好きには不祥がつきまとう   作:庭顔宅

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3/17 嘆く海の雪辱 主side

…ラグナロクが72匹…岩崩しが73匹…スカイスマッシュが74匹…ボイリングバーストが75匹…キメラが76匹…ウニが77匹…ペガサスアイが78匹…鉄御が79匹…回復力促進が80匹…暮色の慧眼が81匹………ターミネート?……ハッ

 

この海風香る潮の匂いに負けないほど良い匂い……雨上がりのアスファルトと一酸化炭素とレモンとほのかに甘い香水の匂いを足して3で割ったような独特の匂い。

 

俺は知っている。これはゴットスメルオブガールズ。

 

ええいッままよ!何故俺は瞼を閉じているのだ!?

 

よくやった!

 

これで限りなく可能な限りこの匂いを味わうことが出来る!!

 

……まて……な、なんだ…この音は……?…この僅かに聞こえる女性の吐息。ガチッガチッとした金属音………何をやっている?…きになる……でもこの瞳を開けたらもうこの匂いは味わうことが出来ない句なるかもしれない。だがお風呂に入るまでの間は味わえるよね。

 

いざご開帳。

 

「…んっ……」

 

知らない天井だ。庶民家?照明器具だけ時代が進んでる。

 

シュヴェルは起き上がり寝ていた長椅子に座ってから辺りを見渡す。平民家?リビング?椅子に机、窓に扉。一カ所の扉だけ鉄製のゴツイやつだけど……こわ。

 

手錠足枷監視カメラ等はなし。水着が布服になってる。ダボダボだ。最後の記憶……シュヴァルツさん?

 

ギゴゴゴゴォ

 

鉄製のゴツイ扉が錆びた鉄が擦れるような音を出しながら開く。そこには普段の衣装より一段上の露出度を保った正真正銘のスポーツウェアだ。半袖半ズボンのおへそ出し、ピチピチのスパッツタイプ。このタイプが一番好き。コッホンッ。首元にタオルを掛け、汗を拭いながらシュヴァルツが現れる。

 

ぁァ~~閉ざされていたはずの扉が開いて良い匂いの根源が現れる+タオルで拭くことによって汗のにおいが増して最高なんじゃぁ~~~

 

顔だけは威厳を保たなければッ!フゥ……

 

「起きたか。」

 

「その部屋は何だ?」

 

言葉のキャッチボール失敗。これは故意的な失敗であり本来なら処罰されるべき陰キャですが大変その部屋が何なのかが気になるので無罪放免とする。さぁー早く教えるのだ!

 

「トレーニングルームだ。それで君の名前は?」

 

トレーニングルーム?ダンベル……シュヴァルツさんはダンベル何キロ持てる?確かめたいのですが……やってみませんか?だめ?

 

「……シュヴェル。」

 

……そういえば名前知らなかったのね。で、

 

「いったい何の用だ?わざわざこんな所に連れてきて。」

 

「昨日のことは覚えているだろう。お前が例の糞餓鬼で有ろうと無かろうと私はその過程を知る必要がある。教えろ。」

 

「律儀に教える必要も理由も無いはずだが?教えたことも真実とも限らない。さらに捕縛もせずに放置したあげく、無装備で現れると愚かでは無いのか?」

 

俺は知っているぞ。この世界、そんな野菜生活では生きれないと。優しい世界じゃ無いんだよ。たとえどんな理由があっても、それが転生ボーナス的な何かであろうと、吊り橋効果的なあれであろうとそれは警戒するべきだろう。シュヴァルツさん、貴方が無制限の信頼を与えて良いのはセイロン様だけです。

 

「信頼故だ。」

 

「……根拠と結果のない信頼などゴミ屑以下だろう。まぁいい。とりあえず座ったらどうだ?いや僕が立つべきか?」

 

ふへ……信頼……シュヴァルツさんが俺に信頼……ふへ……

 

「いや立たなくていい。それでは失礼する。」

 

シュヴァルツはシュヴェルの前、対面にある長椅子へ座った……距離が近くなる+こちらへ進行によって(以下略)

 

「それでは教えてくれ。」

 

「……少し考えさせてくれ。」

 

シュヴェルは目を閉じて顔を下へ背ける。

 

