うっとうしいほどに騒がしい波際。そこに普段味わう熱さとは別の暑さ。さらに信用出来ない奴らがウジャウジャとオリジムシみたいにそこら辺に沢山居る。そこに一部だが気持ち悪い視線を感じる。
控えめに言って今すぐ帰りたい。
そう思い続けるヘムロだったがその浜辺を離れる事は無い。と言って背後は街と浜辺を遮る防波堤のように少し高い場所に道があってこれ以上下がる事は出来ないのだが。
左に居るリムラもボケーッと空を見上げていた。太陽がまぶしくないのかな?
これもあれも事の発端は隊長の一言からだった。
「リムへム!これをやるぞ。」
そう言ってリムラとヘムロに手渡されたのはそれぞれ白と赤の三角が三つに紐が付いてる布だった。
「隊長これなんですか?」
「隊長、これいらないです。」
「ちょッそんなこと言わないでよ!せっかく買ってきたのに!「そんなことはどうでも良いので説明求む。」……水着と言われる服だ。お前達はこれを着てビーチで遊んでくると良い。」
「ビーチで…?」
「わかりました。いやです。」
「まぁまぁそう言うなよ。別にやること無いだろ?」
「それもそうですね。」
「関係ないです。ビーチに行くくらいなら寝ます。」
「そんなこと言わないでくれよ~~ほら!リムラ!!ビーチ行ってみたいだろ?」
「確かに行ってみたいですが……」
「よし決まり!拠点を帰るから帰りはこの場所に来てくれ!」
隊長は紙をヘムロに渡す。完全に退路を断ち切った。
「……了解です。」
「よしそれじゃあ解散!」
そういって一目散に部屋を出て行きどこかへ消えていった。嵐が去った部屋でリムロが言う。
「へムロ、ビーチってどんなとこ?」
「行けばわかりますよ。」
そして着替えてビーチに来たというわけ。初めの頃のリムラは初めての場所、そして綺麗な海に目を輝かせていたが今では気分は上の空だ。ほんとなんでわざわざせっかくの休暇でこんな所に居るのだろうか?
昔来たときは海で泳ぐのが楽しすぎて一日中泳いでいたが海を出るときの耳と尻尾がクソみたいに重くて萎えた。そして砂が尻尾についた時には発狂した。ほんまくそやで。
リムラには最初に経験させた。やっぱり私と同じように楽しそうに泳ぐのは大変微笑ましい姿だが一回海を出させると一気にお通夜ムードだ。これぞ先輩の務めです。
「へムロ……暇です。」
「指定時間までは太陽があの角度になった頃です。それまで寝ましょう。」
「こんなとこで寝れないよーー」
「たしかに。どうしましょうか?」
ヘムロもボケーッと空を見上げる。雨の日は最悪だが雲が一つも無い快晴も最悪なんだとヘムロは確信した。
「……ヘムロ、そういえばここって海水浴って言う場所でもあるのですか?」
「海水浴…?たぶんそうだと思うよ。」
「やりました。」
「何を…?」
「昔、ヘムへム先輩に海水浴の遊び方を聞いた。実践しない?多少は暇つぶしになると思うけど。」
「いいね。どうするの?」
ヘムロはリムラの方を向く。そしてリムラと目が合った。
「遊びその一、泳ぐ。」
「論外。次。」
「遊びその二、海に浮かぶ。」
「水が嫌。次。」
「遊びその三、異性を遊びに誘う。」
「ブッッ!??!!?」
ヘムロが吹き出す。そして口を手で押さえながら顔を真っ赤にした。
「へッ?ヘムロどうしたの?大丈夫?」
「も、モんだい無い詳細を。」
「でも顔が赤いですよ?」
「続けて。」
「あ、はい。適当に良い感じの異性に声を掛けて遊びに誘うそうです。そしたら後はその異性が色々してくれるらしいです。あ、もしも異性に不快感を感じたら容赦なく蹴り上げろとも言っていた。」
「わかった。ありがと。」
とりあえずヘムへム先輩は殺す。私のリムラにそんな事を教えておいてタダで済むと思うなよ?やっぱり上下をハッキリさせるのは大切。二度と似たような事をさせないためにも殺す。
「ヘムロは誰か良い感じの人居ましたか?リムラの方は居なかったです。」
「いい人ねぇ……」
ヘムロはジット辺りを見渡す。子連れ友連れ恋人連れ。全部ダメ。いい人っていうのを感じたことは今まで数える程にしかない。そしてそれが異性になると隊長ぐらいだ。ほんといい人というか信頼できる人っていうのは貴重で………
「ヘムロ?どうしたの?今日おかしいよ?日陰で休む?」
「いやッ!ダメ…いや何でも無い!」
「……もしかして良い感じの人居た?」
「……笑わない?」
「笑わないし引かない。むしろその良い感じの人のところへ突撃しよう。それで誰?どこに居る?」
「あ、、そこ。」
ヘムロは震える手でビーチの端っこの岩陰を指さす。リムロは目を細めてそこをジット見る。するとポツンと藍色の水着を着る人……いや子供がいた。
「ホウゥホウゥ……でッ何処が良いと思ったの?」
「…子供なのにクールな感じで子供のような幼さをもっていながか賢明な感じというかこの世の全てを知って居ながら懸命に生きる感じというか……」
「落ち着いて、似たような事言ってるから。落ち着いて。」
「わかった。」
「よし、じゃ行こっか。」
「ふぇ?」
「言ったじゃん。良い感じの人のところに突撃しようって。」
「わかったから。逃げないから。手を握るのはやめて。自分で歩く。」
そんな姿みられたくないし……
「わかった。それじゃ行こ。」
「うん。」
覚悟は決めてないけど判断力は大切。ここで遊びに誘わないと………遊び?
