でこんな熱いのに全身黒フードの子供が列に並んでるから驚いたよ。珍しいなんて物じゃ無いからね。
あんなに視線にさらされて……肩身狭くなってるよ……。
で、ついに目の前にその子供が来たんだ。
「客さん。注文は?」
「マインゴー…一つ。」
子供がしおれたお金を差し出したんだ。そのしおれ方は長い間海風にさらされた物だね。きっちり三百弊。
「はいよ。待ちな。」
手早くマインゴーを作って差し出す。そこで思っていたより子供の小ささに驚いたね。昔は結構子供に囲まれて遊んだっけな…
「ほら。マインゴーだよ。」
「ありがとうございます。」
目の前の子供はそのマインゴーをフードの中に仕舞うと小走りで離れようとした。
「ちょっと待ちな。」
目の前の子供がビクッとする。そして恐る恐る振り返る。
「こっち来な。」
手招きをしてこっちに来るように催促する。
「な、何でしょうか…?」
「サービスだよ。」
「こッ?これ?」
もう一つのマインゴーを押しつけるように目の前の子供に渡した。
「いえ…お「サービスっていったぞ?さっ気をつけて帰るんだよ。」…はい。」
目の前の子供は軽く会釈をするように頭を下げると町の方へ消えていった。
「…たまには良いことをやってみるもんだね……」
「待たせたね。さあ注文はなんだい?」
その後。店主は一日中満足げな顔をしていた。仕事終わりに一緒に学者の賢い友達と晩ご飯を食べたがそれを指摘した。そこにはまるで親馬鹿な話をするような人がいた。そしてその賢い友達も笑みを浮かべたのだった。
* * * * *
「客さん。注文は?」
ついに長い列が流れるに流れて俺の番。だがその頃には意気消沈していた。視線辛い……引きこもりたい。
「マインゴー…一つ。」
事前に用意していた三百弊を差し出す。受付台?が高くて背伸びをしてやっとお金を渡せたよ。身長が小さいって不便なのね……
「はいよ。待ちな。」
店主は手早くマインゴーを作る。そこには熟練のプロの技が見えた。よくわからないけどそう思った。
「ほら。マインゴーだよ。」
「ありがとうございます。」
店主がわざわざ前屈みになってマインゴーを渡してくれた。助かる。それを受け取りフードの中に入れる。もちろんその置く場所は用意してあるぜ~~。源石産最強説を提唱します。
そしてシュヴェルは後ろの視線から逃げるように町の方に消えようとした。だがそれは叶わなかった。
「ちょっと待ちな。」
後ろの店主が静止の声を上げた。な、なにか不手際でも…?
「こっち来な。」
店主が手招きをしてこっちに来るように催促する。
「な、何でしょうか…?」
お金の問題ですか?やっべもう金ないぞ。逃げるか?そうだ今さら指名手配された程度でどうこうなると思うなよ!ライブ出来ないじゃん。終わった。俺はこれからいったい何をして生きていけばいいのだ?
「サービスだよ。」
「こッ?これ?」
店主はもう一度前屈みになる。その手には一つのマインゴーがあった。そしてそれを押しつけるよう渡してきた。
「いえ…お「サービスっていったぞ?さっ気をつけて帰るんだよ。」…はい。」
優しい世界で野菜生活。果物生活か。好意は受け取る物。そして好意で返す物。待ってて。絶対この利益分はマインゴー買うから。
シュヴェルはより一層お布施を貰うことを決意し、街の中に消えていった。途中その貰ったマインゴーを飲む。
マンゴーじゃん。いや名前で何となく分っていたけども……分っていたけども……なんだろ…この気持ち。
ん?ポン助?
ポン助が連続して髪を引っ張る。シュヴェルは一つの仮説を立てると裏道に隠れるように走った。裏道につき、止るとポン助が地面に降りた。そこにマインゴーを地面に置くとポン助はそのマインゴーを飲み込んだ。
…容器も食べたんですがそれは……ごみがなくなった!地球に優しい!!さっすがポン助!!!
ポン助はジャンプしてフードの中に戻る。そしてまたナビをする。ポン助はベトベトしていなかった。液体吸収能力?水チェン完封できたりしますか?
その疑問に答えてくれる存在は居なかった。
テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ
落ちがない……ないよ……一応続くから許してクレメンス。
明日も投稿することを祈っておいてくださいな。