過程……海の怪物達が襲ってきたので撃退しました。ちょっとキレちゃったので海へ潜って殲滅したよ☆…じゃダメだね。そもそも海の怪物の存在教えちゃだめじゃない?よくわからないけど。とりあえずぼやかして説明するしか無いか。使命がーとか俺がまいた種だーとか言っとくか。

 

「…まず初めに、教えることはない。」

 

「なぜだ?」

 

シュヴァルツは目を細めて手を組み膝に置いた。

 

「あれは僕が原因でもある。だから僕が解決させる。僕がこの地を去ってあれが静まるとは思えん。最後まで責任を持って対処する。以上だ。」

 

「あれとは何だ。」

 

「あれはあれだ。」

 

「そのような屁理屈を聞きたいわけではない。」

 

シュヴァルツの手に血管が浮かぶ。細めた目の奥底には深海よりも深い青き炎があるように見えた。

 

「話せることはない。」

 

原作介入は嫌なの!もはやトラウマとも言える。2次元は2次元、2.5次元は2.5次元。これハッキリするべきである!……ちょっと例え違うわ。良い例え……ないかな……?

 

「話せ。これ以上の言葉はないぞ。」

 

「返答は変わらない。話さない。僕に信頼と善意を寄せてくれる者に嘘はつきたくない。」

 

頑固者め。これは逃げるべきか?この家は外見ボロ家である。窓をちょっとだけ壊させて貰ってバイバイするべきか?ちょっと海に突撃!隣のファースト・トーカー君!をしてからさようなら。全てのシエスタをするべきですか?はい。そうですね。最後にポンペイにちょっかいを出して……は自重しましょう。

 

ポン助様……わかりました。余計なことはやめます。

 

「……だからこそ聞く必要がある。セイロン様に関係することであるならば聞く必要がある。」

 

シュヴァルツは一瞬だけ目を軽く閉じる。そして軽く呼吸を行い、言う。そこには浮き出る血管も先ほどのような一発即発のような雰囲気はなかった。

 

ん?流れ変わった?もはやこれはどうするべきか?いや結果は出したじゃん。行くぞ☆隣のファースト・トーカー君してきます。

 

シュヴェルは立ち上がる。まるでもう話す理由などは無いと言わんばかりに特にアクションを起こすこと無く立ち上がった。そして窓を見据える。

 

「待ってくれ。」

 

シュヴァルツは立ち去ろうとしたシュヴェルに向かって言う。

 

背後から声かけるのやめてくれよ。美少女に声を掛けられると条件反射的に立ち止まってしまう。そしてその声を掛けた相手が自分で無いことをしっかりと理解して心で泣きながら再び歩き出すのだ。

そこには意味も無く立ち止まった意味がわからないヤバい奴として周囲から冷たい視線を感じながら……おい、コロセよ。

 

だが今回は間違いない。この空間には二人しか居ない。もし通信機の相手とかほざくならもう二度と俺を証明する固有名詞{名前}を呼ばれようとそれは風のいたずらとして無視を決め込むぞ。

 

シュヴェルは後ろを向く。シュヴァルツの方へ向かって。そこに言葉はいらない。むしろ何を言えと?いい加減にしないと吐くぞ?胃液的な意味で。それか血反吐的な意味で。で、どうするの?

 

「シュヴェル。頼む教えてくれ。教えてください。」

 

シュヴァルツはシュヴァルツの方へ体を向け、姿勢を正し綺麗に三十度(ぐらい)頭を下げる。美人は何をやっても絵になるというのは誠であったか……何か新しい感覚が、、ゴッホンゲホン。落ち着けポン助。俺は(たぶん)普通だ。よし落ち着けポン助。ポ、ポン助!?ポン……脳裏に刻まれたからもう大丈夫だポン助。

 

まーー置いていて切り替えて。女は覚悟を示した。ならば男もやるべきだろ?ちょっと話したくらい大丈夫だと信じよう。無意識かつ無責任にやったとしよう。もう知らん。名前も姿も声も形も知らない原作とやらはもう知らん。

 

「条件だ。それを俺の口から知って良いのはお前だけであり、お前以外の何者も知ってはいけない。出来るな?」

 

「もちろんだ。」

 

「よし。」

 

シュヴェルは長椅子に座り直す。心なしかシュヴァルツさんの顔がほころんだ気がした。

 