そこでヘムロの顔を真っ赤に染まる。運が良いことにリムラは前を歩いていたためその顔を見られることは無かった。
……子供だからそんなことは知らないだろう……多分…何話せば?……女ヘムロ。年下をリードしろ……そしてら楽園がヘムロを待っている……よしダメならそこで終わり……それだけの話…でも良かったら?……どうしよう………
そんなヘムロの葛藤など知っちゃこっちゃないとリムラは進みつづけるのだった。
「僕ちゃん?今暇?」
リムラが話を掛ける。ヘムロはまだ顔は真っ赤じゃ無いかと不安になり、リムラの背中に隠れる。
「もしよかったら遊ばない?」
そう言いながらリムラが少年の左に座るからそれに続いて右に座る。
「何をして遊ぶの?」
「そうだね。まずあっちの岩場に行こうか。」
????
声にならない悲鳴をヘムロは上げる。
率直すぎるよ!でも他に話すことなんて……ゴニョゴニョ
一瞬の出来事だった。気がついたら少年が岩場を飛び出していた。ヘムロは残念がったが次の瞬間には焦りに変わる。飛び出したはずの少年が全速力とは違いまるで転びそうなほど前屈みになりかけていた。
立ち上がり、一歩前に出る。そして少年の腕を掴む。それは左側でも同じだった。
「だいじょぶ?」
「離してくれない?」
!???!!??
気づかいの声は拒絶で帰ってきた。その事実に頭が混乱して、顔が歪に曲がる。
視界の端でリムラがヘムロの代わりに焦る。
「いや~~そんなこといわずにさ。転びそうな所助けたんだしさーあそこでお茶だけでいいからしない?」
リムラ……さすがにそんな気分ではないよ。この状況でお茶なんてしても……
「お金無いよ。」
え?……離してくれない?は拒絶ではなかった?…よかった。
ヘムロの顔が安堵に包まれる。
「それぐらいこっちが払うよ。付き合って貰うんだし。」
「待て。」
アァァ?
リムラとヘムロの間から手が差し込まれる。それは少年の首を捉え持ち上げていった。そしてリムラとヘムロの手からは腕の感覚がなくなった。少年はフェリーンの手の中で目をまん丸としていた。かわいい。じゃなくて
「誰だテメェ「待って。」」
突然あらわれたフェリーンにブチ切れる。まるで獲物を横取りされたような感覚を覚えた。漁夫の利を決める輩には鉄槌を。だがリムラがそれを止める。なぜ?
「お邪魔しましたーーー」
「なッッおいまてy……」
リムラは流れるようにヘムロの腕を掴みその場を後にした。その力は反撃を許さない程徹底された物だった。
そして先ほどいた浜辺に戻った。
「リムラ……説明して。」
少し時間が経って怒りが静まった。だが怒りが消えたというわけでは無い。
「さっきのフェリーンの名前はシュヴァルツ。シエスタ市長SP兼市治安当局局長。残念ながら面倒ごとに関わる理由は無いよ。」
「………初めてだったのに。」
ヘムロは俯く。その雰囲気はいつもみたいな面倒くさいとか眠たいとかでは無く悲しいって、悔しいだった。
「残りの時間はご飯食べに行こっか。」
「うん。」
「もちろん隊長の付けでね。」
「よしきた。破産させる。あと隊長じゃなくてヘムへム先輩に付けておいて。」
「ん……ん?なんで?」
「なんでも。」
よし全て何もかもヘムへム先輩が原因だ。その責任を取って貰おう。かわりに殺すのは勘弁してやる。
テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ
筋肉痛許すまじ