「まず前提だ。」

 

「うむ。」

 

シュヴァルツは口だけを動かした。そのけだるそうだけども真剣に眼差しにシュヴェルは倒れてしまいそうになった。

 

「俺は奴らについて詳しくは知らない。もし本当に知りたいなら本人達に聞いてくれ。」

 

「本人?……」

 

なんだそれは?とシュヴァルツは顔を僅かに傾ける。

 

「奴らの事は海の怪物と呼んでいる。海の深淵に住む者達。お前達の基準がわからないが強さは知らない。少なくとも下っ端の海の怪物は例の糞餓鬼に放った一撃よりは弱い攻撃力だ。」

 

「理解した。それでなぜ襲われる。そして昨日は何があった?」

 

「なぜ襲われる……か。それについては詳しく知らない。恐らく僕が逆鱗に触れたのかもしれないな。すまない。」

 

たぶん喧嘩をふっかけられたからだろうけども。俺によって(笑)本当にすまない。この真実は末代まで隠して行こう。俺が末代だとは思うけど。

 

「……続けてくれ。」

 

「昨日は海の怪物が珍しく地表近くに現れた、その攻撃がシュヴァルツを狙っていたから強引に吹き飛ばして回避させた。必要の無いことだったかもしれない。悪かったな。」

 

あの程度の攻撃力が七倍になった程度で……遠距離オペの防御力で大丈夫なのか?でもシュヴァルツさんなら、それが慢心である。もしかしたら攻撃力が七乗になっていたかもしれない。だからダメだ。俺が正しい。いやむしろ俺が悪い。あの程度は俺のアーツで防御できたかもしれないだろ?それかアーツで体三つ分上下左右の方向へ動かせば良かったじゃん。判断能力の欠如。脳筋ドクターめ。

 

「いや構わない。それでなぜ濡れて倒れていたのだ?」

 

「あーー。その現れた海の怪物は倒した。そして海に潜って海の怪物達を殲滅しに行った。目に付いた全て海の怪物達は倒した。その後は岩場に戻って寝た。肩の傷はその時の負傷だな。」

 

……もしかして岩の攻撃力の方が海の怪物達より強い…?いやでも俺は加速していたし……た、多少はね……下っ端ばっかりだったからね!そんなもんだよね。

 

「ふむ……感謝する。」

 

「これで話は終わりだな。それじゃあ続きをしてくる。」

 

「続き…?なんだそれは?」

 

今度こそ意味がわからないとシュヴァルツは首を傾けた。

 

「もちろん。殲滅だ。」

 

シュヴェルは満面の笑み、そしていたずらっ子の如く悪巧みを妄想している子供の笑みだった。

 

「もう一つ聞きたいことがある。」

 

「なんだ?」

 

なんだろ?他に聞くことある?聞くことじゃなくて問いだたすことならあるだろうけど……

 

「貴様は例の糞餓鬼か?……なんだその変な顔は?」

 

ふっなんだそんなことかよ。

 

「俺以外に黒髪黒目で背が小さくてバカで間抜けな野郎が居るなら見てみたいよ。」

 

「そうか……セイロン様が礼を言いたいと仰っている。可能なら屋敷に来ないか?」

 

なんだこのバカは…みたいな目はやめてくれよ……事実だろうが。現実より想像を見て怪我をしたバカ。それか話を面倒くさい方法へ向けた間抜け。俺にぴったりじゃないか!ハッハッハッハ………お前もワラエヨ?ホラ?

 

 

 

静粛に。もう笑うな、その目と思考もやめろ。

 

お返事を返さなければ。

 

「そうだな……」

 

もちろん返事は

 

「返答は…喜んで。」

 

シュヴェルはバカみたいに良い笑顔で笑う。その様子を見ているシュヴァルツがおかしなものを見ているように思えて、クスリと笑うのだった。

 

 

 

 




テンションは変えません 誤字脱字、アンチ、応援、ストーリー展開考案何でもござれ


前作で喜べボーナス週間などと言っておきながら計2話しか投稿出来ませんでした。

誠に申し上げございませんでした。もう二度と’喜べ’などと上から目線から言いません。

また確証がない場合(書き溜め)が無い場合はボーナス週間などと言いません。

なので今以来よりボーナス週間は来ることが無くなることが確定しました。

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